連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

メタバース注目度、爆増!仮想空間で「生きる」──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。

当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信しいていく。

題して、週刊スタートアップ通信──。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・尿からがん早期発見を。シリーズBの地方発企業が製品化

・ IPO、実は8期目が主流?

・長野発!ロボットが歩行のトレーニングパートナーに?

・やはり今熱い「メタバース」!noteコンテンツ急増

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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尿からがん早期発見を
シリーズBの地方発企業が製品化

尿から早期にがんを発見できるプロダクトをローンチしました──。

名古屋大発医療系スタートアップのCraifは、尿中マイクロRNAからがんを早期発見する『miSignal™(マイシグナル)』を2022年2月から発売すると発表した。miSignaは、がんの発症や進行、転移に重要な役割を果たすマイクロRNA(以下miRNA)を尿から検出するPCR検査。

独自の技術により尿中の微量なmiRNAを効率よく捕捉し、早期のがんリスクも高い精度で検出する。今回対応するがんは卵巣がんと肺がん。今後もがん種を増やしていく。

miSignal™開発の背景には、日本におけるがん患者の死亡率の高さがある。国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」によれば、日本人ががんで死亡する確率は男性が4人に1人、女性が6人に1人という。死亡率低減には早期発見が重要であるものの、現状の手法の普及拡大には課題があるという。ここからmiSignalは、コンパクトで普及が容易かつ、がん早期発見において社会に貢献すると期待がかかっているのだ。

また同社は11月にシリーズBラウンドの資金調達を実施。大和企業投資やAflac Ventures、東京海上日動火災保険、MTG Venturesから支援を受ける。中でも株主で注目したいのはAflac Venturesだ。国内ではアフラック・イノベーション・パートナーズが活動し、この資金調達もサポートしている。同社が投資した企業の中には、先日上場を発表したエクサウィザーズや、UniFaが名を連ねる。今後も期待のスタートアップだ。

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IPO、実は8期目が主流?

年末が見え始めた昨今、IPOの発表が連日のようにTwitterを騒がせている。ZEALSやTHECOO、Finatextホールディングス、エクサウィザーズなど各方面で活躍するスタートアップが名を連ねる。その中で、官報ブログから気になるツイートがあった。「最近のIPO 8期目での上場が多い」と。

そこで、中から、8期目でちょうど最近上場承認を受けたスタートアップを3社紹介する。

1社目はZEALSだ。同社は「コミュニケーションを科学し、おもてなしに革命を」をミッションに、チャットボットを通じておもてなしを提供する顧客エンゲージメントプラットフォームを提供する。チャットボットを用い、クライアントがユーザーに対してLINEやFacebookなど身近なプラットフォームを通じて接客体験を提供。コロナ禍で対面接客が難しくなった今だからこそ、注目を浴びるサービスだ。

もともと同社はコミュニケーションAIを開発していた。その後、マーケティングに特化したチャットボットサービスを開始。これが現在主力となるプロダクトにつながっている。

2社目はTHECOO。オンライン広告事業を行う会社として、2014年1月に設立したスタートアップだ。現在は、一般ユーザー向けのファンコミュニティプラットフォーム『Fanicon』の運営と、クライアント企業向けにインフルエンサーを用いたマーケティング施策支援やオンライン広告コンサルティングを行う「法人セールス事業」を展開する。

コロナ禍で「個」が強くなり、インフルエンサーが増加。Faniconは、その一助となっているサービスだ。また法人向けでは、事業会社に対してオンラインマーケティングを支援する。

3社目はFinatext。2014年に株式投資教育アプリ『あすかぶ!』をリリース。初期から日本経済新聞社と手を組み、金融機関向けビッグデータライセンスを販売するなど、「金融を”サービス”として再発明する」ことを掲げ、金融サービス提供者向けの次世代クラウド基幹システムの提供等を通じ、パートナー企業とともに人々にとって遠い存在である金融サービスを暮らしに寄り添ったものにすることを目指している。

現在は金融インフラストラクチャ事業、フィンテックソリューション事業、そしてビッグデータ解析事業の3事業を手がける。中でも金融インフラストラクチャ事業は、さまざまなパートナーと協同することで「セゾンポケット」や「Wealth Wing」といったサービスを展開。手堅く、参入の難しい金融で力をつけていった印象を受けた。

11月に入って、多くのスタートアップがIPOという形で一つの成果を生み出した。来年はどのスタートアップが上場に名を連ねるのか期待したい。

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長野発!ロボットが歩行のトレーニングパートナーに?

ロボットを歩行トレーニングのパートナーにしませんかーー。

信州大学発スタートアップのAssistMotionは、歩行トレーニングロボット『curara』を発表した。curaraは、ユーザーのトレーニング前・後の歩行データを測定したり、ユーザーごとに適切な運動プログラムを提案することで、歩行機能を取り戻すサポートをする。

背景には、周知の事実となっている介護業界の深刻な人手不足がある。介護業界でのロボット稼働は年々増加しており、矢野経済研究所によれば、2023年度の国内介護ロボット市場は25億6000万円になると予想する。これは2019年度比で1.38倍。堅調に推移している。

curaraは、信州大学の研究成果などをもとに開発された。同社社長は、信州大学にてバイオロボティクスを研究する橋本稔特任教授。リハビリ・アシストロボットスーツだけではなく、高分子ゲルを用いた人工筋肉や高分子ゲルを用いた人工筋肉なども研究している。

Craif同様、研究開発型の大学発スタートアップとして注目したい企業だ。

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やはり今熱い「メタバース」!noteコンテンツ急増

Facebookが「Meta」に社名変更してからというもの、国内にてメタバースへの注目度が急増している。

今回はこのメタバースについて、面白noteコンテンツを紹介していく。

1つ目は、「VRChatを250時間だけやってみて思う『メタバースの歩き方』」

クリエイティブテックのTAMのデザインテクノロジーチームの公式note。このnoteでは、いまメタバースを歩く方法・体験する方法を紹介。筆者が実際にメタバース空間のひとつである『VRChat』を250時間歩行したお話だ。想像しただけでとんでもない時間、メタバースにどっぷり浸かっていたことになる。

実際に筆者は、メタバースにて「現実」では体験できない、メタバースならではの体験をしたという。例えばアバターをナデナデする「ナデナデ」やメタバース空間で睡眠をとる「VR睡眠」などだ。現実では許されないが、メタバースでは許される。メタバースは現実より自由な空間なのかもしれない。

2つ目は、VR法人HIKKYのクリエイティブディレクターのさわえみか氏のnoteの「毎日メタバース出勤しています。」。

同社では、一部の社員が毎日メタバース空間へ出社。「どの次元の姿で働くかはその人が決める」という。

メタバース出勤の最大のメリットは「リアルに適応できなくても働ける」こと。メタバース出勤組の主な仕事はメタバースの世界の制作・開発・運営・イベントなど。多様な働き方が「あたりまえ」となりつつあるコロナ禍だからこそ、生まれたメタバる働き方なのかもしれない。

最後はVRスタートアップCOOの武井勇樹氏のnote「メタバースのビジネスモデル考察」。

このnoteでは、メタバースがどのようにして「お金」を生み出すのか詳しく書いている。ここではメタバースでのお金の稼ぎ方の種類を「課金モデル」「広告モデル」「仲介モデル」「ECモデル」「その他」の5つに分類。課金モデルや広告モデル、仲介モデルはメタバース空間でのゲームやタイアップ、プラットフォームなどだ。

その中で今回注目したいのはECモデルだ。 ECモデルの事例では、三越伊勢丹が「REV WORLDS (レヴ ワールズ)」という独自サービスを構築し、オリジナルセレクトショップの提供をスタート。筆者は「ウィンドウショッピングのような衝動買いがハマる商材との相性も高い」のではと考察します。他にも、メタバース空間で書店をぶらぶらしながら本を探す体験もできるかもしれない。

メタバースは着実に現実に進出してきている。誰もが「憧れ」を抱いたメタバース本格始動の日は思っているよりも近いかもしれない。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2021年11月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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