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「テクノロジーで投資銀行業界に創造的破壊を」15歳で起業した起業家TIGALA正田が知る、投資銀行の闇

まだベンチャーという言葉もない浸透していない時代。15歳で起業した男がいた。10回以上の事業売却・買収を行ってきたが、そこで感じたのが...
まだベンチャーという言葉もない浸透していない時代。15歳で起業した男がいた。10回以上の事業売却・買収を行ってきたが、そこで感じたのが、M&Aアドバイザー達が取るスタンスへの違和感。「買うべきか、買わないべきか?」を一緒に相談に乗ってくれる人はいないのか?そして彼は思いつく。いないなら、自分がそうなろうと。
あの注目のスタートアップは、どのようにして生まれ、いま何を目指しているのか──
  • TEXT BY REIKO MATSUMOTO
17-10-25-Wed
正田 圭(まさだ・けい)
TIGALA株式会社 CEO
湯瀬 幾磨(ゆせ・いくま)
TIGALA株式会社 副社長/CFO

まだベンチャーという言葉もない浸透していない時代。15歳で起業した男がいた。10回以上の事業売却・買収を行ってきたが、そこで感じたのが、M&Aアドバイザー達が取るスタンスへの違和感。「買うべきか、買わないべきか?」を一緒に相談に乗ってくれる人はいないのか?そして彼は思いつく。いないなら、自分がそうなろうと。

日本の金融機関は、起業した私に見向きもしなかった

どのような業界においても、先人らが作ってきたルールを打ち破るのは容易ではない。こと投資や金融といった専門知識が必要な世界においては、多少いびつな構造をしていたとしてもそれを指摘し証明できる人が少ないのだからなおさらだ。

そんな闇に包まれた業界の1つである投資銀行領域のビジネスモデルを変革し、そうした状況に一石を投じようとする起業家が、 “シリアルアントレプレナー”であるTIGALA代表の正田圭である。

正田の起業家としてのキャリアスタートは、15歳に遡る。「インターネットの登場に合わせて、インターネットの広告代理店を始めた」

30代に突入するまでの10年強の間に、10社以上の会社を経営。その会社・事業売却で得た資金を元にさまざまなことにチャレンジしてきた。

当時はそんな言葉すらない中、シリアルアントレプレナーとして多彩な経験を積んだ。特にリーマンショック以降は、多数の事業再生案件に携わった。

それらの立て直した会社を全て売却していく中、2011年に設立したのがTIGALAだ。

しかし、誰もが気づく通り、生活していくに十分足るキャッシュは正田の手元に既にあるはずだ。「引退も考えたことはある」というが、なぜこれほどまで起業家にこだわるのか――。

「野球をやってる小中学生って誰もが甲子園を夢見るじゃないですか。会社経営の世界で言うと甲子園で優勝したのが孫正義。世界に出ればビル・ゲイツやジェフ・ベゾス、イーロン・マスクもいる中で、自分はまだまだ草野球の世界しか経験してない感覚。ビジネスの世界に生きてきた以上、やっぱりメジャーリーグの土を踏みたいと思ったんです」

どのような会社を立ち上げればメジャーリーグに参戦できるのか。中古品の買い取りサービス、ファッションアプリ、アクセサリーの小売業など、20以上のビジネスを考える日々が続いたが、真の手がかりとなるものは正田の起業家としての15年間の中にあった。

「金融機関は本当に支援が必要な人を助けられていないのではないか?とずっと思ってきました。会社売却した実績がある20歳前後の私を、日系金融機関は相手にしてくれなかった。結果的に、起業家としての私の相手をしてくれたのは外資の金融機関。日系はその2005年当時、ベンチャーって言葉自体受け入れられず、『学生時代に会社を売ったってどういうことですか?』とまったく理解を示してくれなかったんです」

そこから外資系金融機関との付き合いが始まったが、それでも的を射たサービスは受けられなかった。彼らは日系金融機関とは異なり、基本的には一部の優良顧客に対して人を繋ぎ、高額な成功報酬をもらうことでビジネスを成立させている。

そのため、正田のところには投資案件や資金調達の提案が持ち込まれるようになったが、実はそれは的を得たサービスではなかったという。

「投資銀行は、案件を紹介し実現させ、その手数料で潤ってるじゃないですか。でも、僕が欲しいのは案件だけではなく、その案件をどうすればよいかのアドバイスが欲しかった。本当に欲しいのは、どう案件を手がければよいかのHOWであり、WHYなのに、ひたすらまわってくるものは分厚い案件概要書ばかり。それに、やはりうちは外資の投資銀行にとってみれば小さいお客さん。投資銀行の目線は大手の上場企業なんです。

しかし、大手企業こそ、M&A案件も直接話が回ってくるし、資金調達の支援も不要だと私は思うんです。自分が企業再生を行ってきた経験上、知識もお金もなく困っていて、将来の成長のために投資銀行サービスを本当に必要としているのは、ベンチャー〜中堅企業までだと気がつきました。TIGALAではミドルマーケットの案件を活発化させると同時に、投資銀行業界のビジネスモデル自体を破壊しようと思っています」

リノべる元CFOのジョイン

そんな正田と意気投合し、TIGALAの成長を牽引していく存在が17年9月、チームにジョインした。IPO監査のリーディングカンパニーであるエスネットワークスで経験を積んだ後、リノベーション領域のベンチャー“リノベる”CFOとして同社の急拡大を支えた湯瀬幾磨である。

「私は、学生時代は演劇にどっぷりのめり込んでいて、将来について考え始めたのは普通の大学生よりだいぶ後でした。演劇一本で暮らしていこうと思っていたんです。ただ、本当に一握りの人しか日の目を見ない世界だなと気づいてからは、別の道で努力しようと思い、専門学校のポスターが格好良かった会計士の資格取得を目指しました。それが24歳の頃です」

2回目のチャレンジで公認会計士2次試験に見事合格するも、「普通に監査法人に行っても面白くなさそう」という理由で、現在同社で代表取締役を務める須原との出会いをきっかけに、エスネットワークスに新卒入社した。

当時30人前後の同社での日々は「相当チャレンジングだった」と湯瀬は振り返る。

入社早々、世間を騒がせていた渦中のライブドアへの駐在を経験。その後も新婚旅行の帰国翌日から電話1本で名古屋への単身赴任が決まるなど、波乱万丈の日々だった。

そうして経験を積み30歳を過ぎた頃、「経営者としての経験を現場で積みたくなった」同氏は、知人に紹介されたリノベるでCFOの肩書を得る。

「想定していたよりもキャッシュがなかったり、売上が少なかったりとまさにスタートアップを経験する中で、CFOという職に縛られず、なんでも経験できた」

その後湯瀬は、17年4月に同社が三井物産からの出資を受けるまでを支え、TIGALAへのジョインを決めた。

「投資家として企業を支えたいなという想いももっていたが、正田のビジョンを聞き、TIGALAならCFOと同時にそれも実現できると感じた」

これまでの激動の時代を振り返りながら、湯瀬は話す。「ベンチャー業界って自分がいた小劇場の世界に似てると思うんです。劇団四季クラスの大企業には、ベンチャーみたいな勢いと斬新さってないですよね。大人計画、ナイロン100℃、阿佐ヶ谷スパイダースみたいに、若い人たちが勢いで作り上げたものが10年後、20年後に主流になっていくのって、サイバーエージェントなんかが大きくなっていく歴史と一緒。社会に出てから、学生時代の原体験を思い出すことがよくあるんです」

若いころ、自分のやりたいことに従いその道で行きていくことを追求した湯瀬だからこそ、「投資銀行業界を変えたい」という強い志を胸に奔走する正田に惹かれたのだろう。

「私もこれまで多くの経営者に会ってきましたが、その中でも正田は、リスクを等身大でとらえて、実際に行動に移せるところがすごくいい。人間って、無意識のうちに見たくないものは見ないようにする生き物です。でも彼はそこにフタをしないんです。リスクと真っ向から向き合いながら、乗り越える方法も並行して考えている。稀有な才能ですよね」

実際同社ではICO(Initial Coin Offering)も検討中だというが、このタイミングでICOに取り組むという正田の意思決定に、湯瀬は彼のリスクテイキングの上手さを感じたという。

業界未経験だからこそ、時代に合ったモデルを再構築できる

TIGALAにジョインする前後、湯瀬自身も投資銀行業界の在り方には疑問を抱いていた。

「この世界ってすごく古風で、何年間も資料作成やエクセルでのモデリングの仕事から脱却させてもらえない優秀な若手が多い。彼らの仕事を奪うことにはなるが、誰かがこの手作業にメスをいれ自動化しなければ、投資銀行サービスに価格破壊は起こせません。リノベーションして家を売買するように、家を買うことが一生に一度のイベントでなくなった時代です。1企業に務めるサイクルも短くなってきたという時代背景に合わせて、ファイナンスやM&Aもそこに合わせて変化しなければいけないと思ったんです」

社会人のライフサイクル短期間化に伴って、会社売却自体ももっと日常的に行われる世界に変わるべき。

そんな世界を夢見て、投資銀行業界に風穴を開けようとするTIGALAは、「非常にいいポジションに立てている」と湯瀬は語る。

金融業界出身者が社内に誰もおらず、TIGALA自身が業界特有のしがらみに制限されないためだ。「いつの世も、業界を変革してきたプレイヤーは業界未経験の集団だ」と正田も続ける。

「投資銀行業界に一番足りないのは透明性です。どういう構造なのか誰も教えてくれない。そもそも、投資銀行のビジネスモデルは全て、根本的に利益相反。この案件に手を出すべきか?というGo or Not goの意思決定を誰もサポートしてくれないんです。これは私自身が長年の売却・買収経験で感じてきたことです」

投資銀行×テクノロジーで中小・中堅企業の成長を支援したい

それでは、TIGALAが変革した未来にある投資銀行業界はどのようなモデルになるのだろうか。

「『案件が成立したら手数料をください。ただし、その案件をやるかやらないかの意思決定には一切責任を取りません』という構造を根本から破壊します。アドバイザーがデータベースをクライアント先に持ち込んで、同じ情報を見ながらディスカッションすべきなんですよ。姿勢としても、『この企業良さそうだから買収しませんか?』ではなく、『必ずバリューアップにつながるから、我々もリスク取ってお金を出します。御社の未来を一緒に創りましょう』というのが本来のあるべき姿だと思うんです。実際にTIGALA自身も、ファンド組成を計画しているところです」

長年続く投資銀行のビジネスモデルの破壊者がTIGALAであると聞いて、誰が信じるであろうか。

そう訝しげに同社を見る人達に正田は「私はM&Aアドバイザーも会社経営者としてのプレイヤーも務めたことがあり、どちらの気持ちもわかるのが強み」だと話す。

そしてそんな彼を、不動産業界で経営経験を持つ湯瀬のような優秀なメンバー達が支えている。また、湯瀬だけでなく監査役には 「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」(山田真哉、光文社)の著者でもある山田真哉も名を連ね、それ以外にも、IT業界で最近バイアウトをした経営者のジョインなども話がまとまってきており、少人数精鋭という言葉が似つかわしいベンチャー企業である。

「TIGALAは一言で言えばIBテック企業(投資銀行×テクノロジー)。コンシューマ向けやスモールビジネス向けのフィンテック企業はこの数年で非常に増えてきた。しかし、BtoB領域で真剣にこの領域を取りに来ている企業はまだ存在しない。日本だけではなく、グローバルを見渡しても今のところ存在していない。もちろん、ここは誰もいないブルーオーシャンで、甘い蜜がたくさん吸える市場なんてわけではない。参入障壁が高く、皆がやろうともしない、険しいブルーオーシャンであることはわかっている。だからこそ、TIGALAが挑戦する価値がある」

最終的にTIGALAがミッションとしているのは「中小・中堅企業の真の意思決定のパートナー」になること。投資銀行業界でまかり通っている慣習に「おかしい」と声を上げることで、それを取り巻く関係者全体のリテラシーも上がってくるのは確かだ。

自らが経験した金融業界の負を変革するため矢面に立つ覚悟を決めている正田。これから湯瀬と二人三脚で業界変革を成し遂げていけるかどうか注目だ。

0→1創世記

あの注目のスタートアップは、どのようにして生まれ、いま何を目指しているのか──