上場後も100倍成長する3つのパターンとは?

前の記事(「上場時は驚くほど少人数。有名IT企業22社の従業員数成長率ランキング」)にて、上場後も従業員数を高い比率で増加させている企業について調査した。

今回はその中でも「上場してから従業員数が100倍以上になった3社」をピックアップし、各社の特徴に迫った。

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上場後の従業員数、成長倍率の計算方法

上場時目論見書に記載のある従業員数を基準値とし、会社四季報に記載のある最新の従業員数が基準値の何倍であるかを算出した。

尚、記事内に挿入されているグラフは上場後の有価証券報告書に記載のあるデータを元に作成されており、上場時目論見書に記載の従業員数は反映されていない。

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【103.6倍】株式会社サイバーエージェントの上場後従業員数

従業員数を一貫して伸ばし続けているサイバーエージェント。特徴的なのは、M&Aに頼らず自前で事業開発を行い子会社として展開している点と、インターネット領域ではあるものの、広告から始まり、ゲーム、エンタメ(音楽)、動画メディアまで含めて多領域に展開している点だ。

抜粋:沿革 | 株式会社サイバーエージェント

上記の表より、創業事業である広告事業に絞らず、インターネット領域にて多角的な事業展開を図っている様子が見て取れる。

「あした会議」や「CAJJプログラム・スタートアップJJJ」などの継続的に事業を拡大する為の仕組みにより、大型のM&Aに頼らない「自前成長」の経営戦略が実践できていると言える。

また、新卒入社からカルチャーフィットした人材を採用し、内定者のうちから子会社社長を任せたりと、本格的に若手のうちから事業創造出来る人材を育成することも、グループ内で新規事業を常に創りつづける仕組みのひとつであり、これらが同社ならではの成長モデルを形作っているようだ。

株式会社サイバーエージェント

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【142.2倍】エムスリー株式会社の上場後従業員数

上場時はソネット・エムスリーであった同社はマザーズ上場直後は28人と相当に小規模だ。現在、連結では3,556人と大きく成長しているが、単体で見ると308人とのことなので、相変わらず少数精鋭の組織となっている。

それでは、どのセグメント・連結子会社の従業員数が増加しているかというと「エビデンスソリューション」セグメントと「海外ソリューション」セグメントの増加が目立つ。

両セグメントともに、M&Aをうまく活用して拡大をしてきているようだ。同社のIR資料の中で事業開発の戦略として「ネットを活用した業界特化型プライベート・エクイティ」を2011年よりうたっている。

医療・ヘルスケア領域という業界特化で、M&Aを有効に活用しながら事業グループとして拡大・展開していくモデルである。

エムスリー株式会社

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【201.9倍】楽天株式会社の上場後従業員数

最後に楽天について見てみると、2004年から2005年にかけての連結の従業員数が大幅に増加している点に注目したい。それぞれの年度のセグメントの内訳を見ると、以下のようになっていた。

2005年に従業員数が急増している「クレジット・ペイメント事業」には「国内信販株式会社」を買収して設立された楽天KC株式会社」と、「株式会社あおぞらカード」を買収して設立された楽天クレジット株式会社及びその関係会社が属していた。

この大型M&Aにて従業員数が連結で4桁の大台に乗り、将来の基盤となる金融事業を取り込んだ事が、後の更なる事業並びに人員の拡大のきっかけになったと言えるのではないか。異業種のM&Aによる桁替えモデルである。

楽天株式会社コーポレートサイト

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3社からみる、従業員数を100倍スケールさせる方程式とは

今回分析した3社からはそれぞれ特徴が見て取れる。類型化すると、下記のような形となった。

  1. サイバーエージェントのように、自社で新規事業開発を行う仕組み持ちながら多角的に展開する新規事業量産型
  2. エムスリーのように、業界・領域を特化しながらも、M&Aを有効に活用する業界特化プライベートエクイティ型
  3. 楽天のように、異業種のM&Aにて取り込んだインフラ的な事業をベースに事業規模の桁を上げていく異業種M&Aによる桁替え型

今回ピックアップしていない成長企業(上場後まだ100倍には成長していないがいずれ100倍以上に成長するあろう会社)を見てみても、この3つの型のいずれか、または類似するパターンにあてはまる会社が多いのではないだろうか。

上場後も100倍成長するというのは、まぐれあたりのような特殊なケースでは決してなく、それぞれの会社の事業戦略を追求していった結果であると言えよう。

こちらの記事は2017年05月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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