連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

メルカリがダイバーシティ推進を強化──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──

土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。

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メルカリ、CEO直轄の社内委員会「D&I Council」を設立

昨年末、米NASDAQ市場が取締役会の多様性を求める新上場規則を米国証券取引委員会(SEC)に提出したことが話題となったのは記憶に新しい。上場企業の取締役に、1人は女性として自己認識している人、もう1人は人種的少数派かLGBTQなどマイノリティとして自己認識している人の就任が求められるというものだ。この流れは米国に留まらず、日本国内でも加速していく。

メルカリは今週、社員個々の多様な経験や視点を尊重した、世界的に競争力のあるチームづくりを目指し、CEO直轄の社内委員会「D&I Council」を設立したことを発表

これまでメルカリでは社内におけるダイバーシティ推進を加速させるために、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の促進を行ってきた。その結果、メルカリ東京オフィスのエンジニアリング組織の約50%(2021年1月時点)の社員が日本国籍以外で構成されるなど、社内におけるダイバーシティ推進が加速している。今後はメルカリ代表取締役CEOの山田氏をチェアパーソンとして、D&Iの推進をさらに強化していくとのこと。

企業によるダイバーシティ推進の流れは、当然「規則が出来たから」では片付けられない。独立系VCのANRIでシード投資を行う江原ニーナ氏は自身のnoteでこのように語っている。

わたしたちは、多種多様なバックグラウンドを持つ人々が関わり合うことが、新たな発見につながる、従来不可能だったことを可能にする糸口の一つであると信じています。多彩な人びとの存在に想像力を働かせること(Diversity)、そして彼ら・彼女らおよびその考えを積極的に採り入れていくこと(Inclusion)は、スタートアップ業界にとっても大きな強みになると考えています。

ダイバーシティ推進は競合優位性を確保する重要な経営戦略の一つなのだ。一方で、内閣府によると、日本の上場企業における女性役員の比率はわずか5.2%(2019年)。2012年から2019年の7年間で約3.4倍に増加しているが、米国、欧州の20%〜40%程度の水準(2017年)には遠く及ばないのが現状だ。

ANRIがファンドにおける女性起業家比率を20%まで引き上げることを発表したことや、今回のメルカリのCEO直轄社内委員会「D&I Council」の設立など、今後もダイバーシティ推進の流れは加速していくだろう。

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Branding Engineerがスタートアップへの出資から
事業開発支援までを行う「BEファンド」を立ち上げ

昨年、東証マザーズに上場した株式会社Branding Engineer。「テクノロジー×HR」をテーマにITエンジニアに特化した事業を提供しているが、そんな同社が、出資及び事業開発支援を行うことを目的とした出資プロジェクトである「BEファンド」の立ち上げを発表

対象となるのは国内外のスタートアップ。資金支援に加え、Branding Engineerが保有する13,000名のエンジニアデータベースを活用した、ITエンジニアリソースの提供による技術支援やコンサルティングなどの事業開発支援を行う。

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法人版メルカリが誕生。
subsclifeが法人間でのリユース商品のマーケットプレイス事業を開始

家具のサブスクリプションサービスを手掛けるsubsclifeが、二次流通の家具を販売する新サービス「subsclife SHARE」を開始。法人間での家具の売買を促進し、メーカーが持つ余剰在庫の活用を目指す。販売時の収益は、初回販売以降も継続して出品メーカーに分配していく。

「subsclife SHARE」では家具メーカーが余剰在庫として抱える家具を定価よりも安い価格でユーザー企業に販売できる。またそれに加え、法人版フリマのような形式で一般企業同士が中古品を売買する用途でも使うこともできる。

「subsclife SHARE」に参画している家具メーカーの商品が売買された場合、直接取引に関わっていなくても(一般企業同士で売買された場合でも)収益の一部がメーカーへ分配される仕組み(連帯貢献金制度)を取り入れていることが特徴的なサービスだ。

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FoundX馬田氏、事業家必読スライド
「スケールしないことをしよう」公開

シリコンバレーで最も著名なアクセラレーターであるYコンビネーターの共同創業者で、スタートアップ界隈では知らない方の方が少ないポール・グレアム氏。彼のエッセイ「Do things that don’t scale(スケールしないことをしよう)」をもとに、豊富な事例を用いて初期のスタートアップが行うべきことをまとめたスライドをFoundXの馬田氏が公開。

PMF前のスタートアップでは「人が欲しがるものを作る」ことに注力するために一人ひとりの顧客と向き合い、手作業で顧客にサービスを届けるべきと説いた本スライドはスタートアップを率いる者にとって必読の内容だろう。

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米国発の次世代SNSアプリ「Clubhouse」が話題に

Clubhouse」は、音声版Twitterとも言われている音声SNSサービス。様々な人のルームに入り、同期的に話を聞いたり、会話に参加することも出来る。トピックはルームに参加している登壇者が決めることができるため、多様なテーマでのユースケースが見られている。

アンドリーセン・ホロウィッツがClubhouseの最初の資金調達で1,000万ドル(約10億8,000万円)を拠出し、シリーズBでも200万ドル(約2億2,000万円)を投資していることでも話題となった、今もっとも注目すべきスタートアップの一つと言っても過言ではないだろう。

日本のスタートアップ界隈でも元メルカリのデータサイエンスチーム責任者で現在は株式会社Growth Campで代表を務める樫田光氏や株式会社ミラティブ代表の赤川隼一氏など、アーリーアダプターを中心としたユーザーが目立つ。

この流れを受けてClubhouseを利用したいというユーザーが急激に増加しているものの、現在は完全招待制のサービスとなっており、その特権的で秘密めいた空気感も人気の要因となっている。今後どのようにスケールしていくか注目だ。

こちらの記事は2021年01月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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