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名ばかりの「健康経営」にしない。
ユナイテッドが、飲食店に負けないこだわりの社員食堂を設置する理由

インタビュイー
大塚 麻未

新卒でリクルートへ入社し、人材ビジネスに従事する。20代半ばで家族の転勤によりニューヨークへ。フードライターとしての活動をはじめ、日本に向けてニューヨークのレストラン事情を紹介。帰国後もフリーランスのライターを続けつつ企業の新規事業立ち上げ支援などに携わり、2012年からは三井不動産からにて商業施設に飲食店を誘致する仕事に従事。6年半務めたのち、ユナイテッドから、広報グループのマネジメントと兼任で「イベントにも使える社員食堂の立ち上げ」のオファーが届き、2019年1月にジョイン。現在UB1 TABLE統括マネージャーを務める。

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「健康経営」という言葉を耳にするようになって久しいが、ブランディングに終始してしまい、実態を伴わないケースも少なくないと感じる。

そうした状況下で、名実共に健康経営に投資している企業がユナイテッドだ。FastGrowの特集「UNITED EMPOWERMENT PLATFORM」でも紹介してきたように、同社は社員の成長を促進する環境づくりに注力している。

一方で、代表取締役会長CEOの早川与規氏の「ビジネスで成果を出すためには、健康への配慮が欠かせない」という想いから、パフォーマンスを最大化するための健康経営にも積極的に投資。その想いが顕著に現れているのが、社員食堂の「UB1 TABLE(ユービーワン テーブル)」だ。ユナイテッドの社員のみならず、一般客も利用可能。

多くが飲食店経験者で構成されるスタッフ陣、信頼できる生産者から直接買い付ける食材、毎日内容が変わる日替りメニュー、その日その場で作る出来立ての料理…よくある社員食堂とは一線を画すクオリティだ。フードロス問題をはじめ、環境にも配慮する。

本記事では、UB1 TABLEの立ち上げから統括する大塚麻未氏にインタビュー。経営陣から現場社員まで浸透する「健康」重視のカルチャーから、「社員食堂はベンチマークにしなかった」という立ち上げの経緯まで伺い、同社ならではの「健康経営」を明らかにする。

  • TEXT BY KOHEI SUZUKI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
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「食」を起点に、真の健康経営を考える

大塚近頃は「健康経営」をうたって社員食堂を置く企業も珍しくないですが、多くは学校の“給食”スタイルに近い。大量に提供するために調理済みの食材を仕入れて再加工したり、効率を重視するあまり、同じメニューの繰り返しになっていたりします。

UB1 TABLEは、調理の全工程をキッチンで行い、食材も信頼のおける生産者から仕入れる。メニューは固定化せず、毎日変わる。働くスタッフも、飲食店経験者を中心に採用している。

ユナイテッド株式会社 コーポレートカルチャー本部 広報グループ UB1 TABLE統括マネージャー・大塚麻未氏

大塚UB1 TABLEのキッチンのスタッフは、飲食店で経験を積んだスキルの高い方ばかりです。日々新しいメニューを開発できるのも、スタッフが優秀なおかげです。

環境への配慮も徹底している。たとえば、海産物は水産資源へ配慮をしているものに認可される「MSC認証」がついた食材を積極的に使用。フードロスを減らすため、出汁を取った後の昆布や、野菜を調理する際に出る皮などを乾燥させて粉砕してふりかけにするなど、廃棄量を減らすことにも努めている。

UB1 TABLEの仕入れを象徴するのは、豚肉である。廃棄ロスを出さないために、最も市場で需要の高い肩ロース肉は仕入れず、それ以外の売れ残る可能性のある部位も全て買い取る“一頭買い”をしている。

部位ごとにキッチンで切り分け、挽き肉はブロック肉から挽いて作り、通常なら廃棄してしまう分厚い脂身は弱火でじっくり溶かしてラードにし調理に利用する。

一頭買いは加工に手間がかかるが、UB1 TABLEは妥協しない。SDGsの文脈から、メディアの取材を受けることも少なくないという。

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経営陣から社員まで浸透する、「成長のための健康」重視のカルチャー

「毎日食べられる元気になれる食事を提供する」ために、税込1,000円という価格設定も貫いている。社員は割引が利き、半額の500円で食べられる。

リーズナブルさもあってか、約4割の社員が、日常的に食堂を利用するようになったという。「手軽に野菜がたっぷり採れる」「体調が以前より良くなった」「痩せた」といったポジティブな声も挙がっているようだ。

ただし、初めから効果が出ていたわけではない。利用する社員が増えたのは、食堂のこだわりを伝えるパンフレット制作やイベント開催など、地道な社内PRの賜物であった。

UB1 TABLEのこだわりと想いが綴られたパンフレット。写真から装丁までこだわり、ストーリーを余すことなく伝えている。

大塚オープン当初は、「もっと肉が食べたい」と野菜をごっそり残している社員もいたり(笑)、評判はいまひとつでした。しかし、健康に気遣って調理していることや、フードロスの配慮などのこだわりを粘り強く伝えていくうちに、皆の意識が変わっていきました。

いまでは野菜を残す人も減りましたし、UB1 TABLEを利用することで減量に成功する社員も出てくるなど、健康への気遣いを理解してくれるようになったと思います。

社員に受け入れてもらえた要因としては、以前から存在した社内カルチャーの存在も大きいという。代表取締役会長CEOの早川氏は、「パフォーマンス最大化のためにも、健康になってほしい」という想いを強く持っている。

過去にも、毎週月曜に朝ごはんを配布したり、継続的に体調がチェックできるシステムを導入するなど、健康経営を推進するための施策が頻繁に実施されてきた。経営陣が健康を重要視するカルチャーがあったからこそ、経営効率性とは別軸でUB1 TABLEの設置も受け入れられたのだろう。

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食事だけではない。パフォーマンス最大化のため、UB1を最大限に活用

UB1 TABLEによって、健康面のみならず、社内外のコミュニケーションも活性化している。同僚や上司と食事をとるだけでなく、来客時にランチミーティングで利用する社員もいるからである。

また、併設されているラウンジスペース・ホールを含めた総称「UB1」では、イベントも積極的に開催。社員の視野を広げることを目的とした社外講師を招くセミナーを定期的に開催したり、全社での忘年会などに利用されるほか、キッチンのあるラウンジスペースは、プロジェクトや部署の懇親会、業務時間後に「カレーを作って食べる会」「ラテアートを振る舞う会」といった自主的な社内イベントも開かれる。

その他、ユナイテッドが出資する会社の株主総会や、社外向けイベントでも活用されている。ユナイテッドとビジネス上の取引がなくても、内容によってはこのスペースを利用できるそうだ。過去にはユナイテッド社員が主体となって、アドテク業界の交流イベントが開催され、会社をまたいだネットワークづくりに寄与した例もあるという。

大塚ユナイテッドが支援するのは、食事だけにとどまりません。社員のパフォーマンス最大化に寄与するのであれば、オフィス環境を整えたり、機会を提供したりするという思想です。過去には、ヨガの講師を呼んでレッスンをしてもらったこともありました。

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社員食堂はベンチマークせず、“飲食店”を目指して設計

UB1 TABLEは社員食堂でありながら、「飲食事業」でもある。社員の健康を第一に考えながらも、採算度外視ではない。責任者である大塚氏は、KPIである「来客数」を追いながら、仕入先やメニュー開発などのPDCAを常に回している。

アンケートに「冬だから温かい飲み物が欲しい」といった要望があれば、温かいお茶を置くなど都度対応を検討。その結果、社内の満足度も高まっていき、社内外ともに足を運ぶ人は増えてきているようだ。しかし、社員食堂ならではの難しさもある。

大塚売上を追うだけなら割引のない社外向けに注力するのがベストです。しかし、それでは社員のパフォーマンス最大化には寄与しない。売上と社内満足度の向上、両者のバランスを鑑みなければいけないのが、一般的な飲食店に比べた際に難易度が高い点です。

大塚氏は、飲食店経営の経験が豊富なわけではない。新卒でリクルートへ入社し、人材ビジネスに従事したのち、20代半ばで家族の転勤によりニューヨークへ。日本に向けてニューヨークのレストラン事情を紹介する、フードライターとしての活動をはじめた。

帰国後もフリーランスのライターを続けつつ企業の新規事業立ち上げ支援などに携わり、2012年からは三井不動産にて商業施設に飲食店を誘致する仕事に従事。「東京ミッドタウン日比谷」の立ち上げや「コレド室町シリーズ」などでテナント誘致を担当。6年半務めたのち、ユナイテッドから、広報グループのマネジメントと兼任で「イベントにも使える社員食堂の立ち上げ」のオファーが届いた。

大塚最初は、未経験のIT業界に対する不安もありました。しかし、これまでのキャリアを活かし、ゼロからマネージャーとして立ち上げに参画できることに魅力も感じましたし、会長や役員に会っていくなかで、チャレンジ精神溢れる社風にも惹かれていきました。

最後の決め手は、実際に食堂スペースを見たこと。クオリティの高さから会社の本気度が伝わってきたので、お話を受けることにしました。

2019年1月にジョインした大塚氏は、2ヶ月後に迫るグランドオープンに向けて開業準備に追われた。UB1 TABLEのプロデューサーを務める下北沢にある人気店「Salmon&Trout」を立ち上げたシェフ・森枝幹氏や、運営スタッフとディスカッションを繰り返しながら、無事グランドオープンまで漕ぎ着けた。

大塚ユナイテッドは、平均年齢が20代後半の若い組織。出来合いの弁当やファストフードで昼食を済ませる社員も多いです。彼らや彼女らにも「行きたい!」と思ってもらえるように、他社の社員食堂ではなく、一般の飲食店をベンチマークし開店準備を進めていきました。

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「ここまでやれる会社は他にない」絶えない外部からの視察

今後は、これまで以上に外部利用者の獲得にも注力していくと大塚氏は意気込む。利益率アップはもちろん、社内外の交流が活発化することで、新しいアイディアや事業が生まれたり、ユナイテッドのPRに寄与したりすることを期待している。

そのためにSNSでの情報発信やメディア露出も積極的に行っていく。最近では、他社の社員食堂立ち上げの責任者が、視察や相談に訪れることも少なくない。コンセプトからオペレーションまで細かくヒアリングし、「ここまでやれる会社は他にないですね」と感想を述べていく人も多い。

大塚健康に配慮しながら、美味しさも妥協していないことに驚かれる方が多いです。採算をとるための工夫もしていかなければなりませんが、健康への配慮と美味しさの追求の2つだけにはこだわり続けたいですね。

飲食店としてもクオリティを追求するUB1 TABLEの話や、ユナイテッド経営陣が社員の健康を思う話を伺うと、「健康経営」という言葉の重みを感じさせられる。

社内食堂を設置するだけなら、ある程度の資金体力を持つ企業であれば決して難しいことではない。しかし、ユナイテッドのように徹底して成果にコミットするには、経営陣と現場メンバーの強い想いが欠かせないのだろう。

こちらの記事は2020年01月22日に公開しており、
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執筆

鈴木 光平

フリーライター。1989年、青森県八戸市出身。新卒で人材紹介会社に入社→独立して結婚相談所を立ち上げた後ライターに転身。スタートアップ、テクノロジー、オープンイノベーションに興味あります。

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藤田 慎一郎

編集

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

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長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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