連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

食べチョクの資金調達を解剖。地銀系VCと、全国展開加速へ──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・地域を盛り上げ隊の食べチョク、地銀系VCから調達

・note執筆、「祭り」で盛り上げよ。カミナシに学ぶ採用広報

・高まる海外のレイオフ傾向、チャンスを見いだせ

・急成長の上場スタートアップを支えるSaaSには未上場サービスも?

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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地域を盛り上げ隊の食べチョク、地銀系VCから調達

農産物直販サイト『食べチョク』を運営するビビッドガーデンは、シリーズCで約13億円を調達したと発表した。既存投資家であるジャフコグループに加え、ANRIなどが新規で参画。中でも目立つのは、地銀系VCだ。ふくおかフィナンシャルグループ傘下のFFGベンチャーキャピタルパートナーズ、山口フィナンシャルグループのCVCである山口キャピタル南都キャピタルパートナーズいよぎんキャピタル広島ベンチャーキャピタル山梨中銀経営コンサルティングと、6社の地銀系VCが名を連ねた。

ここまで地銀系の名前が投資先に並ぶことは多くない。『食べチョク』のビジネスモデルと、今後の事業展開の狙いが見えてくる。

地域で育てた野菜や、採れた魚などの食材を生産者から直接購入できるECサイトだ。本社のある東京から地域へ、密に連携を取る必要がどうしても増えていく。そこでこれから力を発揮することになりそうなのが地銀だ。

すでに食べチョクは57の自治体と連携しているが、総務省によれば国内には700を超える自治体が存在する。全国各地の商品を販売していくためには、より多くの自治体の協力を得つつ、各地域の生産者とつながっていく必要がある。地銀は自治体や事業者のメインバンクとして存在感が大きく、さらなる事業成長への貢献が期待できそうだ。

ここまで日本全国を巻き込んだスタートアップはなかなかない。今後も気になるスタートアップだ。

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note執筆、「祭り」で盛り上げよ。
カミナシに学ぶ採用広報

「なかなかnoteを執筆してもらえない」「どうすればエンジニアが自社のことを発信してくれるのか」、そんな悩みを抱えている経営者や広報担当者は多いだろう。

その中でカミナシは執筆・発信するカルチャーを醸成し、全員で社内広報を展開するスタンスをとっている。今回はそんなカミナシの発信カルチャーを作った、同社広報の宮地正惠氏のnoteを紹介する。

カミナシの採用広報は、noteの執筆をメインにしている。2020年末、社内でnote編集部が立ち上がり、すでに記事は約140本。そのほとんどは、編集部ではなくメンバーが執筆したものという。

なぜここまで、社内メンバーの執筆が進んでいるのだろうか。

仕掛けとして宮地氏は、入社直後のメンバーへ1on1で「noteハラスメント(note執筆へのスカウト)」を実施。字面は怪しいが、もちろん冗談半分で、社内では好評を博した。「面白そうだから執筆してみる」という意識が醸成されていったという。

その他にも、「note・ブログまつり」を開催。記事1本執筆につき、「カミナシオリジナルプレート」をプレゼントする企画を打ち出し、月平均20本を達成。多忙を極めるスタートアップ。なかなかここまで社員を巻き込んだnote執筆は困難なように思えるが、それを成し遂げた点が、すごい。

広報戦略の参考に、すぐ取り組める点もあるだろう。まずはご一読を。

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高まる海外のレイオフ傾向、チャンスを見いだせ

この5月から、どうもアメリカのスタートアップの動きが気になる。

仮想通貨取引所のCoinbaseをはじめ、Gemini、Crypto.comなどが相次いでレイオフを発表しているからだ。特にCoinbaseでは1,000人を超えるレイオフを決行したと報じられている。これら海外のレイオフ事情を受け日本経済新聞は、仮想通貨の急落によるアメリカ経済の動向記事を公開。波紋が広がっているようだ。

その他にも、海外では著名なVCセコイア・キャピタルは、出資先の企業に「今が正念場」と警告。この話はBloombergが報じている。

これらレイオフは海外だけの話ではない。日本でもバイオベンチャーのヘリオスがレイオフを決定した

一方で、レイオフを単にネガティブに見るだけでは不十分だ。過去に社員40人・アルバイトに対して整理解雇を実施したことを明らかにしているAzitは、ライドシェアからデリバリーへピボットすることで復活。事業を一度冷静に見直して復活することを目指すべきである。

アメリカ市場で増えるレイオフに関しても、プラスにとらえることができるのではないか。もしかしたら退職した人材が、日本に流れてくる可能性もある。チャンスになるかもしれない。

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急成長の上場スタートアップを支えるSaaSには未上場サービスも?

急成長中のスタートアップはどのようなSaaSを活用しているのだろうか。

そんな疑問を解決する記事がITmediaから出た。今回はメディア事業などを手掛けるGunosyが採用するSaaS一覧を見ていきたい。

Gunosyが導入するSaaSは20種類にも及ぶ。経費精算はfreee、採用管理は『ハーモス採用』、人事評価は『カオナビ』と、上場スタートアップのサービスが目立つ。一方で管理会計には『Loglass』、契約書管理には『LegalForceキャビネ』と、未上場スタートアップのサービスも見られた。

最近では、社内でどのようなSaaSを使用しているのか公表するスタートアップがちらほら見られる。たとえばオプティマインドでは、会計ソフトで『マネーフォワード』を起点に、請求書管理には『バクラク請求書』、契約には『クラウドサイン』を利用している。

いろいろな会社の導入するSaaSを見比べてみると、新たな発見があるかもしれない。SaaSの整理や新たな導入を考える場合に、参考にしてみてはいかがだろうか。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2022年06月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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