合理的なのは意外にも“競合との共創”だ──寡占進むWebマーケ市場で、ユニークな勝ち筋を描くMacbee Planet新代表・千葉氏の構想

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インタビュイー
千葉 知裕

大学在学中に、公認会計士試験に合格。 2010年4月にあずさ監査法人に入所。監査法人時代には、会計監査、IPO支援、財務DDなどに従事。 2018年10月にMacbee PlanetにIPO(株式公開)責任者としてジョイン。 2019年3月、コーポレート管掌の取締役に就任。 2020年3月には東証マザーズに上場(東証再編に伴い2022年4月よりグロース市場に移行)、経営企画、広報、人事、管理などコーポレート部門全般に従事。 2021年12月、代表取締役社長に就任。

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将来の経営者やトッププレイヤーを目指す若者が、続々とスタートアップに流れ込んできている。

ではその中でも、どの事業領域が選ばれやすくなっているのだろうか。おそらく、「Webマーケティング業界」を第一希望に挙げる者は減っている。場合によっては「少し前に流行った領域」と感じているかもしれない。マーケットの成熟化、大手企業や新興企業でひしめき合うレッドオーシャン、さらにはGDPRや国内の法改正なども含め、どうも先の見通しがあまり良くない、そんな認識が、本音なのだろう。

しかし、Macbee Planetの代表取締役社長である千葉氏は、真っ向から異を唱える。「約2.7兆円の市場があり、まだまだ伸びる。旧来のマス広告が、インターネット経由のさまざまな広告にどんどん入れ替わる。数年以内に4〜5兆円規模に拡大する、非常に面白い領域だ」と。

千葉氏の経歴は異色だ。大学で公認会計士の資格を取得して大手の監査法人に就職し、監査業務に携わる。その後、Macbee PlanetにIPOの担当者としてジョイン。そして、上場を果たした2021年の12月、代表取締役社長に就任している。

今回は千葉氏へのインタビューを通じて、レッドオーシャンにも見える市場でどのように急成長を続けていくべきなのかという難しい問いを解き明かす。キーになるのは、特徴的な事業のかたち「LTVマーケティング」だ。その裏側の事業づくりや経営で大切にしている想いやビジョンを、見ていこう。

  • TEXT BY RYUSUKE TAWARAYA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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Webマーケティング業界は、決して“オワコン”じゃない?

「Webマーケティング業界は、まだそんなに伸びる業界なのか?」

この疑問に関しては、冒頭でも述べたとおり、否だ。2.7兆円規模と成熟したマーケットではあるが、まだまだ伸びしろがあるからだ。

では、その中で大きなシェアを獲得できるほどの余地はあるのか?国内は電通、博報堂という大企業に加え、メガベンチャーとして拡大を続けるサイバーエージェントの計3社が、シェアだけでなく業界全体での影響力も保持しているような状況だ。さらには、プラットフォーマーとしてGAFAMが君臨しているため、ほかのスタートアップやベンチャー企業がこれから新たに大きなシェアを獲得していくのはなかなか難しいのが現状といえそうである。

しかし、千葉氏は、この厳しい状況下でも確実な勝機を見出すことは十分に可能だと、その理由を力説する。

千葉確かに電通、博報堂、サイバーエージェントの3社で占めるシェアという牙城を、今から崩すことは非常に難しい。しかし、それはマス向けのリスティング広告(運用型広告)を中心とした、一部の領域の話だとも言えます。

成果報酬型は、巨大企業がなかなか本格的には参入できていない状況で、既存プレイヤーも限られています。ただし、市場自体にはまだまだ大きな伸びしろがある。こうした領域で、競合同士でシェアを奪い合うのではなく共創して市場拡大を図っていくことが至上命題とされています。

他に具体的な領域としては、既存市場としてイメージされている広告にとらわれず、たとえばWeb3のような新技術の関連事業がマーケティングを広げていく部分で、新たな価値を創出していくことができるはず。オンライン/オフラインをつなぐマーケティング支援を大きく成長させ、市場そのものを拡張するために最前線に立つ役割を、この業界で担っていきたいですね。

2022年7月28日開示の「事業計画及び成長可能性に関する事項」から。Webマーケティング関連市場を細かく整理し、勝負する領域を慎重に検討している

そんな市場拡大、いや市場創出を推し進めていく中でキーとなる「LTVマーケティング」という考え方を、まずはひも解きたい。同社が目指すのは「2~3兆円のインターネット広告市場を、LTVマーケティングに転換する」という世界観だ。どういうことだろうか。

LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)の略。顧客1社(あるいは1ユーザー、1人など)に対して取引開始から終了までに、どれだけ利益をもたらしたかを示す「顧客生涯価値」を意味する。

Macbee Planetが考えるLTVマーケティングは、単に現時点で見えているLTV(顧客生涯価値)をボトムアップで拡大していくだけにとどまらない。独自のデータと最新のテクノロジーを用い、中長期的にLTVを最大化させることを目指して、あるべきサービスの形や顧客ターゲットをアップデートしていく。そこから逆算して、広告を含めたさまざまなマーケティング施策を、誰でも効率的・効果的に実行していけるようにしているのだ。

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市場創造においてキーとなる
「LTVマーケティング」の世界観

では、具体的にどのような手段で、LTVマーケティングを広げていくのか。改めてMacbee Planetの事業について整理しておこう。

千葉多くの場合、LTVは各企業で担当チームが細かく長期的に計測していこうとしています。まずこの構造を抜本的に変えていきたい。当社が蓄積したデータと独自のテクノロジーを用いれば、Webマーケティングの経験があまりない担当者でも、現状のLTVや将来目指すべきLTVを予測して施策に反映していくことができるようになります。

それが、『ハニカム』や『Robee』、『Smash』といった私たちのプロダクトなんです。

LTVを起点として国内Webマーケティングの市場全体を再設計していく。これがMacbee Planetの描く未来図だ。

広告関連の既存市場では、新たなシェア獲得が実際のところ、かなりハードルの高い仕事となるだろう。だから先に挙げた電通、博報堂、サイバーエージェント以外の企業は、新たに市場を創出していこうとしている。その急先鋒になろうとしているのである。

千葉現在大きな市場となっているのは枠売り広告(純広告)で、先ほどの3社が強い領域です。これ以外の「成果報酬型」のモデルを採るWeb広告で、プレイヤーが置き換わったり、市場が大きくなったりという可能性があります。

今は2.7兆円ほどの規模があるインターネット広告市場。この中で小さくない部分を、LTVマーケティングの思想に基づく広告に置き換えていくことで、市場全体が4兆円にも5兆円にも拡大していく可能性がある、そんな事業をしているんです。

LTVマーケティングの考え方は、以下のような課題を解決し、成果報酬型広告の構造を刷新する。

例えばGoogleやYahoo!に代表される検索連動型広告で、検索ボリュームの高いキーワードの場合、コンバージョンにかかる広告価格が高騰を続けてしまう。ほかの広告媒体と比べてリスティング広告がどれだけ重要なのかという指標をデータドリブンで整理できていない出稿側のマーケターにとって、大きな悩みの種となっている。

また、ニュースサイトをはじめとしたトラフィックの多いサイトにおけるバナー型のコンテンツ連動型広告では、数多くの出稿を進めない限りなかなかコンバージョンに至らない。出稿側のマーケターは目先の成果を出さなければと焦ってしまい、媒体側や代理店の提案を鵜呑みにしてしまいがちとなる。

こうした課題は、LTVを簡易な方法で計測し、目標や投資対効果を可視化していくことでクリアすることができる。より多くの企業で、中長期的な視点に立って効率的・効果的なマーケティングが可能になる、それがMacbee Planetが強調する「LTVマーケティング」の世界観なのだ。そうなれば、広告の結果として生まれる成果報酬が全体として最適化され、各企業の事業成長とともに大きく拡大していくというわけだ。

LTVマーケティングという言葉自体は現在も、ITリテラシーの高いマーケターが所属している一部の企業では実行されている一般名詞にはなり始めている。それを、より精度の高いものとして開発していき、国内ビジネス全体に広げるという、社会的意義の高い役割を担おうとしているのである。

千葉LTVは、今やマーケティング施策にとどまらず、様々な業界で重要な経営指標の1つとして認識されています。

目先の流入や受注といった短期のCVばかりを重視するインターネット広告は、部分最適でしかありません。私たちなら、Webマーケティング業界全体を最適化し、より多くの企業が事業成長を遂げていくための手助けをしていける。そうすることで、存在意義をじわじわと高めていく構想です。

業界自体を刷新するという大きな絵を描きながら技術を磨いているのが、Macbee Planetのチームだ。この視座の高さが、部分最適ではなく全体最適を目指した事業の在り方を実現させてきた。

その秘密はCookieに頼らないデータ取得と、AIによる最適化。特に、「顧客の同意をもとに1st Party Cookieを採用したうえで、3rd Party Cookieに依存せずプライバシーの配慮と正確な成果計測を両立させる独自の技術」(これ以上の詳細は非開示)は市場において優位性を保っている大きな要因だ。

プレスリリース「Macbee Planetが3rd Party Cookieに依存しない成果計測方法を開発し、 既存顧客への導入が6割完了」から引用

技術を、自己満足で活用していくのではなく、市場全体を刷新するために使う。これがMacbee Planetの強さを物語る思想だ。

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飛び抜けて”エース”ではなかった若者が、CFOになるまで

このように事業戦略と構想について滑らかに語ってくれる千葉氏は、前述の通り創業社長ではない。経営体制刷新の中で、創業者の小嶋雄介氏から2021年12月14日に代表の座を譲り受けた、いわば二代目社長である。

一般的に、スタートアップの経営者と聞けば、営業や事業開発などに携わっていた人材が抜擢されることを想像するだろう。最近ではChatworkやSmartHRといったSaaS企業を中心に、元エンジニアが代表になったり起業したり、という例も見られるようにはなった。

しかし、千葉氏のバックグラウンドはそうではない。大学で公認会計士の資格を取得後、新卒で大手の監査法人に入社。IPOに伴う監査業務に携わっていた。

千葉私が監査法人で仕事を始めた2010年は、リーマンショック直後で不景気の真っ只中でした。入社して2〜3年目に、身近な人がリストラされたり、ついこの前まで上司だった人が部下になったり、そして私自身にはほとんど仕事がまわってこず一日の半分をぼんやり過ごしたりと、組織が目まぐるしく変化するのを目の当たりにしました。

当初任されていた仕事では、定常業務で評価されることが少なく、実際に千葉氏が担当する仕事の量も多くなかったという。そのような状況下でも、めげることなどなく日々の業務に励んでいたところ、転機が訪れる。

千葉4年目ぐらいに、ある大規模監査プロジェクトにアサインされたんです。監査法人の監査報酬は年間約2,000万〜3,000万円ほどが相場という中、私が担当していた案件は、2億〜3億円規模と、部門の中で最も高い案件でした。

単に金額が高かったから嬉しかったのではありません。それまでの案件でコツコツと成果を残してきたことが評価してもらえたと感じたので、モチベーションがものすごく高まりました。その結果、自信を持って提案と実行を回していくことができ、プロジェクト自体も成功に終わりました。

これが一つのきっかけとなってこの後、元々希望していたIPOのプロジェクトにも関わることができたんです。努力の蓄積と、それを適切に評価する体制、これらの大切さを実感しました。

この頃から、上場やその後に向けてコミットし続ける経営者さんとの関わることが大きく増えました。それで、自分自身も経営という仕事をより強く意識するようになりました。

監査と経営。もちろん関連性こそあれど、実際に担うためには大きく異なる素質や経験が必要となる2つの領域のはず。千葉氏はどういう経緯でMacbee Planetに入社し、経営層として成果を残すようになっていったのか。

よくよく聞いてみると、漠然と学生時代から「経営者になる」というビジョンを持っていた。

千葉10代の頃から、「地元で経営者になりたい」という漠然とした夢を持っていました。しかし、当時どうしたらなれるかわからず、ひとまず信頼を得やすい公認会計士は良いと思い、資格を取得したんです。

なので、監査法人も3~4年ほどで退職しようと思っていました。しかし、先ほども話したように、最初の1〜2年は体制変更でバタバタしていて、なかなか思うように経験が積めませんでした。退職するなら、しっかりと成果を出してからにしようと考え、なんだかんだで8年近く在籍することになります。

監査法人も一区切りつき、いよいよ次のステージへ移るべく、新たな挑戦の場を探し始めた千葉氏。ターゲットはスタートアップだった。

千葉ここから経営者になるとしたらまず目指すべきはCFOだろうと思い、会計士からCFOになった先輩方のキャリアを調べてみると、多くの場合で早くに監査法人を退所していました。私はその時点で8年も在籍していたので、出遅れていると焦りを感じていたんです。

そこで、当時私が考えていた条件が、上場が近くて、かつVCが株主に入っていない、資本金が1億円以下で50名以下の会社でした。

理由は二つ。できるだけ早く成果を出したかったことと、整備されておらず余白がある環境の方が私自身の強みを最大限発揮できると考えたことです。

リファラルで多くの誘いがあったが、意外にもエージェント経由でも多くの企業を探し、その中でMacbee Planetに出会った。千葉氏はその3日後には面接に臨み、事業だけでなく創業メンバーに魅力を感じて、短期間のうちにジョインを決めた(この時期の詳細は2022年12月に発売の著書「ぼくがマクビーにいる理由。」に記載が多いので、ぜひ合わせて確認してほしい)。

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次のステージへ会社を成長させるために。
「人のケア」ができる千葉氏が二代目CEOへ

ここまで読んでみて気になる点は、「なぜCFOであった千葉氏が、CEOに就任したのか」ではないだろうか。CFOは、あくまでファイナンス関連業務を管掌する経営者。そこからCEOに就任するケースは、特にITスタートアップにおいて稀とも言えるからだ。

「あまり目立ちたくない」とすら考えていた千葉氏が、あえてCEOとして矢面に立とうと考えた理由について、次のように振り返る。

千葉前社長である小嶋は、クライアントの新規営業や広告運用が得意、私は組織マネジメントやメンバーのケアが得意分野だと思っていたので、私が率先してやっていくなかで、自分も代表のようなポジションで動くのがいいかもしれないと思うようになりました。

当初はビジョンに向けて突き進む小嶋、裏でバランスを取りながら会社を見る私で、共同代表も良いなと思っていました。私は目立ちたくないところもあったので、前に出て話すのが得意な小嶋となら、うまくお互いの強みを発揮できると思ったんです。

ですが、私はCEOとしてグループ全体を統括するのがもっともわかりやすいだろうと判断しました。自分自身、だんだんと「やるんだ」という気持ちが強まっていたことも大きな要因ですね。同時に、小嶋には役員としてマーケティング事業のサービスの底上げや深掘りにひたすら注力してもらう方がいいとも感じました。

現場サイドのメンバーに取材をしても、社内の難しい課題に対しては千葉氏が常に先回りして俯瞰的に対応していたというエピソードが明かされた。「この事案は、○○さんがこういう行動を取ればいい」「この事案は、むしろ今は放置しておいても大丈夫」といったアドバイスがなされていたという。組織づくりにおける知見や予測力についての信頼値は、社内で高まっていたのである。

このように、千葉氏が代表として、ケアする力や組織マネジメント力を発揮する時期を、社内メンバーはいわば待ち焦がれていたとも言えそうだ。

我々はインタビュー前、CEOに就任した背景に千葉氏のファイナンス能力が大きく関係していると考えていた。しかし、取材を進めてみると、どうやら千葉氏の人柄や関係構築力が大きく影響しているようである。こういったスキルはどのように携えていったのか。

千葉いわゆる天性ではなく、前職の経験で後天的に得た特徴ですね。会計士としてのスキルはもちろん活きているものの、そうじゃない部分のほうが活きていますね。

というのも、8年ほど監査法人で働く中で、会計知識よりも、結局は人間関係の対応や、トラブルにおける事象と問題の切り分けなど、ビジネスにおいて共通する原理原則に繰り返しぶち当たってきたんです。それらを、「いかにしてコミュニケーションをとっていくのか」という観点で乗り越えてきました。

課題を特定して、たくさんの選択肢があるなかで、最善のものを見つけるという経験を多く積んで、体に染み込ませてきました。先ほど触れた大量リストラや組織の急変化がきっかけになったのだと思います。

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メンバーの能力を最大限に引き出し、組織を円滑に回すこと。それこそが千葉流「社長の仕事」

千葉氏が代表に就任し新体制になってから1年ほどが経つ。CFOから代表取締役になる過程で、心境にも変化が表れている。企業価値の向上を、以前よりもかなり手触り感を持って考えているとのことだ。

千葉「自分は目立たなくても良い」という根本は変わっていませんね(笑)。ただし、やはり社長が発信した方が知名度が上がると思いますし、私個人の価値が高くなれば、それがそのままMacbee Planetの価値向上につながると思っています。

書籍を出したプロジェクトもその一環です。「社長だから声をかけてもらえる」ことって大いにあるので、最大限にその役職を活用することで企業価値向上を推進していくんです。

社長をサポートする立場から、その当事者になったことで、さまざまな業務における見え方が変わったという。採用や人事評価の面でも、課題が見えてきたそうだ。

千葉当然ながら、難しい課題に対する最終意思決定をするのは社長ですよね。この緊張感は大きいですね。

それにCFO時代は目先のことに忙しくて、採用現場に出られていませんでした。でも今は採用の最終判断をしています。「せっかく縁があって入社したのにすぐに辞めてしまった」「能力を活かせずに2~3年が経過してしまっていた」という状況が起きてしまうと、本当に申し訳ない気持ちになります。

金銭面はもちろん、やりがいや成長機会など、適切に従業員に還元できているのか、以前とは全く異なる強度で意識するようになりましたね。

CFOの頃から組織を気にしてはいたものの、その最前線である採用にはあまり関わってこなかった千葉氏。CEOとなって最も変化したのがこの点だ。トップではあるが、敢えて「採用現場」にまで出て、最終判断まで責任を持って携わっている。

一方で、ほとんど関わっていかない現場もある。それが「事業」の最前線だ。

千葉事業の立ち上げフェーズについては特に、一切口出ししないようにしています。もちろん、業務について理解・把握はしていますが、そもそも私は新しいビジネスの芽を生み出すことが得意ではありません。やはり、イノベーションは専門的な技術を持った人材からこそ、生まれると思うので。

私の役割は、いかにしてメンバーの能力を最大限に引き出し、組織を円滑に回すかだと思っています。そのために、組織関連では採用まで含めて、できることならなんでもやる。逆に、私がやるべきではないと感じる事業立ち上げについては、徹底して現場に任せます。

「なんでもやる」は、「やらないことを決める」ことと表裏一体。そう考え、振る舞い方を柔軟に変化させながら取り組むのが、千葉氏流の経営となっている。

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競合と共創し、Webマーケティング業界を覆す

今回の取材を通し、2兆円規模で寡占が進むWebマーケティング業界でも、大きな変革が起こる余地はあり、その前線にMacbee Planetが陣取っているイメージが、浮かんできたのではないだろうか。

最後に聞くのは、「さらにその先」だ。千葉氏が社長として、会社をどこへ導いていくのか。目標と課題を読み解きたい。

千葉2030年までに、目標である「トリプル1000」を達成することですね。これは、時価総額1,000億円、売上1,000億円、平均年収1,000万円の3つの1000を取ったものです。

会社説明資料より抜粋

千葉ただもちろん、これは最終ゴールではありません。冒頭にも述べたように、Web3関連技術をはじめとした最新テクノロジーを活かした事業領域まで射程に入れて、自社事業をやってもいいですし、その新たな市場におけるマーケティングを力強く支援していってもいい。

Webマーケティングの市場を拡張し発展させていくことで、新たな産業や事業といったイノベーションを増やし、日本経済の成長にまで貢献する、そんな姿を目指したい。そのためにも、さまざまなWebマーケティング関連企業さんたちと互いの夢を応援しながら共創し、新事業や新会社が集う「Macbee Park」のような理想郷を作れたら良いなと思いますね。

そして、このゴールを達成するためには、協力者の存在も欠かせない。どういった人材がMacbee Planetに入ってくるように組織開発を進めていくのだろうか。

千葉Webマーケティングの経験があるに越したことはないですが、正直、あまり重視していません。業務経験で言えば、商品やサービスをただ売るのではなく、使い続けてもらうことを考えてきたことのほうが重要です。その延長線上に、LTVについての深い思考が生まれるからです。

ただ、そういうことよりもやはり、Macbee Planetでどんなことをしたいのか、どれだけやり切れるかが大事です。年齢や性別、立場は関係なく、やりたいことがあって、目指したい意欲がある人に、チャンスをどんどん与えていきたい。それを、「困難にぶち当たった時に、どのように立ち回ってきたのか?」という問いで探ろうとしていますね。

当社には事業やプロダクトがいくつもありますので、それらを推進していくような中核人材が多数在籍していますし、まだまだ増えていきます。そのため、「今入社しても中核として活躍できないのでは?」という不安を覚える必要はありません。

2022年7月28日開示の「事業計画及び成長可能性に関する事項」から。事業とプロダクトが複数存在し、Webマーケティング全体で価値を発揮していく様子が見て取れる

千葉我々としては、今後、適切に新陳代謝する環境、つまり若い人材が大きな経験にチャレンジできる会社にしていきたいと考えています。それが、会社の成長にもつながるし、新たなカルチャーになると思うんですよね。

Webマーケティングという寡占市場で、新たな立ち位置を確立していこうと旺盛なチャレンジを続けるMacbee Planet。それを牽引するのが、会計士出身の千葉氏という人物。いや、出自こそ会計士だが、「企業経営者」として特に組織面で価値を発揮し続ける人物なのが、千葉氏である。

第二創業期ともいえそうなこのフェーズにおいて、事業と組織を両輪で力強くまわしてく体制において、この代表の存在が「キモ」となっているのだと強く感じられた。

上場など単なる通過点。ここから、いつまでも成長を追い続けなければならない。そんなプレッシャーを楽しんでいるかのように、快活にインタビューに答えた千葉氏。創業メンバーを中心に、皆が活き活きとチャレンジを続けていく、そんな環境になっているのであろう。新たな展開に、目が離せない。

こちらの記事は2023年01月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

俵谷 龍佑

写真

藤田 慎一郎

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