次世代テクノロジーの旗手はココだ──FastGrowが注目する、急成長テックカンパニー5選

「テックカンパニーとは、何か?」──。

昨今、テックカンパニーという名の下に多種多様なソリューションを展開する企業が勃興しているが、果たしてその真偽は如何に。

ツールを用いてアナログの業務をデジタル化する企業のことを指す?いや違う。最先端技術を用いてプロダクトを作っている企業のこと?それもまた違う。

では、何なのか?

もちろん定義は人それぞれ異なると思うが、FastGrowで取材してきたテックカンパニーたる企業の経営者・起業家たちの声を借りれば、それは「テクノロジーを用いて顧客の事業や在り方を再定義し、事業の課題を解決していける企業」ではなかろうか。

そして、今回はまさにその価値提供を事業で体現している、正真正銘のテックカンパニーたちをピックアップしてみた。次世代のテクノロジーの旗手とは、一体どんな顔ぶれになるのだろうか。ぜひその目で確かめてみてほしい。

  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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ソフトもハードも使いこなす、生粋のテックカンパニーが此処に──ソルブレイン

テックカンパニーとは、「最先端技術を扱う会社」ではない。

テックカンパニーとは、「テクノロジーを使って顧客の事業課題を解決し、顧客に売上 / 利益という価値をもたらしている会社」のことだ──。

このセンセーショナルなメッセージを発するのは、ソルブレイン。『グロースマーケティング』を代名詞に、「データ」×「マーケティング」領域で急成長を遂げているベンチャー企業だ。

これまでソルブレインを取り扱う記事では、グロースマーケティングのビジネスモデルや、同社が掲げるMVV、またその組織環境などを紐解いてきた。

そして今回は新たに、「テクノロジー」観点でソルブレインの魅力を紹介していきたい。具体的には、同社のコア技術の一つである「Chip to cloud」についてフォーカスを当てていく。

おそらく大半の読者が初見になるかもしれないので、説明しよう。Chip to cloudは、ハードウェアデバイス(チップ)からクラウド(インターネット上のデータセンター)へデータを収集、送信、処理する仕組みを指す。デバイスが生成するデータをクラウドに送り、クラウド上でデータを分析し、意思決定や予測などの価値を創出するというものだ。

今まではデータドリブン◯◯と言っても、あくまで「既にデータとして取れている情報(主にデジタル情報)」を集め、加工し、意思決定に活かしていたに過ぎない。しかし、こうしたIoTデバイスやセンサーからのデータを活用することで、今まではカバーしきれなかった、アナログの現場データなどもリアルタイムに収集することができ、よりスピーディかつ正確な経営判断ができるようになるというものだ。

例を挙げるとすれば、ものづくりの生産現場であったり、フィールドセールスの稼働現場などから様々な情報を収集することができるといったイメージだ。しかも、ソルブレインの場合、そのデータの鮮度はほぼリアルタイム(通常は10〜30秒毎)とのこと。

ちなみに、この技術は何もソルブレインが特許を持っているわけではなく、誰しもが活用しうる技術の一つであり、同社以外にも導入している企業は存在する。参考として、この技術を活用する米国企業を買収した、日立製作所のコメントを紹介する。

日立製作所 執行役社長兼CEOの東原 敏昭氏

「製造業やインフラ事業ではエッジデバイスを通じた現場制御が、クラウド上にある経営状況のデータに基づいて行われるようになるだろう。それは、工場の現場情報が経営情報として使われるということであり、同時に経営判断がリアルタイムで現場制御を変えていくということでもある。」

(MONOist「日立が1兆円規模で米デジタルエンジニアリング企業買収、Lumadaの強化を目指す」より抜粋)

とはいえ、この技術を使いこなすにはハードウェアの知見も必要となってくる。そのため、ソフトウェアを主軸としている昨今のIT系ベンチャー / スタートアップからすると、なかなか手が出しづらい領域であるのも事実。

ではなぜ、ソルブレインはソフトウェアもハードウェアも取り扱うことができるのか。それは一重に、同社にはテクノロジーに深く傾倒する人材が集まっており、顧客への価値提供という目的のため、その手段となる新技術について日夜、調査&研究を続けているからであろう。

そんな同社は、「巷にあるIoTデバイスを買うくらいなら、自分たちで半導体部品を仕入れて組み上げてしまう方が早い」と冗談混じりに話す。FastGrowではこれまで優秀なテクノロジー集団を多々みてきたが、ここまで心底、テクノロジーを敬愛し、事業に活かしている組織、いやテックカンパニーは初めてかもしれない。

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「ソフトウェア」の力で、経済活動をデジタル化する──LayerX

今最もスタートアップ界隈で注目を浴びている企業と言えば、LayerXの名を挙げる者が多いのではないだろうか。同社は「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げるSaaS+Fintechスタートアップだ。

支出管理サービス『バクラク』を中心に、デジタルネイティブなアセットマネジメント会社を目指す合弁会社・三井物産デジタル・アセットマネジメント、プライバシー保護技術『Anonify』で組織横断のデータ利活用を目指すPrivacyTech事業、そして大規模言語モデル(LLM)*関連技術を活用し、組織内の知識活用や効率化に関する事業化を目指すLayerX LLM Labsなどを開発・運営している急成長企業である。

*Large Language Model。大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理のモデル

現在LLM関連技術の急速な進展により、この技術をベースにした『ChatGPT』や『NotionAI』などのサービスによって、タスクの自動化や業務効率化などへの貢献が大きく期待されていることは言うまでもないだろう。

LayerXでは、このChatGPTの活用方法を模索するハッカソンの実施や、新卒採用選考においてChatGPT・Notion AIの活用課題を必須化することを発表するなど、LLM関連技術の社内活用にも積極的だ。

そしてこの春、このLLM関連技術を追求し、LayerXの既存事業へのシナジーや、今後の新規事業の検討等を通じ、LayerX LLM Labsが立ち上げられた。

これは全くの夢物語かもしれませんが、日本から新たな事前学習モデルを示していくことも将来的に取り組みたいとも考えています。試算しただけでも数十億、GPT-4クラスとなれば想像もつかないコストが要求され、またそれを正しく使えるだけの技術力と組織が必要になります。とはいえ、取り組むこと自体を可能性から排除する必要もないと考えています。直近、LLaMAベースの様々なFine-tuningされたモデルが登場していますがこれらの取り組みも参考にしつつ、自前のモデルの意義や取り組み方も考え続けていきたいです。

LayerXエンジニアブログ「LayerX LLM Labsチームを立ち上げます」より抜粋

この大規模言語モデルが一体この先どんな未来社会を形づくるのか──。それはまだLayerX自身も模索している段階だ。

この新産業領域に懸ける同社の挑戦を、FastGrowとして応援しないわけにはいかない。乞うご期待。

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人とソフトウエアの共進化を目指して──PKSHA Technology

次は、AIとアルゴリズムの開発を手がけるスタートアップ、PKSHA Technology(以下、PKSHA)について紹介しよう。同社は多種多様な業界に対してAI技術を応用した解決策を提供しており、その手法は機械学習、自然言語処理、ディープラーニングなどの最新技術を駆使している。

その技術力から生み出される事例を挙げると、PKSHAがクレジットカード不正利用防止におけるソリューションを開発している点だ。日本クレジット協会によると、2021年のクレジットカード不正利用による被害額は過去最多の330億円であった。(日本クレジット協会調べ)

PKSHAはこの問題に対し、データ分析と予測モデリングの技術を活用し、ソリューションを開発。その結果、同社の製品は国内でトップシェアを獲得しており、その技術力が社会的に評価されている。

さらに、PKSHAはセキュリティ領域においても、多様化と高度化する不正行為の検知と防止に向けてAI技術を活用している。そこでは機械学習モデルの逐次学習と予測性能を駆使することで、新たな不正手口の予測と対策が可能となるのだ。

そんな同社のSaaS事業は増加を続け、年間定期利益(ARR)は約50億円に達している。(2022年11月末の取材時点)これは、PKSHAのソリューションが広範囲の業界から認知され、その技術力と実用性が高い評価を受けている証左であろう。

加えて、教育分野におけるAIの応用に関しても、同社の革新的技術力を示す好例がある。ベネッセコーポレーションと共同で開発した「共進化」のアルゴリズムは、生徒の学習パターンを機械学習モデルで解析し、個別の学習支援を可能にする。

人とソフトウエアの共進化(PKSHA Technology提供)

具体的には、これまでの教育現場では「教師が生徒に対して一方的に教える」のが当たり前だったが、この関係性にAIを導入することで、出題者側も学習していく仕組みを構築した。

上野山勉強は基本的に、先生が一人ひとりと対話したほうが学習効果が高い。そんな考え方から生まれたのが「個別指導」ですよね。私たちはそれを、ソフトウエアの力で拡張できないかと考えました。

やったことはシンプルです。生徒の「つまずきデータ」「間違いデータ」をAIで吸収して、個人の学習に合わせて出題の仕方を変えられるソフトウエアを設計したんです。

言い換えれば、先生側が、生徒側のつまずきデータを学習し、仕事の仕方を変化させます。これがまさに先生と生徒の共進化です。

これは教師と生徒の共進化ともいえる革新的な取り組みであり、生徒の進化だけではなく、教師の進化にも着目している点がミソだ。互いに進化し合うから、結果として従来の目的である「生徒の学力向上」を、他の生徒も含めて実現できるようになる。

まさに、「未来のソフトウエアを形にする」というPKSHAのミッションを体現したテクノロジーの活用事例ではないだろうか。

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あらゆる産業のDXを促進する、デジタル・クリエイティブスタジオ──Sun Asterisk

スタートアップ企業から大企業までのソフトウェア開発などを担うテクノロジー・ベンチャー、Sun Asterisk

同社は主にスマートフォンアプリ開発やスタートアップ企業の事業開発支援、大企業の新規サービス構築支援などを手掛けている。具体例を挙げると、三菱地所やソフトバンクなどの大手企業から、delyやwevnalといったスタートアップまで、読者もご存知の著名企業が並び立つ。

Sun Asteriskのソリューションは、アイデアの創出やビジネスモデルの検討(ビジネスデザイン)、さらにはそれを具体化するためのコンセプトディベロップメントを行い、次にプロトタイプの開発を行うというもの。これらのステップを経て投資判断が下された後には、本格的な開発(本開発)へと進むという流れを採用している。

Sun Asterisk 2023年12月決算資料より抜粋

さらに、新規事業やDXを成功に導くための包括的なコンサルティングも提供しており、これらの一連のサービスにより、同社の支援を受けた企業はエンドユーザーの本質的な課題を理解し、その解決に向けた具体的な製品やサービスを開発、展開することが可能となる。

こうした観点から、Sun Asteriskは企業の新規事業やDXの成功に寄与するテクノロジー・パートナーとして、市場から高い評価を得ているのだ。

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非常識に挑む、AIテクノロジーの申し子──AI inside

AIインフラの提供を通じてAI民主化を推進するテックカンパニー・AI inside 。FastGrowでも過去に2回取材を実施しており、その独自性を紐解いてきた。

過去の記事では、AI-OCRサービス『DX Suite』で国内シェア6割以上を獲得したり、2019年に東証マザーズ(現グロース)上場を果たしたことなどにも触れたが、同社にとってはいずれも通過点に過ぎない。

その姿勢を証明するかの如く、AI inside は今春新たなテクノロジー・ソリューションを発表し、世間の注目を集める。その名も『AnyData』、あらゆるデータを活用してAIが自律的に学習し、新しいAIモデルを自動的に次々と生み出す「Autonomous Learning(オートノマス ラーニング)」によって、新たな価値を創出していくといったものだ。

AI inside 2023年3月期決算資料より抜粋

事例を挙げると、このソリューションは、企業間決済の請求書手続きを不要にし、一連の請求業務に係る煩雑な業務を効率化する。と同時に、財務指標をリアルタイムに可視化し、より精緻な事業予測、つまり経営の最適化を可能にするのだ。

他にも、医療現場に集まる膨大な診療データ、薬の処方データを元に、患者ごとに最適なタイミングで最適な提案がなされるといった、現場の生産性向上だけでなく患者への価値提供の向上にも貢献している。

AI inside が目指す「誰もが意識することなくAIの恩恵を受けられる世界」では、このようなことが当たり前に実現されていく。

今後もテクノロジーを起点にどんな面白い未来社会を築いてくれるのか。FastGrowもいち応援者・ファンとしてその活躍を見届けていきたい。

こちらの記事は2023年07月03日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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