メッセージありがとうございます！これは僕らも可能であればやりたいと思っているのですが、「個人の発信力を高めること」や「プロデュース」を仕組みでお手伝いできるサービスはあればいいなと思います。

個人でサービスを伸ばしている方は、発信がすごく上手です。そういう方々を見ていて思うのは、「自分がやりたいこと」と「世の中が求めること」の接点を見つけ出し、それをわかりやすく言語化しているということ。ただ、これは誰にでも簡単にできることではないと思うので、ここを機能や仕組みで解決できればすごくチャンスは大きいと感じています。

まず前提として、送客の仕組みがあった方が事業者にとっても良いのは間違いないです。その上で、現状は「新しい体験の創造」へのチャレンジに集中しています。今はトラフィックの流れが分散化し、かつ複雑化している状況なので、その状況下における最適なUXを消費者と事業者に提供することを優先している形です。具体的には、例えばですがソーシャルでのトラフィックを加速させる仕組みであったり、ソーシャルから流入した時の検索体験の向上であったりというポイントにフォーカスしています。

プロダクトづくりにおいては、「選択の科学」が好きです。題名の通り、人がどのように選択を行うのかというのを科学的なアプローチで紐解いている本なのですが、現代社会は選択肢が非常に多いので、その選択をいかに少なくしてあげられるかという意味で参考にしています。この思想はプロダクトづくりにおいてすごく意識していることの一つです。

また「Airbnb Story」もよく読み返します。創業時にAirbnb本社にお邪魔させてもらってディスカッションしたりもしていて、MOSHには彼らのDNAが色濃く反映されていると思います。C向けサービスの中では最も成功している企業の一つだと思うので、彼らのストーリーから学ぶことは多いですね。

振り返って今だからこそ、という観点で、ターゲット選定とそこに連動した機能要件はもっと絞ってもよかったと思っています。MOSHはすでに200種類以上のジャンルで使っていただいているのですが、ジャンルによって微妙に求められる機能が異なります。初期はあまりターゲット選定をしていなかったので、ご縁があったところから順番にやっていましたが、今思えばしっかりとターゲットを決め、そこでの数字目標を定めた上で機能開発に取り組めば、より早い速度で成長できたと思います。

インサイトが明確にあると思った瞬間と、事業として可能性があると思った瞬間の2つがあり、まず前者はアフリカのウガンダで感じました。Airbnbで滞在していたのですが、現地のホストがわざわざオウンドの予約サイトをつくっていたんです。Airbnbというポータルサイトがあるにも関わらず、自分でサイトを持っていたので、原始的に強い欲求があるのだと気付きましたね。

またプロトタイプをつくる中で、まずはあまり関係値のない方々にインスタでDMを送ってみたら、その反応がすごく良かったんです。だいたい20%ほどの割合でしっかりお返事をいただけて、このときにプロダクトとしての可能性があると確信しました。

マーケット選定をすごく計算して参入したわけではないのですが、ユーザーニーズを縦軸と横軸で見たとき、その両方が深くて広そうだったからです。まず縦軸というのは、個々のサービス販売をしたい方がどれだけ欲しているかということですが、これはもともとウガンダに行った時の経験も含めてユーザーさんと触れ合っている中で強く感じていたポイントでした。ポータルサイトではなく、自分だけのサイトが欲しいという気持ちが非常に強いと感じています。

横軸というのは、どれだけ多くのジャンルの方々がそれを求めてくれるかということです。これに関しては、大きな消費行動の変化が今起きていると思っており、トラフィックが分散化してきているので、楽天におけるBASEと同じように、ホットペッパーにおけるMOSHというのは可能性があると感じていました。このあたりは具体的に何か数値があったわけではないですが、逆に市場規模が算出されて研究レポートが出ているようなマーケットは、すでに参入するには遅いと思います。

たしかにこの領域のプレイヤーは増えてきていますが、僕らは2017年からずっと取り組んでいるので、現状は模倣される立場だと思っています。その上で、これまでサービス運営をしてきた中で得られたユーザーインサイトやニーズの蓄積、またそれをスピーディにプロダクトに落とし込めるチーム・組織力が強みです。また、MOSHは圧倒的に「個人」の事業者さんに向き合っているので、個人の方々のワークフローに最適化されたUI/UXというのは差別化の1要素かと思います。

もちろん中長期的にはサービス連携もしていきたいと思っています。MOSHはすでに200種類以上のジャンルの事業者さんに活用いただいており、中にはフィットネスやヨガだけでなくお笑い芸人さんなどにも使っていただいているので、当然物販をしたいというニーズも出てきているので、そこは今後検討したいですね。

一方、経営的な側面では密に連携させていただいています。両社が入っているSlackがあるので、日常的にノウハウや情報交換をさせていただていますし、これまでBASEが培ってきた経験をシェアいただけるのはすごくありがたいです。また、それ以上に「個人をエンパワーメントする」という文脈で、マーケットを一緒に盛り上げようという雰囲気があるので、心の支えの一つになっています。