グロースの前に、「知的探究」を突き詰めるべき理由──25歳で年商40億円達成の起業家・勝俣の思想から学ぶ

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インタビュイー
勝俣 篤志

1997年1月生まれ。学生時代から起業に関心があり、高校時代から複数のWEBサービスを個人で立ち上げ、収益化に至る。東京大学では起業サークルに所属し、OBである金田卓也氏と出会ったことをきっかけに2017年、アルゴリズムを共同創業した。

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創業から4年で年商40億円にまで成長したアルゴリズム。そのミッションとして、体現することを日々こだわっているのが「知的探究心」だ。ビジネスでもスポーツでも、「熱中している者たち」こそが最高の成果を残すとの持論を徹底して追究し、事業や組織に活かそうとしている。

そのアルゴリズムを率いるのが若干25歳の勝俣篤志氏。地方のサラリーマン家庭に育ち、進学校から東京大学に進学するもほどなくして中退。在学中に起業サークルで出会った現取締役副社長の金田卓也氏と一緒にアルゴリズムを起業するが……。聞けば、幼少期からさまざまなコミュニティに属して人を観察して、「どうすればいいのか?」を考えてきた。その延長線上で、まさに今、経営者としての進化の途上にある。

若さと勢いだけで事業を拡大させてきた、というわけではない。勝俣氏の根っこにあるのは、「本当に?」と疑いたくなるような、純粋すぎる“好奇心”だ。人一倍、いや、百倍も一万倍も強いその“好奇心”が、アルゴリズムという急成長スタートアップをかたちづくってきた。そんなことが可能なのだろうか?ユニークな思想と言動を、これまでの経歴から紐解き、非連続的な事業創造と組織開発に必要なマインドを探る。

  • TEXT BY SATORU UENO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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「何物にも囚われない」。
それは“価値観のサラダボウル”が生んだ

「知的探究心で、新しい仕組みを」などと掲げる会社は、珍しい。資本主義社会を生きる企業のミッションというよりも、教育を生業とする集団のようにも感じる。なぜ、代表の勝俣氏は知的探究心が重要だと、ひたすらこだわっているのか。それを探っていこう。

小学校時代の勝俣氏は、読書家の一面を持っていた。ノーベル物理学賞を受賞した学者リチャード・P・ファインマンの回顧録である『ご冗談でしょう ファインマンさん』(岩波現代文庫刊)や、科学に関する書籍をよく読む少年だった。だが“読んで満足”ではなく、行動が常に伴っていた。

勝俣僕は小学校3年生まで宮崎県の田舎で過ごします。本もけっこう読みましたけど、砂場で実験したり、川で遊んだり……という記憶も色濃いですね。

本で読んだことを、いろいろと実際に試してみようとしていたと思います。今やっていることと似ている感じがしますね。

これが今につながる、一つの原体験だ。そしてもう一つ、「属するコミュニティの変遷」も印象的だと振り返る。

勝俣親が大手保険会社に勤めていて、全国転勤がありました。小学校5年生で大阪に移り、小学校6年生から高校までは広島県に住んでいたんです。

この生まれてから十数年の間に、いろいろなコミュニティを経験しました。

宮崎の田舎のコミュニティは、受験をするような友達がぜんぜん居なかった。その反面、大阪では小学校から中学受験しようとする人がまわりに多かった。広島で通った公立中学は地元出身者が多くて、でもその後に入った高校はほとんど校則がない自由な校風の進学校で。

多様性というほどではないかもしれませんが、さまざまな価値観を持つ人たちを間近に見てきました。昔から、自分とは異なるタイプの人とでもうまい距離感を保って関係性を取ることを、無意識的にしていましたね。まわりからは「変わったモノや変わった人が好きなんだね」と言われたこともあります。

今、アルゴリズムではさまざまなバックグラウンドを持つ若手を、採用したり育成したりしようとしている。その中でも、勝俣氏のこうした原体験がところどころ顔を出している。

勝俣僕自身も大学受験に一度失敗して浪人していますし、その後大学も中退していますからね。ある意味いつも“横道”にそれてきたので、学生のうちに「案外、“横道”にそれても幸せに生きている人がいるんだ」という発見があったのは大きな体験でした。

よく「大学受験に失敗したらおしまいだ……」「就活は絶対失敗できない……」という人がいますが、実際は全然そんな事なくて。浪人生は予備校でそれはそれで楽しくやっていますし、就活をせず大学をやめた友達もそれぞれの道で挑戦している人はたくさんいます。

今、当社でも、多様な経験を持つ人が活躍できるような仕組みをどんどんつくろうとしています。前職のメガベンチャーで埋もれていた人がうちでは事業責任者になっている例もあります。

代表として組織を引っ張る勝俣氏の考えの根底にあるのは、「何物にも囚われないこと」なのだ。

勝俣自分の中でできる限り、固定観念に囚われないようにしています。

父親が務めていた企業は、最近も就活の人気ランキングの上位に入り続けています。でもそんな父から「サラリーマンにならなくていい」と言われて育ってきたのがけっこう大きな影響を与えているかもしれません。

母も、僕の「中退して起業する」という報告に、反対することはありませんでした。母方の祖父が昔会社を経営していたからか、「自分が後悔しないんだったらいいんじゃない?」と言われましたね(笑)。

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全く想像できないから組んだ。
“着実な成長”という固定観念を壊した金田氏との出会い

大学での勉強は続けることなく、中退という道を選んだ勝俣氏。だが、高校時代から続けていた事業を運営するかたわらで、東大起業サークルTNKにはよく出入りし、活動していた。

勝俣勉強会に参加したり、先輩たちの雑用みたいな感じでいろいろな仕事を手伝ったりしていましたね。

ある先輩が起業するときに「○○の事業について調査をお願いできる?」とお願いされたりするような関係性でした。当時のメンバーには、サイバーセキュリティ事業を創業した先輩や、京都にホテルを作った人なんかがまわりにいました。

起業したものの半分パチンコで食いつないでいる人もいますね(笑)。

そうした活動がきっかけで、創業メンバーにも出会いましたし、今の事業にもつながっていると思います。

そんな中でも勝俣氏が惹かれたのが、現取締役副社長である金田卓也氏だ。たまたま紹介で出会っただけだったが、その初対面時に交わした事業に関する会話が、勝俣氏の目を開かせた。

勝俣金田さんって、話せば話すほど変わった人だなと思います。すごく落ち着いているときもあるし、すごく極端な考え方をしているときもある。それが面白いんですよね。彼といると「この先どうなるんだろう?」と想像がつかない感覚があります。

もともと自分一人で行っていたメディア事業を、在学中もそれなりに続けていました。別に大きな目標があったわけではありませんが、収益は上がっていた。

でも、金田さんと会って、この事業の話をすると、「あのメディアをこれぐらいの予算で買収して、こんな風に成長させるのはどう?」と、思いもよらない話をされたんです。直感的に「これは絶対に面白い!今すぐ試してみたい!」と思ったんですよね。

勝俣氏は、金田氏について「現状を否定して、全く新しいものをつくっていくタイプ」と表現する。自分にないものを持ち、自分の想像もつかないようなところへの道を見せてくれる。共同創業のかたちになれば絶対に面白い。そう奮い立った。

勝俣僕は当時、連続的で着実な成長しか考えることができていませんでした。ですが金田さんは全く違う。「破壊と創造がないと、次のステージには進めない」ということを学ばせてくれました。

理解が及ばないことも少なくはありませんでしたし、最近もそうです(笑)。でも同時に、この金田さんを理解しきって一緒に走っていく人は、あまりいないだろうとも感じました。経験値から来るロジックが脳内にあり、見た瞬間に答えを出していることも多い。そこを言語化せずに走る部分もあるんです。一方であまりのエネルギーに周りの人がついて行けなくなることもあります。

だから、そのエネルギーを経営に転換する役割を僕が担おうと。それをやることで、僕自身も、企業自体も、次のステージに進めるのではないかと感じたわけです。

この直感を信じて突き進んだ結果、創業から4年で年商40億円の規模にまで企業を成長させた(その詳細はこちらの記事で)。

当初こそ、連続起業家である金田氏になんとか食らいつく日々だったと振り返る。その中で、どのように自身を成長させてきたのか。“経営者・勝俣氏”の最大の強みである「人並外れた好奇心」に、ここからは迫っていく。

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組織崩壊に阻まれた上場への道。
それでも「好奇心」が諦めることを許さない

目下取り組んでいるのが、アルゴリズムという会社自体の組織づくりだ。一度は上場を目指したものの、組織崩壊による断念という挫折を経験している。

勝俣この時の組織としての失敗は、僕なりに言語化できています。

まずそもそも、組織の共通の価値観が定まっていないままでメンバーを集めてしまっていた。トップである僕と金田さんが、ちゃんと方針を指し示せない状態だったんです。だからメンバーのみんなも、どっちを見ていいかわからなくなっていた。

会社全体の価値観とは異なる形で、それぞれの事業の方向性が固まってしまい、組織が二分されている状況だったんです。

マネジメントも育成もほとんど機能しない状態で採用だけ進めても、崩壊に向けて歩みを進めているだけですよね(笑)。今思えば当然ともいえるこんな状態でした。

そして、「上場する」という目標が非現実的なものだとわかった瞬間に、スタートアップとしてのモメンタムがなくなり、一気に崩壊したと理解しています。

淡々と語る勝俣氏。実は今、好奇心、言い換えるなら知的探究心の対象はとにかく「経営と組織」だ。もちろん事業創造も探究の対象だが、そのほとんどは金田氏やほかのメンバーに任せ、勝俣氏はひたすら「経営と組織」について突き詰めている。

それが本格的に始まったタイミングといえるのが、この組織崩壊という挫折だった。

勝俣創業当時の事業は、金田さんと二人三脚で始めて、しばらく順調でした。でも組織はうまくいかなかった。それは、僕だけでなく金田さんにも、この方面の経験が絶対的に足りていなかったから。

ですが、この失敗から多くを学び、今後に活かしていこうとすぐに捉えなおし、ここまで進んでこれました。

前回の記事でも紹介した、「知的探究心」というミッションの言語化と、挑戦環境の整備がこれまでのメインです。でもこれだけで終わらず、非連続的な成長をさらに実現していくための経営と組織のあり方を、引き続き探究していっています。

「挫折や失敗から学ぼう」とはよく言われるもの。スタートアップパーソンならば、今や常識とすら感じるだろう。だがもちろん、同じ挫折や失敗の経験をしたとしても、そこから得る学びの大きさや、実際に進める改善の幅の大きさは、人によって大きく異なる。

特に組織づくりは、失敗を何度も繰り返してしまう人もいるような、難しい課題だ。それを勝俣氏は、たった1回の失敗から学びを最大化させて、事業の急成長につなげたのだ。

まじめで、ストイック。そんな見方もできるだろう。と言っても勝俣氏は、カタくて意地っ張りな性格では決してなく、むしろ非常に柔軟で物腰柔らかな若者だ。ストイックというよりもむしろ、自由という言葉が似合う。ここからは、この自由な事業創造と組織づくりを進める秘訣を聞いていきたい。

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逆算?確かに大事。
でも最初の一歩は「これがやりたい!」という好奇心ドリブンで行こう

学生起業からここまで、失敗に心折れることなく挑戦を続けてきた勝俣氏を支えたのが、他でもない「強い好奇心」だ。「自由なスタイル」を支えているのは、この「強い好奇心」なのだ。だが一体、何がここまで勝俣氏を突き動かしているのだろうか。

勝俣僕が抱いている好奇心は、「こうならなければいけない」を否定するものです。常に「こうなったらきっと面白い」という感覚を大事にして、その実現に向けたチャレンジを気が付けば自然と始めている感じです。

もちろん経営や事業では、ゴールから逆算して考えることも必要ですし、ときには運も必要ですが……。でも最初の第一歩は「これがやりたい!」「こうあるべきだ!」「こうだったら面白い!」といった好奇心ドリブンでいいと思うんです。ミッションに掲げている知的探究心も、こんなニュアンスで考えています。

「上場できなかったら意味がない」「成長できなければ意味がない」といった考え方もあるとは思いますが、そう考えている時点で、何かに囚われている。事業がうまくいかなくても、うまくいっても、同じように学びはあり、どうなったってプラスなはず。

あっけらかんと話し続けるのだが、誰もがこう整理し学びを得て、次の打ち手を進めることができれば、何も苦労しない。ビジネスの世界は、きれいごとだけでうまくいくわけではないはずだ。ところが勝俣氏はあくまで、ひたすらピュアに向き合い続ける。

勝俣最近気づいたのは、ある意味で「リスクに対する許容度が高い」とよく言われるということですね。誤解を恐れずに言えば、「借金1億円背負ったとしても、死ぬわけではないし、またやればいい」みたいな感覚です。

単純な好奇心だけでは確かに、いざ実行に移そうという際にリスクを考えて踏みとどまってしまうのが自然な流れだと思います。ただ、どうやら僕はここが鈍いらしく(笑)。

なにか競合の事業を全部を出し抜くという仮説を考えついたら、やってみたらどうなるんだろうと思ってやり切りたくなってしまうんです。

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「知的探究心」は常に根底に、伴う“事業成長”という責務

ここまで、自由さや自然体といった勝俣氏の個性に触れながら、起業家あるいは経営者の成長を追って見てきた。大きな失敗も経験しつつ、的確な対応で成果を残し続けた、そんなイメージを持つ読者が多いだろうか。

それも間違ってはいないのだが、また少し違った表現もできる。勝俣氏の抱える課題感を最後に深掘りしていきたい。

勝俣これまでの事業は、やはり勢いを大事にしながらやってきました。でもこれからは、勢いだけではいけない。そういう焦燥感もけっこう強く持っています。

「知的探究」という、一見ビジネスの成功と距離のありそうなことを掲げているからこそ、事業成長という成果を生み出し続けることは重要です。いまのメンバーはみな、この考え方である程度目線が合っていますが、組織が拡大しても、変わらず合っていくようにしたい。そのための基盤を整備するための探究に、リソースを注いでいます。

会社って、事業をやればいいわけじゃないですよね。「人の集まり」だと捉えることが不可欠だなと最近は考えています。ですから、自社に合った人たちを集め続け、上手くやり続けるために、どうすればいいのかをずっとずっと思考しているんです。すると、経営の課題は自然と「いかにして、この社会をより良いものにしていくのか?」に繋がってくると思うのです。

「組織や経営を極めました。何回やってもうまく行きます!」という状態はありえない。受験勉強の問題を解くのとはわけが違います。ネットで検索すれば「会社の作り方」は出てきますが、自社の組織を間違いなく運営していける方法までは出てこない。その一方で現場では、無理難題が出てくるし、そのフェーズに応じて自分が経営しているからこその課題が出てくる。ただ、このことが本当に楽しいですね。

課題感を聞いても、楽しげに語り、結局「楽しい」と結ぶ。それが勝俣氏だ。と言っても成果に対して軽い気持ちでいるわけではなく、「事業成長を生み出し続ける」という決意の固さも印象的だ。

勝俣「会社を大きくしたい」ということも考えていますが、それよりも「この社会って、どうあるべきだっけ?」ということのほうが、自然と考えていますね。好奇心が向く対象として、より深い課題だから、解き甲斐があるということでしょうか。

もちろん、これが目的化してしまうと良くないのかもしれないので、やはり常に「固定観念や既成概念に囚われていないか?」と問い続けることが不可欠ですね。だからこそ、「知的探究心」が常に根っこにあることには、こだわり続けたい。

これも「誤解を恐れずに」という話ですが、金田さんは「生きるか死ぬか」という瀬戸際を何度も経験してきたという点で、僕にないものを明らかに持っています。そういう存在を知的探究の対象とすることで得られるものはたくさんあり、僕だけでなくほかのメンバーも大いに刺激と学びを受けています。

反対に、金田さんとは全く異なる僕という人間が知的探究心の対象となることだってあるはず。メンバーの中にはむしろ、僕という存在から刺激や学びを受ける人も少なからずいるでしょう。そして僕自身、金田さんだけでなく、ほかのメンバー全員から、刺激と学びを受けています。

そういう「学び合い、刺激し合い、知的に探究し続ける集団」として、事業を創造したり、成長させたり、より大きな企業になったり、といったことを実現していきたい。明らかに、アルゴリズムにしかできないことだと思います。少しでも共感を覚える人がいれば、ぜひ話をしてみたいです。

「これから間違いなく伸びるであろうスタートアップ」を探している若者が、さらに増えているように感じる昨今。そんな時代にあって、アルゴリズムという会社の代表を務める勝俣氏からは、全く異なる世界に生きているような印象を抱かされた。

達観しているような、でもむしろとにかくピュアとも言えるような、そんな稀有な弱冠25歳の経営者が、これからどんな未来を作っていくのか。近くで見続けるチャンスを得ることができるのは、まさに今だけかもしれない。

こちらの記事は2022年08月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

上野 智

写真

藤田 慎一郎

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