「特別扱いされない環境」で、自分なりの豊かな人生を見つける【元インターン座談会・後編】

インタビュイー
西谷 徳智

明治大学政治経済学部4年。テックオーシャンでのアウトバウンドセールスマネージャーやLayerXでのインサイドセールス、YOYOホールディングスでのプロダクトマネージャーなどをインターンとして経験。現在はメルカリのインターンでプロダクトマネージャーを務める。

萩野 百音

早稲田大学国際教養学部4年。FinTのインフルエンサー事業部で、複数クライアントのインフルエンサー施策戦略立案・実行をインターンとして経験。ハワイ大学への留学を経て、ByteDance TikTok JPやLayerXにインターンとして参画。2024年からメルカリでプロダクトマネージャーのインターンを開始。

樋口 花果

立教大学観光学部から、2023年にLayerXに新卒入社。学生時代はグッドパッチやカウシェ、神山まるごと高専、LayerXなどでインターンを経験。

「自分らしいキャリアや人生」を歩むために、スタートアップのインターンシップを経験しておいて損はないかもしれない。そう思わせるほど、充実感をにじませているのがこの記事の主役である3人。LayerXでの長期インターン経験者という共通点を持つ、萩野氏、西谷氏、樋口氏だ。

いずれも同社内で、社員並みの意思決定や業務を経験。そして今、キャリアを新たなフェーズに進めている。先に公開した前編では、これまでの学生生活やLayerXへの入社経緯を振り返ってもらった。この後編では、引き続き経験を聞きつつ、そこから得た学びに注目していく。

3人が口を揃えたのは「インターンが、自分らしい人生やキャリアを考えるきっかけになった」ということ。発言の節々に、自らのキャリアにオーナーシップを持つ姿勢が垣間見えた。

最初はガクチカやお金目当てだって構わない。理由は何であれ「なにより一歩目を踏み出すことが大事」だと、この3人は語る。そして、一歩踏み出した先に「自分らしい豊かなキャリア・人生のヒント」まで見えるとしたら──?

新たな一歩を踏み出すための勇気を、この記事から得られるかもしれない。

  • TEXT BY RINA AMAGAYA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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いい意味で“特別扱いされない”からこそできた経験

──樋口さんは、LayerXでどのような仕事を担ってきたのでしょうか?

樋口氏

樋口展示会の現場運営と日々の業務に関するTips共有の2つが、担ってきた中で特に印象に残っています。

展示会は、新たなお客様との接点を自分の力で生み出せる絶好の機会です。近くに同業界の競合さんがたくさんいましたが、「少しでも自社のことを知ってほしい!」という想いで試行錯誤しながら積極的にコミュニケーションを取りにいきました。

また、展示会の運営時間が終わった後に試行錯誤したプロセスを言語化し、チーム全体に共有しました。さらに、より効果的なアプローチを模索するため勉強会も実施しました。

展示会に参加するメンバーは毎回変わるため、経験の蓄積と共有が重要だと考えています。その前提で自分なりに考えて行動をしてみたところ、社員の皆さんから「樋口さんとの展示会が楽しい」と言われたり、お客様からも「樋口さんは本当に楽しそうに仕事しているね」というお言葉をいただけたりするようになってきました。そうした一連の能動的なアクションが認められ、結果的に社内表彰をいただけたことは嬉しかったですし、自信になりました。

萩野私は展示会を企画・運営する立場で、樋口さんの行動には助けられていました。

LayerXのメンバーは基本的にとても協力的なんですが、とはいえ主業務のKPIや業務がほかにもある中で時間を割いて展示会に参加してくれるんですね。そんなメンバーに対してTipsを共有したり場を盛り上げたりしてくれるので、「一丸となって目標に向けて頑張ろう」みたいな雰囲気が生まれるんです。

展示会運営チームの手が足りないという時にも、樋口さんからの目線で「こういうメッセージングがブースのテイストに適しているんじゃないか」といった提案をくれたことがあり、とてもありがたかったです。

樋口本当ですか……!嬉しいです!

インサイドセールスの業務も同様に、試行錯誤が重要です。そこでのプロセスやTipsを、チーム間で積極的に共有することで、個人だけでなくチーム全体を巻き込んで推進していけるところも楽しいですし、面白さを感じています。

──萩野さんはいかがですか?

萩野私もいろいろな経験をさせてもらいましたが、一番力を入れて取り組んだのは経理担当者数千名以上の集客を目指すビジネスカンファレンスの企画運営です。

バクラク事業の規模が大きくなってきて、従来イベントの規模を大きく超える大規模カンファレンスをやろうという話が上がった際、プロジェクトオーナーに立候補しました。

全体の企画立案から各セッションのコンテンツ設計や登壇者アサイン、登壇者との打ち合わせまで、適宜先輩たちに頼りつつオーナーシップを持ってほぼ一人で推進しました。結果的に2度、大規模カンファレンスプロジェクトのオーナーを務めたことで多くの学びがあり、大きな財産になっています。

萩野氏

──それだけの規模のイベントであれば、たいていは社員がオーナーになりそうなものですが、どのような経緯でそうなったのでしょうか?

萩野私はやりたいと手を挙げ、会社側も「お願いします」という感じでスッとオーナーになりました(笑)。

西谷所属部署に閉じず、必要な場所に顔を出していくことが推奨される環境は、部署横断での動きをする上で立ち回りやすかったですね。

萩野わかります。LayerXは「インターンだから」という特別扱いが、いい意味でありません。待っているだけでは仕事が来ないので、自分から動いて見つけにいくことが必要でした。

自分でやりたいことや大事だと思うものを見つけて手を挙げて掴み、最後までやりきり結果を出す。そんな癖がついたと思っています。

樋口誰に言われるでもなく、自分の意思で動いている人を見るととても刺激を受けますし、「自分もやるぞ!」と気合いが入ります。

LayerXの行動指針の一つ「Be Animal」にもあるように、能動的に動いていける人がいると、刺激が連鎖して組織の強度がぐっと上がっていく感じがします。だから私自身も、より一層頑張ろうって思いますね。

LayerXの行動指針(Company Deckより)

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自分の意思を言語化できたことで、進みたい道がクリアになった

──LayerXでのインターンを振り返り、特に成長や学びを感じたことは何ですか?

西谷大きく2つあります。一つは「テクノロジーへの興味と理解」、もう一つは「環境の大切さ」です。

入社当初はまだお客様が少なくプロダクトも立ち上がったばかりでしたが、そこから数ヶ月ほどの間に『LayerXインボイス(現『バクラク請求書受取』)』などの製品群がどんどん広まっていく様子を見て驚きました。「ユーザー体験にこだわったソフトウェアプロダクト」を、エンジニアと一緒につくり、自らの手で提供する。ここに深く携わることで、物理的なモノとは違う、テクノロジーの可能性を身をもって実感したんです。

今、プロダクトマネージャーをやっているのですが、この領域・役割に興味を持ったきっかけは、エンジニアとの距離が極めて近いLayerXならではの環境でのプロダクト・事業づくりの経験です。

また、「どのような環境に身を置くか」が、成長度合いに大きな影響を与えることも実感しました。当時も今もLayerXは急成長期で、際限なくビジネスチャンスが湧いてくる感覚があります。そして、そういう機会を掴んで一つずつクリアしていく過程で、ステークホルダーが増えたり自身の役割が変わったり……。新たな機会が生まれ続けるからこそさまざまな仕事に取り組むことができ、会社の成長に伴い自分のケイパビリティが拡張されていくのだと感じました。

さらにその中で、CEOのfukkyyさん(福島良典氏)をはじめとした経営陣やメンバーとのつながりの一つひとつがすべて、学びや成長につながったと思います。

樋口企業の成長過程を“中の人”として見ることができることって、かけがえのない経験だなと思います。

私の入社時は約100人ほどの組織でしたが、毎年倍々ペースで組織拡大していることもあり今では300人を超えています。LayerXは情報の透明性が極めて高いこともあり、この急速な事業・組織拡大に向き合う各レイヤー対応とそれに対するリアクションが、生々しい混乱みたいなものを含めてすべて見れるので、本当に勉強になります。

この経験を通じて、スタートアップにおける"不完全さ"や"混乱"の中で成長したいと強く感じるようになりました。

萩野LayerXで働く中で、会社に雇われるという概念がなくなりました。就活では無意識に“選ばれる側”という感覚になりがちですけど、自分は“選ぶ側”でもあるという意識が強くなりました。与えられる機会に身を委ねるのではなく、機会を選び自ら取りに行くという意思が芽生えたのだと思います。

例えば、日系大手企業に就職した場合、配属を始めとしてアンコントローラブル要素が多く、会社が決めた部署やプロジェクトで働くことが一般的です。一方、LayerXでは自分がやりたいこと・やるべきことを基準に、部署やプロジェクトに配属されるという形でした。先ほども言ったように、インターン生であっても待つだけではなく能動的に行動する姿勢が求められます。

また、物怖じせずにさまざまなことに挑戦する姿勢が身につきました。巨額の資金が動くプロジェクトどころか、営業の経験すらなかったにもかかわらず、外部との打ち合わせに急に参加したことで肝が据わったといいますか、困難にも冷静に対処する能力や無理だと思っても挑戦してみる姿勢が身についたように思います。総合的にみて、非常に価値のある経験だったと思います。

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インターンをきっかけに「自分なりの豊かな人生」を見つける

──これからの理想のキャリアや人生の歩み方について、教えてください。

樋口職種や役割に固執せず、常に本質を見失わず行動できる人であり続けたいと考えています。

業務を遂行する視点と事業を推進していく視点をバランスよく持ちながら、リーダーシップを発揮できる人間に成長していきたいです。

萩野私は今後、「自分の時間を惜しみなく投資できる場所」で活動したいと思っています。

たとえば、料理教室やカフェレストラン、ヨガやマインドフルネス系のスポーツなど、自分が本当に好きな分野で活動することが理想です。最終的には自分で何かを始めたいです。

ですが、お金の動きを学んだり、ネットワークを築いたりすることも絶対に必要だと思っているので、まず就職します(笑)。

西谷まずは、事業を伸ばす力を身につけたいですね。特定の領域に強いこだわりがあるわけではありませんが、社会の役に立つことに注力したいと思っています。

これまでの人生を振り返ると、例えば自分自身で中高大と自由に進学先を選ばせてもらえたことなど比較的恵まれた環境にいたと思います。

こうしたことに感謝し、恩返しをしたい。これが今のモチベーションです。特定の何かにこだわりがあるわけではなく、社会の役に立つことに真摯に取り組んでいきたい。

ただし、自分の能力がなければそれを実現できないことを理解しているので、自分の能力を向上させる努力を怠らないようにしていきたいですね。

西谷氏

──最後に、学業や遊びに忙しい日々を送っている大学生に向けて、スタートアップでインターンすることの魅力についてメッセージをお願いします。

萩野「自分でできることが増えていく」という感覚を得られるのが、やっぱりいいなと思います。

ただ、スタートアップでインターンするという選択肢がない人に魅力をお伝えするとなると、シンプルに「アルバイトより時給が良くて、好きな時間に好きな場所で働けることも多いよ」ということかなと思います。正直、入口はそれぐらいでもいい。加えて、楽しく働くことができて実力や経験もつけることができる。

そんな環境もあるんだよ、と伝えたいですね。

西谷インターンは、長期的な楽しみを見出せるので、ぜひおすすめしたいですね。

たしかに飲み会や遊びも楽しいですし私も好きですが、その楽しみは短期的なものが多い。一方、何か一つのことに集中して頑張る日々は、大変なこともありますが、長期的な楽しみを見いだせるものですし、遊びだけでは満たされない何かを感じさせてくれます。

それはインターンでなくても良いのですが、自分が成長したり、他人から感謝されたりすることで得られる楽しみや喜びは、オーナーシップを持って挑むビジネスシーンならではの醍醐味の一つです。

成長や貢献の意味を見出したからこそ、そのような気づきが得られるのかもしれません。人生を豊かにしてくれると思います。

樋口少しだけ、かもしれませんが、「就活が苦しくなくなる」という効果もあると思います。

実際に就活を始めても、多くの人が「そもそもまず、自分が何をしたいのか、何を軸に生きたいのか、そんなことわかるわけがない」と感じるはず。私もそんな状況でしたが、思い切ってインターンに飛び込んでみたところ、「やりたいこと」や「大事にしたいこと」が少しずつ見えてきました。そして、企業に「選ばれる」感覚から「選ぶ」感覚になっていったんです。

自分自身がイキイキできる環境を選べる、それがインターンを経験してきて一番大きな収穫だったと思います。

たとえば、私はこれまでインターンでマーケティング、デザイン、営業など、複数の職種を経験させていただきました。いろいろな職種の解像度を上げていった結果、「営業が自分に合っている」と納得感を持って意思決定ができました。実際にいろいろな職種を経験したからこそ、営業職をやりたいと自信を持って応募できたんです。

もし今、何に対して情熱を持てるのかがわからないとしても、数年後の自分のためにインターンを経験することは間違いなく有益だと思います。「こういうことが好きなんだな」「こういう環境だと頑張れるな」など、いろいろな気づきを得られると思うからです。

私はそれで人生が本当に楽しくなったので、ぜひ、より多くの皆さんにインターンの挑戦をしてみてほしいです。

こちらの記事は2024年04月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

雨谷 里奈

写真

藤田 慎一郎

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