研究者志望の東大院生が、“事業経営”で得た「算段と実行」の意味──真の市場価値を得るために、いま若者が飛び込むべき挑戦の場とは

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インタビュイー
増田 隆洋

関西出身、九州大学文学部出身。学生時代はエンカレッジやGoodfindなど4団体で延べ300名以上に就活支援を実施しつつ、友人とクラウドソーシングの会社を立ち上げ、採用や組織設計を経験。2017年の4月に株式会社Speeeに新卒入社し、メディアの新規営業・コンサルを1年半経験後、現在は人事を担当。

穗原 充

東京大学大学院 総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程2年。学部2年次よりスローガン株式会社で長期インターンに参画。代表取締役社長の伊藤豊から「迷ったら少数派を選べ」という話を聞いて、ロシアの地域研究を始め、現在に至る。就活は2度経験するも、ロシア研究を極めたいとの思いから博士課程進学を決意した。

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若手ビジネスパーソンの働く環境は、日々変化し続けている。もちろん変わるのは環境だけではない。世代ごとに働き方に対する価値観も変わっており、日本能率協会マネジメントセンターによる若手社員の調査結果が、「環境の心地よさ」や「自分らしい生活を送る」など、自分らしさを尊重する傾向に変化していると指摘する。

働き方が柔軟になり選択肢が増えることは喜ばしいことだ。だが、あえて苦言を呈したい。「自分らしさ」を尊重することはいいのだが、そのためには“実現する力”が必要ではないかと。はっきり言って、快適な環境に身を置いていては得られないものもあるだろう。「コンフォートゾーンから抜け出そう」とよく言われるゆえんがここにある。

今回はFastGrowの学生読者に伝えたい事例をご紹介する。事業経営者選抜プログラム『SPIRIT』のプロデューサーであるSpeeeの増田隆洋氏が、2021年9月に参加した現役東大生の穗原充氏にその体験を聞いていく。一般的な学生インターンシップでは体験できない高難度の社会課題に挑む中で、何を考え、何を知り、そして今何を目指そうとしているのか。穗原氏の体験を自分に置き換えて考えてみてほしい。

「自分らしさ」や「自分の向かうべき道」をどのように見つけるのかを知るためのヒントを届けよう。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
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「ビジネスの本質に迫るならSpeee」そこで気づいた自分の良い面と悪い面

そもそもなぜ穗原氏は、“事業経営”に挑むSPIRITへ参加しようとしたのか。まずはその想いを語ってもらった。

増田学業とか、ほかのインターンとかもやっているなかで、どうしてSPIRITに参加しようと思ったんですか?

穗原純粋に「面白そう、チャレンジしたい!」と思ったことが始まりですね。

ただ、自分のキャリアを真剣に考え出した頃だった、というのが決心を後押ししたと思います。学問、官僚、ビジネス、全ての分野で活躍するイメージを、これまでより一つ上のレベルで想像したうえで「自分はこの先どうなりたいのか」について向き合おうとしていました。

特に、「今の自分がビジネスでどれだけ通用するのか」という点で、当時は具体的なイメージがなかったこともあり、実践的な場で実力を試してみたいという気持ちが強くなっていたんです。

SPIRITは短期的な目線で企画を考えたり作業をしたりするのではなく、長期的な目線で「事業」の在り方を捉え、かつ持続的に「経営」することが課されます。しかもこれを他の誰でもなく、自分の力と責任で動かすことが求められるのです。これができれば、ビジネスだろうと学問だろうと行政だろうと、どの世界でも通用すると感じました。

この機会を通して、自分の本質的な力量をチェックし、「こういう力があればどこでも通用する」という確かな仮説を得ようとしたんです。

増田「仮説を得ようとした」という動機、穗原さんらしいし、僕らとしてもうれしいものですね。

増田氏(左)と穗原氏(右)

「どこでも通用する力が欲しい」と考える若者は、いつの時代も多い。しかし、そもそもどこでも通用する力が何かが不明瞭で、変化率の高い社会において、そうしたキャリアを確実に歩むのは依然として難しいままだ。

そんな現状に息苦しさを感じる学生の一人が、この穗原氏だ。ベンチャー企業のインターンシップや就職活動を通じ、悩みを深めていた。アカデミアや行政にも強い興味を持っており、良い意味で“欲張り”あるいは“アグレッシブ”とも表現できそうなこの若者。たまたま出会ったSPIRITのコンセプトに、強い関心を抱いた。

穗原私は、物事の単純な比較から、自分の未来を決めたくありません。物事の本質に触れて自分の未来を決めたいという考えが、根本にあります。ビジネス、行政、アカデミア(学術界、学界)、何においても本質に触れたいんです。

その中で、ビジネスであれば、他のインターンとは明らかに異なる経験を積むことのできるSpeeeのSPIRITが、今の貴重な時間を使うためには一番良いと感じました。

また、Speeeには以前から「ここならビジネスの本質を知れるだろう」という強い期待感を抱いてもいました。長期インターンをしているスローガンで尊敬していた先輩が、新卒入社先にSpeeeを選んだんです。この先輩は、算段を立ててのプロジェクト推進がとても上手で、常にお手本にさせていただいていました。

入社後も、新しい学びを得続けているとお聞きしていたところだったんです。なので、ぜひSpeeeという環境でビジネスを学んでみたいと感じていたわけです。

SPIRIT参加中の詳細は後段に譲るとして、参加した結果として、望む仮説の検証や分析をしっかりできたと晴れやかに話す穗原氏。具体的には「算段を考えた上での実行力」が大きな学びだったと振り返った。さらに掘り下げよう。

穗原今まではわりと、行き当たりばったりでもなんとかなることが多かったんです。自分の能力には自信はあって、他の人よりも多少はできるだろうと思っていました。

でも、それは「目先のこと」に限定されたものでしかないと知ることができました。10~20年単位の未来を長期目線で考えると、継続的に何かに腰を据えて取り組むための力が足りていないことに気づかされたのです。

算段しかり、その実行しかり、やり切るために必要な素養が不十分であることが、ようやくわかってきたんです。

増田SPIRITではあるべき未来の実現のために、事業という手段を用いて解決する術を考えながら、市場の未来を考えつくし、あるべき未来を規定する。そして目指すのは、精度の高い仮説を立て、本当にすべきことを絞り込むために徹底的に考え抜くこと。こんな経験は、以前にもありましたか?

穗原まったくありませんでしたね。SPIRITに参加する前の私は、算段立てや計画の見積もりなど、長期的な実践に必要なことが明らかに苦手でした。参加したおかげで、自分に足りないことを強く認識できたと感じています。

逆に、サービスのあるべき未来、ミッション・ビジョンのような規範的な部分、サービスのアイデアや仕組みなど、規範と実践の橋渡しの部分を考えることが得意だということは再認識できましたし、目の前の課題を乗り越える力という実践力の基礎は備えているということにも気づくことができ、自信につながりました。

苦手なことと得意なこと。両方の棚卸しができました。これまでに経験したことのない大きな気づきを得ることができて、「算段」と「実行」という二つの力を伸ばしていくべきという課題をしっかり確認できました。間違いなく、これからのキャリアに大きなプラスの影響があると感じています。

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学び得た実践知を最大化させどんな環境でも成功に導く

そもそも、SPIRITとはどのようなプログラムなのだろうか。前回参加者のインタビューも入った、7分ほどの動画があるので、しっかり理解したい読者はこちらをご覧いただきたい。

文章で説明するならば、「実在する社会課題に即して架空の事業を創出し、ヒト・モノ・カネ・データの経営リソースを具体的に想定しながら、Speeeの事業経営者たちと共にリアルな経営を体験していく」といったところだろうか。

増田目指すのは、後戻りのきかない意思決定の連続を通して、「事業経営の実践知」を、解像度高く身に着けることです。3日間、施策実行レベルまで含んだ戦略立案を突き詰めていきます。

起業家や事業家を目指す若者なら、間違いなく得られるものが多いはずなので、今後も募集して開催していきます。このあと穗原さんも話してくれると思いますが、起業家や事業家を目指す人に限らず、アカデミアの世界に興味を持っている人にも、活かせることがたくさんあります。

そんなSPIRITに、「物事の本質」を知るために飛び込んだ穗原氏。自身の得意なことと苦手なことがはっきりと自覚できたというが、たった3日間の間でそこまで明確に変われるものだろうか?本当にできたと言うのであれば、「3日間で何があった?何を経験した?」と思う読者も多いはず。その疑問に応えるためにも、もっとリアルな体験、リアルな心情を紐解いていこう。

穗原SPIRITで私たちのチームは、遺品整理というマーケットの、情報の不透明性の高さと企業側の集客力の難しさがあることに対し、産業構造変革DXを起こしていく事業を検討・最終提案しました。

実は、開始当初は異なるマーケットへの参入を考えていたのですが、1日目にSpeeeの大塚さん(代表取締役 大塚英樹氏)や田口さん(取締役 田口政実氏)から、「ベンチマークになる企業はどこなのか」「ユーザーは本当にその領域で困っているのか」「Speeeとして取り組む戦略的優位性は何なのか」「どうやって勝ち切るのか」などの、たくさんのフィードバックをもらいました。そこから、マーケットについてより詳しく調べ、考え、ピポットも繰り返しながら着地させていきました。

いただいたフィードバックがとにかく鋭く、本当に課題があるか、価値があるか、それを届けるために勝てるのかといった、事業を通して本当に課題を解決し、理想を実現するんだという思いや意思決定を迫られ続けた3日間でした。

穗原氏がSPIRITで利用したスライド(提供:株式会社Speee)

穗原ただ、実際に自分が体験した中で、「今後も間違いなく通用する」と感じたことが明確に何かあるわけではありません。リソース配分や戦略の再検討といった個別事象を洗練させて、ベストな意思決定を実践することは、正直まだまだ難しい。当たり前かもしれませんが。

それでも、それぞれの意思決定を重ね合わせてパッケージのように捉えてみる見方は、新たに習得できたものと言えそうです。実際の課題解決は、そのようにしてなされていくわけですよね。そういうイメージを持つための実践知は間違いなく身に着いてきたと感じますね。

なので、この経験をきっかけとして、これからビジネスに関わっていくところでは、明らかに異なる視座から挑戦をしていけそうな感覚があります。活躍できるかどうか、というのはさすがに、やってみないとわかりませんけどね(笑)。

あくまで“実践知”であるから、スキルやマインドとして言語化するのは難しそうだ。だが、少なくとも、新たな自信を得たのは間違いないとのこと。

とはいえ、実践の最中で「脳に汗をかく」ような、しびれる瞬間がきっとあるだろう。そういう瞬間を乗り越えていくところで、新たな視座を獲得したり、成長を実感したりすると考える人も少なくない。

増田特に「これは難しい……」と頭を悩ませたのは、どういった部分でしたか?

穗原そうですね……、例えば、最終的に成し遂げたいアウトプットを具体的にどこまで設定するか、そこにどういう人を配置するか。こういうのは「難題だな」と感じました。

「人の配置」を検討する際には、内部のメンバーだけでなく、社外のステークホルダーまでどのように巻き込んでいくかまで考えなければならない。でもなかなか思考が広がらず、自分の視野の狭さを思い知らされましたね。

また、実務のオペレーションだけでなく、資金面もしっかり頭に入れなければなりません。ここは常に検討がおろそかになってしまいました。進め方を、あらゆるリソース面から細かく分析する必要があるということも痛感しました。

さらに、実現のためにどう運営すればいいのかという点だけでなく、「100%上手くいく保証」などどこにもないという点も、これまでは考え切れていなかったことだと思いますね。リカバリープランの策定が、経営では必須なわけです。

このように、挙げていくとキリがないほど、様々な気づきの連続で、様々な方向に目が向くようになりました。

ここで、客観的な声にも耳を傾けたい。長期インターンとして3年もの間、スローガンでの業務を続けている穗原氏。そこで、そのスローガンの先輩社員にあたる秦慎太朗氏に、その変化を尋ねてみた。

秦氏がまず強調したのは、「二つの視点を使い分けている」という特徴だ。「自分がやりたいこと」だけでなく、「事業で必要とされること」を常に意識して動くという強みを、以前から備えていたと語る。この強みが、SPIRITの経験でさらに進化したようだ。

穂原スローガンでの直近の仕事に、Intern Street Festival 2022というイベントの企画運営がありました。Speeeにも登壇してもらいましたね。これが、以前の自分を考えると、けっこうなストレッチアサインでした。

「実は、人を巻き込む仕事に苦手意識を持っていた」と秦氏が明かす。もともとは、自分一人で進める目の前のアウトプットに全力投球するスタイルだったというのだ。

穂原どの企業にどのような企画で関わってもらうのが良いのか、企画を洗練させるには誰と壁打ちをすべきなのか、事業としてはどのような規模での実現が最適なのか。こうした問いに向き合い、様々な仮説を考えた上で、一つひとつの意思決定を進めました。

こう聞くと、もともと持っていた特性と、SPIRITで培った「算段力」が、うまくかけ合わさった仕事のように感じられる。そうして、抱えていた自身の課題を乗り越えていった。

秦氏も「イベントがうまく運営できただけではありません。参加した学生が、登壇企業にインターンとして入社した例もきちんと生まれました。市場がまだ確立されていない事業領域ですから、本当にすごい」と笑顔で振り返る。

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「事業経営」の経験を、「学問の道筋」に活かす

学生としてはなかなか得ることのできない経験を積んできたことが伝わっただろうか。だが、「新しいことを経験して終わり」では全く意味がない。そう理解している読者が多いだろうから、その後の穗原氏について紹介することで、さらなる驚きを提供したい。

というのも、なんと、新たな挑戦の場として選んだのはアカデミアの領域。大学院の博士課程で旧ソ連圏の政治学の研究を深めていこうと決意したのだ。

「事業経営」の知見をどのように活かしていくのだろうか?穗原氏は「すでに大いに役立っている」と胸を張る。

穗原今、研究計画を立てていて、目指すアウトプットの仮説をひと通り考え切ったところです。

この仮説を的確に検証して実現するために、どういったスケジュールで、何から手をつけるのかなど、進め方を考える思考に移っているところなのですが、ここでまさに、SPIRITで学んだ成果が見え始めています。

自分の持つ時間や能力といったリソースを客観視したうえで、しっかりと「道筋」が考えられるようになっている感覚があります。理想と現実を整理し、最適な目標を考え、現状との乖離をどのように埋めればいいのか、どのような順番で優先順位をつけて取り組めばいいのか、こうしたことを自然に形にできています。

増田アカデミアに深い興味があることは以前から知っていたので、彼の進路については応援していました。今の説明を聞いて、「事業経営という考え方やその実践知をはぐくむSPIRITは、決してビジネスで通用するだけではない」と感じることができたので、穗原さんのチャレンジをより一層応援したいなと思いました。

大学院から博士課程へとステージが変わるタイミング。従来と同じ手法で挑戦をしていても、大きな成果は望めないかもしれない。穗原氏はそう考えて、事業経営の知見・経験を新たな武器としてフル活用しているのだ。

穗原例えば、目標の置き方。最上段にある目標を達成するためにどのように細かい目標を置くか、目標に優先順位をつけるかは研究にも必要な視点です。

短期的な成果を求めるあまり、最上段の目標から遠ざかったり、成果が小さくなったりするのは本質的ではありません。かといって壮大な目標を追いかけるあまり、必要以上に時間や労力をかけたり、定期的に成果を出せなかったりすると研究が破綻します。

トレードオフな選択の場でいかにリソースを集中投下する意思決定を下すか、その意思決定をいつどのように査定するか、常に規範と実践、本質と戦略を行き来する感覚を早くつかみたいです。

SPIRITで学んだ実践知を、研究でも活かす。どのような成果を見せてくれるのか、産学の双方から、その成果に期待は高まるだろう。

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難度の高い課題に向き合ったからこそ感じる成長

これから、アカデミアとビジネス、そしてさらにほかの領域にも染み出しながら、自分だけのキャリアを積み重ねていこうとする穗原氏。ここで改めて、Speeeが提唱する「事業経営」という考え方をどのように捉えているのか、聞いてみた。

増田経営というのは、その一人ひとりの哲学でもあるので、Speee社内でも、事業経営者一人ひとりが、「事業経営」に対して少しずつ異なる考えも持っています。なので穗原さんからも、どのように捉えているのかをお聞きしたいです。

穗原 私の言葉で事業経営を表現すると、ただつくるのではない、というのが重要ですね。続ける力、目標に向かって物事を持続させられる力が求められるものなのだと思います。目標を達成したら終わり、そんなことはあり得ません。「いかにして、発展を続けていくか」が、最も大事な部分であり、これからの日本に必要なものなのではないでしょうか。

事業に、「ゴール」や「終わり」などないはず。「上場はマイルストーンでしかない」とよく言うのも、そういった背景からだ。そんな経営者のような視座を、穗原氏はすでに獲得しつつある。

穗原事業の目標は、達成したらそこで終わりではなく、より大きな目標にアップデートされます。そこが「プロジェクト」との大きな違いですよね。プロジェクトは目標を達成したらそこで終わる場合も少なくないですが、事業は目標を更新し続けなくてはなりません。

ミッションやビジョンといった指針をもとに、中間の目標を設けて日々達成と更新を繰り返していく。それが事業経営です。こういった体験ができるプログラムは、今のところSpeee以外に聞いたことがないですね。増えてほしいとは思いますが(笑)。

難度の高い社会課題を解決していくためには、適切な目標を定め、さらにそれを日々アップデートしていく必要がある。だからこそ、後戻りのできない意思決定と、柔軟な対応という両側面を備えなければならない。

事業は止まってはいけない。成長し続けることが至上命題だ。その意味を穗原氏は十二分に理解し、そして既に実践した経験を持っていると言えるわけだ。

だが、大きな成長の先にはまた新たな“壁”がある。

増田最近新たに、ご自身で課題を感じたことがあるそうですね。

穗原「話すのが下手になった」と感じることが、最近とても多いんです(笑)。

増田それは、事業経営と何か関係があるんですか?(笑)

穗原はい。というのも、SPIRITを経験してから確実に視野が広がって、その中で良くも悪くも「成長痛」という感じのもどかしさを感じるんです。

うまく表現するのが難しいのですが、目的から自分で考える、その算段を創っていくことを意識して取り組んでいくと、これまで気づかなかったことに気づくようになり、新たな悩みも増えているような感覚です。

増田なるほど。穗原さんはロジカルに物事を考える力が強く、それが武器でもあると感じます。「ロジカル」というのはもちろん良いことなのですが、だからこそ目的や視座が上がっていくことで、想定すべきことや考慮すべきことが増え、本質的に重要なことが何かを見定める上での難しさがあるかもしれないですね。

穗原確かにそうかもしれません。想定される物事をしっかり織り込まないと、本質的には物事は進まないという考えを、以前より意識するようになっています。思考量が圧倒的に増える中で、アウトプットで迷いが生じているのだと思います。「どこから何を話せば伝わるだろう」と、たまに詰まってしまうんです。これから意識して鍛えなければいけないですね。

頭の中に描いたストーリーの幅が狭ければ、話す内容を選択する際の思考の負担は少ない。選択肢が多くないからだ。しかし視野が広がれば、考えられるストーリーが増え、思考量が増えれば各ストーリーで見える奥行きも広がる。間違いなくレベルアップしていると言っていいものだろう。

思考のレベルや視野の広さ、視座の高さは確実に向上しているはず。それでも、「上手くいかないこと」が目についてしまうのだろう。だが、聞いていればわかる。そのもどかしさこそが間違いなく成長なのだと。

 

増田ネガティブに考える必要はあまりないと思いますよ。成長をしていく中で、誰もが直面しますし、もがき苦しみながらも、必ず乗り越えられるものです。「成果」を焦る必要はありませんから。

穗原ありがとうございます。考えすぎて物事が進まないことが増えているので、気にしてしまっています(笑)。でも確かに、視野が広がって今まで見えなかったものが見えるようになったのはSPIRITのおかげですね。生々しく事業を体感できたのは本当に良かった。

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自分のバリューを社会に還元し市場価値の高い人間に

自分の進むべき道をどのようにつくっていくべきか。悩みながらもチャレンジを続けている穗原氏が、次に目指すのは何か。最後に、未来を見据えて、現時点での目標を聞きたい。

増田改めて、これからの人生の目標を、アップデートされていく前提でお聞きできますか?

穗原表現としてはいくつかあるのですが、まずは市場価値の高い人間になること、これは絶対に譲れない思想ですね。もっと具体的に言うと、「参入障壁が高い経験」を持っていることですね。「事業経営」は言わずもがな、「経営」とか「事業立ち上げ」などはそういう類のものだと思います。

一部の実力者しか持ち得ない経験はいつの時代も貴重なはず。常に意識していきたいですね。

ただ、経験を持っているだけでは、私の目指す「市場価値の高い人間」として十分ではありません。得た経験から自分のバリューを発揮し、それが市場で評価されている状態にまで昇華させること。そこまでできれば、本当の意味で「市場価値の高い人間になれた」と思えそうですね。

穗原氏の話す「市場価値の高い人間」は、かなり具体的で説得力がある。SPIRITや実務の経験を通じ、穂高氏の視座が高くなっている証拠だろう。

穗原自分の関心事を突き詰めたいという気持ちもあります。私はこれまで、やりたくないことに時間を割くことはせず、自分のやりたいことに向き合って自分の時間を使ってきました。これは「自分がやりたい領域で活躍することが、社会に対して最も大きく還元することに繋がる」と考えているからです。自分をマネジメントする上でも大事な考え方なので、変わらず突き詰めていきたいですね。

あとは月並みですが、頼られる人間になりたいです。最近Twitterで見て印象に残っている考え方があります。自分を、水が溢れたコップにたとえ、その溢れ出る水で他人を満たす、というものです。私も自分自身を常に満たし、溢れる水で他の人を助けたい。人から頼られるためには、自分に余裕を持たせて他人に還元するくらいにならなければいけないと考えています。

今は研究に取り組めているので、自分の精神は満たされています。今でも他の人に還元できるとは思うのですが、もっとその幅を広げたいですね。人的なリソース、資金、知識など、もっと自分を磨きより大きな力を還元したい。それが実現できる人間になりたいですね。

増田就職活動という「点の選択」においては異なる道に進んだ穗原さんですが、ぜひまた一緒に仕事をしたり、共に難問に挑んでいきたいなと改めてお話を聞いて思いました。ありがとうございました!

より大きなコップとなり、より多くの水で中を満たしていく。そうすることで穗原氏が多くの人に頼られる日は、そう遠くないのかもしれない。大成する人のサクセスストーリーには、必ず痛みや悩みを抱えてもがく時期がある。穗原氏の置かれている状況は、大きく飛躍する前の準備期間だという期待を抱いた。

本記事を読んだ学生の読者に伝えたい。自分の可能性を広げたいのなら、まずは失敗や変化を恐れず、難度の高い体験ができる環境を選ぶべきだ。視座を上げ、視野を広げ、思考量を増やし、自分が見ている世界の解像度を1ランク、2ランクと引き上げなければならない。大義名分を掲げるのはそれからで十分だ。

こちらの記事は2022年04月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

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