農業は行き詰まっている。だからチャンスなんだ

登壇者
諸藤 貴志

1979年福岡県生まれ。九州大学経済学部卒業後、住友不動産に入社。都心のオフィスビル・住宅等の開発業務のほか、会議室やイベントホールを貸し出す新規事業を担当。2011年4月に地元福岡で農業を営んでいた高校の同級生とともに株式会社アグリメディアを設立。首都圏を中心に300件もの農家を周って実情をヒアリングし、一方で都市生活者のニーズを調査し、同年7月に農産物販売と収穫体験を組み合わせた「ノウジョウフェア」を開始。2012年にサポート付きの市民農園「シェア畑」をスタートさせた。

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“シェア畑”事業を軸に急成長するアグリメディア。

創業者である諸藤氏はなぜ農業分野を選択したのか?

“シェア畑”の次に目論む事業展開とは?

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停滞している業界には必ず大きな変化が訪れる

アグリメディア代表取締役の諸藤も、REAPRA Venturesの他の投資先企業の創業者と同様、起業前には農業とは縁遠い経歴だ。九州大学経済学部を卒業後、出来るだけ大きい事業に主体的に関わりたいと大手不動産会社に就職。不動産開発や企画を手掛けていた。

大手企業の中でも順調に成果を出して周囲にも活躍を認められていた諸藤であるが、日々仕事をしている時も「入社1年目のときから担当した新規事業の楽しさが忘れられなかった」という。

不動産会社を退職し起業したのは11年4月。なぜ農業だったのか。

諸藤農業に元々縁があったわけではありません。行き詰まっている業界には必ず大きな変化が起こり、ベンチャーでも活躍できるフィールドがあると思ったことが理由です。他の第一次産業同様、農業分野は生産性の向上が十分ではなく、その改善余地が大きい。

実際に調べてみると、ある統計では農業従事者は時給約500円程度であると算出されており、農業は労力の割に儲からないというイメージがつくのも仕方がないように思えました。

諸藤が指摘しているように、日本では、農地を相続した人が「儲からない」という理由で多くの農地が放置されている。

なぜこれほど多くの人々の生活に関わる農業で生産性の改善が遅れ、ブラックボックス化されていたのか?最大の要因は、その業界構造だ。

例えば、農協は日本農業のあらゆるプロセスに関与しているが、大きな組織であるため、変化の大きい今日では、その変化に十分には対応できていないこともある。また、行政主導で、様々なことが行われてきた、というのも事実だ。その為、その業界構造はこの数十年大きくは変わっていない。しかし近年、政府も農業分野でも健全な競争や市場原理を取り入れようとする動きが少しずつ始まっている。

諸藤農協へのアプローチに見られるように、国も力を入れて農業を変革しようとしています。

これから先の農業は、従来のイメージとは異なり、変化の激しい業界に変貌を遂げようとしており、ITでの改善余地も多い。創業前、ベンチャーとして参入するならこの業界だと確信しました。

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農家の悩みと都市部のニーズをマッチングした“シェア畑”

農業分野と一言にいっても、8兆円を超える巨大市場だ。どこから切り込むかー

諸藤が創業直後に開始したのは、畑のシェア事業『シェア畑』である。都市や郊外に住む人々に畑の一部を貸し出し、自分たちで野菜づくりを楽しむ畑のレンタルサービスである。

「どうにか農地を有効活用し、所得を増加させられないか」という農家のニーズと「空いた時間にレジャーとして農業をやってみたい」という都市在住者のニーズをうまくマッチングさせた。

農地さえレンタルすれば農機具はアグリメディア側で貸し出すため手ぶらで利用できる手軽さや、初心者でも安心して利用できるサポート体制を構築していることも人気の秘訣だ。

すでに同サービスを通し、1万5千人以上が『シェア畑』を利用している。

無農薬野菜を栽培するなら貸し農園の「シェア畑」全国60農園展開中

さらに、『シェア畑』から派生した新しい取り組みとして、地方創生を掲げる自治体と連携し『シェア畑』に公園施設や飲食店等を併設した“複合型農園”などの事例も増えてきているという。

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属人化している農作業ノウハウの共有化を目指す

今後の事業展開に向け、アグリメディアではシェア畑運営で得たデータを蓄積し、農業のノウハウを共有できる体制の構築を掲げている。利用者が種を植えた時期、収穫した時期といったデータを集積していくことでベストプラクティスを導き出し、これまで俗人化していた農作業のノウハウの共有化を図ろうというのだ。また、既に農業分野に関する様々な情報を生かした、WEB事業も数多く企画されている。

諸藤直近数年はこの『シェア畑』を中心としたサービスを展開していきます。ただし、今後はより領域を広げるため、また成長を加速するため、数多くの事業を展開していきたい。

事業間のシナジーを生かしながら、様々なサービスを展開していくことで、業界により大きなインパクトを与える事業を生み出すことができ、それがアグリメディアにとっては、より成長を加速させることにつながると考えています。

現在エンジニアの社員数はわずか4名。4名全員が次々と生まれる事業の開発やマネジメントなど、多岐にわたる業務を行っている。

諸藤現在は事業の成長に人が追い付いていない。大きなことを成し遂げるためにもっと力が要ります。農業に興味があるエンジニアの方であればどんどん採用していきたい。

「農業を活性化・効率化する優れたプラットフォーム(場)の提供により、日本の農業の発展に貢献する」という壮大なミッションをアグリメディア。

創業者諸藤の実の兄、諸藤周平氏が築き上げた医療系ベンチャーエス・エム・エスのような、巨大企業へと変貌する日が待ち遠しい。

こちらの記事は2017年06月07日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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