「スタートアップ=SaaS」に終止符──時価総額“兆円”の巨人ひしめくエンタープライズIT領域を斬る。この挑戦、無謀か尖りか【Entaar】
海外駐在を手放した男と、投資家のキャリアを手放した男がいる。二人は同じ日に、創業間もないスタートアップ・Entaarに人生を賭けた。
先のEntaar解剖記事では、同社が挑む7,500億円の空白市場と3つのアプローチを紹介した。続く代表・齋藤 大和氏のインタビューでは、Entaarの創業ストーリーに迫った。そして本記事では、この集団の内側に迫る。
COOの北山 明親氏は、メドレーで2つの医療機関向けSaaSの新規事業を立ち上げ、メイキップではニューヨークとロンドンを行き来する生活を送っていた。CFAOの加納 敬一氏は、SMBC日興証券でIPOやM&Aアドバイザリー業務に従事した後、VCに転じ、1,000人以上の起業家を見てきた。そしてコンサルタントの黒田 遼河氏は、日立コンサルティングで日立グループのAI投資戦略策定や鉄道会社の新規事業推進を担当してきた人物だ。
Entaarが求めるのは「偏り」を持った人材だ。珍しい経歴のことではない。自分の経験から独自の視点を持ち、それを事業を生み出す武器に変換できる人間のことだ。北山氏も加納氏も、その「偏り」を持っていた。だからこそ、安定したキャリアを手放してでもEntaarに賭けた。
偏った個性や価値観の集合体は、時に既存のルールを大きく変えてしまう。「普通」に収まらないからこそ、誰も踏み込まなかった領域に踏み込める。本記事では、3人の言葉から、「偏り」を武器に変え、エンタープライズIT市場に新たな仕組みを生み出そうとする組織の真相に迫る。
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
「偏っている」から賭けられた。二人のCo-Founder
2024年5月、齋藤氏がEntaarを創業したとき、すでに二人の男が決断を下していた。
一人目は、加納 敬一氏。現在はCFAOとして資金調達や管理体制の構築を担う。SMBC日興証券の投資銀行部門でIPOやM&Aアドバイザリー業務に従事した後、Bonds Investment Group、ニッセイ・キャピタルでスタートアップ投資に携わってきた。
加納VC時代に1,000人ほどの起業家にお会いしてきましたが、齋藤に会ったとき、理屈では説明しづらいんですが、直感で「この人だ」とビビッときたんです。父親が事業を営んでいたこともあり、いつか自分も事業をやりたいと思っていました。だからこそ、齋藤の覚悟が分かったのだと思います。
株式会社Entaar 執行役員 CFAO 加納 敬一氏
齋藤氏のインタビューで詳述した通り、齋藤氏は消防官時代に「力がないと何も変えられない」と痛感し、その後メドレー、アスエネなどでエンタープライズ営業の実績を積み上げてきた人物だ。加納氏はその経歴と覚悟に、何かを感じ取った。
加納当時、リードインベスターとしてEntaarに出資をしようとしていたんです。でも、齋藤と事業の話をしたり、一緒に仲間を誘っていく中で、考えが変わりました。外から投資するより、自分自身がこの事業の当事者になりたい。そう思ったんです。それで、「共同創業者として入りたい」と齋藤に直接伝えに行きました。
投資家として出資し、外から支援する道もあった。それも一つの貢献の形だ。しかし加納氏は、支援する側から、自らリスクを取る側へ回った。
そして加納氏が齋藤氏に参画の意思を伝えに行ったその日、もう一人の男も決断を下していた。
二人目は、北山 明親氏。現在はCOOとして事業全体を統括する。メドレーで複数の医療機関向けSaaS新規事業の立ち上げに携わり、メイキップではSaaSの海外事業立ち上げを担った。齋藤氏とはメドレー時代からの付き合いで、北山氏が先輩にあたる。
北山齋藤とはメドレー時代からの付き合いで、これまで何度も事業の壁打ち相手になってきました。今回も今までと同じような壁打ちだと思っていて、正直最初は自分が参画するという目線では話を聞いていませんでした。
株式会社Entaar 取締役COO 北山 明親氏
当時、北山氏はメイキップで海外事業の立ち上げを担当し、ニューヨークとロンドンを行き来する生活を送っていた。ロンドン出張中、齋藤氏から連絡が入った。
北山帰国後、新宿のレストランで齋藤と会いまして。その席で「共同創業者として参画してほしい」「海外展開ならEntaarでもできますよ」と言われたんです。今までは壁打ち相手として第三者目線で話を聞いていましたが、この日は齋藤と話して、今まで知ることのなかった彼の燃えたぎる想いに心が動きました。先輩として冷静に見守るより、自分の衝動を優先しようと想い、参画を決めました。
こうして二人は同じ日に、Entaarへの参画を決めた。
北山氏と加納氏に共通するのは、投資家や先輩という立場に留まらなかったことだ。外から支援する。後輩の成長を見届ける。どちらも一つの選択肢だ。しかし二人は、自分が当事者になる道を選んだ。
安定した立場を手放してでも、自分で事業を動かしたいという衝動。それを抑えられない。Entaarでは、こうした人間を「偏りがある」と表現する。噛み砕いて言えば、「尖っている」とでも言えようか。誰もが選ぶ道ではない。それでも選んでしまう。彼らにとっては、それが自然な選択だった。
「Excelマクロ整理」から「全社IT体制構築」まで。スコープ不問で広がる支援
北山氏と加納氏がEntaarへの参画を決めた後、もう一人の男が加わった。コンサルタントの黒田 遼河氏だ。
黒田氏は一橋大学卒業後、日立コンサルティングに入社。日立グループのAI投資戦略策定や、鉄道会社の新規事業推進などを手がけてきた。大手ファームで着実にキャリアを積んでいた黒田氏が、なぜ創業間もないEntaarに飛び込んだのか。
黒田日立コンサルティングでは、優秀な人たちに囲まれていました。学ぶことも多かったですし、環境として悪くはなかった。ただ、どこか物足りなさがあったんです。新規事業系の案件をやっていて、「自分で事業をやっているみたいだな」と思うことがありました。でもあるとき、「やっているみたい」じゃなくて、実際にやった方が面白いんじゃないかと思ったんです。
株式会社Entaar コンサルタント 黒田 遼河氏
そんなとき、知人のキャピタリストを通じて齋藤氏と出会った。
黒田正直、事業がどう成長していくのか、その道筋が見えているわけではありませんでした。でも、齋藤の目の奥には強い覚悟があった。「既存のルールなんか関係ない。自分たちで塗り替えてしまえばいい」と言わんばかりの姿勢で。その時、「この人と一緒にやりたい」と直感で思いましたね。
最初の出会いから1ヶ月で、黒田氏はEntaarへの入社を決めた。
では、Entaarの事業は何が違うのか。
解剖記事で詳述した通り、大企業のIT部門は深刻な人材不足に陥っている。IT担当者一人あたり年間1,200時間、年間総労働時間の約60%が、書類作成やリサーチといった日常業務に消えていく。Entaarが最初に取り組んだのは、この課題だった。
取材等を基にFastGrowで作成
Entaarの組織は、コアメンバー約8名とエキスパートチーム約50名で構成される(いずれも取材時点)。コアメンバーが顧客企業におけるIT部門(時には現場部門)の各ユーザーと向き合い、課題解決に向け取り組んでいる。エキスパートチームには、子育て中でフルタイムが難しい人や、夜間や土日だけ稼働したい人が集まった。高いスキルを持ちながらも、従来の働き方では市場に出てこない人材たちだ。
取材等を基にFastGrowで作成
従来のコンサルティングは「人」を専属で送り込む。一人のコンサルタントが一社に張り付く形だ。一方、Entaarは「時間」を顧客企業の複数のIT担当者でシェアする。必要なときに必要な分だけ使える仕組みを提供している。
もっとも、既存プレイヤーの中にも、スコープを限定しない人材派遣型の支援を展開している企業は存在する。では、そことEntaarの違いとは。
黒田裏側に約50名のプロフェッショナル人材で構成されるエキスパートチームが控えていることが、Entaarの強みなんです。一人のコンサルタントのカバー領域には限界がありますが、このモデルを採ることによって専門性のシェアード化が実現できています。顧客の課題に応じて、必要な専門性を持つエキスパートがすぐに踏み込むことができる。だから範囲を限定せずに、質を担保した支援が可能になるんです。
時間貸しの柔軟性と、専門性の担保。この両立により、従来のコンサルティングの約5分の1のコストで利用できる。そして、この仕組みが現場でどう機能しているのか。それを証明する具体例はこうだ。
黒田ある大手企業に入ったとき、最初の依頼はExcelマクロの整理だったんです。普通のコンサルなら、それだけやって終わりですよね。でも私たちは違います。マクロを整理しながら、「なぜこんな状態になっているのか」を深掘りしていきました。すると、IT部門全体の構造的な課題が見えてきまして。結果的に、全社のIT体制の構築まで支援することになりました。
従来のコンサル業界の進め方であれば、組織再編と業務改善は別々のプロジェクトになります。契約を分けて、見積もりを取り直して、という流れです。私たちは顧客企業のIT部門を継続的に支援しているので、「もっと根本的な問題がある」と気づいたら、すぐに踏み込むことができる。価値提供へのスピード感が全く異なるのです。
Excelマクロの整理から、全社IT体制の構築へ。一般的なコンサルティングファームなら契約範囲外として断るか、別契約として切り出す。しかしEntaarは、顧客の課題に踏み込み続けた。
なぜそれができるのか。黒田氏は、コンサル業界の「常識」との対比でその理由を語る。
黒田大手ファームでは、どうしても「契約範囲」が起点になります。しかし、Entaarは「顧客の課題」から始まり、顧客の価値になるなら何でもやります。これは既存のコンサルではあり得ない発想ですよね。
契約ではなく、課題を起点にする。この発想の違いが、提供価値の違いを生んでいるのだ。
「101%」でなく「120%」やり切る。コンサルではなく事業家集団ゆえに実現できるフルスロットル
黒田コンサルファームでは、期待値の101%が一番の正解とされています。期待値は絶対に超えないといけませんが、110%や120%を出してしまうと、次回以降はそれが基準になってしまいます。すると、自らの首を絞めてしまう、という論理です。
「101%ルール」と呼ばれる考え方だ。顧客の期待をわずかに超える。それ以上は出さない。120%を出せば、次のプロジェクトでは120%が基準になる。自分のキャリアを長期的に守るという観点では、一つの合理的な選択肢かもしれない。
しかし、それは「顧客への価値最大化」とは別の方向を向いている。では、Entaarはどうか。
黒田Entaarでは、常に全力で、期待を大きく超える120%のアウトプットを出そうという意識があります。その時々でベストを尽くして、最大の価値を提供する。それが当たり前になっています。
「101%」と「120%」。この差は、働き方の違いではない。
黒田コンサルファームでは、自分のキャリアをどう上げていくかにモチベーションを置いていました。いかに早くマネージャーになるか、ディレクターになるか、で競争している。ところがEntaarの人たちは違います。社内での立場ではなく、Entaarとしてどうすれば一番大きなインパクトを顧客や社会に残せるかを考えています。
なぜEntaarには「101%ルール」がないのか。その理由は明快だ。同社の経営陣にはコンサルファーム出身者がいない。代表の齋藤氏は元消防官、北山氏は事業会社出身、加納氏はVC出身だ。コンサル業界の「常識」を知らないからこそ、「顧客への価値最大化」を自然に選べる。
北山これは事業家とコンサルのようなプロフェッショナルの違いだと思います。一般的に、プロフェッショナル人材は個の力をどれだけ伸ばせるかにフォーカスしていると思っています。だからこそ、時にはファームを転々とすることもある。一方で我々は、事業を作ることが目的です。仕組みで、個の力を何十倍、何百倍にできるかの挑戦をしているのです。
北山氏の言葉は、Entaarの本質を突いている。個のキャリアではなく、事業のインパクト。では、実際にそこで働くメンバーは、どう感じているのか。黒田氏は自身の変化をこう語る。
黒田私自身、「特定領域の専門家になろう」という発想がないんです。自分のスキルをどう活かすかという視点よりも、どういう仕組みを作ればEntaarがスケールするのかという視点を大事にしています。自社の成長に必要なピースを見て、今の自分がどこを担うべきかを考える。フェーズが変わればまた別の役割を担うかもしれませんし、Entaarの事業成長の先に、自身のキャリアの拡張があると捉えています。
会社(事業)の成長に伴い、自身のキャリアも無限に広がっていく──大手ファームではなかなか見られない発想ではないだろうか。そして、加納氏も同様の視点を持っている。
加納二人が言うように、Entaarでは自分たちが持っている強みや役割、会社の成長の中で自分たちがどうあるべきかを、一人ひとりが会社目線で考えています。営業でもプロジェクト推進でも、「今、何が一番重要か」に常にフォーカスしている。背中を預け合って、一枚岩になってやっている状態ですね。
加納信頼して任せるところは任せるし、任されたところはしっかり結果を出す。私たちが対峙しているのは大企業で、彼らはプロフェッショナルサービスを求めている。私たちは、そこの質に妥協は絶対しません。常に120%の貢献をしていきたいと考えています。
「個のキャリア」ではなく「事業のインパクト」。「101%」ではなく「120%」。Entaarの同業や類似課題の解決に取り組むライバルたちとは「異なる主語を持つ面々」が集まった結果、独特のカルチャーを形成するに至った。
動物園ではなく「サーカス団」。バラバラの個性が同じ方向を向く
では、「個のキャリア」ではなく「事業のインパクト」を優先する人材が集まると、どんな組織になるのか。
一つ、誤解を解いておくと、Entaarは「尖った個人が好き勝手にやる組織」ではない。それならフリーランスでいい。組織である必要がない。Entaarに出資したジェネシア・ベンチャーズは、この組織を「マインドが強い人たちの集まり」と評した。しかし、個性が強い人材が集まると、往々にしてバラバラになりがちだ。それぞれが自分のやり方を主張し、組織としてまとまらない。しかしEntaarは違う。
北山他にも、あるVCからは「Entaarはサーカス団みたいだ」と言われたことがあります(笑)。
黒田動物園は、個性的な動物がそれぞれの場所にいて好きに活動している。しかし、サーカス団は違います。空中ブランコ、ピエロ、猛獣使い。やっていることは全然違いますが、最終的には同じ方向を向いて、一つのショーを作る。Entaarもそうです。VC出身の加納、事業会社出身の北山、およびコンサル出身の私と。バックグラウンドは異なりますが、「事業を作る」という一点で同じ方向を向いている。サーカスには演出家がいます。Entaarでいえば、齋藤がその役割を担っていると思っています。
尖った個が、力を合わせて一つのショーを作る。これがEntaarの組織観だ。
では、Entaarはどのような人材が集まっているのか。ここで同社が重視するのが「偏り」という概念だ。
先の記事でも紹介してきたが、これは単に珍しい経歴を指すものではない。Entaarが求めるのは、育っていく過程で培った経験や心情を言語化でき、その中で独自のこだわりを持てる人材だ。この独自性こそが、従来のコンサル業界の常識に染まらない視点を生む。そして、その視点を持ちながらも、チームで戦う意志があるかどうか。サーカス団の一員として、一つのショーを作る覚悟があるか。それが問われる。
全国高校サッカー選手権大会出場者
- 高校卒業後、7年半消防官として主に救急・救助の現場で活躍。
- その後、元メドレーの創業メンバーが立ち上げた医療系スタートアップにて医師向けのメディア事業の立ち上げを主導。
- Entaar代表 齋藤氏のビジョンに共鳴し、2025年10月にジョイン。
- 現在は採用担当兼BizDevとしてエンタープライズIT領域の事業立ち上げを推進。
元プロ麻雀士
- 一橋大学在学中に麻雀士のプロライセンスを取得。
- 大学卒業後、日系大手コンサルティングファームにて大手鉄道会社の新規事業立ち上げを主導。
- Entaarの投資家からの紹介で代表 齋藤氏と繋がる。Entaarのチームの雰囲気やビジョンに共鳴し、2025年8月にジョイン。
- 現在はBizDev兼コンサルティング事業のマネージャーとして大手顧客支援とデリバリー組織の仕組み化を推進。
世界中の山に挑戦するアルピニスト
- 中学の部活動で登山部に入部。慶應大学の山岳部では世界中の山々を登頂。
- 新卒でLINEヤフーにエンジニアとして入社。その後、スタートアップを経てアクセンチュアでAIプロジェクトを主導。
- その後、Entaar COO北山のリファラルで同社の事業テーマとビジョンに共鳴し、2025年6月にジョイン。
- 現在はForward Deployed EngineerとしてAI SaaS事業の大手顧客支援とエンジニア組織の拡大を主導。
北京大学学士と東京大学修士を持つトリリンガル
- 新卒で日興証券IBDで従事した後、メドレーで複数事業立ち上げを行う。
- 代表の齋藤氏とはメドレー時代に薬局向けのSaaS事業立ち上げを行う。
- メドレーのように社会課題変革を主導できる影響力のある会社を創ろうと共鳴し、Entaarを共同創業。
- 現在は取締役COOとして全社事業推進を主導。
なぜこのカルチャーが成立するのか。北山氏は、その源流を齋藤氏に見ている。
北山一番大きいのは齋藤が放つカルチャーだと思います。齋藤はサッカーで全国常連校を創り上げたり、消防官として幾度となく現場で命懸けの判断を重ねてきたりしてきました。いろんな組織の中で「チームで勝つ」経験をしてきた人間です。ある種、組織を部活のチームのような感覚で捉えているのかもしれません。個人プレーではなく、チームとして成果を出すことにとことん拘っています。
「チームで勝つ」。この感覚が、Entaarの根底に流れている。
一方で、Entaarは決して「アットホーム」な組織ではない。プロとしての厳しさを持ちながら、人間臭さも併せ持つ。
加納人間臭さというか、それぞれの人間としての個性は各自出していますよね。ただ、プロ意識は徹底して持っています。人情味はあるけど、仕事に対しては妥協しない。仲良し集団でも、体育会でもない。プロとして背中を預け合える、まさに「サーカス団」ですね。
尖った個性を持ちながら、同じ方向を向く。好き勝手やるのではなく、力を合わせて一つのショーを作る。サーカス団の9人目、10人目になるには、「何の芸(武器)で勝負するのか」が問われる。いわゆる「普通に優秀な人材」では、この環境は合わないだろう。
SaaS市場の数十倍。Entaarが持つ数十兆円市場への挑戦権
では、この先このEntaarのチームはどこへ向かうのか。
加納国内SaaS市場の数倍から数十倍の規模を誇るのが、エンタープライズIT市場です。SIer、ITコンサルティングファーム、IT代理店といったプレイヤーが何十年もかけて築いてきた、大企業のIT投資全体の市場を指します。数十兆円規模のこの市場に、私たちは新しい選択肢を提示しようとしています。
スタートアップが挑む市場といえば、SaaSを思い浮かべる人が多い。プロダクトを作り、月額課金で売上を積み上げる。しかし、Entaarが見ている市場は、SaaSとは規模が桁違いだ。実際、時価総額が兆円規模に成長した企業の多くは、コンサルティングやSIer領域から生まれている。
加納エンタープライズIT市場における私たちの挑戦は、特定の業界に絞るのではなく、全業界で企業ITが抱える課題を解決していくことです。難度は高いですが、「10年以上向き合える市場」を選びました。短期の売上ではなく、市場構造そのものを変えていきたい。既存のSIerやコンサルティングファームが担ってきた役割を、より効率的に、より価値のある形で提供していく。それが私たちの目指す変革です。
ただし、Entaarは「コンサルにフォーカスしたい集団」ではない。
解剖記事で紹介した通り、Entaarは2026年にAIエージェント『Kevin』のリリースと、IT流通市場への参入を計画している。コンサルティングで見えてきた課題を、プロダクトで解決する。必要な技術を必要としている顧客に届けるインフラを作る。
この数十兆円市場に、今はたった8人の組織で挑む。これを「無謀」と見るか、「尖っている」と見るか。
北山今のEntaarはスケーラブルな運営をするための課題が山積みの状態です。ビジネスモデルが確立しきっていないという意味で、とても面白いフェーズに差し掛かっています。
創業から1年半、実績ゼロの状態から大手企業30社以上との契約を獲得してきました。ただし、オペレーション(顧客へのサービス提供プロセス、社内の情報共有の仕組み、採用や評価・育成の仕組みなど)はまだ磨き込みの途中です。
これが20人、30人規模になってからでは、徐々に型ができあがってしまっているはず。言うなれば、仕組みを作る側ではなく、できあがった仕組みの中で働くことになる。今のフェーズなら、その仕組み自体を設計できる立場で挑戦することができるのです。
黒田山頂は見えていますが、登り方はまだ固まっていない。道は見えているけど、舗装されていない状態です。今入れば、その道をどう作っていくかを自分で考えて構築できる。ぜひ、この仕組みを作れる最高に刺激的なタイミングでのジョインをお勧めしたいですね。
世の中を変えるものは、いつも少数の異端から生まれてきた。既存のルールを塗り替えてきたのは、いつだって「普通」に収まらない人間たちだ。
もしあなたが「自分は尖っている」と思うなら、今いる場所を見てほしい。大組織だろうか。仕組みが整った環境だろうか。それは本当に、あなたの「偏り」が活きる場所だろうか。
Entaarは、誰よりも大きな課題・市場に、誰よりも小さな集団で挑もうとしている。
エンタープライズを変えたい?大手コンサルに行けばいい。事業を作りたい?ベンチャーやスタートアップに行けばいい。仕組みやルール自体を変えたい?特定の課題にフォーカスするスタートアップに行けばいい。
それを同時に全部やりたい?だったら、今のEntaarしかないだろう。
北山氏は海外駐在を手放した。加納氏は投資家のキャリアを手放した。黒田氏は大手ファームを離れた。彼らが見ているのは、目の前のキャリアではない。
解剖記事で紹介した7,500億円の空白市場。齋藤氏のインタビューで語られた「力がないと何も変えられない」という原体験。および本記事で明らかにした、「偏りを武器に変える」組織の実態。Entaarは、日本のエンタープライズIT市場を根本から変えようとしている。
そのために、「偏り」を持った人材を求めている。経歴の珍しさではなく、自分なりの軸を持っているかどうか。その軸を持ちながらも、チームで戦う意志があるかどうか。
あなたの「偏り」は、ここできっと武器になる。
【連載1記事目】もお読みください:Entaarが挑む市場と事業モデルの徹底解剖<エンタープライズIT領域に潜む巨大な市場(ペイン)>
【連載2記事目】もお読みください:代表齋藤氏インタビュー<急成長を遂げた秘訣と起業背景>
こちらの記事は2025年12月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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藤田 慎一郎
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。