経営者は、半端な覚悟で「業界の活性化」を掲げるべきじゃない──SOMPOケア代表COO・鷲見氏に学ぶ、業界変革を担うリーディングカンパニーとしての矜持

インタビュイー
鷲見 隆充
  • SOMPOケア株式会社 代表取締役社長 COO 

1995年4月、安田火災海上保険株式会社(現、損害保険ジャパン株式会社)入社。その後、SOMPOホールディングスの介護事業への本格参入に立ち合い、2015年4月に株式会社メッセージ(現、SOMPOケア株式会社)へ出向。その後、同社およびSOMPOケアネクスト執行役員。2018年4月損害保険ジャパン日本興亜株式会社(現、損害保険ジャパン株式会社)秘書部特命部長、人事部長を経て、2021年4月には同社執行役員に就任。2022年4月、現職であるSOMPOケア株式会社 代表取締役社長COO、SOMPOホールディングス株式会社 執行役員に就任し現在に至る。

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介護領域を、魅力的な産業に──。

そんな想いで、「キッザニアへの出展」や「SOMPO流 子ども食堂の運営」といったアイデアを実現してきた経営者がいる。SOMPOケア代表取締役社長・COOの鷲見 隆充氏だ。

同社はこの領域でテクノロジー活用をいち早く進めてきたリーディングカンパニーである。自社が運営する老人ホームや高齢者向け住宅などにおいて、革新的な取り組みを進めている。前回の取材では、SOMPOケアの新卒採用担当者たちにより、デジタル化が進む介護現場の実態とそこで働く魅力が明かされた。

そんな時代に即した事業の順調さもさることながら、「自社の成長」よりもむしろ強いコミットを、産業全体の押し上げに対して進めているのが同社の特徴だ。代表例が、先に挙げたキッザニアやSOMPO流 子ども食堂の取り組みであり、背景には「日本全体の未来」を意識した思考がある。

なぜ、そのような大きなビジョンに基づいて、ブレない活動を継続することができているのか。若手時代から泥臭い努力を厭わず、現場と経営のつなぎ込みを意識してきた鷲見氏。これまでの背景を振り返りつつ、これから描いていく介護を通じた未来社会について、話を聞いた。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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テクノロジー活用の「その先」を、考えたことがあるか?

鷲見いくらテクノロジーが進んでも、介護の領域では人にしかできない部分が必ずあります。それが、「介護」というかけがえのない仕事の魅力です。

昨今のビジネスシーンにおいて、「レガシーな業界」という表現が一般的なものとなってきた。そして、そこに必要なソリューションといえばDXだということも、多くのビジネスパーソンが口にすることだろう。

それも間違ってはいないのだが、鷲見氏の話をじっくり聞くと、中長期的な視点では、DXと同じ、いやそれ以上に大切なことが見えてきた。

それこそ、「産業全体の魅力強化」だ。

「デジタル・テクノロジー」を強みに持つのがSOMPOケアなのだが、一方で、テクノロジーだけでより良い社会を創れると思っているわけではない。

鷲見今の子どもたちは、私たちの時代とは生活スタイルが異なり、高齢者と一緒に住む機会がほとんどありません。

そこで、キッザニアやSOMPO流 子ども食堂といった場を通じて、介護のリアルを伝える。

具体的には、テクノロジーを活用した介護はもちろん、介護によって人と人とのコミュニケーションがどう充実していくかといったことこそ伝えていきたいと思っています。介護の魅力とは、やはり「人」にありますから。

テクノロジーを活用して事業を伸ばすだけでなく、こうした次世代に向けた取り組みも通じて、産業全体を魅力的なものにしていきたいんです。

次代を担う子どもたちに、介護のリアルを伝え続ける。これを受けて、「目先の事業成長にはつながらなさそうだ」という批判的な視点も、SOMPOケアの取り組みに対しては存在するかもしれない。

だが、鷲見氏が見る世界は違う。「テクノロジーで、自分たちの見えている範囲内で変革を起こし、事業が成長する」というだけでは意味がないのだ。介護の現場をより魅力的な場に変革しつつ、その実態を次世代に伝え続ける。この使命感を、鷲見氏からは力強く感じた。

ぜひ、学生や若手ビジネスパーソンの読者には、「テクノロジー活用の、その先」について新たな気づきを、この記事で得てほしい。

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テクノロジーによって、新人からベテランまで同水準のサービス提供が可能に

とはいえ、そもそも介護領域についての解像度が高くない読者も多いはず。ここでは軽くその前提を確認しながら進めていこう。

社会貢献度の高い仕事だと分かっていても、介護に対して「体力的にきつそう」「昔ながらのアナログな業界」「人材不足」といったイメージを持っている人が多いだろう。

たしかに介護業界の人材不足は深刻だ。日本の少子高齢化に伴ってこのまま高齢者が増加し続けると、2040年には介護人材が69万人不足すると言われている。だからこそ、国は積極的にテクノロジーを活用して介護事業の効率化を進めていこうとしているのが現状だ。

つまり、介護市場は今、他のレガシー産業と同様、デジタル化による抜本的な改革が進められており、DXの観点で見ても伸びしろの大きな領域の一つなのだ。

実際、介護現場でテクノロジーを導入する施設が増えていることを読者はご存じだろうか?

例えば、スマホやタブレット端末から素早く介護記録を入力してクラウド上で情報共有をしたり、睡眠センサーで利用者の睡眠状態や呼吸、心拍数などをリアルタイムに端末で確認したりといった具合だ。そこにはもう従来の「アナログ」な介護のイメージはない。

SOMPOケアの現場でも『スマホによる介護記録システム*』や『睡眠センサー*』が導入されており、他にも入浴時には『ウルトラファインバブル発生装置*』といったテクノロジーなどが活用されている。その結果、介護現場の業務効率化が実現し、介護職員の負担を軽減することで、「人」にしかできない業務に注力できる体制が生まれているのだ。

*1「スマホによる介護記録システム」サービスの実施記録をスマホのタッチ操作もしくは音声入力で行う。転記作業も不要となり業務負担が軽減された。ペーパーレスでコスト削減も。

*2「睡眠センサー」施設入居者の入眠状態や呼吸、心拍を画面越しに確認できる。夜間の居室訪問が不要となり、起こしてしまうことがなくなったことによる睡眠の質向上や、職員の負担軽減にもつながった。

*3「ウルトラファインバブル発生装置」極微細な気泡を発生させてお湯につかるだけで皮脂などの汚れが取り除ける。皮膚トラブルの防止につながり、入浴介助時間が短縮され効率もアップした。

また、SOMPOケアでは集積したデータ活用も積極的に進めている。鷲見氏は現場の様子をこう語る。

鷲見介護記録のデータから介護内容が可視化できるため、ご利用者さまごとに、1日のうちどれくらい介護に時間がかかっているかを算出できるんです。

するとこれまで「要介護3」と認定されていた方が、実は「要介護4」に相当する方なのではないか。もしくは「要介護2」ではないのかと。このように、実際に必要な援助時間に合った介護度に見直しを検討するなど、ケアプランの改善にも役立てています。

さらに、食事量や睡眠量、体調、薬の情報など一人あたり600以上にわたるデータを基にAIが2〜3ヶ月後の健康状態の予測や提案を行っていく。

鷲見データ活用以前は、ベテランの介護職員が長年の「経験」から健康状態を予測していました。

例えば、「こちらのご利用者さまは末期の癌を患われているため、1ヶ月後に体の調子を崩されて、ひょっとしたら2〜3ヶ月後に看取りを迎えるかもしれません」と。

ところが、経験の浅い職員やご家族の方にはそれが分からないので、むしろそんな職員から、「いえいえ、こちらのご利用者さまはすごくお元気にされていますよ。昨日も唐揚げを美味しそうに召し上がっていたじゃないですか」と疑問に思われることもありました。

鷲見しかし、客観的なデータで可視化されると、たとえ新人でもご利用者さまの健康状態が今後どのように変化していくか予測することができます。

それによって、「お元気なうちにご利用者さまの好きなことをして過ごしていただこう」「食事の内容を変更しよう」「福祉用具を取り入れよう」と、最善を尽くすことができる。ご家族の方もデータを見てすぐに状況を理解していただけるようになりました。

今までベテランの職員が頭の中でしか描けなかった予測も、データを活用することで誰もが可視化できるようになる。つまり、職員の経験の違いによるサービス品質のギャップ軽減にも繋がっているんです。

このように、最新のテクノロジーの導入とデータ活用により、サービスの品質を落とすことなく介護現場の効率化を進めたSOMPOケア。2020年度は1,319億円、2021年度は1,361億円、2022年度は1,498億円と業界2位の売上高で事業を伸ばしている。

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介護市場の大手企業3社のシェアはわずか3%。
残る97%の多くは1~2事業所を運営する中小事業所

前述の通り、深刻な少子高齢化の問題が潜む日本。総人口に占める高齢者人口の割合が増加する中、要介護認定者も年々増加している。

それに伴い、国の社会保障の財源のうち“介護”にあたる費用も増加し、2018年度は約10兆円だった予算が、2025年度は15兆円、2040年度には約26兆円まで増える見通しだ。

今後も介護サービスの市場規模は拡大していくことは間違いないだろう。

そんな介護業界の大きな特徴は、市場規模が約14兆円と、飲食業界とほぼ同規模のサイズである。しかし驚くべきは、SOMPOケアを含む大手企業3社を合わせてもシェアは約3%に過ぎないという点だ。

「大手3社のシェアがたったの3%だけ?」と驚いた読者も多いかもしれない。そこには、業界特有の次のような背景があった。

鷲見介護市場には、社会福祉法人や医療法人の傘下で6万社に及ぶ介護事業者が存在しています。そして、その大半が1〜2事業所を運営する事業者なんです。このように裾野が広いのが介護業界の特徴となります。

その中で起きている課題としては、人材不足やノウハウ不足など、また、介護職員の高齢化といったものが挙げられます。

その他、光熱費や物価が高騰しても介護報酬は公定価格が決まっているため、サービス価格に上乗せができなかったりと、介護事業者にはさまざまな課題が取り巻いています。

実際、2000年に介護保険制度が確立し、介護サービスへの公的な支援が提供されるようになり、介護施設や事業所の数が増えた。

ところが、介護報酬の改定や慢性的な人材不足、コロナ禍の影響などの理由を背景に、倒産した企業は後を絶たない。つまり、そう簡単に事業を継続できる業界ではないというのだ。また、次の理由も介護事業の厳しさを物語っている。

鷲見先ほどもお伝えした通り、いくらテクノロジーが進んでも、介護の領域では人にしかできない業務がいくつもあります。そしてこれらは、なくなることはありません。

この点こそが、介護の魅力でもあるんです。「人とのコミュニケーションや高齢者の方たちが好きだ」、そう魅力を感じてこの世界に入られる人たちは多いです。

だからこそ、人に寄り添わず収益だけを追求してしまうと、どこかで行き詰まることが少なくない。それが介護業界の難しさだと思います。

介護サービスは成長産業として注目を集めている。しかし一方で、中小事業者は多くの課題を抱えており、事業を継続する難しさもある。

また、介護事業所が倒産した場合、利用者への影響も大きい。なぜなら、他の介護事業所に空きがなければ、次の施設・在宅サービスを活用したくてもすぐには実現できない可能性があるからだ。

そのため、介護を必要としているにもかかわらず、必要なサービスが受けられない。そういった深刻な事態は、他人事ではなく現実に起きているのだ。

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自社だけが利益を得たところで、日本の介護は変わらない

そんな課題が山積みの介護業界の中で、毎年、着実に売上を伸ばしているSOMPOケアだが、なぜそんなことが実現できるのだろうか。そこには2つの大きな理由があると鷲見氏は述べる。

それは、「介護サービスの豊富なラインナップ」と「データ活用の基盤」を構築している点だ。

鷲見まず1つ目は、我々は全国25都道府県で在宅系サービス(デイサービスやショートステイなど)から、施設系サービス(介護付きホーム・住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど)までフルラインナップで介護サービスを取り揃えている点です。

今挙げた事業は、それぞれ業態別ではなく、地域ごとで一体となって運営しているため、ご利用者さまやご家族の方のニーズに合った介護サービスが提供できることが強みになります。

例えば、ご自宅で訪問介護を受けられていた方が、要介護度が上がり、在宅ではなく介護付きホームへの入居を希望されたとしましょう。その場合、SOMPOケアはグループ内で情報共有しながら連携してご利用者さまをご支援できるため、我々にとってもメリットがあります。

鷲見そして2つ目は、介護のデータプラットフォームを構築している点です。我々は高度なデータ統合・解析技術を持つアメリカのパランティア社と協業し、全国8万人のご利用者さまの介護記録データと、約2万5,000人の職員が取得した現場のリアルデータを基盤にさまざまな手法で分析を行っています。

それにより、どのようなケアプランで、どのような介助・介入を行い、どのような食事をしたのか。その結果、介護度や認知症の症状は維持できたのか、改善したのか、それとも悪化したのか。事故に繋がったものはないか、などを解析し把握することができます。

加えて、さまざまな観点から「予兆把握」が一定程度できるようになり、事前に打ち手を講じられるようになってきていることが他社との差別化にもなっていますね。

豊富な介護サービス。そして、エビデンスに基づいた介護を実施することで、SOMPOケアではサービス品質を向上させ、同時に介護職員の負荷を軽減し生産性の向上に繋げることができたのだ。

しかし、鷲見氏は「自分たちの会社だけが良くなっても、日本の介護は変わらない」と強調する。

たしかに自社の事業がうまくいっても介護の根本的な社会課題は解決されない。なぜなら、前述の通り、他の介護事業者が倒産せざるを得ない事態になれば、既に深刻な人材不足が叫ばれる介護業界が、ますます逼迫した状況になってしまうからだ。

そこでSOMPOケアは、人手不足の課題や他業種からの参入で運営ノウハウがない介護事業者の課題に対しても、「持続的な事業運営に貢献していく使命がある」と考え、2020年4月にソリューション事業として他の介護事業者に自社ノウハウを提供する「ビジネスプロセスサポート」サービスを立ち上げている。

鷲見SOMPOケアでは、介護業界全体を支援するために、これまで培ってきた介護事業運営の仕組みやノウハウを全国の介護事業者のニーズに応じてワンストップで提供していきたいと考えています。

そしてそれが、介護事業者のみならず、介護サービスを受けるご利用者さまの貢献にも繋がると考えています。介護を担う方々の「支え手」としての役割を果たすことも目指していきたい。

実際に、同社は2023年からは『egaku』というデータプラットフォームの販売を通じて、データ活用サービスやデジタル化支援、コンサルティングサービスの提供も本格的にスタートさせた。

自ら介護サービスを提供する事業者としてテクノロジーを活用しながら、一方で知見やノウハウを他の介護事業者に提供していく。まさに、介護のDXを推進するSOMPOケアが“リーディングカンパニー”と呼ばれる所以である。

鷲見SOMPOケアの市場のシェアとしては1〜2%程度。かつ大手3社合わせても3%程度しかありません。

しかし、他社の介護事業者を含めて皆で業界を変えていこうと同じ気持ちを持てば日本は変えられるんじゃないか、そう私は信じています。

そのために我々から新たな価値を創り出し、日本を変えていくこと。その改革を我々は“令和維新”と呼んでいます。

自分たちで日本を変えていく──。

穏やかな口調で語る鷲見氏だが、その言葉からは大組織を束ねる経営者としての強い意志が感じられた。

そんな鷲見氏とは一体、どんな人物なのだろうか。次章では鷲見氏の人物像を掘り下げていきたい。

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「キッザニア出展」「SOMPO流 子ども食堂」
将来職業を選ぶ一つの選択肢に

鷲見氏は、1995年に安田火災(現:損保ジャパン)に入社。その後、損保ジャパンの新宿支社の支社長を務めていたが、2015年4月にSOMPOグループの介護事業立ち上げメンバーに選出され、介護現場へ出向している。

鷲見3月31日まで損保ジャパンの支社長として30人の仲間と一緒に仕事をしていて、翌4月1日には介護職員として仕事をスタートしました。現場の職員からすると「損保ジャパンから、介護のことを何も知らない人が一人でやってきたぞ」という感覚だったでしょう。

一方、私は当初スーツを脱いで出勤することが怖かったんですよ。

「この人、サラリーマンだったけど、クビにでもなったのかしら」という近所の目を気にしていました(笑)。今からすればお恥ずかしい話です。しかし、そんなプライドを捨てて介護の仕事に携わってみると、全く抵抗を感じることはありませんでした。

介護現場では、入浴や食事、排泄など、日常生活すべてをケアする仕事を実際に担っていました。

特に、入浴や排泄のケア、すなわち、この業界で「3K」と呼ばれる「きつい、汚い、危険」のある現場を、当然のように経験してきている。そんな中でも苦労したのが、「口腔ケア」だという。

鷲見口腔ケアを上手にこなせるようになるのが、とても難しくて。看護師さんに教わりながら自分でも試行錯誤を続け、ご利用者さまとも会話を重ねて、少しずつ上達していきました。

以前の仕事とは180度異なる努力が必要な現場でしたから、とにかく周りのみなさんから助けてもらった部分が大きいですね。

鷲見氏は介護職員を4ヶ月、管理者を4ヶ月経験している。介護の現場で最も印象に残っていることは何かと訊ねてみた。

鷲見初日に、あるご利用者さまから「お兄ちゃんいい靴履いているね」と褒められたんです。そして次の日も、また次の日も同じ話をされて。「なんで、私のこと覚えてくれないんだろう。こんなに楽しく会話をしているのに…」と思ったことを覚えています。

そして4日目になり、ようやくその理由が分かりました。その方は、認知症だったんです。

そこからはご利用者さまお一人おひとりの理解に務め、まずはご本人さまの言葉を尊重して、敬意を払うこと。そして自分のペースでコミュニケーションを取るのではなく、目の前のご利用者さまが喜ぶコミュニケーションとは何かをくみ取って接することを意識しました。

介護は、相手を正しく理解し、気持ちに寄り添うことが大事であり、それがこの仕事の奥深さでもあると改めて思い知りました。

その後、施設事業副本部長を3年、損保ジャパンの人事部長を3年経て、2022年4月にSOMPOケアの代表に就任した鷲見氏。「現場・現実・現物」を見るというスタイルを貫き、就任から1年2ヶ月ですでに1,800人の職員と対話を重ねているという。

それだけの人数と対話を重ね、今の介護現場の実態や課題を正確にキャッチしているからこそ、利用者や家族、そして同業者も含めステークホルダーにとって真に求められる価値提供ができているのだ。

そんな鷲見氏の率いるSOMPOケアが、新体制になって100日目に発表したのが 「SOMPOケア 未来へのチャレンジ」である。

SOMPOケアが成し遂げたいこととして

  1. 介護の供給力向上と需要の抑制
  2. SOMPOケアをもっと“働きがいを感じる”会社へ
  3. 未来の介護を創る

と3つ掲げているが、FastGrowとして取り上げたいのは、未来へのチャレンジとしてSOMPOケアが取り組む「キッザニアへの出展」と「SOMPO流 子ども食堂」だ。

鷲見介護職が「きつい」「汚い」「危険」と呼ばれていた従来の3Kから、「変えていく」「価値ある」「感動できる」の“New 3K”に変えていくためには、子どもたちが憧れる職業にしたいと考えました。

そこで試行錯誤する中、思い浮かんだのが子どもを対象とした職業・社会体験施設である「キッザニア東京」への出展でした。

実は以前、私の子どもがキッザニアでピザーラのピザショップを体験しました。それ以降、我が家ではどんなに他の商品が安くてもピザーラしか頼まないんですね(笑)。つまり、子どもたちにとって憧れる職業になるためには、いかに好奇心をかき立てられるか、愛情を持ってもらえるかが重要なのでしょう。

今の子どもたちは高齢者と一緒に住む機会がほとんどありません。そこでキッザニアの体験を通して、実際に高齢者の姿勢になって高齢者の気持ちを理解したり、睡眠センサーを使って呼吸や心拍数を確認したり。また、ベッドから車いすへの移動を介助し、キッザニアの街に出て車いすを押して歩く介助者の体験などをしてもらいます。

こうした職業体験を通じて、介護職に興味や関心を持つきっかけになれたらと考えています。

実際に介護の仕事に触れることで、介護の仕事に興味を持つ子どもたちが増えることが期待できそうだ。

介護の魅力を世の中に伝えるきっかけとして、同業の経営者たちからも多くの感謝の声が届いているのだそうだ。

鷲見一方、「SOMPO流 子ども食堂」は、全国にある高齢者施設で、ご利用者さまと子どもたちとの世代を超えた交流の場として2022年11月にスタートしました。

子どもたちとの触れ合いを通じて、ご利用者さまに活力と笑顔をもたらしたい。合わせて、子ども食堂の本来の目的である「孤食*」や「貧困の連鎖」という大きな社会課題の解決に、しっかり繋げていきたいと考えています。

*家族が不在の食卓で、一人きりで食事をしている状態

2023年6月時点でおよそ6,500名以上の子どもたちが参加してくれました。例えば、今後、毎月5,000人の子どもたちが参加されるようになると1年で延べ6万人、10年続ければ延べ60万人に達します。そして大人になったときに、介護の道を選ぶ将来の仲間が増えてくれたら、うれしいですよね。

介護の魅力を世の中に広めること。それは介護の仕事に理解を深めてもらえる一歩となるだろう。

そして子どもたちが大人になったときに、介護福祉士はもちろん、介護DX企業のマーケターやセールス、エンジニアといった職業を選ぶ人たちも同時に増えていけば、介護業界の未来は大きく変わるはずだ。

将来の介護業界に向けた施策として鷲見氏の視座の高さが明確に感じられるエピソードではないだろうか。

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事業リーダーを目指し、門を叩く若手が続々と集結

そんな鷲見氏が率いるSOMPOケアはどんな組織なのだろうか?ここまで読み進めると、SOMPOケアは介護業界の変革に導くリーディングカンパニーであることがよく伝わってくる。

実際、そうした環境に魅力を感じて、「将来、起業家を目指したい」「業界の変革に携わりたい」という志を持って入社を決める人も少なくないという。

鷲見介護業界と言うと、人を支えることができるタイプの人が多いイメージだと思います。当然、「人を支える仕事がしたい」という想いで入社する人たちも多くいます。しかし今は、「自らがチャレンジをして周りを引っ張っていきたい」というリーダーシップのある人たちも増えてきていますね。

また、組織カルチャーとして一貫して言えることは、一人ひとりがプロフェッショナルとしての自覚を持っていることです。

特に、現場では「介護の世界を変えていこう」「未来に向けて新しいチャレンジをしていこう」という会話が自然となされているほど。志の高さがうかがえます。

SOMPOケアでは、「人間尊重=人を大切にすること」を経営理念に掲げ、確かな専門性と豊かな心の態度を持って、利用者の生活を支える人材を真のプロフェッショナルとして定義している。

そして、プロフェッショナルを体現する存在として全国の介護職員の中から選ばれるのが「介護プライドマイスター」だ。

介護職員としての専門性や成長に、より誇りを持てる環境を創出するためにつくられたこの制度。介護に関する知識・技術に長けていることはもちろん、人に対する優しさとその気持ちを表に出して行動に移せる「人間力(人間性+行動力)」の高い人材に贈られるのが特徴だ。

2020年に創設された介護プライドマイスターは、レポートやグループディスカッション、役員面談などの厳しい選考を経て任命される。

鷲見2023年4月現在、約15,000名の中から130名が介護プライドマイスターに任命されています。その中には20代の方も選出されていますね。

彼ら彼女らは、日頃から向上心を持って、介護技術や知識、接遇などの勉強を欠かさず、周りの介護職員たちにもいい影響を与えてくれる存在です。

また、これまでの介護だけでなく、テクノロジーを活用した未来の介護も熱心に勉強し、取り組んでいますね。

まさに組織としてプロフェッショナルなカルチャーが根付いており、ビジネスパーソンとして人間力を高められる成長環境だということだ。

また、育成環境が充実しているのもSOMPOケアの特徴だ。企業内大学「SOMPOケア ユニバーシティ」(参考)では、介護現場を忠実に再現した環境で実技や理論を学ぶことができるようになっている。さらに2023年7月にはオンラインキャンパスを開講した。

鷲見オンライン上で介護やマネジメントの講座だけでなく、DXをはじめとした専門講座や、少人数で集中的にアウトプットを追求するゼミナールなど、自身のスキルと関心に合わせて、場所を選ばずに多種多様な学びができるようになっています。

「将来、起業家になりたい」「業界の変革に携わりたい」そういった想いでSOMPOケアに入社する人たちが増えている。

同社はそんな期待に応えるようなリーダーシップが発揮できる成長環境はもちろん、一人ひとりの育成にも力を入れている。プロフェッショナルを深めたい人にとっては最適な環境だ。

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介護とは、ご利用者さまの「人生の最期」に彩りを添える仕事だ

ここまで介護市場の現状やDXの余地、SOMPOケアの優位性やユニークな施策を見てきた。業界の変革をリードするSOMPOケアでチャレンジしてみたいと感じる読者もいるのではないだろうか。

あらためて、今、SOMPOケアに参画した場合にはどんな面白さがあるのだろうか。

鷲見我々が目指す未来は、介護人材の需給ギャップを埋める挑戦なんです。

超高齢社会の日本が抱える社会課題を解決するために、テクノロジーを活用していく。それは単なる「改善」ではなく、「改革」をしなければなりません。大きな勝負どころです。そのためには既存の常識を疑って、新しいことを始める必要があります。

そして、やり方次第で介護業界はまだまだ変わっていける。業界変革のど真ん中に携われる魅力はすごく大きいと思いますね。

特にデジタルを活用した新たな分野は、若い人たちの感性を必要としています。会社としても新たな事業やチャレンジできる環境を提供していきますので、どんどん手を挙げてほしいですね。

一方で、介護にはテクノロジーに取って代わることはできない「人」の部分がある。当然、介護現場においては生死に関わるような過酷な場面もあるだろう。介護業界に入る上で、どのような覚悟を持ち合わせていればいいのだろうか。

鷲見介護という仕事は、ご利用者さまの人生の最期に彩りを添える仕事だと思っています。

今後、テクノロジーの導入で、肉体的な労働はどんどん軽減されていくと思います。しかし、24時間365日、ご利用者さまの生活を支えていくといった本質は変わりません。

テクノロジーの恩恵も受けつつ、どうご利用者様と寄り添っていくか。そこが最も大変な部分であり、やりがいに繋がる部分でもあるんです。ともすれば、自分の親よりも長く、ご利用者さまの人生の最期に寄り添っていくことになる。そこに取り組む覚悟を持てるかどうかが、最も重要なのではないでしょうか。

テクノロジーによる変革は他の産業でも経験することができるが、事業を通じて人の人生に深く関わり、寄り添うことができる領域は限られる。

それこそがSOMPOケアで働く魅力だ。最後にSOMPOケアが目指す未来を伺った。

鷲見我々は、「SOMPOの介護が日本の介護を変える。そして、日本の未来を創る。」を掲げ、国や自治体、医療機関とも連携しながら、「ご利用者さま」「職員」「未来社会」の三方良しの実現を目指しています。

それには介護業界全体の底上げを図る必要がある。そしてこの国を変えるのは我々なんだという強い自負を持って臨んでいます。

同じように日本の未来を創ることに使命感を持って行動を起こせる人、組織や全社視点で物事を捉えて、自分ごととして積極的に関与できる人と一緒に介護の未来を変えていきたいですね。

テクノロジードリブンで介護業界の変革を進めるSOMPOケア。いかに多くの介護事業者を巻き込み、テクノロジーを活用して業界全体で介護人材の需給ギャップを埋められるかがカギになる。業界をリードし続けるSOMPOケアの今後の動きにも注目をしていきたい。

こちらの記事は2023年07月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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