【73社を分析】若手経営人材の採用・抜擢の仕掛けに、トレンドはあるか?──20〜30代幹部を輩出しているベンチャー・スタートアップリスト【Vol.1】
「将来は会社の経営を担いたい」「せっかくベンチャー/スタートアップで働くなら経営に関われる仕事がしたい」。そうした言葉は、ベンチャーやスタートアップで働くビジネスパーソンにとって、魅力的なキャリア目標の一つであり続けているのではないでしょうか。
特に成長著しいベンチャー・スタートアップ界隈では、20代、30代の若きタレントがCxOや事業責任者、BizDevやPdMなど、経営や事業成長へのインパクトが大きい役割を担うべく抜擢される事例が相次いでいます。
しかし「どの会社が若手経営人材の採用や育成・抜擢に注力しているのか、外部からはわかりづらい」というビジネスパーソンの声があるのも事実。
そこでFastGrowでは、「若手経営人材」を社内で育み、抜擢していくことに注力している企業、73社の協力を得て、企業リストを一挙公開。
上場企業から未上場ベンチャーを含む73社を徹底分析し、その採用・育成・抜擢の「仕掛け」に隠された共通トレンドを洗い出します。
「ベンチャーは育成の仕組みが整っていない」「経営人材になれるかは運や本人の才能次第」といったイメージを未だに持つ人もいるかもしれませんが、本特集を読み進めれば、その認識は払拭されるはずです。
※同調査の第二弾も実施しております。リサーチへのご協力、次回の企業リストへの掲載希望の企業様はこちらの応募フォームをご記入ください。
注釈)FastGrowが定義する「若手経営人材」とは、以下のようなものである。
定義:取締役やCxO、執行役員、事業責任者、事業開発(BizDev)、PdMなど、将来自社の経営を担うことを期待されている20代~30代前半の人材
※肩書きを持っていなくとも、役割として担っている方も含む。
若手経営人材の採用、育成・抜擢に積極的な理由は4つに大別
若手経営人材候補となりうる社員の採用、育成・抜擢に力を入れる理由は、大きくは以下の4パターンに分類された。
- 企業ビジョンとして「マフィア輩出」(経営人材の輩出)を謳っているから
代表の徳重氏も「テラ道場」と評し、長期インターン生にも国内外の海外拠点立ち上げ等を任せることで有名なTerra Charge、「良い景気を作ろう。」がミッションのログラスでは、企業ビジョンとして若手経営人材の輩出を大切にしているという。 - AIや新技術はじめ、変化が激しいマーケット環境への対応力・柔軟性があるから
- 数十年、数百年先を見据えたビジョン実現のため
新規事業創造や新会社設立、M&Aの積極化による未来の経営ポジションの増加に備えるため、早期に若手経営人材育成のための制度を整えているベンチャーやスタートアップも増加している。また、ラクスルやSmartHRのように、創業者が創業企業の代表の職を譲る(別の人に引き継ぐ)事例もスタートアップで増加しているため、「創業初期から経営陣のサクセッションプランを用意している」、「現役員やマネジャーにも1〜2年程度のサクセッションプランを描いてもらい、本人にも別メンバーにも機会創出を促している」という意見も少なからず見られた。 - そもそも、実力主義なので年齢を気にしていない(若手抜擢は結果論である)
回答企業のうち11社(約15%)が、採用・抜擢する理由に「年齢は関係ない」「実力主義のため」と明記されていた。(キャディ、プレイド、SALESCORE、アトラエ、Asobica、カミナシ、ファンズ、L&E Group、miive、CloudLink、ベースフード)
今回のアンケート回答に明記こそしていないが「実力主義は当然の前提」という回答企業も多いであろうから、「若手経営人材を増やしたい」という経営意図よりも先に、「年齢など関係ない、実力主義だ」と考えているのは、やはりベンチャー・スタートアップでは大半に上るだろう。
採用時の年次は20代後半が最多、次いで新卒
各社の若手経営人材がどの年齢・年次でその会社に入社したのか?(複数回答可)を問うたところ、「20代後半」の回答が最多(62%)となった。
意外かもしれないが、次いで回答率が多かったのは「新卒入社」(56%)であった。
前項の設問と関連するが、「実力主義なのに新卒採用しないのはもったいないのではないか?という意見がでたので採用してみたら結果的に経営を担っている」という意見であったり、「創業から振り返ると結果的に経営メンバーはほとんど新卒入社メンバーだったから(長期インターンからそのまま入社した社員を含む)」といった分析がなされているため積極的に長期インターン生や新卒採用を強化しているベンチャー・スタートアップもあった。(Hajimari、SAKIYOMI、Terra Chargeなど)

育成の重点施策1位は「経営陣との1on1」。経営人材育成プログラム、人材戦略会議を設ける企業も増加中か?
育成のための重点施策でいうと、「経営陣との定期的な1on1」、「新規事業立ち上げへの関与」が最多(78%)であった。その他上位には、採用活動や育成自体にオーナーシップをもってもらう施策(重要な採用面接へのアサイン、採用活動・オンボーディングプロセス主導)が上がった。
ここまでは想定どおりかもしれないが、今回注目すべきは「経営人材育成プログラム」や「経営人材としての育成対象者を選抜する会議」などの施策を取り入れている企業も、無視できないほど(6社、約8%)に見られた点だ。
ベンチャーやスタートアップは育成の仕組みが整っていない、経営人材になれるかどうかは本人の才能や努力次第、というイメージは、エコシステムの進化と発展によって払拭されてきているのではないだろうか?
企業名(50音順) | 導入制度 |
---|---|
AnyMind Group | AnyMind Leadership Program →経営課題の発見と解消 |
IVRy | 次世代リーダー育成プログラム →代表が事業責任者としての知識を共有する講座 タレントマネジメント会議 →経営人材候補含む、社員個人の育成プランを明確化 |
Shippio | サクセッションプラン策定 →育成対象者の選定と期待ポジションへの着任スケジュールやプランの明確化 |
U-NEXT HOLDINGS | 次期経営幹部候補育成の社内プログラムの体系化 |
オープンエイト | ゼロハチボードメンバー制度 →選抜者がボードメンバーとして経営に参画 |
ファンズ | 人材戦略会議 →次期マネジメント候補者の選定や育成プランの検討 |

一挙公開!若手経営人材を目指すなら、この企業たちに注目しよう(全73社)
最後に、今回の調査に協力いただいた「若手経営人材の採用や育成・抜擢」に注力しているベンチャー・スタートアップの一覧を公開しよう。(企業名50音順)
このリサーチや企業リストが、将来の「若手経営人材」の増加に貢献できれば嬉しい限りである。
※同調査の第二弾も実施しております。リサーチへのご協力、次回の企業リストへの掲載希望の企業様はこちらの応募フォームをご記入ください。

こちらの記事は2025年10月08日に公開しており、
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