連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

ファーストペンギンはどっちに転んでもヒーローになれる──社内発を創り続けるiCARE小美濃 優の“エースたる所以”

登壇者
小美濃 優

新卒でりそな銀行に入社し法人融資業務に携わる。iCAREに転職し、一人目のインサイドセールスとして組織立ち上げ。コール活動の他、WEBセミナー、展示会の企画・運営など会社初の施策を行う。2021年8月よりマネージャーに就任。新たに採用業務に携わる。現在新施策のためのチーム立ち上げ準備中。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第14回は、iCAREでインサイドセールスのマネージャーを務める小美濃 優氏。1人目のインサイドセールスとして参画し、その後も社内初のプロジェクトをいくつも成し遂げてきた。社内のファーストペンギンとして果敢にチャレンジを続ける彼の仕事術とは。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
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銀行員からITベンチャーへ

「働くひとの健康を世界中に創る」をパーパスに掲げ、健康管理システム『Carely(ケアリィ)』の開発・運営をメインにサービス提供を行うiCARE。累計契約企業は530社以上(2022年6月時点)にのぼり、2016年にサービスを開始以降、右肩上がりで業績を伸ばしている。

その中で、1人目のインサイドセールス(以下IS)として2018年に入社した小美濃氏。参画した当時、社内にISの経験者はおらず、少ない予算でひたすら模索する毎日だったという。だが、現在新たに10人目となるISメンバーが加わり、4年前と比べて見違えるほど組織は成長した。「人数も増え、予算も拡大し、いろいろな施策が打てるようになった。4年前はすべて1人でやっていたことを思うと感慨深い」と語る。

ここで、小美濃氏の仕事術を紹介する前に、まずは今に至るまでの経緯を大学時代まで遡ってみよう。

小美濃大学は総合政策学部で、興味のあった政治経済学をゼミで専攻し学びました。学業以外では、高校3年の頃から始めた格闘技やよさこいのサークル活動に励みました。その後、新卒でりそな銀行に入行したんです。

晴れて社会人となり、法人融資業務の担当者として目の前の業務に追われる日々。企業のお金回りを担う重要な職務にやりがいを感じる一方で、「マネージャーや支店長のように、金額の大きな案件を成功させ、目を誇りを持って働きたい」という自分の理想とする働き方と現実との間に徐々にズレが生じていくのを感じていたという。その後、24歳でiCAREと出会い、大手の都市銀行からITベンチャー企業へと転職を決めた。

小美濃iCAREに転職した理由は2つあります。1つは、iCAREのサービスが社会的意義のある事業だと感じたからです。というのも、前職で入社したばかりの社員がメンタル不調で休職するのを目の当たりにして。もちろん、これは銀行だけでなく、どこの業界でもありうることです。働く人たちの健康を守るiCAREのサービスに社会的意義を感じて選びました。

そしてもう1つは、山田(代表取締役CEO山田洋太氏)の熱い想いに惹かれたからです。最初の面接から彼が登場し、「今はまだ小さい会社だけど、こういうことがやりたいんだ」と熱くビジョンを語っていただきました。正直、その時の内容はほとんど覚えていないのですが(笑)。代表の目の輝き、熱量の高さ……どれを取っても僕の周りにいる人たちとは違って見えて。「この人についていきたい」と直感的に思い決断しました。

当時、20人目のメンバーとしてiCAREに参画して以降、24歳でIS組織を立ち上げ、26歳で社内初となるWebセミナーを企画・実施。27歳となった現在、大手企業向けの営業組織であるBDR(Business Development Representative)チームを立ち上げた。

「自分は特別な人間ではない」と謙虚な姿勢を見せる彼だが、それとは裏腹に、タフなベンチャー精神で新たな施策を次々に実行するさまは、まさに若手エースの鑑だ。次の章からはさっそく彼の仕事術を紹介していく。

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助言は素直に実行すること。情報は鵜呑みにするな

「多くの助言を真っ直ぐに受け入れ、実行すべし」。インタビューで彼が1番にあげたのがこの仕事術だ。例えば、あなたが上司だとしたら、どんな部下にビジネスチャンスを与えたいと思うか。それは考えるまでもなく、“信頼できる人物”だと答えるだろう。小美濃氏は上司と積極的に信頼関係を築くことで、バッターボックスに立つ機会を自ら手にしてきた。

小美濃入社した当初、先輩からの助言に対し「わかりました」で終わらせず、必ず実行した上で、「こうでした」とすべて報告していました。すると、上司からは「素直に受け入れて、ちゃんとやるやつなんだ」と見てもらえて。

そこから「小美濃は実行力がありそうだ」「任せてみよう」と新しい仕事に抜擢されるチャンスが増えました。現に、iCAREの社内では素直で実行力のある人たちが活躍していますね。

ここで小美濃氏が伝えたいのは、単に上司の“イエスマン”であれということではない。“とにかくやってみよう”というフットワークの軽さと実行力が大事だという。社内で“何でもチャレンジするやつ”という印象があれば、自ずと仕事の話が舞い込んでくるというのだ。

一方で、ビジネスにおいては、「表面的なテクニックやノウハウは鵜呑みにせざるべし」と語気を強める。

小美濃世の中には、書籍やSNS、YouTubeなどでいろいろなテクニックやノウハウが無料で公開されています。僕も知識を吸収するために社外のイベントに参加したり、Webや書籍で情報収集に奔走しました。

けれど、それぞれ置かれている状況は違う。予算や会社のフェーズが異なれば、どんなに正しい情報でも自社に合わない。何でも鵜呑みにすることなく、まずは検証することが大事。

それは次の失敗から学んだという。

小美濃一般的に、ISは、“受注見込みの高い案件を見極めて、フィールドセールス(以下FS)に渡す”ことが大事だと言われています。僕も当初はそれを鵜呑みにして、“良質な商談”だけをFSに渡していたんです。

しかし、スタートアップで案件の少ない時期に絞り込みすぎてしまうと逆にFSの成長を妨げてしまったり、データが自体が溜まらなかったりして、将来につながる分析ができません。

そこで、“取れる案件はすべてFSへ渡す”ことに切り替えたんです。「進みやすい案件」「進みにくい案件」とデータが溜まるようになってから、ようやく的確なスクリーニングがかけられるようになりました。一般的に良いと言われている施策でも、それが自分たちのフェーズに当てはまるかどうかは別の問題です。

信頼関係を築く上では素直にアドバイスを受け取ること。一方で、世の中の情報は鵜呑みにするのではなく自身で噛み砕くこと。その2つのバランスを見極めながら、彼は社内で“初”となる領域に果敢にチャレンジしてきた。次の章では、なぜ彼がファーストペンギンにこだわるのか、その内面にも触れていきたい。

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ファーストペンギンでヒーローになれ

群れの中から、まだ誰も飛び込んだことのない海に勇気をもって飛びこみ、魚を捕まえにいく1羽のペンギン。その姿から、リスクを恐れずに未知な領域へ踏み出す者を、敬意を込めて“ファーストペンギン”と呼ぶ。

小美濃僕がなぜ、ファーストペンギンを目指すのかと言うと、単純ですが、誰もやったことない試みをすることで社内の中で存在感が増すからです。

成功すればヒーローになれる。失敗すれば「いいチャレンジだったね」と労ってもらえる。ある意味“おいしい”なって思っているんです(笑)。

はにかんだような笑みを見せる小美濃氏。自らビジネスの種を見つけて事業を成長させていくことがただ純粋に楽しいのだろう。とはいえ、前例がないことにチャレンジすることは、当然失敗するリスクも高い。彼は一体どのようなマインドで、新たな事業に取り組んでいるのだろうか。

小美濃「失敗しても死ぬわけじゃない」ぐらいの気持ちでやっています。とにかくスピーディーに実行して、よかったら継続する。ダメだったら辞める。だらだらと施策を続けることはありません。そして、ある程度慣れてくると、成功までの道筋、つまり仮説が立てられるようになる。それに対して、うまくいかなかったものは検証して次に活かす。それは経験の中で身についたスキルだと実感しています。

一方、新卒など経験が浅いうちからファーストペンギンになるにはどうやって行動するべきかという聴衆者の質問に対しては、会社のカルチャーによるとした上で次のように答えた。

小美濃アイデアベースで提案するのもいいが、組織やチームの課題に対し「解決するために、これがやりたい」と提案する方が受け入れてもらいやすい。ロジックがしっかりしていれば、新卒であってもファーストペンギンとして挑戦できるチャンスはあると思います。

「ヒーローになる」という成功イメージを描いて事業に取り組むという小美濃氏。たとえ同じ経験でも、「失敗だ」と捉える人もいれば、「気付きだ」と捉える人もいる。彼は、考え方1つでマイナスなことを瞬時にプラスに切り替えられる術を知り得ているからこそ、常に成功イメージをブラさずに突き進めるのだ。

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メンバーから嫌われることを恐れるな

27歳となった今、ISのマネージャーに昇進した小美濃氏。これまではプレイヤーとして、自分がどうやって成果を出すかを考えてきた。が、マネージャーとなりチームで成果を最大化させることがミッションとなった今、“感情をコントロールして、合理的に判断する”ことが大事だと気付いたという。

小美濃自分はベースとして感情が揺れ動きやすいタイプ。喜怒哀楽もはっきりしていると自覚しているため、マネージャーとして何かを判断するときは、感情を持ち込まず合理的に正しい判断をするよう意識してきました。

例えば、目標に関して言うと、ISではコール数が活動量を計測する上で重要な指標になります。時にはもちろん、活動量が目標に届かないメンバーがいることもあるのですが、その際にあえてドライに対応するようにしているんです。

目標が達成できていないからといって相手を詰めるという意味ではありません。目標に対して“できた”“できていない”をはっきり示し、メンバー間で不平等が生まれないようにしたんです。

また、数値を出すことで原因を知り、メンバーとコミュニケーションを取りながら改善できるメリットもある。そういったマネジメントを意識しています。

メンバーに嫌われてもいい。その覚悟を持って、あえて感情を抜きにしてメンバーを評価するという小美濃氏。だが、裏を返せば、メンバーに対して色眼鏡で見ることなく正しく評価をしたいという誠実な思いの現れでもある。

これまでiCAREのファーストペンギンとして次々と施策をくり出してきた彼が、次はマネージャーとしてチームをどのように牽引していくか。今、その手腕が問われている。

こちらの記事は2022年07月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

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