INTERVIEW
福元 健之
18-08-22-Wed
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サイバー、スタートトゥデイを経てクルーズグループへ。
旅行業界のルールを変える連続起業家の挑戦

TEXT BY TOMOMI TAMURA
PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA

「起業」と聞くと、一人もしくは仲間と一緒に会社を創業し、
投資先を探しながら事業作りに奔走するのをイメージするかもしれない。
しかし、起業の選択肢は他にもある。

サイバーエージェント、スタートトゥデイ、モブキャストを経て、
現在はクルーズ社の子会社・CROOZ TRAVELISTの代表取締役を務める福元健之氏は今、
クルーズ社の潤沢なリソースやナレッジを活用して、旅行業界のルールを変えようとしている。
福元氏とはどんな人物なのか。
その経歴や人となり、クルーズ社のグループ会社として起業を選んだ理由などを聞いた。

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ネット企業からアパレル、そしてゲーム業界へ

福元さんは新卒でサイバーエージェントに入社されています。その理由から教えてください。

福元学生時代は当時流行っていた外資系ITコンサル会社などを受け、複数社から内定をもらっていました。でも、僕はいずれ起業したいと思っていたのですが、どうしても起業のイメージがわかなくて。どうしようと考えていたとき、友人から勧められたのがサイバーエージェントでした。

当時は2003年。インターネットも一般的ではないし、何をする会社なのかさっぱり分からない。冷やかしのつもりで面接を受けると、藤田さんから「終身雇用は終わった。これからの時代、優秀な若手はベンチャーに来るべき!」とアツく語られ、考えが変わりました。

藤田さんは当時27歳で上場企業の社長。ということは、22歳の僕があと5年くらい藤田さんの背中を見て頑張れば、社長になれるかもしれません。僕が行くべきはこの会社かもしれないと、興味を持ちました。

とはいえ、ネットバブルがはじけて大赤字のサイバーエージェントに入社すべきか、外資系ITコンサル会社など大手企業に入社すべきかは相当悩みましたね。最終的にはいろんな人の反対意見を押し切る形で、サイバーエージェントに入社しました。

入社から2年後には早くもクラウンジュエル社を立ち上げましたね。

福元そうですね。1年目に広告営業と新規事業を担当し、2年目には営業マネージャーを担当。未熟だったのですが、「何か事業ができそうだ」と起業を検討し、eコマース「クラウンジュエル」をサイバーと共同出資で2005年に創業しました。

当時、中古のアパレルはオークション系しかなく、ネットで中古服を買いたい・売りたい人はいるのではないかと思ったのです。加えて、新品領域はZOZOTOWNが先行していたので、中古領域で勝負しようと考えました。

7年がたった2012年、クラウンジュエルをサイバーエージェントからスタートトゥデイに売却し、僕はスタートトゥデイ傘下に入ります。それから2年後、100億円規模の事業になる確信を持てたことから、「もっと自分は未知の領域を創っていく仕事がしたい」と思い、社長から退き、モブキャストに入社。執行役員としてプラットフォーム事業の担当を経て、取締役としてゲーム事業全般に携わり、3年後の2017年3月にモブキャストを退職しました。

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伸ばす側に行きたい、頼れるアニキと大きいことをしたい

その後、クルーズグループにジョインされますが、きっかけは何だったのでしょうか。

福元もともとクルーズの代表・小渕さんとはクラウンジュエル時代に面識がありました。そのときは疎遠だったのですが、モブキャスト時代にあるカンファレンスで再会したときに「すごく話しやすい! 小渕さんってこんな人だったんだ」と衝撃を受けたんですね。これをきっかけに、毎月のように会うようになりました。

モブキャストの退任が近づいたある日、いつもの食事の席で「実は来月退職するんです」と話をしたところ、「それなら一緒に何かやろうよ」と言ってくれて。これが、クルーズにジョインするきっかけになりました。

もともと自分で起業しようかなとも考えていたのですが、それよりもクルーズで小渕さんと一緒にやったほうが、何か大きいことができそうですし、僕にとって小渕さんは「永遠のアニキ」なんですね(笑)。頼もしいアニキについていけば楽しそうだと純粋に思いました。

加えて、クルーズが子会社を増やしてグループ経営をしながら挑戦しようとしていることが、2005年頃のサイバーエージェントを彷彿させたんです。当時の僕は右も左もわからないまま働き、子会社のクラウンジュエルを立ち上げましたが、それは藤田さんをはじめとした、上の人がうまくやってくれたから実現したこと。僕は何の力も貸せませんでした。

だからこそ、このタイミングでクルーズにジョインすれば「伸ばす側」を経験できる。かつてサイバーエージェントが大きく成長したとき、僕は完全に「伸ばされた側」だったので、「伸ばす側」に挑戦できるチャンスだと思いました。

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誰もやっていない売り方・見せ方で、業界のルールを壊したい

クルーズ社はトラベルオンライン(現:CROOZ TRAVELIST)を買収し、福元さんは代表に就任されました。旅行業に参入した理由と、現状を教えてください。

福元グループ企業でできる事業と、一人で起業してできる事業はスケールが違います。グループ企業の方が潤沢なリソースという恩恵を受けて、より大きなことができる。最初はクルーズがSHOPLISTなどのおかげもあり、若い女性ユーザーを資産としてもっていたため、コスメ系の領域で事業を構想していたんですが、小渕さんら経営陣と何度もアイデア出しや合宿を重ねる中で出てきたのが、旅行業でした。

よく、旅行業はレッドオーシャンだと言われますが、巨大なマーケットなのでいろんな隙間がたくさんあるんですね。高齢者がインターネットで最も購入するものは旅行関連の商品というデータもありますから、高齢化社会というトレンドにもフィットしています。

もちろん既存の大手プレイヤーはたくさんいますが、まだ誰もやっていないインターネットを使った売り方や見せ方は眠っています。

しかも、旅行業はターゲットユーザーが多いからこそ、何か試したときの反応も大きい。かつ、旅行は世界共通なのでグローバル展開もしやすい。競合プレイヤーが高額の広告費を出す中で、どう存在価値を出していくかの挑戦ではありますが、僕たちは、業界のルールを変え、既存勢力を壊すような存在になりたいと考えています。

現在、航空チケットを販売するCROOZ TRAVELISTは、旅行業特有の利益率や、参入して初めてわかることに悪戦苦闘しながらもおかげさまで取扱高を順調に伸ばしています。

しかしながら、クラウンジュエル時代のアパレル業界と比較すると売り方が違います。たとえば自分と友達が似たようなTシャツを着ていたとします。自分が着ているのは1万円、友達が着ているのは3,000円で購入したものだったとしても、ブランドや素材が違うことを納得して購入しているから「あのお店で二度と買わない」といった負の感情はほとんど出ませんよね。

でも、航空チケットの場合、同じ便の飛行機を自分は1万円で予約して、友達が8,000円で予約していたら、「損した!」と思ってしまう。現地までの手段も、機内で受けるサービスも同じだからこそ負の感情は出やすく、一筋縄ではいきません。それでも、経験のない業界は純粋におもしろいなと思っています。

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ワンピース好き、キングダム好きに来てほしい

今後、どのようなメンバー、仲間と働いていきたいと考えているのでしょうか?

福元当社には旅行業界出身者が1人もいません。もちろん、業界を知らないことはデメリットになることもありますが、柔軟な発想で事業を成長させられるメリットも大きい。

だから、業界未経験でも興味がある人とはぜひお話したいですね。ちなみに、創業期の当社にいるのは、30代半ばから後半の10数名のメンバーです。経営人材も足りていないので、このタイミングなら取締役などのポジションも空いています。

僕はこれまで数社の経営に関わってきましたが、経営者として「人としての相性」を最も大切にしているんです。「事業」の悩みは考えれば無くなりますが、「人」の悩みは簡単には無くなりません。どうせなら、一度採用したメンバーとは極力むやみに別れることなく、長く一緒にやっていきたいという気持ちもあります。だから入社という入り口の部分で、その人の「人となり」や「僕やメンバーとの相性」には細心の注意を払うようにしています。

いまカルチャーフィットしやすいのは、ワンピースやキングダムが好きな人。高いチーム力を求めているので、仮に明日から違う事業をやることになったとしても「このメンバーだったらその事業もできそうだ」と思えるような、仲間を信じてリスペクトできる人に来てもらいたいです。

最後に、これから起業したい人、起業を考えている人にメッセージをお願いします。

福元昔は、起業相談を受けたら「今すぐ起業した方がいい」と言っていましたが、今は選択肢がたくさんあるので、本当に自分で起業するのがいいのかを考えた方がいいと思います。どんな風に起業して、どんな目標を掲げるのか。それをじっくりと考えた上で、自分でお金を貯めて起業するのか、VCを行脚するのか、どこかの子会社になってグループ企業を立ち上げるのかを見極めるといいでしょう。

その点、僕はクルーズのグループ会社になって良かったと常に感じています。小渕さんをはじめ、優秀な役員が集まっているので、相談するとすぐにアドバイスが返ってくる。親会社・子会社というよりも、投資家と起業家の関係なので、身内にVCがいるような感覚ですね。

投資先が望むことに協力してくれますし、なにより事業のグロースに必要な各スペシャリストがVC側にいる安心感があります。僕の場合はチームを組成することが強みなので、それ以外の僕が苦手とするスペシャリティな部分を補完してもらえるのは非常にありがたいです。それでいて、経営に口出しはされませんし、インセンティブ設計(「CROOZ永久進化構想」を参照)も通常の起業で成功して得られる額とさほど変わりません。

また、グループ内にさまざまなナレッジがたまっているのも大きなメリット。たとえば、今後テレビCMを検討したとき、SHOPLISTのナレッジや人脈を簡単に共有してもらえます。仮に一人で起業していたら苦戦する部分が非常に多かっただろうなと思います。

だから、アイデアがある人は、一度クルーズに事業プランを持ってきて、経営陣や子会社CEOと壁打ちするのはいかがでしょうか。そこで必ず何かしらの意見はもらえるので、いきなり一人で起業するよりも成功確度は上がると思いますし、子会社を立ち上げて一緒にやっていくことも、出資だけしてもらうこともできるでしょう。

ただ、一つ言えるのは「起業したい」と言っているだけで何も行動していない人は、まだ相談するフェーズにいないということ。「いろんな人に話を聞きに行く」でも、「新しいコミュニティに入ってみる」でもいい。行動して扉を開かないと何も起こりません。まずはミートアップでも何でもいいから、第一歩を踏み出して欲しいと思います。

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福元氏も参戦。起業家3名登壇イベント開催

[文]田村 朋美
[撮影]藤田 慎一郎

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