「ファンド・オブ・ファンズでリターンを最大化させる」
20代投資家が描く世界的ファンドへの成長戦略
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国内史上最年少、気鋭の投資家・笠井レオ氏。
当時22歳でVCファンド「IF Angel」を設立、わずか17ヶ月でファンド全額を回収し、高いリターンを叩き出した同氏は、クルーズ社が大型LP出資を発表したSevenwoods Investment 1号ファンドの代表パートナーに就任。
同じくVC業界において経験、実績ともに定評の高い馬場嵜聡氏と共に、VC及びファンド・オブ・ファンズ投資事業を始めることになった。
しかも、クルーズは先日発表した「CROOZ永久進化構想」に則り、彼らが設立したSevenwoods Investmentに投資者として資金提供を行うのみで、意思決定や投資活動は笠井氏・馬場嵜氏の両名が単独で行う。
果たして、なぜ彼らはクルーズと一緒にファンドを始めることに決めたのか。
※記事最後に、【7/18開催】FastGrow限定 笠井氏・馬場嵜氏との特別Meetupのお知らせがあります。(こちらの開催は終了しております)
- TEXT BY TOMOMI TAMURA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
起業の失敗経験を経て、最年少ファンドマネジャーへ
まずは、これまでのお二人の歩みについて、お話いただけますか。
笠井僕は19歳で大学を中退し、最初の起業をしました。だけど、結果的に失敗だったんです。
展開した事業は本の口コミサイトでしたが、そもそも本を検索する人は購買意欲が高いから直接Amazonや楽天など、購入できるサイトを閲覧する。だから、僕がどれだけ頑張って記事を書いても誰も読んでくれず、うまくいきませんでした。
この経験から学んだことは、自分が何をやりたいのかよりも、中長期的に成長し、且つ変化のあるマーケットと事業を選んで起業すべきということ。
マーケットと事業を決めた時点で、いつまでに・どのくらいの規模の企業に成長できるのか、という企業のその行く末は、99%決まるという実体験を得ました。
創業者やメンバーがどれだけ優秀で、どれだけ頑張っても、マーケットとビジネスモデル選定がイマイチだと大きく急成長できない、ということですね。
その会社の代表として2年3ヶ月走り続けた後、会社を清算し、もう一度起業しようと考えていたタイミングで、出資してもらっていたインキュベイトファンドにお声がけいただき、VCのアソシエイトに転身しました。主に若手起業家の発掘を担当して、国内外のさまざまな業界をひたすら調べる日々が始まりました。
それから約1年後、22歳のときにVCファンド「IF Angel」を創業。日本で一番若いファンドマネジャーになりました。
なぜ独立を選んだのかというと、投資の意思決定をするのはアソシエイトではなくファンドマネジャーだからです。
自分がリスクテイクして投資の意思決定をする立場にならないと、これ以上の成長はないと思い、自分のファンドを持つという選択をしました。

笠井IF Angelでは、20代若手起業家の会社創業期、いわゆるシードフェーズに投資を行なった結果、運用開始17ヶ月でファンド全額回収に成功。
一般的にファンドの回収には早くても5〜6年かかると言われていますが、僕の場合は起業家の創業前、事業内容を考えるタイミングから創業メンバーと一緒にコミットし、投資回収の早い事業モデルと中長期的に時間をかけて大きく成長させる事業モデルにバランスよく丁寧に仕込んだため、短期間での回収に成功し、且つファンドとしても大きな含み益をもたらすことができたのだと思います。
かなり“ステルス”で、とにかく投資を成功させることだけに集中していました。
当時から変わらない僕の投資スタイルは、人ではなく事業に投資する、というもの。最初の起業の失敗経験を生かして、成功するマーケットとビジネスモデルを自ら選び、創業前の友人や同世代の起業家候補と、一緒に事業を作り上げていくスタイルです。
しかも、結果が出るまでメディアにもカンファレンスにも出ないし、投資先も公開せず、外部の方からの意見や批判を徹底して排除する。その結果、IF Angelは1号ファンドとしては国内稀にみる高いパフォーマンスを短期間で出すことに成功しました。
そして、次のファンドを組成しようと思ったタイミングで出会ったのがクルーズでした。
インキュベイトファンドで確立した“起業家予備軍”を巻き込む投資スタイル
一方、馬場嵜さんは、これまでどんなことを考えながら歩まれてきたのでしょうか。
馬場嵜僕は東京大学の学生時代、起業サークルTNKに所属していました。
同サークルの先輩にGunosyの福島さんがいるのですが、元々未踏エンジニア3名で創業したGunosyは、連続起業家の木村新司さん(現・AnyPay株式会社 取締役会長)が投資家として経営に参画した後、事業としても組織としても急速にグロースしたと評判でした。
投資家は単なる資金提供者だと思っていた私はこれに衝撃を受け、もともと起業家を目指していましたが、いずれは投資家の立場で、事業をハンズオンで支援してグロースすることのできる存在になりたいと考えるように変わっていったんです。
学生時代に個人事業の延長でプチ起業をしていたものの、まずは事業や組織の作り方を学ぶべきと考え、新卒ではリクルートに入社。経営企画部に配属され、Quipperや受験サプリ(現・スタディサプリ)といった新規事業の統括を担当しました。
リクルートには新規事業のノウハウがたくさんあり、リクルート式の事業の作り方を学べた一方で、ヒトもカネもある状態ではなく、ゼロイチで新規事業を立ち上げる経験をしたいと思うようになっていきました。
そこで、日本屈指のシードVCであるインキュベイトファンドへ参画。パートナー直下のアソシエイトとして、投資先の支援、新規投資先のリサーチ・発掘等の実務を行ない、VC・投資家としてのマインドセットとノウハウを学びました。
ここで培ったのは、VCとして今うまく行きかけている会社を目利きするのではなく、投資家も起業家と一緒になって事業プランをつくり込み、創業前の起業家候補人材を巻き込みながら、創業フェーズで出資する投資スタイルです。
前職で業務をひと回しして何かやりきった経験のある人や、特定領域に知見があって、その業界構造をディスラプトしようとしている若手で、これから起業したいと考えている人などを積極的に巻き込み、事業構想を練ったりしていました。

お二人は、インキュベイトファンドで同僚になったのですね。
笠井そうです。仕事で一緒になったことはありませんでしたが、よく食事にいく仲になりました。お互いの投資思想が似ていることもあり、IF Angelを創業した後もよく会っていましたね。
僕が独立して次のファンドを組成しようと思っていたときも偶然食事をしていて、馬場嵜も、ファンドマネジャーとして独立しようか迷っているという話を聞きました。
馬場嵜そう。前職でシード投資に関わるなかで、ファンド主導型の事業立ち上げというのが再現性ある投資手法の一つだと思い至り、そういうインキュベーション型のファンドを組成したいと思っていました。
ただ、元々想定していた時期よりも組成が遅れそうだったので、ひとまずファンドを作らず起業家として事業を興そうかな、と思っていたタイミングでもあったんです。
こんな感じで笠井とは、そういうお互いのプライベートなキャリアの悩みも相談する間柄でした。
タイミングが引き寄せた縁、クルーズ社との出会い
その後、笠井さんはクルーズ社と出会うわけですが、きっかけは何だったのでしょうか。
笠井これも本当に偶然なのですが、新しいファンドを立ち上げようと覚悟を決めた後、インキュベイトファンド時代からの縁で懇意にしていた同世代の起業家、Candleの金くん(※)に電話で相談したんです。
すると、急に次の日の夜に金くんがクルーズの小渕さんと稲垣さんとの会食の場をセッティングしてくれて(笑)。
あのスピード感がなければ、僕は今ごろクルーズと一緒にこのファンドは作っていなかったと思います。クルーズの永久進化構想は金くんに相談したときにもまったく知らなくて、単純に「新しいファンドを作ろうと思う」という相談を金くんにしたら、クルーズとの縁が生まれました。
(※金靖征氏は東京大学在学時に株式会社Candleを創業。約2年半でクルーズ社に事業を12.5億円で売却し、クルーズ社にジョインした)
関連記事:22歳、12.5億円でイグジット。Candle金氏がつくる次の未来とは
後からクルーズの人に聞いた話だと、経営会議で「投資・ファンド事業も将来のクルーズの中核事業にしたい」と議題に挙がった直後に僕が金くんに電話したようで、金くんが嗅覚するどく「これは!」と会食をセットしてくれたんです。
タイミングがものすごく良かったですね。
まるで縁を引き寄せたかのようですね。会食ではどのような会話をされたのでしょうか。
笠井僕が描くファンドの構想を話しました。作りたかったのは、ファンド・オブ・ファンズ型で、複数の優秀なファンドマネジャーに投資に集中出来る環境を用意し、投資するというもの。
この考えの裏には、高いリターンを維持しつつファンドサイズを最大化したい、という自分の理想があるんです。
VCや独立系のファンドマネジャーは、マネジャー経験を重ね、実績ができると、資金が集まりやすくなります。それに伴ってファンドサイズが大きくなるのですが、実はファンド規模が大きくなるほど、逆にパフォーマンス・回収率が落ちていく、という過去のデータも存在します。
その理由は、ファンド規模が大きくなったが故に、1件あたりの投資額を大きくしなければならない、または投資社数が多くなり、雑になっていくという事情が生まれるから。
そうなると、数百~数千万円規模のシードフェーズのベンチャーが投資対象ではなくなり、数百倍、数千倍のリターンを得られる“ホームラン案件”のリターンを得られる確率が減っていってしまう。
100件投資したうち、1、2件の“ホームラン案件”によってVCのリターン・成績が大きく左右されることは紛れもない事実なんですよね。

笠井でも、ファンド・オブ・ファンズ型なら、ファンド・オブ・ファンズの下に小型のファンドがたくさんぶら下がるため、それぞれがシード期の起業家に投資しやすい環境を維持しやすくなる。そうすれば、実績あるファンドマネジャーがシードフェーズに投資しづらくなりファンドの回収率が悪くなっていく、というジレンマを超え、VCとしてリターンを最大化できるはず。
そのような考えに至り、VCのパフォーマンスを下げない投資戦略としてファンド・オブ・ファンズ型で投資事業を拡大したいという話をしました。
すると、「クルーズグループのリソースをフル活用してレオくんが想うように投資事業をやってくれないか?」と打診されたんです。
もちろん、ファンドの運用や資金集めの面でも、また、ファンドがうまくいったときの個人的な金銭的インセンティブとしても、自分で0からファンドを立ち上げるよりもシンプルにメリットが大きかったので、クルーズと一緒に本ファンドを組成することに決めました。
馬場嵜ちょうどその頃、クルーズへのジョインを決めたばかりの笠井くんに、僕もたまたま今後のキャリアの相談をしていたんです。そしたら、「クルーズグループでファンドやることになったから一緒にやらないか?」と笠井くんから誘われて。
最初クルーズという話を聞いたときは、上場企業ですし、クルーズベンチャーズのようなCVC色の強いファンドだとイメージしていました。でも、実際に経営陣と話してみると「本当に好きにやっていいみたいだ(笑)」という印象をうけた。それがジョインを決めた理由です。
僕は、若手VCや大企業CVCも増えつつある環境下で、もっと多様な投資スタイルがあっていいと思っていました。通常のVCでは、ファンドを組成し、スタートアップの発掘・投資をして、経営支援・イグジット支援、そして満期が来たら解散する、というライフサイクルにあります。
しかし、例えば(ソラシード・スタートアップスの柴田さんが取り組んでいるような)ファンド主導での事業立ち上げであったり、既存株主の持株買取とハンズオン経営支援を行なうセカンダリーファンド、キャピタリストではなく外部人材が投資先発掘を行なうスカウトファンドのようなさまざまな投資手法に取り組んでいきます。
実は、社名の”Sevenwoods(=七本木)”というのも、“これまでの投資スタイル(=六本木)の一歩先へ”という意味があり、そういったチャレンジも、事業会社の中のVC・ファンドであるクルーズグループであればこそ実現できそうだと思いました。

ファンド・オブ・ファンズで世界一の投資ファンドへ
会食から2ヶ月後の2018年6月に、クルーズ社は投資ファンドSevenwoods Investment1号ファンドを創業し、ファンド・オブ・ファンズの形で、お二人それぞれがファンドマネジャーになられました。これから、どのような活動をしていきますか?
笠井目標は、マルチアセット運用の投資会社として世界ナンバーワンになること。VCとしての投資にこだわりは全くなく、様々なアセットクラスを組み合わせてファンドビジネスとして大きくさせたいですね。そのためにもまずは、自分たちが知見のあるVC領域で事業を始め、徐々に投資していくアセットを多様化したい。
とにかくまずは、マーケットと事業に可能性があり、かつ、大企業ではできない事業に挑戦するベンチャー企業の立ち上げと投資をしていきたいと思っています。
馬場嵜個人的には、起業したい想いをもちつつも、コンサルティングファームや投資銀行、商社など大手企業で働いている若手の優秀な人が起業にチャレンジしやすい仕組みを作りたいです。
そうした業界に集積する若手の方は非常に優秀ですし、彼らが起業家に転身して事業創出に取り組むことで、日本スタートアップ界隈の底上げが必ずできると考えています。彼らへの支援を通じて、世界における日本のプレゼンスを高めていきたいです。
すでに、ファンド主導で事業プランを描き、立ち上げ準備中の会社が複数あり、そうした若い起業家予備軍の皆さんを巻き込んでいきたいと思っています。
今後、起業家はもちろんだと思いますが、その他にどのような方とお会いしていきたいですか?
笠井ファンドマネジャーになりたい人に来てもらいたいですね。もちろん、これから起業したい若手にも。事業プランがなくてもOKです、ぜひ一緒に考えましょう。

馬場嵜先ほどお話したような、漠然と事業立ち上げたいと思っているコンサル・投資銀行・商社等の若手の皆さんにお会いしたいです。
あとは、新たなファンド構想の話として、「こういうアセットに、こういう仕組みで投資したらおもしろいんじゃないか」というような、独自の投資アイデアを持つ人と話してみたいですね。
笠井僕は今25歳で、馬場嵜さんは26歳です。これから増やしたいのは、僕らと同じ世代のファンドマネジャーと起業家。
20代で若くして起業したい人が、同世代の投資家に会えるって、日本だとあまりチャンスがないけど、おもしろいと思うんですよね。
それによって目指したいのは、若手投資家の世界的なロールモデルになること。
VCに限らず、投資するアセットを多様化させ、数百億円、数千億円を運用してパフォーマンスを高めていければ、世界でナンバーワンの投資会社になれると思っています。
そして5年後、10年後には、シリコンバレーの投資ファンドのように、機関投資家の資金も預かれるくらいのトラックレコードとアセットサイズを持つファンドになって、僕たちが上げたリターンを使って、若者が学んだり研究したりする大学や施設の設備環境を充実させたり、挑戦したい学生に資金的な支援ができたりするようになりたいと思っています。
そうして、ファンドマネジャーがベンチャーの成長エコシステムの中でプレゼンスが今よりもっと高まっていけば、起業家と同じくらい、投資家になりたい若者が出てくると思うんですよ。
そのための第一歩がファンド・オブ・ファンズです。
この考えに共感し、ファンドマネジャーとして独立したい人、僕ら若手投資家と一緒に事業を大きくしたい起業家、本気で起業したいけどまだやり方がわからない学生や若手社会人の方は、ぜひ僕たちと話して、なにかのきっかけを掴んでくれたら嬉しいです。
起業家として次世代の事業を創ること、クルーズグループに興味のある方はこちら
こちらの記事は2018年07月05日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。
執筆
田村 朋美
写真
藤田 慎一郎
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