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LINEは便利なコミュニケーションだけでなく、減災のためのライフライン

コミュニケーションツールのLINE。

電話回線がつながらない環境でも、インターネット回線がつながれば利用できるため、コミュニケーションのためだけでなく、災害時や緊急時の通信手段としても注目されているのをご存じだろうか。

  • TEXT BY KEI TAKAYANAGI
  • EDIT BY MITSUHIRO EBIHARA

私達の生活になくてはならない存在となったスマートフォン。そのスマートフォンを手放せなくなった理由の一つが、LINEやTwitterを始めとするSNSの存在だ。

特にLINEは、かつての携帯電話の通話機能やメールのような機能を持ちながら、より軽快にコミュニケーションをとれるアプリとして広く利用されている。

また、LINEは電話回線がつながらない場合でも、インターネット回線がつながる環境であれば利用できるため、日常のコミュニケーションツールとしてだけでなく、近年、災害時や緊急時の通信手段としても注目されている。

LINEがリリースされたのは2011年6月。東日本大震災から3カ月後のことだ。

震災当時、LINEはまだ開発の準備中でした。しかし、家族や友だちの安否確認ができずに不安な日々を過ごした経験から、緊急時に電話回線がダウンしても大事な人とすぐにつながることができるコミュニケーションサービスを作ろう、という想いを胸に急ピッチで準備を進めました。そして、震災の余波が続く中、1ヶ月半でリリースできる段階まで開発したのです。(LINE広報室)

LINEの機能の中で特徴的なものの一つに「既読」の通知がある。送信した相手がメッセージを開いたことが分かるもので、緊急事態で返信がままならない場合でもメッセージを読んだことが伝わるよう考えられた機能だという。

提供:LINE

この他にも、LINEには通常時だけでなく、緊急時にも役立つであろう機能が搭載されている。

その一つが、文章や画像、動画、そして位置情報などを投稿できる「ノート」。緊急時の避難場所の位置情報を記録しておけば、住所や地図の形式で簡単に見返すことができるため便利だろう。

提供:LINE

また、位置情報を使った機能で、「自分がどこに居るのか分からない」という状況であっても、GPSが作動していればトーク画面に自分の居場所を記したマップを投稿できる。

提供:LINE

複数のアカウントで一つのトーク画面を共有することもできるため、家族やコミュニティーにおける連絡手段としても機能するだろう。実際に一部の学校や地域では、LINEを保護者同士などの連絡網として利用しているところもあるという。

また、NTTデータが提供し全国1000校37万人(2017年9月現在)が利用している一斉連絡網サービス「FairCast学校連絡網」が、今年の秋からLINEとの連携を始めた。

一方、LINE側からの災害時に対する働きかけも活発になっている。アプリ内で言えば、例えばLINEの公式アカウントから大規模な災害発生時に全ユーザーに「◯◯で地震が発生しました。自分の状況をタイムラインに投稿してみんなに知らせましょう」というメッセージが送られてくる機能がある。

メッセージに続けて「被害があります」「無事です」「災害地域にいません」といったワンタッチで状況を伝えられる選択肢が表示され、容易に自分の状況を知らせることが可能だ。

提供:LINE

提供:LINE

更に、自然災害による被災地への寄付支援を実施している他、災害時の対処法を記したブログをつくるなど、企業全体で防災・災害対策への取り組みを行っている。

LINEは、リリース当初から今でも変わらず、『家族や親友、恋人や仲間など、身近にいる大切な人とコミュニケーションをするためのサービス』であり続けています。だからこそ、災害などの緊急時には、大切な人と早く、確実に連絡をとって安全を確保したり、できるだけ被害を減らすために上手く活用していただきたいです。今後も、災害時に少しでも被害を減らすことができる『減災』への取り組みも継続していきます。(LINE広報室)

LINEを始めとするSNSの、災害時のポテンシャルには行政も注目しており、2012年には、 総務省消防庁が、「大規模災害時におけるソーシャル・ネットワーキング・サービスによる緊急通報の活用可能性に関する検討会」を設置。

また、記憶に新しい2016年の熊本地震の際も、被災者の安否確認にLINEが大いに活用されたと聞く。

SNSが、便利なコミュニケーションツールから、生活に欠かせないものに、そして人々を助ける重要な存在となっていくステップを、今まさにLINEが体現しているのではないか。

こちらの記事は2017年11月07日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

高柳 圭

編集

海老原 光宏

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