連載週刊スタートアップ通信──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

Paidy買収に見る、国外Fintechの最新事情
──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。

当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信しいていく。

題して、週刊スタートアップ通信──。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュース・話題をピックアップ。

・Paidyやpring買収は何を意味するのか?

・マンガで言語の壁を取っ払え!多言語化システムの力

・海外マネーが流入!注目の新素材スタートアップ

について見ていく。

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Paidyやpring買収は何を意味するのか?

PayPalが、後払い決済サービスのPaidyを3000億円で買収する──。

巨大マネーが動くこの買収劇は、日本経済新聞などの記事とともに、拡散された。Paidyが日本で6社しかないユニコーンのうち1社ということもあり、世間は大いにこのニュースで盛り上がったのではないだろうか。

Paidyは、後払い決済サービスを展開する国内ユニコーン。しかし実態は、代表取締役会長のラッセル・カマー氏を筆頭に、マネジメントチームに名を連ねるのは海外大学のMBA取得者や、JPモルガン、マッキンゼー出身の強者ばかり。国内の多くのスタートアップとは、メンバー構成において一線を画すともいえる。

「いま買いたい、かなえます」をキーワードに、国内の後払いサービスの開拓者として、知名度を獲得していた。SNSを巧みに使い、若者を囲い込んだ。TechCrunchによれば、ユーザー数は600万人を超えているという。
事業拡大に向けたファイナンス施策も積極的だった。2021年3月にはシリーズDで約131億円を調達。その前には伊藤忠商事から約52億円の資金調達を成功させるなど、資本力を持続的に向上させてきた。今回のM&Aは、SmartHR宮田昇始氏Smart Bank堀井翔太氏他、多くの起業家から驚きの声が漏れ聞こえた。

中でも、Spiral Capital 代表パートナー奥野友和氏は、こう分析している。

7月にスマートフォン送金サービスのpringがGoogleに買収されたことは記憶に新しい。世界を見渡すと、「GAFAM」を筆頭にテックジャイアントと呼ばれる企業が相次いで金融事業に参入している。たとえば8月にはSquareが後払い決済サービスのAfterpay(オーストリア)を約1兆円で買収。VISAもまた、オープンバンキングAPIを手がけるTinkの買収を計画する。 また、今回Paidyを買収したPayPalもまた、暗号通貨セキュリティを手がけるCurv(イスラエス)や、中国でオンライン決済サービスを手がけるGoPay(中国)を買収するなど、M&Aには積極的な姿勢を見せる。

金融事業をゼロから立ち上げるのは、資本力や技術力のある大企業でも簡単なことではない。他国への進出という点でも同じ課題に直面する。だからこそ、事業買収という形が比較的多く見られるのだろう。引き続き、世界中のFintech企業が大型M&Aを受けるという動きが目立っていくとみられる。

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マンガで言語の壁を取っ払え!多言語化システムの力

「世界の言葉でマンガを届ける」。大日本印刷(DNP)と、AI翻訳サービスを手がけるMantraは共同で、多言語でマンガを作成するシステムを開発した。これにより、DNPが独自開発したDNPマンガオンラインエディトリアルシステム『MOES』上で、AI翻訳が可能となるという。年内をめどに実用化する。

『MOES』は、マンガの翻訳やレンダリング、校正などを行うクラウドシステム。マンガのレイアウト上に直接翻訳した文章を書き込むことができるため、データの進捗管理や文字の入れ違いを防ぐことができるという。日本文化を代表するマンガ・アニメの市場は大きい。内閣府知財事務局委託調査「クールジャパン調査」によれば、日本に興味を持ったきっかけを見ると、「アニメ・マンガ・ゲーム」が1位に食い込む。中でも欧州では75%がこのアニメ・マンガ・ゲームと答えたという。

今回の共同開発は、より翻訳機能を高めるために行われた。国内のマンガを多言語に翻訳し、海外により積極的に発信する体制を整える。

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山形発スタートアップに海外マネーが流入!
「新素材」で340億円以上を調達

構造タンパク質素材を開発するSpiberは、カーライルやクールジャパン機構などから約340億円の資金調達を成功させたと発表した。モノづくり系スタートアップの起業家からは驚きの声が上がった。エレファンテック社長の清水信哉氏は、「ヒ、ヒエエ、すごい」とコメントした。

Spiberは、山形県鶴岡市に本社を構える素材開発企業。独自開発素材の「Brewed Protein」を軸に事業を展開。他にも、Brewed Proteinをセーターやジャケットの製品のみに落とし込むのではなく、ファション・ウィークで公開するなど、アパレルにも着々と参入してきた。中でも同社の特徴は、学術論文を数多く執筆している点だ。構造タンパク質の学術的探求と題して、現在18本の論文を公開。クモの糸やカシミアなど、さまざまな種類のタンパク質の研究を通じて、エビデンスに基づいたプロダクトづくりを行っていることを示している。

資金調達にも精力的に挑んできた。過去には、大手繊維商社の豊島やArcher Daniels Midland(米・イリノイ州)などから資金調達を実施。アメリカにも製造拠点を建設するなど、山形からグローバルへ精力的に展開したスタートアップの成功事例とも言える。今回、資金調達額が340億という額も驚きだが、今回注目すべき点は、カーライルの投資参加だ。 Beyond Next VenturesのCEO、伊藤毅氏は「そしてカーライルが初の国内スタートアップ投資」とコメント。

WWD Japanによれば、カーライルのマネージングディレクター、渡辺雄介氏は「アパレル産業への強力なインパクトと共に、中長期的にも大きな市場をターゲットにしており、大きな可能性を感じた。経営基盤の強化に加え、海外進出への支援を行う」とコメント。IPOもささやかれており、海外からも期待された企業と言えるだろう。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?秋が近づくこの頃。体調に気をつけてお過ごしください。今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2021年09月10日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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