連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

「一生バットを振り続ける」起業家として自信を失った話──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から3本のニュース・話題をピックアップ。

・リーダーも休んでいい。ANRI佐俣氏が実践を振り返る

・タイミー小川氏が社長を辞めようとした話

・Beyond Next Ventures、最長14年運用の新ファンド組成

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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リーダーも休んでいい。
ANRI佐俣氏が実践を振り返る

リーダーの休暇は是が非か。

ANRI代表パートナーの佐俣アンリ氏が2ヶ月間の長期休暇を取得していたインタビューに注目が集まっている。「実はこの約2年半の間に2か月会社を休んでるんですよ」という意外な事実から始まる記事。いや、この事実に衝撃を受けていてはいけないのかもしれない。

佐俣氏は、「ごきげんなビジネス人格が保てなくなり」、合計2ヶ月間の長期休暇を取得。この際、全ての意思決定のフローから外れたという。経営者は意思決定に関わる仕事。がゆえに、歪んだ状態で意思決定をすることを避けるため、その意思決定に自分自身が後悔しないためにも、ジェネラルパートナーの河野 純一郎氏と鮫島昌弘氏に委ねた。

長期休暇の取得宣言をあちこちで見ることが増えてきた。ログラス代表の布川友也氏や、カミナシの代表取締役CEOの諸岡裕人氏、hacomono代表取締役CEOの蓮田健一氏が一定期間の長期休暇「サバティカル休暇」を取得することを共同で宣言したのは印象深い。

「でもあなたの組織が長期的に成功していくためにも、リーダーが休むことは合理的であると認識するのが大事じゃないかなと」。今回合計2ヶ月間の長期的な休暇を取得した佐俣氏だからこそのこのメッセージは強烈だ。

経営者ありきの組織よりも、いなくても十分にまわる組織をつくることが重要だとよく言われる。ビジネスインパクトを最大化するため、強いメンバーをいかに引き込み、育て、権限を移譲していくか。多くのリーダーが頭を悩ませているところだ。

ここに、一つのヒントがあるのかもしれない。周囲の環境変化で体調が悪くなったり、どうしても休まなければいけなかったりするタイミングが誰しもある。そんな時「休む」という意思決定こそ、何よりも重要になる場面なのだと言えるだろう。

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タイミー小川氏が社長を辞めようとした話

このnoteのインパクトも強烈だった。

先月130億円のデットファイナンスのリリースを公開し、再び注目を集めたタイミー。このタイミーの代表を務める小川嶺氏が公開した「新規事業を半年で畳む。起業家として自信を失い、社長を辞めようとした話」が経営者エピソードとして生々しすぎたので紹介したい。

「でかくなりたいなら、一生バットを振り続けろ。死ぬまでずっとだ」。

社長を辞任すると逃げ腰になっていた小川氏に対して、サイバーエージェントの代表執行役員社長であり、タイミーに投資もしている藤田晋氏が発した発言。新サービスの事業がうまくいかず、かつ本業が苦しい時に支えた他の役員陣に代表の座を譲ろうと決断した報告を藤田氏に持って行った時に、発せられた言葉だ。優れた、名の通った経営者になるため、藤田氏から学んだという。

このnoteの公開後、Twitterでは「小川さんのブログ、グッと来た。特に藤田さんのアドバイスの箇所」や「とてもいいはなし」などのコメントで溢れた。ぜひ今週末にご一読いただきたい。

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Beyond Next Ventures、最長14年運用の新ファンド組成

Beyond Next Venturesは、ファンドサイズ200〜250億円、運用最長14年のBNV3号ファンドを設立したと発表した。1社における最大投資額は20億円、そして運用期間は最長で14年という部分にこだわりが見える。

1号、2号ファンド同様、ディープテックを中心に投資を行い、ディープテック・スタートアップの創出からグローバル展開までの事業成長をより強力に支援。世界に大きなインパクトを与えるユニコーン企業を創出していくことを目指すという。

今回参加したLP投資家は、中小企業基盤整備機構や三菱UFJ銀行、第一生命保険など。新規でもSMBC日興証券や三菱UFJ信託銀行などが名を連ねた。

3号ファンドの特徴は「シードからグロースフェーズまでファイナンスを牽引」「カンパニークリエーションをより一層強化」「インドを軸に、グローバル市場へのゲートウェイに」「インパクト投資」の4つ。ディープテック・スタートアップからユニコーン企業(時価総額10億ドル以上)の創出を行うため、シードに特化するのではなく、全ステージのスタートアップをフォローするファンドとなるようだ。

今まで同社は、2015年に約55億円規模の1号ファンド、2019年には165億円規模の2号ファンドを組成し、医療・ヘルスケア、アグリ・フードなどの領域における日本とインドのディープテック・スタートアップを中心に、約80社へ出資してきたとのこと。またイグジット経験は、IPO2件とM&A5件となっている。

今回のファンド組成について代表の伊藤毅氏はX(Twitter)にて「本ファンドから多くのディープテックスタートアップの成功事例を輩出する事で、科学者や研究者が社会の中心になる世界を実現してゆきたいと思います」と語った。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2023年10月13日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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