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INTERVIEW
西田 尚史
17-11-17-Fri

「目標は政治家。空のインフラを整備する」エアアジア・ジャパン 経営企画室長 西田尚史

TEXT BY REIKO MATSUMOTO
PHOTO BY YUTA KOMA
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ライト兄弟の初飛行から100年を超え、今や世界をまたぐ移動手段のインフラである飛行機。日本は大手2社の寡占状態ゆえ、新規就航というフェイズに立ち会える機会はそうそうない。ところが、2017年は業界に久しぶりに新風が吹く。2011年、大手航空会社と提携して就航するもわずか2年で提携解消して撤退したエアアジア・ジャパンが、日本に再進出するのだ。経営企画室長としてその準備に邁進する西田尚史氏に話を伺った。

政治家になるため東大進学した帰国子女

学生時代に遡ると、どういう人生プランを描かれていましたか?

10代のころからずっと政治家になるという目標を持っています。僕は帰国子女で幼少期から高校までをアメリカやイギリス、タイなどで過ごしました。

海外のテレビや新聞などで日本はどちらかというとネガティブに報じられることが多く、それらを見るたび悲しくなっていたことを覚えています。

いつからか、「自分がもっといい政策を打ち出していかないと」と生意気にも思うようになり、高校卒業後は日本に帰国しその夢を叶えようと、官僚を多く輩出している東京大学に進学しました。

在学中から働くことに対して意欲的だったそうですね。

大学1、2年の間にゼミや授業でもかなりの量を受講したので、それ以上図書館にこもるより、実践の場で経験を積みたいという思いが強くなったんです。

そんなとき、ちょうど当時面白く読んでいた 『リーダーシップの旅』(野田 智義・金井 壽宏、光文社)の著者が代表を務めているNPO法人「アイ・エス・エル(Institute for Strategic Leadership:ISL)」がインターンを募集していると知り、すぐに挙手して1年ほど働きました。

ISLでは、社会起業家を支援するプログラムの立ち上げに携わりましたが、社会起業家らの社会課題をビジネス的に解決しようとする戦略性と、「諦めることを諦める」熱いリーダーシップに胸打たれて、早く大学を卒業して働きたい気持ちはますます強くなっていきました。

就職活動中はいろんな企業の説明会に足を運びました。その中のひとつが、企業買収や戦略構築、企業再生をおこなっているマーバル・パートナーズの前身である、アビームM&Aコンサルティングだったんです。このセミナーに登壇してくれた方、将来の上司なのですが、がとても魅力的で、この会社で働きたいと思うようになりました。

そこでまずは4日間のインターンに参加したところ、実際の業務で携わりうるようなケース課題を与えられました。そのとき初めて事業の成長戦略を立てることの面白さを知ったんです。寝ずに考えるくらいはまったんで、インターン終了後に採用オファーをいただいたときには入社を即決しました。

視野を広げるためコンサルティング業界へ

政治家という夢がありながらコンサルティングファームに入社したのはなぜですか?

官僚になることも一時期考えました。でも、省庁に入ると良い意味でも悪い意味でもその省庁の目線で物事を考えてしまうのではないかということを懸念して、まずは幅広い業種の仕事に関われるコンサルで働こうと思ったんです。

それと、入社したコンサルファームは規模も小さく、上司との距離が近いので、学べることが多いと考えたのも理由です。

入社から1年は右も左もわからず苦労しましたが、徐々に慣れて足腰が強くなった2年目からは、人手不足だったこともあり、他の大手ファームではやらせてもらえないようなチャレンジングなプロジェクトも任せてもらえるようになりましたね。

歴史ある企業の再生案件からメーカーの間接経費削減、海外戦略、企業買収に関わることまで本当に様々なプロジェクトを経験できました。

でも5年目を迎えたころには、このままでいいのかな?と思ってきて。異なる課題であっても、解決のためのアプローチは同じだなと思えてきたんです。

そうなると自分の成長意欲を満たすことができなかった。そこで、「日本のために空路を整備する」という意味で公共性も高く、たまたまご縁のあったエアアジア・ジャパンに転職することにしました。

「空のインフラを整備する」

エアアジア・ジャパンではどんな業務を担当されているんですか?

現状では事業計画の策定から審査の立会までなんでもこなしています。

航空会社を立ち上げるためには、その国の航空法に見合う水準のオペレーションができるよう準備しないといけません。許認可が得られるよう客室乗務員やパイロット、整備士を養成した上で、実際に運航可能かどうかの確認のための検査にパスするよう必要なものを揃えるなど、やるべきことはたくさんあります。

経営企画室長という立場なので、そもそものメインの仕事は事業計画を立てることなのですが、実際に就航するまでは担当外の業務を担うことも多いです。

そういった点を含め、コンサルにいたころとはまったく違うことで大変だと感じる瞬間があります。

前職では4人くらいのチームで動いていたので、コミュニケーションで齟齬が生じることはまずなかったんです。しかし今は250人と働いているので、メールコミュニケーションの場合など、必要なことがうまく伝わらずストレスを覚えることもありますね。

だけど、辛い経験をすることも政治家になるための糧となるに違いない。そう思って日々努力を重ねています。自分の性格としても、前職の影響か、整理がつかない状況が続くことは耐えられないので、日々暗中模索しながらも前進し続けています。

現在は就航前ですが、就航したらまた新しい課題が出てくるのでしょうね。

そうですね。いざ就航したら、次は事業を安定化させて黒字に向かわせることが必要です。今が0から1に向かっている状態だとすれば、就航後にしっかり1から10まで到達にむかわないと。とても困難だからこそやりがいも大きいと感じています。

それともう1つ大きなやりがいがあります。航空業界の仕事は、数多あるビジネスの中でも公益性が高いという点です。

もともと僕は政治家志望なので、国民のインフラをつくるようなパブリックなことへの関心が大きいんです。わかりやすい形で社会貢献できる事業体ですし、エアアジアが就航予定の名古屋地区に、外国人のインバウンド需要を取り込む一役を担えることも嬉しいじゃないですか。

政治家という目標がある中で、これまでのキャリアはどんな意味があると思いますか?

いろんな働き方にチャレンジすることは思考の幅を広げるし、大きな意味があると思います。僕の場合、新卒入社したコンサルは高給である分責任も大きかったので、体力を含め心身ともに鍛えられました。

また、コンサルとはいえ少数ファームだったことが幸いし、ベンチャーのような雰囲気もあり、「うまくいくかわからないが自ら手を上げ、今できることに全力投球する」という姿勢が自分や会社を成長させるし、そういったチャレンジが若者に託された役割なんだな、ということも実感しています。

将来政治家になる、という目標に向けて、着実に前へ進んでいきたいですね。

注釈)インタビューの後日、2017年10月29日にエアアジア・ジャパンは中部=千歳路線の運航を開始。

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[文]松本 玲子
[撮影]小間 優太
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