連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

【起業家必読】リクルートHD出木場氏が語る「CEO像」とは──5分で注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。

そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、ウォッチしておくべきニュースやコラムをまとめた記事を配信していく。題して、スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、定期的に更新中。

昨今も国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせている。その中から1本の話題、そしてトレンドとして押さえたいニュース数本をピックアップ。

・まだ続くBNPL参入。PaidyのOBらがプレA調達

・atama plus、駿河台学園と資本業務提携し『atama+ オンライン塾』を本格展開へ

・廃業漁具の再生を目指すamu、7,500万円を調達

・国内のSaaS状況は?ARRやIPO、M&Aをまとめたレポート公開

・【起業家必読】リクルートHD出木場氏が語る「CEO像」とは

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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News1──まだ続くBNPL参入。
PaidyのOBがプレA調達

元Paidyのエンジニアらが立ち上げたSmartpayは、SMBCベンチャーキャピタルやGlobal Founders Capitalなどから、プレAラウンドで10億円の資金を調達したと発表した

日本の埋込み型デジタルファイナンス『Smartpay』は、今買って後で支払う「BNPL(Buy Now, Pay Later)」サービスの一つ。BNPLは、クレジットカードを保有しない若年層に人気があり、主にオンラインショッピングで利用されている。2021年にPaidyがPayPalによって買収されたり、ネットプロテクションズが東証一部(現プライム)へ上場するなど、日本でもここ数年、BNPLサービスの拡大は続いている。

そんな中、『Smartpay』が新たなBNPLサービスとして利用が広がっている。その特色は「Smartpay 即時口座引き落とし(バンクダイレクト)」という点にある。すなわち、銀行口座から直接の支払いが可能な日本初のサービスとして、オンライン決済の選択肢を広げているのだ。

また、Smartpayで注目するべきはその「中の人」だ。同サービスの開発者は、Stripeでアジア太平洋地域のプロダクトヘッドを務め、Paidy やコイニーのエンジニアリングを担当した Pieterjan Vandaele 氏が参画している。その他CTOやCDO、CXO、ファイナンスマネージャー、最高情報セキュリティ責任者なども、Paidy出身者で構成されているようだ。

決済関連プロダクトを展開しているインフキュリオンも新たな資金調達を4月に発表しており、Fintech市場はさらに過熱しそうだ。

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News2──atama plus、駿河台学園と資本業務提携し『atama+ オンライン塾』を本格展開へ

atama plusは、駿河台学園(以下、駿台)と資本業務提携を結んだと発表した駿台の発表によれば、atama plusの株式の35.5%を取得したとのこと。また資本業務提携発表と同日、駿台専務理事の山畔清明氏がatama plusの社外取締役へ就任した。DCM Ventures本多央輔氏とSansan寺田親弘氏は、社外取締役から退任した。

駿河台学園は2021年から、生徒ごとにカリキュラムを最適化可能な『atama+』を駿台予備学校の全生徒へ展開していた。

今回の資本業務提携により、両社はマンツーマンAI×担任サポート制の学習塾『atama+ オンライン塾』の本格展開に乗り出すとのことだ。

昨今のデジタル技術の進化とコロナ禍の影響で、学習環境に大きな変化が見られ、特に自宅などでの学習ニーズが増加している。atama plusが2023年7月に高校生1,000人を対象に実施した調査によれば、校外学習を希望する高校生の中で自宅学習を望む声が多数を占めていることが明らかになっている。

『atama+ オンライン塾』では、生徒一人ひとりに最適な学習プランを提供し、対応教科の拡充や学習サポート体制の強化に力を入れるとのこと。全国の中高生・既卒生に向けて、場所や時間に縛られない柔軟な学習スタイルを提供することを目指していくとのことだ。

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News3──廃業漁具の再生を目指すamu、7,500万円を調達

宮城県気仙沼市に拠点を置くamuは、ANRIやANOBAKAなどから、シードラウンドにおいて総額7,500万円の資金調達を実施したと発表した。amuは、「漁具から価値の常識をひっくり返す」というミッションを掲げ、廃棄漁具のアップサイクルによる新素材開発に取り組むスタートアップだ。

今回の資金調達は、全国の漁港からの漁具回収費、新素材『amuca』の開発・製造費、さらに新規事業検証や海外展開での利用を想定している。

amuが解決を目指す社会課題は、「産業廃棄物」となった漁具の減少だ。amuによれば、年間800万トンのプラスチックゴミが海洋に流出、そのうち約40%が漁具となっているとのこと。廃棄される漁具を資源として再定義することで、再生プラスチック市場への改革を目指しているとのことだ。

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News4──国内のSaaS状況は?
ARRやIPO、M&Aをまとめたレポート公開

UB Venturesが「SaaS Annual Report 2023 - 2024」を公開したと発表した。

本レポートでは、SaaS、人口減少社会におけるイノベーションをテーマに24ページで国内のSaaSを取り巻く状況を網羅。前半では、ARRやバリュエーション、IPOやスタートアップ資金調達などSaaSに関するテーマを網羅的にまとめ、後半では、バーティカルSaaSや、「人口減少社会にイノベーション」をテーマにデータや事例を集計したという。

中でも、国内のSaaS企業のARR(年間経常収益)や、IPO、M&Aの状況が一目でわかる内容となっている。スタートアップに関わる方は必読だ。

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Column──【起業家必読】リクルートHD出木場氏が語る「CEO像」とは

ある記事が話題になっている。

Harvard Business Reviewが公開した「僕は世界で一番、権威や権力のないCEOになりたい [インタビュー] リーダーの仕事は失敗の総量をマネジメントすること」だ。インタビュイーはリクルートホールディングス代表取締役CEOの出木場久征氏。1999年入社。2012年執行役員就任後、同年自身が買収を推進した米国 Indeed, Inc.のChairmanに就任した経歴を持つ。

このインタビューでは一貫して、出木場氏の「僕は世界で一番、権威や権力のないCEOになりたい」というエピソードで終始している。「あくまでもCEOという係を務めている」にすぎない。「営業や人事など別の分野では僕よりも優れた成果を上げられる人がたくさん」いる。その中で「誰からも相談すらされない状況になること」を理想とする。

ではどのようにCEOとして、リーダーとして立ち振る舞うと良いのか。その一つとして、「失敗の総量をマネジメントする」があるという。失敗の総量をマネジメントすることで、「最悪の事態は防ぎつつ、失敗したという経験を通して成長してもらうことのほうが、最終的に大きな価値につながると思」うため。

このインタビューはX(Twitter)でよく拡散された。SmartHR 代表取締役CEOの芹澤雅人氏は、「全体的に納得感しかない、金言溢れる良記事。僕の最新の関心事は「オーナーシップの醸成」。オーナーシップは何かに情熱を注いでいる時に生まれる。リーダーのやるべきことは、メンバーに情熱の注ぎ先を見つけてもらうこと」とコメント。また、五条・アンド・カンパニーのCFO堅田航平氏や、LayerXの代表取締役CEO福島良典氏も記事を拡散。

スタートアップの多くの起業家、経営者に読まれ、拡散された記事となった。

ぜひ週末、起業家の方にとどまらず、ビジネス・マネジメントに興味のある方は、じっくりと読み込んで欲しい。

さて、今回のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も定期的に更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2024年04月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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