現役BizDevに聞いた「オススメ書籍」Vol.04──5名から計7冊をご紹介
事業を立ち上げたり、事業を伸ばしたり。あるいは、事業を見直したり。FastGrowの読者の中でも特に比率が高い「BizDev」に携わる者たちは日々、前述のような状況下で、さまざまな悩みに向き合っていることだろう。そんな時、心の支えになる一つがきっと、書籍(本)だ。
実際にこれまで多くのBizDevを取材する中で、書籍についての話が出る機会は多かった。事業や経営に関する意思決定を進める際に、理由や指針、あるいは勇気づけられる言葉として存在感を発揮するのが、書籍で得た知見やヒントであるはず。
そこで、書籍の情報に特化し、現役BizDevの皆様から紹介をいただく記事連載を制作しよう。題して、BizDevに聞いた「オススメ書籍」。
今回は計7冊、
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
ラクスル 前川氏
『売れるもマーケ 当たるもマーケ』
『ドキュメント・コミュニケーションの全体観』
ラクスル株式会社
ダンボールワン事業統括部長
前川 隆史氏(Xアカウントはコチラ)
誰に対してオススメしたいか
事業開発に関わっている方、関わっていきたい方
売れるもマーケ 当たるもマーケ
書籍情報 | |
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著者 | アル ライズ,ジャック トラウト |
出版社 | 東急エージェンシー |
出版日 | 1994/1/1 |
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この書籍から学んだこと
事業を立ち上げるとき、事業のフェーズを変えるとき、最も向き合うべきテーマは、「自分たちの事業をどのように定義して、顧客にどのように認識してもらうか」だと思います。
本書では、そういったマーケティングの根幹とも言えるテーマについて、マーケティング22の法則として、具体的な事例を踏まえて説明してくれているため、それらの法則に照らし合わせることで、自分の事業をどのように考えるべきかの思考を深める助けになります。
ドキュメント・コミュニケーションの全体観
書籍情報 | |
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著者 | 中川邦夫 |
出版社 | コンテンツ・ファクトリー |
出版日 | 2010/5/1 |
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この書籍から学んだこと
私は、ドキュメンテーションを「仕事のための仕事」と、元々は少し軽視しているところがありました。そのため、上司に薦められて初めて本書を読んだ当時は、とりあえずテクニカルな知識のインプットとしてただ読み終えました。
しかし、それから数年、多くの事業に関わる中で、チームに意図を正しく伝えることの難しさや、イメージが共有できているチームの強さを体感することが何度もあり、ドキュメント・コミュニケーションの重要性を身に染みて感じるようになりました。今では、どうすれば正しく意図が伝えられるだろうか?と悩んだ際に度々立ち戻れる書籍となっています。
Queue 小野寺氏
『ザ・ゴール2 コミック版』
株式会社Queue
BizDev(担当プロダクト:『Morph』)
小野寺 隼人氏(Xアカウントはコチラ)
ザ・ゴール2 コミック版
書籍情報 | |
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著者 | エリヤフ・ゴールドラット |
出版社 | ダイヤモンド社 |
出版日 | 2016/3/18 |
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この書籍から学んだこと
- TOCの問題解決手法(対立解消図・現状問題構造ツリー):様々なステークホルダーからの要求を整理して意思決定する際に利用しました。
- 現場単位で課題抽出をする際のワークショップに使用しました。
誰に対してオススメしたいか
- 立ち上げ〜導入の型化をしているフェーズ:導入時にPMとして担当する人 / グロースに伴って社内オペレーション改善をしようと考えている人
- 自社SaaSを組み合わせてコンサルティングサービスを提供している(またはしようとしている)人
Leaner Technologies 高橋氏
『プロダクトマネジメントのすべて』
株式会社Leaner Technologies
VP of Sales/事業開発
高橋 健太氏(Xアカウントはコチラ)
プロダクトマネジメントのすべて
書籍情報 | |
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著者 | 及川 卓也,曽根原 春樹,小城 久美子 |
出版社 | 翔泳社 |
出版日 | 2021/3/3 |
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この書籍から学んだこと
タイトルの通り、プロダクトマネジメントについて体系的に学ぶことができました。スタートアップに飛び込み、入社して半年後に何もかもが変わるハードなピボットを経験。プロダクト開発をやったことがない中でゼロからプロダクトを立ち上げなければならない状況になりました。そんな中、この本を読むことで事業戦略、IT開発、UXデザイン、マーケティング、カスタマーサクセス、セキュリティ、知的財産、組織運営等、プロダクトマネジメントに欠かせない知識、スキル、方法論、マインドセットを網羅的に学ぶことができました。
この1冊を繰り返し読みながら、実行・振り返りを繰り返すことで1社目のお客さまを受注し、PMFを迎え、グロースに導くことができました。
誰に対してオススメしたいか
シード・アーリーステージのビジネスサイド(特にセールス、事業開発)の方
営業力や課題設定には自信があるが、ソフトウェアのプロダクト開発をやったことがなく、社内にもそういった経験が深い方がいないような環境にいる方にとって体系的にプロダクトマネジメントについて学ぶことができる本になっています。
イオリア 松原氏
『ケースで学ぶ実戦・起業塾』
イオリア株式会社
CEO/エンジニア
松原 元気氏(Xアカウントはコチラ)
ケースで学ぶ実戦・起業塾
書籍情報 | |
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著者 | 木谷 哲夫 |
出版社 | 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2010/8/1) |
出版日 | 2010/8/1 |
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この書籍から学んだこと
私が起業を考えた際にエンジニアだったこともありいきなりプロダクトを作ったのですがユーザーのニーズが見当たらず失敗した過去があります。
社会に必要とされているプロダクトをどうすれば作れるのかを悩んでいたタイミングでこの本に出会いました。
アイディアの段階から事業をどのように立ち上げるのかを体系的に学べる良書です。本質的な内容が多く10年以上経った今でも通用する内容になっています。
誰に対してオススメしたいか
起業に興味があるエンジニア
HERP 冨田氏
『テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス』
『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方』
株式会社HERP
HERP Hire事業責任者
冨田 真吾氏(Xアカウントはコチラ)
誰に対してオススメしたいか
事業に関して大きめの意思決定をする役割を担うようになってきた方
テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス
書籍情報 | |
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著者 | カール・B・フレイ |
出版社 | 日経BP |
出版日 | 2020/9/18 |
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この書籍から学んだこと
- テクノロジーが人類の仕事を奪うかについて、歴史大局的な観点が得られます。
- この本に限らず、歴史から繰り返し起きるマクロトレンドや人類という種が繰り返しとる行動パターンについて知っておくことは、小さなトレンドに左右されず腰を据えて新しい価値を積み上げていく上で指針になると感じています。
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方
書籍情報 | |
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著者 | 枝廣 淳子,小田 理一郎 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
出版日 | 2007/3/1 |
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この書籍から学んだこと
- 一定以上複雑性の高い問題解決を行う際には、シンプルな課題→解決の対応関係だけでなく、解決策が他に与える影響や短期的な視点だけでなく長期的な視点でどんな影響を与えるかについて考慮する必要があると思っています。
- そんな時にヒントになる思考方法のひとつに「システム思考」があると考えており、これまで数冊読んだなかで、自分にとってもっともしっくりくる内容で実際のビジネスの現場でシステム思考を使いやすくなった書籍です。
こちらの記事は2024年10月16日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。