【meleap福田】ARを使った対戦競技「HADO」が切り開く、
「テクノスポーツ」という新分野
自分の手から自在に光線を出すことができたら…。
そんな少年が抱きそうな夢をAR技術で可能にし、さらにスポーツ競技として確立すべく国内外で事業を拡大しているのが、株式会社meleapだ。
- TEXT BY KEI TAKAYANAGI
- PHOTO BY YUKI IKEDA
- EDIT BY MITSUHIRO EBIHARA
同社が提供しているメインサービスが「HADO」と名付けられたARを使ったスポーツ。
プレイヤーはヘッドマウントディスプレイと、腕に小型ディスプレイの付いたバンドをつけてプレーフィールドに臨む。そして、バンドを付けた腕で特定の動作を行うことで、自分の手から仮想のエネルギー弾が飛んでいくのを見て、感じることができる。
HADOはモーション認識や画像処理技術を組み合わせて構築されたシステムで、ヘッドマウントディスプレイにはスマートフォンがはめ込まれている。
meleapではこのシステムを使ったコンテンツを複数提供しているが、今、一番人気を集めているのが対人での対戦競技。競技は基本3人対3人で、2つの陣地に別れて行われる。
手から出せる「エナジーボール」で相手を攻撃したり、「シールド」を使って守ったりと、互いのポイントを削り合って勝敗を決めるルールだ。
このエナジーボールはもちろんAR上の仮想のものだが、攻撃を繰り出したり避けたりといったアクションは実際にプレーヤー自身がフィールドを動き回りながら行うため、身体的なテクニックと頭脳が求められる。
「エナジーボールを飛ばすスピードや大きさ、シールドの強度などのパラメーターを限られた数値の中で振り分けたり、3人の攻守のバランスを考えることで勝利に近づくため、戦略性が問われます。このHADOのような『テクノスポーツ』を発展させていくことが弊社のミッションです」と話すのはmeleapのCEO、福田浩士氏。
福田氏がHADOを企画するに至ったのは、「かめはめ波を撃ちたい」という純粋な夢からであった。新木仁士氏(現CAO)とともに2014年に会社を設立。AR技術であれば思い描く世界観を表現できると考え、開発に取り組んでいったという。
「テクノスポーツ」とは同社による造語。画面の前で集中するゲームよりもスポーツに近いものとして、また、通常のスポーツやインターネットゲームを用いたeスポーツと対照的な存在としての意味も込められている。
福田「自分の動きと連動して体験できるAR空間は、直感的でスポーツと相性が良い。さらにARによる派手な演出で、現実よりインパクトがある映像を観戦者に配信できる。将来的には、この『テクノスポーツ』を今のアナログのスポーツにとって替わる存在にしたいと思います」
meleapでは現在、HADOを体験できる常設店舗を国内外で25件展開。年内には43軒まで拡大予定だ。また、各地で行われる予選を経て、世界大会も毎年開催されるなどその人気は広がりを見せている。
HADO WORLD CUP 2017|2017年12月3日(日)開催
詳細はこちら
meleapの収益の多くはこの店舗での売り上げで、ARをメインのサービスに用いたベンチャー企業としては珍しい。これだけのスピードで実店舗を増やしていけるのは、自分の身体を動かして楽しめるコンテンツだからこそ。
一方で、プレーヤーの視点や対戦フィールドを俯瞰した映像を配信して、スポーツエンターテイメントとして観客も楽しめる仕組みも模索中だ。
福田「ARを用いたテクノスポーツは、好きな時に好きな場所でできることも特徴です。遠く離れた世界の人と一緒にスポーツできたり、技術がより進化して日常でも使えるデバイスになれば、街中で対戦が始まったりするかもしれない。新しいスポーツによるコミュニケーションが生まれることを期待しています」
また、完全な仮想世界を作り出すVRに比べ、現実空間を取り込むAR技術はまだまだ開発の余地があり、さらにテクノスポーツも様々な競技形態の可能性があるとも語る。
今後は、単なるエンターテイメントとしてだけでなく、スポーツ競技として教育分野での展開、オリンピックのような大規模大会も目指したいというHADO。
その躍進は、AR技術の一般への浸透にも大きく寄与するに違いない。
こちらの記事は2017年09月25日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
高柳 圭
写真
池田 有輝
編集
海老原 光宏
連載ビヨンド・リアリティー(BR)
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