連載ビヨンド・リアリティー(BR)

VRによる“リアルな店舗体験”が購買意欲を刺激する!?
(エスキュービズム EC-Orange VR)

近年、アパレルブランドを始めとして、ECサイトを活用した市場が拡大する一方で、多くの実店舗で売上が伸び悩んでいる。

多くの小売り企業において、実店舗とECショップをそれぞれの特徴を生かし、オムニチャネル化することで売上を伸ばしていくことは重要な課題だろう。

そんな実店舗とECのショップの関係に新たな風を送り込むかもしれない次世代のサービスが、2017年9月にリリースした「EC-Orange VR」だ。

  • TEXT BY KEI TAKAYANAGI
  • EDIT BY MITSUHIRO EBIHARA

同製品を提供するのは、ECサイトの構築パッケージやタブレットPOS、家電製品、IoTなど、小売業に関連するIT製品を幅広く手がける、株式会社エスキュービズム。総合印刷会社の共同印刷株式会社、商環境の企画やデザインなど手がける株式会社タッグの3社で共同開発した。

EC-Orange」は、単独のECサイトから大規模なECサイトモール、オムニチャネル化、グローバルECサイトまで、一つのパッケージで素早くオンラインショップを構築するシステムとして、すでに多くの企業で採用されている既存のサービス。

EC-Orange VR」はその新機能として開発され、ショップの新たな在り方を提案している。同製品を用いたECショップでは、ウェブブラウザを用いて、バーチャル空間上に立ち上がった店舗に来店。商品選択から決済までを行うことができる。

使用するバーチャル空間は、実在する店舗の画像だけでなく、CGによる自由な発想の空間でも表現可能。実店舗を撮影する場合は、VR用に360度を高解像度で撮影し、専用アプリをスタッフが編集する。

「今のネット通販は非常に合理的で効率性を重視した行動設計になっています。 しかしそこに、わくわく感やエンタメ性など店舗だからこそ味わえるショッピング体験を付加することで、お客様に新しい価値提供ができるのではないでしょうか」と話すのは、エスキュービズムの代表取締役・薮崎敬祐氏だ。

VR店舗に並ぶ商品は、実店舗と同じ商品で、カメラが商品情報を読み取るため共同印刷が開発した二次元コード「FullScanCode®」のタグが付けられている。店内を1度撮影するだけでタグを解析し、商品詳細をVR画像上の商品と商品データベースが連携する。

「FullScanCode®」は、専用の二次元バーコードをさまざまな角度、歪み、部分的な重なりがあっても認識可能とした共同印刷の独自技術。また、広い店内において遠くにある商品やタグをはっきりと写すことができる最大50億画素の画像をブラウザ上でスムーズに表示させる技術には、タッグのノウハウが活かされている。

VR上で商品だけを入れ替えることも可能で、シーズン物商品や品切れ商品の部分的な補完も容易だ。

薮崎やっとVRやAIなどの技術が実用に耐えうるレベルになってきました。このEC-Orange VR機能によって、オフライン(リアル店舗)とオンライン(ネット通販)をシームレスにつなげ、次世代のオムニチャネルを実現することで、既存顧客からの売上アップや新規購買層の獲得を目指すことができます。既存の実店舗と共存する形で、ウェブ上にもう一つ店舗を持つような感覚でも利用可能ですし、店舗を持たないブランドが、自分たちの世界観を空間的に表現したショップを作ったりすることも可能です。

藪崎敬祐氏

9月にリリースされたプロトタイプ開発に合わせ、先行事例契約も受け付け、2017年内にパッケージ販売が行われる予定だ。今後、商品識別のためのAI開発も視野に入れながら、展開していくという同製品が、新たなショップの在り方としていかに浸透していくか注目したい。

こちらの記事は2017年09月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

高柳 圭

編集

海老原 光宏

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