新規事業は、一つの手段でしかない──20代が必ず知るべき「事業経営」、5つのポイントをSpeee池田・増田に聞く

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インタビュイー
池田 剛
  • 株式会社Speee デジタルトランスフォーメーション事業本部 事業部長 

新卒で不動産ディベロッパーに入社し、創業期の株式会社Speeeにジョイン。医療・ヘルスケア事業、アプリ事業など、数々の事業企画を歴任し、リフォーム事業の新規立ち上げに携わった後、2017年1月よりデジタルトランスフォーメーション(以下DX)事業本部内で事業部長となり不動産領域事業を業界シェアNo.1に導く。 現在は2つの事業部の事業部長に加え、HRマネージャー、アライアンス・M&Aなどの渉外業務などを担っている。

増田 隆洋

関西出身、九州大学文学部出身。学生時代はエンカレッジやGoodfindなど4団体で延べ300名以上に就活支援を実施しつつ、友人とクラウドソーシングの会社を立ち上げ、採用や組織設計を経験。2017年の4月に株式会社Speeeに新卒入社し、メディアの新規営業・コンサルを1年半経験後、現在は人事を担当。

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「新規事業はどこで学ぶべきか」「起業に向けて必要不可欠な経験とはなんだろうか」そんな悩みを聞く機会が増えている。

一体、何に悩んでいるのだろうか?働き方の多様化が進んだ。スタートアップは増えてきた。大企業も変わってきた。こんなにも選択肢にあふれているのに……。いや、選択肢やロールモデルが増え過ぎている、と言えるのだろう。悩みはより深くなっているようにも感じられる。

しかし、そんな深い悩みの底に沈んでいるあなたこそ、可能性を秘めた存在だ。それは、日本に新産業を生み出し、大きく育てていく可能性。実は企業側が求めているのも、そうした悩みを抱える者たちなのである。

FastGrowが今、伝えたい言葉に、「事業経営」がある。「事業家」や「経営者」を目指したいと思う人たちに対して、その思考を深め、悩みを解くために、伝えたい。FastGrow編集長・西川ジョニー雄介が話を聞くのは、Speeeのデジタルトランスフォーメーション事業本部で事業部長を務める池田剛氏と、新卒採用部の増田隆洋氏の2名だ。

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「事業立ち上げ経験」は早晩、陳腐化する

「事業経営」という言葉やその哲学に迫る前に、「事業」とは何か、「経営」とは何か。考えてみたい。不動産ディベロッパーを経て創業期のSpeeeに中途入社し、現在は事業部長を務める池田氏は、時代変革を起こす者のさらなる台頭が待ちきれないという様子でこう口を開いた。

池田世の中に「事業」と呼ばれるものはたくさんありますが、日本の産業を良い方向に大きく牽引できる事業は、その中のごく一部ですよね。一方で、デジタルやITの力で、新しい価値創造に挑むことは日常化してきているなと思います。もちろん、一定以上の規模の企業においても、そうした事業はあります。

そうした環境に飛び込んで、自分の価値を最大限に発揮・成長させようとするのが、「意識高い系」とも称されてきた、かつての僕らのような若者たちだと思います。

株式会社Speee デジタルトランスフォーメーション事業本部事業部長 池田剛氏

日本でもスタートアップエコシステムが発展してきた。起業や資金調達、イグジットの話題に触れる機会は、かなり多くなっている。大企業による新規事業も明らかに増えている。「社会に変革をもたらすような事業」に関わるチャンスには、もはや事欠かない時代だ。

だが、何かが足りない。そう感じているのがこの二人だ。

池田一つのイシューに立ち向かい、一つのプロダクトを立ち上げ、変革のきっかけを創る。そういう経験を持つ人は、かなり増えてきました。ですがその先の経験を持つ人、つまり事業をグロースし続ける成果を残している人は、まだまだ多くない。「事業立ち上げ」がコモディティ化しているとも言えます。

本来、事業とは「立ち上げること」よりも「連鎖的に立ち上げ続け、顧客の課題をより抜本的に解決し続けること」のほうが重要なはず。だから、「立ち上げること」だけに強く目が向いて、それがビジネスパーソンとして高い価値があると認識されやすい現状を、少し憂慮しています。

株式会社Speee 人事・新卒採用担当 増田隆洋氏

増田「事業づくりのノウハウ」や「新規事業立ち上げのインターン」などが非常に増えていますよね。逆に言うと、そういったノウハウはオープンアクセスできるようになってきて、それだけでビジネスパーソンとしての希少性を高めることには、必ずしも繋がらなくなってきました。

そんな背景から生まれたのが、Speeeの「事業経営」という言葉だ。

ポイント1

「事業立ち上げ経験者」は溢れかえり、コモディティ化している

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「新規事業やりたい」という勘違いを斬る

さて、改めて、今後の日本を背負って立つビジネスパーソンはどのような道を歩むべきなのか。その最先端と言える考え方に迫りたい。

増田先ほどもお話ししたように、「事業を創った経験がある」と言う人は社会に増えている。でも、世の中の難問と呼ばれる課題は、解き明かされないまま残っています。社会の中で本当に価値あるサービスとして浸透したものの数は、「立ち上げの回数」が増えている割には、多くありません。

池田黒字化を達成する、あるいは、上場や売却によってキャピタルゲインを生み出す。これらも事業における一つの要素です。しかし、本来的な目的ではありません。Speeeも上場しましたが、上場はゴールでもなく、中間ゴールですらないと考えています。顧客のベネフィットにより大きく応えるために何をなすべきかという視点で捉えたい。価値の拡大再生産により、経済全体に対して大きな好影響を与え続けることを目指すべき。

だから、「一つのプロダクトを立ち上げる」というのは、事業における最初のほんの小さな一歩でしかないんです。「事業を本気でやる」というのは、もっともっと大きくて長い挑戦であるはず。

増田我々が定義している「事業経営」は、単一のプロダクト・事業だけでは解決できないような難問(社会課題)に対して、「事業」が持つあらゆる要素を用いて解決していくスタンスのことです。これから起業家や事業責任者を目指すのであれば、必ず理解しておくべきだと思います。

「新規事業」に関連する記事やイベントが溢れかえる現代。それもそのはずである。IT技術の急速な進化を主な背景として、新たなチャレンジをし続けることこそが、企業の存続や成長の絶対条件となっているからだ。

場合によっては大きな方向転換も強いられる。ヘルスケア領域に注力する富士フイルムといった大企業の例を見ればそれがわかるだろう。ベンチャー企業でも、LayerXがブロックチェーン領域からSaaSビジネスへピボットしたことなど、FastGrow読者にはおなじみの話だろう。

だから、若者は勘違いをする。「新規事業をやりたい!」と、あたかもそれがキャリア構築の至上命題であるかのように、みな一様に口を揃える。

もちろんこれはこれで頼もしいことなのだが、少し物足りない。若者たちには、「日本の産業」あるいは「日本の経済全体」を強く意識して、自分の可能性をもっともっと強く切り開いていってほしい。

増田既存事業も、新規事業も、大きな社会課題の解決に向けた「手段」でしかないはずです。AIだとかSaaSだとかいうテクノロジーや新興ビジネスモデルも、手段の一つ。

こうした手段をいくつも組み合わせて、まだ解決されていない社会課題に立ち向かう、そんな「事業経営者」が生まれ続ける企業になりたい。今の日本には、それが必要なんです。

ポイント2

新規事業も、プロダクトも、ビジネスモデルも、「手段の一つ」でしかない

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連続したS字カーブを創るのが、事業経営者

さらに深く踏み込んでいく。「起業や新規事業を目的にするのは違う」という言葉だけなら、誰しもどこかで聞いたことがあるだろう。では、その代わりに何を目指すべきなのか、どういった経験を積むべきなのか。

事業を連鎖的に立ち上げ続ける経営により、産業規模で大きな課題解決をしていく。そんな言葉で抽象的に理解することはできるだろう。だがここで、少し目線を落としてみてほしい。「事業」「経営」「産業」という言葉を、あなたは正確に理解できているだろうか。辞書を引くと、こう出る。

じぎょう【事業】 ①生産・営利などを目的として継続的に行われる経済活動。「──を興す」②社会への貢献を目的とする比較的規模の大きい仕事。「社会福祉──」

けいえい【経営】 ①利益があがるように、会社・商店などを運営すること。「旅館を──する」「──がゆきづまる」②おおもとの方針などを定めて、物事を行うこと。「国家の──」

さんぎょう【産業】 生活に必要な諸財貨やサービスを生産・提供する事業。「──資本」

※明鏡国語辞典第三版より

説明は分かれているが、FastGrowなりに解釈するなら、「事業」とは「営利と社会貢献を目的として、規模を大きくしつつ継続的に行う経済活動」となる。そして「経営」は、「利益を上げ続けること」となる。「産業」には、「生活に必要なアウトプット」が必要になるのだ。

これらをすべて実現させることこそ、目指すべき「事業」の本質になりそうだ。このことに池田氏は頷いた。

池田「事業」というのは、あくまで解法です。「産業」の規模で課題や問題を捉え、連鎖的に解法としての事業を生み出し続けることこそが、「事業経営」です。

S字カーブってありますよね。事業の初期はなかなか投資対効果が見られないけれど、軌道に乗れば右肩上がりに成果が生まれ、その先ではまた成長が鈍化する。単発の事業だけで応えられる顧客のベネフィットは限定的です。そこで、鈍化に先回りして、新たな右肩上がりの成長を、別の事業で創り出す。こうした事業創出を続けて、難解な課題に立ち向かっていくんです。

増田採用という観点でみると、「いつか起業したい」とか「事業責任者になりたい」とか考えているみなさんとよく出会うようになっています。もちろん頼もしいのですが、一方でちょっとした物足りなさも感じていたんです。「どんな案があるの?」「深く調べた領域はある?」と聞いても、自発的な学習からしっかり答えられる人はほとんどいません。

それで、池田を含め、うちで躍動しているメンバーや経営陣といろいろ壁打ちしてわかったのが、Speeeのユニークネスでもある、「事業経営」という考え方でした。

ビジネスに対して、高い志を持つ人は増えてきた感触があります。ですが、そもそもこの志を持つ機会が足りないこと、そしてこの志を持って良い挑戦ができる機会が足りないこと。これらを大きな社会課題だと感じ、変えていきます。

ここで「Speeeは非常にユニークな採用戦略を練っているんですね」と聞いてみると、増田氏からは意外な答えが返ってきた。

増田もちろんSpeeeの採用戦略ではあるのですが、もっと大きな視点でまずは考えています。つまり「日本にまだ多く眠る、解決難度が非常に高い、産業規模の社会課題」に本気で取り組んでいく、そのことによってSpeeeのMissionでもある、「解き尽くす。未来を引きよせる。」を実現したいということです。

そういう志を持った人たちと、同志として、難度の高い課題に挑戦したり、Speeeの一員という形にこだわらず、この考えを持って社会の課題に挑戦する人を輩出したり、そういう事業を継続的に立ち上げては拡大していったり。そんな未来を思い描いて、自社の採用を考えていますね。

そう考えると、私も「採用」というものを事業経営的な思想から考えて、かなり長期的な戦略を練っていると言えるかもしれませんね(笑)。

ポイント3

社会の難問を解決するためには、連鎖的に事業を起こし続けることが重要である

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既得権益、変革の拒否、IT不足……そんな壁をいかに壊すか

「事業経営」という哲学が少しずつ伝わってきた。だが、結論を急ぎがちな人たちが、自分たちの選択肢として具体的にイメージできるまでにはまだ距離があるようにも思う。そう素直にぶつけてみると、池田氏はこう語った。

池田さまざまな機会がありふれている現代において、自分はどこに身を置いて、存在する価値を最大限に高めていくのか。そう考える中で、なぜ今もSpeeeに身を置いて挑戦を続けているのかを考えると、事業経営という概念が、Speeeのユニークネスであるという感覚があるから。

起業や上場を目指すというキャリアの選択肢も、もちろん面白いと思います。でも今、私個人的にはSpeeeだからこそもっと面白いことをやれてるし、自分の手で面白くできる自信があります。

つまり言いたいのは、「起業」そして「企業での新規事業」に次ぐ第三の選択肢として、次のトレンドになり得るのが「事業経営者への道」だということです。

この「事業経営者への道」について、増田氏がさらに補足する。

増田スタートアップやベンチャー企業での長期インターンが増えていますよね。事業家や経営者を目指そうと考えている学生のほとんどが、当たり前のように大学生からビジネスを経験するのが今の時代です。大学生のうちに、アカデミックに深く触れることの重要性は感じるのですが、一旦ここでは論じないでおきます。

「創業間もない十数人くらいのスタートアップでインターンをすれば、キャリアの希少性が高まる」と考える人もいると思います。それ自体は1つの正解かもしれません。長期インターンを通して、ビジネスの面白さや難しさにいち早く触れることは、非常に良いと思っていますし、そうした機会が開けてきていること自体には羨ましさも感じています。

ただし、誰もが無思考に取れば良い選択肢ではないはずです。

創業期スタートアップでのインターン経験は、間違いなく稀有なものになりそうだ。しかし、増田氏の「もっと良い経験を積んでもらうことができるはず」という想いから、Speeeは、「単なるインターン」をやめた。

増田Speeeが向き合っている産業領域は、その特異性が半端ではない。例えば「テクノロジーが社会実装されていない」「既存の商慣習が強く変化への抵抗が大きい」「様々なステークホルダーの利害が複雑に絡み合う」などの特徴がある領域です。

こんな領域で挑戦をあえてし続ける企業、そうそうないですよね?

私たちが同志に求めているのは、「誰よりも高難度の問題にチャレンジしたい」「実行者として難問に挑み、成果を出して解決をするところまでやり切りたい」という人です。また、ビジネスへの想いは強くなかったとしても「人生をかけて何かに没入したり、熱中する経験がしたい」という人ならかなりマッチする環境だと思います

そんな人たちが、将来にわたって大きな価値を発揮するための経験を、Speeeは他のどの企業よりも、熱く、深く、提供できる。その自信があります。だからこそ、新規事業創造のインターンシップにとどまらず、新たなプロジェクトを始動させるんです。

ポイント4

狙うべき産業は「変革への抵抗が大きい」「ステークホルダーの利害が複雑に絡み合う」ところ

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ビジネススキルではなく、Missionドリブンマインドを鍛えよ

Speeeはこれから、事業経営者を育成し続ける企業へと変貌していく。志を持つ者たちを“同志”として受け入れ、池田氏をはじめとした責任者クラスのメンバーとともに事業経営の挑戦をする場を創るのだ。

増田ビジネススキルを身に付け、極めていけば、事業経営者になれるのかというとそうではありません。重要なのは、「自らが不可逆な意思決定をし続けていくこと」です。

そのために必要な経験は、Missionや目標の設定、仲間集め、戦略策定、実行、投資戦略まで、全てを経営の視座や水準で行うこと。中長期的な目線から、P/LだけでなくB/Sやキャッシュフローも当然のように意識して、投資と回収、アセット活用の最適化まで推進していきます。

難度の高い社会課題に対して、これらをとにかく速く経験していく。さすがに、目に見える成果が出るまでには数年がかかってしまう話です。2~3年でもぜんぜん足りないかもしれません。ですが、5~10年後の成果は、ものすごく大きなものになるでしょう。

池田僕らが挑戦してきた事業はいずれも、「普遍性が高く、かつ難度が高い領域」です。時間も人も熱量も中長期的にかけながらも、スピード感を持って効率的に取り組まなければ、成果の出ない領域。そこに事業を興し、新しいプロダクトやサービスを次々に創出して、課題解決を図ってきました。『イエウール』、そこから派生した『すまいステップ』、それ以外にも『ヌリカエ』、『ケアスル介護』など、顧客のニーズに対して開発し続けています。

池田この右上のBの象限を、僕は「ブラックマーケット」と読んでいます。ほかの社員の言葉では「死の海」という表現もありました(笑)。要するに「難度が高すぎて、誰もそこで事業をやろうとしない。事例はあるがうまくいっているサービスがない」ということを言いたい。でも、だからこそ、そこでやる意味は大きい。

今、意識的に養うべきは、論理力や発想力ではなく、もっと泥臭い力。「事業経営」という哲学に基づいた「連続した意思決定力」です。

増田この「意思決定力」を徹底的に鍛えるプロジェクトが、新しく始める短期選抜型の『SPIRIT』(Speee Industrialist Tryout)と、事業経営志塾である『SPIRAL』(Speee Industrialist Ambition Lab)です。

「新規事業は一つの手段」「自らでMissionやVisionを決める」「未来の成果を語る覚悟で仕事に対峙する」。そんな経験を、どんな環境よりも濃く積む場になります。

ポイント5

積むべき経験は「難度の高い意思決定」

「世界を変えたい」と謳うスタートアップや起業家は、日本でもここ数年、明らかに増えている。しかし、まだまだ世の中には、解決難度の高い問題が残り続けている。

最も確からしい道はどこにあるのか。おそらく、Speeeが目指す姿は、それに近いのだろう。企業としても、メンバー個々人としても、意識するのは常に長期的な視点だ。目先の事業やプロダクトだけではなく、長い時間軸で産業や経営を考える。そんな環境に魅力を感じたら、それがきっと「世界を変える」に向けた第一歩になるだろう。

「事業経営」を考えるべき5つのポイント

1. 事業立ち上げ経験者は溢れかえり、コモディティ化している

2. 事業の連鎖だからこそ、社会の難問を解決できる

3. 社会の難問を解決するためには、連鎖的に事業を起こし続けることが重要である

4. 狙うべき産業は「変革への抵抗が大きい」「利害が複雑に絡み合う」ところ

5. 積むべき経験は「難度の高い意思決定」

こちらの記事は2021年12月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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