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「低コストで動画を量産して、面白いんでしたっけ?」プレミアム動画ビジネスの産業化を目指す、bouncyの挑戦

「テレビっ子」という言葉を耳にしなくなって久しい。今の若い世代にとってメディアといえばウェブメディアを指すことの方が多くなってきた。む...
「テレビっ子」という言葉を耳にしなくなって久しい。今の若い世代にとってメディアといえばウェブメディアを指すことの方が多くなってきた。むしろ「スマホっ子」だ。故に動画ビジネスもスマホに移りつつある。動画メディア分野はレシピが隆盛を極めるが、次は生まれるのか?『bouncy』はどうだろう?
媒体が“メディア”と呼称されるようになり、パブリッシャー業は紙からウェブへと移った。コンテンツと広告の狭間で試行錯誤する今のメディア業界とは?
17-09-07-Thu
高橋 俊輔 (たかはし・しゅんすけ)
株式会社Viibar 動画メディア事業部 執行役員 兼プロデューサー

「テレビっ子」という言葉を耳にしなくなって久しい。今の若い世代にとってメディアといえばウェブメディアを指すことの方が多くなってきた。むしろ「スマホっ子」だ。故に動画ビジネスもスマホに移りつつある。動画メディア分野はレシピが隆盛を極めるが、次は生まれるのか?『bouncy』はどうだろう?

ガジェット系動画メディア…ではない

bouncyを一見すると、ワクワクする未来を予感させるガジェットを中心としたコンテンツに目を奪われる。しかし、同メディアを運営するViibar社の動画メディア事業部、事業責任者である高橋俊輔氏は、決してbouncyがガジェットメディアではないことを強調する。

「我々が目指しているのはシェアラブルな動画で、かつ未来を感じさせるものです。そうであれば、ガジェットに限らずカルチャーだとかアート、ソーシャルグッドなどいろんなジャンルの動画を配信していこうと思っています」

現状はガジェットが中心ではあることは認めつつも、ソーシャルグッドで人気の動画だった、「世界一静かなスタバに笑顔があふれる理由は?」を例に、今の時代にどんなコンテンツがヒットするのか、高橋氏にはその答えのひとつが見えている。

「ハイクオリティーな動画を提供する次世代メディアとして、“未来へと繋がるストーリーを紡いでいく、世の中に伝えていく”ことをメインコンセプトにやっていきたい」

その言葉通り、ガジェットであれば誕生前の課題、誕生後の変化など前後のストーリーをしっかり描くこと、ソーシャルグッドであれば半歩先の社会はどうなっていくのか、つまりネタのストーリーをどれだけ丁寧に描けるかを重要なポイントとして位置づけている。

ユーザーの動画体験からの逆算

bouncyのフェイスブックファン数は現在おおよそ40万人強、男性が7割を占める。月間の動画再生数は6000万から7000万回。

2016年2月のローンチから約18ヶ月(8月31日現在)でこれだけ成長した。人気のレシピ動画メディアはCMを打つレベルの資金を広告出稿に使っている。いわば、広告は分散型動画メディアの王道戦略だ。その中でも、bouncyは少し違った手法をとっている。高橋氏は広告だけでユーザーを集めたわけではないという。

「オーガニックに友だちや知り合いにシェアされていった結果です。純粋に“いいね”と思ってくれる人が多かったこともあって、現在の40万ユーザーはかなり純度が高いものとなっています」

その純度を作り上げたのは、ネタと編集という2つの要素だ。見たいと思わせるタイトル、再生冒頭の3秒の引きつけから残りすべてが見続けられるコマのテンポの良さは、スキマ時間にSNSを利用するユーザーの動画体験から逆算して導き出されたものだ。

自社サイトはメインじゃない

bouncyは分散型メディアとして運営をスタートさせたが、今年4月より自社サイトをローンチした。その目的は時間があるユーザーにとっての回遊率の上昇や、bouncyというメディアの世界観をしっかりと伝える役割、マネタイズを考えての結果だ。

通常本体となるサイトがローンチされたとなれば、本体サイトがメインになりそうなものだが、bouncyの舵取りは一味違ったものとなっている。

「フェイスブックでウケたものを本体サイトに記事を追加する形で運営しています。全コンテンツ、動画と記事を両方作るのは正直大変です。記事を見ると動画にないことをたくさん書いています。それは動画に入りきらないことを記事用にリサーチして書いているからです。いずれは記事も動画も両方しっかりと作っていける体制を整えられるようにしたいですけどね」

bouncy本体サイト

テキスト中心のウェブサイトとは異なり、動画コンテンツの場合はその修正が容易ではない。動画をコンテンツの核とするからこその選択といえるだろう。

プレミアムな動画ビジネスを

動画メディアの制作費用はテキストベースのメディアのそれより5倍から10倍ほどコストが必要だ。コストを回収するにはビジネスモデルの確立が急務ともいえる。

現在bouncyのマネタイズの柱はタイアップのネイティブ動画だ。また、得たノウハウを提供しており、動画メディア運用代行もしている。しかし、動画メディアがこれから先大きく成長していくためには、しっかりとしたエコシステムを作り出していくことが重要だと高橋氏は説く。

現在ウェブ動画でエコシステムができあがっている例としては、動画広告配信ネットワークやYouTuberたちの企業タイアップだ。遅れをとるというと語弊はあるが、分散型動画メディア領域では今まさにエコシステムを模索している段階なのだ。ビジネスとしての動画メディアを成立させるために、高橋氏は複合的なマネタイズをしていきたいと考えている。

デジタル領域でのマネタイズ手法といえば、物販と広告掲載がメインだが、高橋氏はテレビや動画配信サービスにコンテンツを提供していくことも考えている。

「低コストで動画を量産して広告をつけて回収する。それもありだと思います。けどそれって面白いんだっけ?となるのがViibarという会社だと思います。それで動画の文化は前進しているのか?我々が目指しているものはプレミアムなコンテンツ、質の高いコンテンツで大きく回収するという方向です」

元NHKのテレビマンだった高橋氏らしい発言だ。ウェブビジネスは今まで低コスト量産型コンテンツでマネタイズというのが続いてきた。プレミアムなコンテンツでのマネタイズは成立するのか。Viibarが動画メディアをどう産業化していくのか。動画の世界はまだまだ動的だ。