INTERVIEW
石黒 正大 片岡 賢司 内田 早紀
18-12-13-Thu
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「就活ゲーム、もう辞めへん?」
人事辞めてもいい3人だから本音で言える“ここがヘンだよ就活生”

TEXT BY NAOKI MORIKAWA
PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA

採用戦略で独特の変革を続行中のパナソニックから、採用を担う3人の現役人事パーソンが登場。
「元々人事志望ではありません」と“ぶっちゃけ経験談”を展開しつつ、
大規模組織に付き物のジョブローテーションの捉え方と、それを活用したキャリア形成術、
いまどきの就活生に対して感じている違和感などについて語り合ってくれた。

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入社時に考えてもいなかった職種への配属。

「自分が採用担当になるなんて思ってもみませんでした」。学生にとっては人事=採用のイメージが強いかと思うが、パナソニックの採用担当のキャリアは多種多様だ。それがパナソニックらしさなのかもしれないが、本日は、その中でも3人の採用担当のキャリアヒストリーを聞いてみよう。

石黒私は2008年に新卒入社したのですが、学生時代は、体育会の活動に全力を尽くしていたため、就活は二の次、業界研究などにあまりこだわることもなく、限られた回数の先輩社員訪問の中で、「ここで働けたら良いなあ」と感じた5社だけを受けました。

住宅、インフラ、メーカーと業種もバラバラな中、パナソニックにも漠然と魅力を感じ、説明会に参加したんです。そこで聞かせてもらった独自の経営理念に強く共感したこともあり、入社しました。

内田私は入社4年目なのですが、海外で仕事をしたかったため、就活では商社をメインに、幅広い業界を受けていました。パナソニックにもグローバルなイメージはあったのですが、あまりメーカーに興味がなく、特にエントリーする予定もありませんでした(笑)。

そんな時に地元の友だちから、「赤字を出した後でも、毎日新聞に載るような大阪の会社やねんで!絶対受けとき!」と言われ、なんとなくエントリーしたんです。

入社まであまり社員に会ったこともなく、イメージは“日系大手の古くさい会社”で、就職活動の軸として自由に働けることをモットーにしていた私は、内定をもらった後も悩んでいました。

しかし、その後社員の開いてくれた懇親会に参加した時、若い先輩たちだけでなく、かなり年上の方々も、良い意味でフランク。そして自分の仕事にプライドを持っている方ばかりでしたので、「こんな人たちと働きたい!」と思って入社しました。

片岡私は大学で脳科学を専攻していて、大学院に進学するつもりだったのですが、インターンシップくらいには行ってみようと思い、パナソニックのインターンシップに参加してみたんです。

そのインターンの場で、当時、テレビがアナログ放送からデジタル放送に切り替わるタイミングで、パナソニックがグローバル規模でも中心になって主導していることを知り、魅力を感じました。

さらに、人工知能には依然として興味がありましたし、そういう技術知識を活かせたり、役立つ形で広げることができる場で頑張れたら楽しいだろうなあ、と思っている中、この会社だったらできるのではないかと感じ始め、進学をやめて入社を決意しました。

気になるのはやっぱり、採用担当という仕事が3人のキャリアイメージに当初なかったという点だ。そこで今度はそうなるまでの経緯を聞いた。

石黒実は就活している時に大学の先輩から「面接で『人事に行きたい』と主張すると入りやすいらしいぞ」と聞かされたので、真に受けて「人事がいいです」と言っていました(笑)。

でも本音は営業志望だったので、内定をもらってからは「営業、営業」と言い出したんですが、結局人事に配属されました。

とはいえ、当社には、「企業は社会の公器」、「モノを作る前に人を作る」という創業者の理念があり、そういった理念に共感して、入社を決めましたし、配属職種や勤務地に強いこだわりもなかったので、どこに行っても、なんでもやったる!という想いでした。

結果、入社以来人事として、主に、事業場や工場の人事を担当してきた中で、採用がやりたいとは一言も言っていなかったのですが、ある時突然異動内示を受け、採用に配属されました。

今が、この10年間の中で、4箇所目の勤務地なので、あちこち異動してきましたが、基本的には前向きに人事の仕事をしてきています。

内田私は入社以来一貫して採用担当の仕事をしていますが、人事の仕事が嫌だったというよりも、就活の時に、自分が人事になるなんて全くイメージになかったんです。

とにかく営業の仕事、しかも海外に出て行く仕事をどうしてもしたかったので、面接の頃からずっと「車載関係の営業がしたい」と言っていました。

でも、配属されるカンパニーを伝えられた時、私に通知されたのは「本社スタッフ部門(コーポレート部門)」という文字で、入社前に自分が営業配属ではないことがわかりました。

正直、人生詰んだと思って泣きましたね(笑)。会社組織をきちんと理解できていなかったので、本社スタッフと言われても、イメージするのは昔のTVドラマのショムニファイナルのような総務や庶務の仕事で、自分は新入社員にもかかわらず窓際に追いやられるのかと勝手なイメージでショックを受けました。

片岡私の場合は、いくつかの部門を経てからの人事への異動でした。半導体部門でデバイスの開発をしたり、イメージセンサーの技術営業をしたりした後、念願の新規事業部門に配属され、やる気をみなぎらせていたんです。

「AIを活かした事業を中国で立ち上げる」という具体的なビジョンの実現に向けて心の準備も整えていました。

上司と一緒の飲み会でも、その自分の夢を熱く語り続けましたし、その上司だって「そうか。そうか。」とじっくり嬉しそうに話をきいてくれていました。

そしたらその矢先に上司に呼び出されたので、てっきり新規事業にゴーサインをもらえものと思って訪ねたら、「人事や。技術系の採用担当に決まったぞ」と(笑)。頭の中が真っ白になりましたよね。

内田実はその直前で、たまたま片岡さんと何回か一緒に仕事をする機会があり、AIや当社営業の面白さを熱く語ってくれていたんです。

だから私、上司に聞かれたときも「片岡さんだったら、現場の目線もあるし、採用に来てくれたらすごく心強い」って言っていたんです。そうしたら本当にそうなって(笑)。

片岡そんな無邪気な発言するから、こうなったんやないか(笑)。

内田私のせいですかね?(笑)

石黒関係なくはないかもなあ(笑)。

3人に共通しているのは「元々やりたい仕事が他にあった」ということ。一方で「現在の仕事にやりがいを持っている」ということ。

片岡人事が大切な役割だということは理解していました。採用の仕事の重要性は、説明会に協力していた時にも実感していたので。

でも正直、気持ちを切り替えるのには苦労しましたよ。知らされた日は、ショックで電車にも乗れず、2時間とぼとぼと歩いて帰りましたね。

内田私は2月の段階で営業ではないことがわかったのですが、その後研修が終わる8月まではスタッフ部門の何に配属されるかわからなかったんです。

半年後、全社の採用担当だと知らされた時にも驚きましたが、その頃にはいい意味で諦めもついていて、「人事のプロが自分に合う部署を選んでくれたのだから、まずはここの部門で頑張ってみよう、3年経って、それでも面白く感じられなければ違う道を考えよう」と覚悟を決めました。

採用部門の上司からも「内田を採用に入れたんは、一か八かの賭けやねんから、活躍してもらわな困るで」と励ましなのか何なのかよくわからないお言葉をいただいたので(笑)、「パナソニックに新しい風を吹き込んでやろう」と思うようになりました。

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退職者への感謝状、入社2ヶ月目での海外経験。やってみて初めて気づく「仕事の魅力」

とにかく終始和気あいあいの3人。3者とも現在の仕事に前向きに臨んでいることが伝わってくる。では、仕事のやりがいを感じられるようになったきっかけやタイミングはどうだったのだろう?

石黒なんでもやったる!と意気揚々と配属された人事ではあったものの、具体的なやりがいを見出せないまま、最初は悶々と過ごしていたのですが、配属されて半年経った頃に定年式というセレモニーがあったんです。

定年退職者に感謝状を渡して送り出すというとても大切な社内行事の一つです。私の役割は、退職される方にヒヤリングをして「これまでの40年」にまつわる感謝状の文面を書くことでした。

この会社で皆さんが歩んだストーリーを聞き、感じ入る部分がすごくありましたし、感謝状を持って帰宅した皆さんがご家族とどうすごされるのかを思い浮かべたりもしたんです。

「ああ、こうやって1人ひとりの人生に寄り添っていくのが人事の仕事なんだな。100人と関わったら、100通りの人生と向き合っているのが人事の仕事なんだな」と理解したことで、やりがいを持つようになっていきました。

また、上司から「最初からすごい仕事ができると思うなよ。スポーツでもなんでも土台が大事。基礎をきっちりやれば、その後はパナソニックでもそうじゃなくてもやっていけるから」と言われたことも、社会人として、自分の仕事に向き合う意味で、大きかったです。

内田1年目の私は暗黒期でした。失敗もしましたし、石黒さんにもいろいろ迷惑をかけました。今でも忘れられないのは、配属されて2ヵ月経たない内に、同期で恐らく一番早く海外出張に行かせてもらった時のことです。

パナソニックのことをよく知らない外国人の前で、英語で当社の魅力をアピールをし、外国籍学生採用に繋げるというミッション。英語が話せても、会社のことをよく知らない自分にできたことがほとんどなく、自分の無力さを感じたんです。

私自身、「1年目から海外に行ける会社以外いきたくない!」と就活時には意気込んでいましたが、闇雲に海外に行きたがるのではなく、ちゃんと国内で力をつけていかなければ、と思うようになりました。

海外に、「ただ行くだけ」なら1年目でもできますが、大事なのは「何をするか」なんだ、と身にしみて感じた経験です。

今年の4月には、創業100年目の入社式で司会もさせてもらったんです。自分がずっと1年間向き合ってきた学生たちが晴れやかな表情で入社式の場にいて、密に連絡をとってきた海外の学生が、「パナソニックでこんなことを実現し、世界を豊かにしていきたい」といきいきと語る姿を見て、今は一緒に未来を創っていく人材に入社いただき、経営に貢献するというこの仕事にやりがいとプライドを持っています。

片岡パナソニックでは毎年約500人もの規模で技術系の採用を行っています。担当の私は、社内のいろいろな部署と向き合って、説明会や面接等で、1000人くらいの社員に協力してもらわなければいけない立場です。

自分なりにこなせるようになるまでは「なんて作業量の多い仕事なんだ」と嘆き、責任感だけで続けていたんです。

でも2シーズン目からは、自分なりの工夫を若干ですが入れられるようになってきて、採用の面白みというのがわかるようになりました。

「この事業ではもっとこういう人が活躍すべきだ」というイメージをもって、学生にそれを提案することができるようになり、理解できたんです。「ヒトを通じてパナソニックの事業に貢献する仕事をやっているんだ」と。

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もしも就活生や新入社員が、配属先に拒否反応を示したら、ぶっちゃけどう思う?

それぞれのきっかけと理由から、今では採用担当の仕事に前向きに取り組んでいる3人だが、採用の仕事は「かつての自分たち」、つまり配属先に拒否反応を示す学生や新人たちと対峙していくもの。

はたして彼らは、どのようなやりとりを展開するのだろうか?

内田自分もそうでしたが、学生は目の前の最初の配属先しか見えていないケースがとても多いですね。

最初のうちはこだわっていないような言動をしていても、様々な企業から内定をもらい、入社先を選ぶ段階になると、「海外に携われないと絶対にイヤです」とか「自分は家電にこだわりがあって、このカンパニーに配属じゃないと困ります」というような発言をするようになる方もいらっしゃいます。

もちろんご自身のキャリアの中で、携わりたいことや実現したい夢もあるでしょうから、こだわりがあることは良いことです。ですが、こだわりすぎることは逆にキャリアの幅や成長の機会を逃してしまう部分もあると思っています。

自分が当初の希望と異なる仕事の中で成長につながる経験をしてきたからこそ、学生とのコミュニケーションの際には、こだわりを聞くと同時に、視野が広がるような情報をお伝えしたり、その学生にとっての「ゆずれないもの」、つまり重視したい軸を一緒に探したりするように心がけています。

初期配属はあくまで「夢へ向かって成長するための最初のステップ」ですから、そこを起点にして長い目線で自身の成長を考えられるようにするのが、採用担当としてお手伝いできることだと思います。

「パナソニックには3年だけいて、その後……」みたいなキャリアプランを持っている人もいるでしょうけど、それでもキャリアを長い目で見て考えることは重要だと思うんですよ。

仮に別の企業が「やりたい職種」を保証してくれて、そこに入ったとしても「やりたい仕事ができたのは1年だけで、その後、別のところへ回されて……」となる可能性だってあるわけですからね。

片岡「絶対にこれがやりたいです」の気持ちは尊重してあげたいですが、先程も話題になった通り、仕事の大半は「やってみなければわからないこと」ばかり。

「やりたい仕事とは別」だからといってそっぽを向いてしまうのは、もったいないなと思います。

私も「人事という仕事の良さ」を探しながら働いてみたら色々と学ぶことができましたし、中国でビジネスをしてみて実感しましたが、話を聞き、本で読んで知ったことよりも、やってみなければわからないことのほうが世の中には多いですよね。

結果的にそれが自分のやりたいことにつながっていくこともある、という重要な気付きもそれで得ることができました。

特に初期配属を選べないことへの拒否反応が高まっている背景には、外資系企業や近年のベンチャーが職種別や事業別の採用を強化している影響もあるだろう。

この点は3者ともに認めるところだが、実務経験者を募る中途採用ではなく、新卒採用でそのような採用を行っている場合、採用する側が学生の願望に合わせ、「とりあえず内定承諾」させにいっている部分も大きいのではないかと指摘する。

石黒例えば「やりたいのは営業なので、営業をやらせてもらえないのなら他へ行きます」という学生はいますよ。私としてもそれは学生の自由だと思うし、それでハッピーになれるというのなら、その方が良いと思います。

パナソニックのカルチャーや理念にフィット感がなくて苦しんでしまうくらいならば、別の学生に入ってもらってハッピーになってくれたほうがこっちも嬉しいです。

そもそも私は今パナソニックの採用担当をしていますけど、優秀な学生が他社であっても、活躍して社会を豊かにしてくれるのならば、それはとても嬉しいこと。

私たちとの出会いで得た情報によって、学生が本当に行きたいところを他で見つけられたのなら、ストレートに喜びます。

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「イノベーション、イノベーションって言うけど、イノベーションなめんなよ!(笑)」

近年増加しているとも言われる意識高い系の若者、要するに即起業も選択肢にあるような自信満々の学生もまた新卒採用戦線ではちらほら見かけられるようになってきた。

大企業でありながら、近年特にベンチャー気質やイノベーティブな姿勢を示すパナソニックにはそんな入社志望者も多数訪れるはず。その場合、採用担当の3人はどう向き合うのだろうか?

片岡自信満々に「これできます」と言われても、実務経験もなしに鵜呑みはできません。それでも例えば触れてきた技術やその取り組み方の深さ、いわゆる「行動履歴」を聞いていって、「たしかにできそうだ」と感じさせてくれる学生もいます。

ですから、先ほどの配属への不満についての話でも「自分はパナソニックの理念に共鳴している」と言う原点のところで信じられる軸があるのであれば、例え、希望通りの職種や勤務地でなくても、あるいは、極端な話どの部門への配属であったとしても、やりがいは見えてくると思います。

何より、まだ経験している仕事の幅を考えれば、まだ見ぬ仕事の中に、天職だと思えるものがある可能性だって少なくない。そう思えた方が可能性が広がるんじゃないかと。

あくまでも「お客様にほんまに貢献できるんやろか、迷惑かけないようにできるんやろか」です。私は技術職の採用担当ですが、パナソニックは松下幸之助さんが言っているように商人の集団ですし、お客様大事という言葉が浸透しているとおり、お客様あっての会社です。

スキルが本当にあって、なおかつお客様に貢献しようという姿勢を感じられる学生さんであれば、少々自信過剰でも喜んでお迎えします。

石黒激しく同意です(笑)。パナソニックだけではないとも思うんですが、その会社の理念や価値観に共感していることが前提にあってこその「やりたい仕事」だと私も思います。

どんな職種に就いたって、必ず理不尽な局面というのはあるし、そういう時にどう前向きに頑張れるかが問われます。同じ価値観を共有したチームの一員として貢献できるかどうかが大切だと思います。

新しいことをやるのが得意だからといって、それでイノベーションが起こせるならどれだけよいか・・・ 。実際の現場では困難の連続ですから、ぜひその心意気を持ち続けられるだけの理由を入社するまでの間に自分の中で見つけておいてほしいです。情熱を燃やし続けていられれば、本当にイノベーションを起こしていけるかもしれない。

内田私の担当する事務系学生の採用では、片岡さんの担当する技術系採用でみる研究内容ほど具体的に学生の実力を証明するモノサシがありません。あるとしても、例えば「学生団体を立ち上げました」とか「サークルやバイトでこういうことしました」みたいなものです。

実際、多くの学生がそういうものを「自分の強みです」と主張するんですが、本当に会社で活かせるのかどうかは、技術以上にフワッとしてしまいがち。

それでも他の会社で「きみは素晴らしいね。是非ほしいよ」などと言われれば自信がつくわけですよ。決して悪いことではないと思いますが、だからといって「パナソニックでもどこでも自分は活躍できる」という証明にはなりません。

やっぱり片岡さんや石黒さんも言ったように、無理矢理強みをゴリ押しされるよりも、経営理念に共感してくれて、パナソニックのフィールドを活かしながら、一緒に世界を豊かにしていきたいと感じてくれる人と相思相愛になれるかどうかが、採用において大事だと思います。

新しいことをやるのが得意だからといって、それでイノベーションが起こせるならどれだけよいか・・・ 。実際の現場では困難の連続ですから、ぜひその心意気を持ち続けられるだけの理由を入社するまでの間に自分の中で見つけておいてほしいです。情熱を燃やし続けていられれば、本当にイノベーションを起こしていけるかもしれない。


でも、そんなことをして入社してもやりがいを持てるのかなって思います。面接で言っていたことが評価されたとして、その中身が自分の意志のない空っぽなものだったら、後々の自分がつらいと思うんですよね。何よりも、評価軸が外にあるのは、困難にぶつかった時にやっぱり折れやすい。それだけの力があるんだったら、きちんと自分が何をしたいのか、まず自身を理解してほしい。


片岡成長意欲と経営理念への共感さえあったら、この会社には成長のために使えるプラットフォームが山ほどありますから、バンバン利用してほしいと思いますよ。

事業、グローバル、技術、知財、制度、「なんでも好きなだけ使ってください」と思っています。絵の具も筆もキャンバスも山ほどある。

だから、どんな絵を描きたいのかビジョンがあって、それがパナソニックのビジョンとも共鳴するのであれば、どんどん来て使ってほしい。

内田一方で最近パナソニックが新しいチャレンジをやっている、とか、イノベーションに積極的、とか認知してくれる学生が増えていて。

それは本当に嬉しいことなんですが、とりあえずキーワード的に「イノベーション起こしたいんですよ」っていう学生がめっちゃ多いんです(笑)。

「俺、新しいことやるの得意なんで」と言うのはいいんです。でも実際に取り組んだことを聞くと、「んー……ゼミでこういうのを」みたいな(笑)。いいんですよ、その心意気はありがたいんです。

でもイノベーションって単に新しいことをどんどんやりますという話ではない。既存の事業や技術を理解しながら、お客様のことを徹底的に理解しなければいけないし、世の中の流れ、社会の変化もみないといけない。

新しいことをやるのが得意だからといって、「いきなり簡単に起こせるほどイノベーション甘くないやろ」と(笑)。こっちは、ええ大人が集まって100年も苦労しながらやってんねん(笑)。

片岡最近危惧しているのは「就活ゲーム」感の蔓延です。「うまいこと内定をゲットするぞゲーム」みたいのをやっているようにしか見えない学生もいるんです。

例えば就活サイトに掲載されている先輩のESや面接トークをみながら、そのキーワード等を上手につなぎあわせて自分の主張を作って、「見てみい内定とったで」と。

でも、そんなことをしてまんまと入社しても、中身が空っぽだったら自分がつらいと思うんですよね。やりがいも生まれづらいだろうし、評価軸が外にあるし。その力があるんだったら、きちんと自分が何をしたいのかをまず理解してほしい。

でないと、その先のキャリアが不幸になってしまうと思うんですよ。あと、本人が思っている以上に「就活ゲーマー」は見ていてわかりやすいですからね。

内田ありますね。例えば「今テスラ(米国テスラ・モーターズ社)で車載領域が熱いから『車載やりたい』言っておけば、なんとなく入社できそう」という思いで仮に入社できたとしても、ほんとにそれがやりたかったわけではないのなら、入ってから困ると思うんです。

「自分ほんまは何がやりたいんやろ」と社会人になってから悩むことになる。

石黒少し前に、ある学生から相談されて、ちょっと驚いたというか困ったことがありました。「今度留学に行くんですけれど、僕、何をしてきたらいいんですかね?」と。

「いやいや待って。就活のために留学するの?」と。「留学というのは、あなたなりの意志とか夢があって行くんじゃないの?」と。

おそらく、さっきの「ゲーム感」と同様、就活に対して「答え、正解」を求めちゃっているのだろうと思いました。就活に正解なんてないのに、その答え合わせのために学生生活を送ろうとしている学生もいるのだな、と。

内田すごくわかります。「学生なんやから好きなことやればええやん。それが自分の価値観を変えたりもするやろうし、人としての成長にも繋がるやろうし」というのが私の本音です。

「就活のために取っている行動」があるのなら、そんなこと今すぐ辞めたほうがいいと思う。自分なりの経験で得たものが、後々就活を始めた時に、企業とつながる接点になったならそれはハッピーですが、先回りして答え合わせするような発想はやめて、と言いたくなります。

例えば、今のパナソニックはベンチャースピリットみたいのを重視しているだろうと考え、面接のときに「私はベンチャー気質です」と発言されていたらそれは本質ではないと思うのですが、実際に今、「ベンチャーにしようか、パナソニックがいいか」と真面目に悩んでいる学生が結構いるんです。

本当にその2択で迷っている学生がいるのなら、私だってその人の身になって真剣にお話をします。

石黒パナソニックだって創業100年目の「ベンチャー」である自負はありますから、生まれたてのベンチャー企業に入社して活躍できる人ならば、ぜひ行って活躍して欲しいと思っています。

ですが、やりたいことが明確ではないのに「ベンチャーで働いている自分ってカッコイイ」みたいな感じで、周りにも感化される感じだけでベンチャーに行っちゃう人というのは、結局ベンチャーでも続かない例が私の周りを見ていても実際あります。

逆に、パナソニックのように、グローバルな事業領域や多種多様な職種があり、かつ社内公募制度や、社内副業、社外留職のような仕組みのある会社であれば、そのフィールドや人事制度を使いこなすことによって、仮に最初の配属先で不満を感じたとしても、チャンスの選択肢は豊富にある。

いろいろな仕事を経験する中で、本当の意味でやりたいことを模索したっていいし、自分のキャリアは自分自身で作っていくことが出来ます。

その過程で「土台も積めたし、やりたいことも見えてきたし、そのためにベンチャーに行きたいな」と思えるならば行けばいいじゃないですか。

中には「ゆくゆく起業します」という学生もいますが、その前にパナソニックで成長しようと思ってくれるのであれば、それで構いません。

人生100年時代といわれるいま、パナソニック1社でキャリアを終えるケースはむしろ少なくなると思いますし。

そういう意味では、社会人として、一人でも立てるようなスキルや経験を得ていただくことを通じて、私は将来、パナソニックをリクルートさんのような「人材輩出企業」にしていきたいと思っているんです。

内田それ素敵ですね!「人材輩出」したい一方で、やっぱり人事としては、「転職とか起業をしようと思っていたけれどもパナソニックが魅力的過ぎて、出て行きたくなくなりました」と言ってもらえるように、頑張りたいと思いますしね。

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「何事も楽しむ姿勢」が最も大事?人生100年時代だからこそ、入社後もキャリアの悩みは尽きない

結論がはっきり出たわけではないが、間違いないのは、学生の時点で近視眼的な発想から「配属先=成長と活躍のファーストステージ」を狭く固定して執着するのではなく、人生という長い時間軸のスタート地点として捉えることが重要だということ。では、そうした信念をもって学生たちと向き合っている3人は、それぞれ自分自身の人生とキャリアとをどう考えているのだろうか?最後に聞いてみると、意外にも就活生と同じく、「キャリアに関する悩み」を今も抱えていることが見えてきた。

石黒私は最近、家族、チャレンジ、貢献の3つを人生の重大要素として強く意識していますね。家族がいるおかげで今幸せだと思うし、そんな家族から「パパかっこいい」と言われるためにもイキイキと生きていたいと思うし、そのためにも仕事でチャレンジをすることでイキイキしたいし、それを通じて社会に貢献したいし、仲間たちの人生に貢献したい。この3つを同時に実現できるのがパナソニックだと実感しています。

正直、入社以来、社会人として、人事として、なにを目標に、なにを目指せばいいのか、そもそもパナソニックで良かったのか、人事が本当にやりたい仕事だったのかなど、自分なりの解を見出せず、悩みながらも、とにかく目の前の仕事に取り組みながら、実はこっそり転職活動もしながら(笑)、その解を探してきました。ここまで明確な意識を持てるようになるまで10年かかりましたが、おかげでようやく今は進みたい方向が見えてきました。

もちろん3つを同時に叶えるのは難しいですから、悩むこともあります。例えば、グローバルな仕事にもチャレンジしたいし、それによって世界中の人に貢献もできると思うけれども、じゃあ家族も今すぐ海外転勤してハッピーになれるのか、というとまだわからないし、採用担当として言っていいのかわかりませんが(笑)、今後のキャリアは、パナソニックではなく社外も選択肢の一つとして考えています。

家族あっての仕事と思っていますから、家族のことを一番に考えて、私の人生における重大要素に合うかどうかを見極めながら、いろいろ悩みながら、考えたいと思っています。

片岡私はずっとAI技術がもたらす可能性に魅力を感じているんですが、ただこのような先端技術は世の中の役に立たなければ何にもならないという信念があるんです。

そして、それを実現できるのがパナソニックだと信じているからこそ、今ここにいます。だから今の採用の仕事で「人を見る目」、「人の可能性の引き出し方」などを学んで成長したいし、そんな成長をしたうえで再度現場に出て行き、自分が採用した気合いの入った若手メンバーの仲間と一緒に、中国に渡って夢を実現したいと思っています。

内田私はやはり当初描いていた、「日本のモノやサービスによって、世界の文化をより良くしていく」という夢に向かってパナソニックという土台で世界を豊かにしたいと考えています。まだ私は営業としてお客様のところに行ったことがないので、早くビジネスの現場で経験を積みたいですね。

ただ、そうは言っても迷っていることはたくさんあります。女性という点で、結婚や出産のことも考えますし、「ずっとこのままこの会社に」という気持ちもあれば「もしかしたら結婚を気に転職をしないといけないかもしれない」という曖昧なタイムリミットをなんとなく抱えている自分もいるんです。

でも一方で、採用というパナソニックの多くの仕事を俯瞰できるところに来てしまったので、「あれもできるし、これもできる」とわかってしまうがゆえに、「パナソニックでやりたいことが多すぎる!」と日々ワクワクしています。今後もどんな部門であろうと、入社時に描いていたように、「世の中に貢献がしたい」という想いを持ち続けながら仕事ができればいいなと思っています。

「学生時代にやりたいと感じていたことだけが、必ずしもキャリアの正解ではない」

「社会人になったって、ずっとキャリアで悩んでるんだ!」

「それでも、目の前のことに一生懸命取り組むことで、見えてくる新しい世界がある」

3人がそう話す通り、たとえ満を持して希望の企業に入社できたとしても、決してその後のキャリアは100%自分の希望通りに適うわけではない。

しかし、目の前に開かれた機会を活かしながら、楽しくいま働いている3人を見ていると、「仕事のやりがい」や「楽しさ」は与えられたり、何をやるかだったりによって決まるものではなく、自身の意味づけによって決まるものではないか?と考えさせられる。

就活中にやりたいことをしっかり固めることも重要ではあるだろう。しかし、「自分は何がしたいのか?」を考え続けるだけではなく、「いかに仕事を、目の前の環境を楽しもうとするか?」という人生における考え方・姿勢こそが、「やりがいあるキャリア選択」において重要な要素なのではないかーー。

そんなことを、これから就活を迎える学生の皆さんにも考えてみてほしいと思うのだった。

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最後に…「人事だって、ヒトなんです!」就活中の礼儀・礼節は忘れずに

そうして終了した取材であったが、最後にどうしても一言、石黒氏が学生の皆さんに伝えたいことがあるという。

石黒今回のインタビューに直接関係があるわけではないですが、就活生にぜひわかっていただきたいことは、人事だってヒトですよ、ということ(笑)。

就活にのめり込んでしまうと「人事・採用する側は偉い、特別」と思ってしまいがちですが、私たちだって学生と同じように悩んでいるってことをもっと知ってほしいと思います。せっかくのこういった機会なので絶対に伝えたいと思っていたんですが、どうか学生の皆さん、面談を欠席したり、内定を辞退したりするときだけは、電話一本いれてほしい!人事だって、ヘコむんです!(笑)

就活時代に会った人と、どこで、どんな形で再会するかわからないという点を考慮しても、石黒氏の言う通り、どれだけ忙しくとも、これから社会にでる者として、礼儀・礼節は忘れないようにしたいものである。

※18年12月18日 誤解を招きうる表現・記述を修正しました。

[文]森川 直樹
[撮影]藤田 慎一郎

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