勘と経験に頼ってきた意思決定を、試せるものへ──“AIツイン”の集合体で社会の反応を再現するSimulacra
FastGrowが実施した特別アンケートでは、シード〜シリーズAの140社のうち51.8%がCOOを、66.0%が「将来の幹部候補」を募集していた。
だが、同じ肩書を掲げていても、実際に委ねられる経営課題や意思決定の範囲は会社ごとにまったく異なる。本連載「事業開発のその先へ──アーリー期スタートアップ140選」では、アンケートに回答した企業を一社ずつ取り上げ、その会社がいま抱える経営課題と、そこに参画する人材がどこまでの意思決定を担うのかを具体的に見ていく。今回紹介するのは、株式会社Simulacraだ。
この会社の魅力を一言でいうと?
個人の価値観や行動をAIで再現する「デジタルツイン」(現実の人や社会の動きをコンピュータ上に写し取る技術)で、意思決定を試して確かめられるものに変える事業。
募集中の経営ポジション
シード期で、東京大学・和泉研究室発の技術を事業化しているSimulacraで、代表・高柳剛弘氏とともに事業を牽引する将来のCOOや事業責任者候補。金融・マーケティング領域を中心に進む大手企業とのPoC(実証実験)を土台に、プロダクト戦略やGo-to-Market、エンタープライズとの事業開発、組織づくりまでをCEOと共に推進する。研究として磨かれてきた技術シーズを、日本発の事業として世界市場へ届けていく、ゼロからのフェーズを担えるポジションだ。
事業概要
個人の価値観や行動をAIで再現する「個人デジタルツイン」技術と、複数のAIが相互作用することで社会全体を再現する「社会デジタルツイン」技術を研究開発する。東京大学・和泉研究室が15年以上かけて培ってきた研究成果を基盤とし、AIのトップ国際会議でも採択される実績を持つ。「この人ならどう判断するか」を再現する個人のデジタルツインを何千、何万と組み合わせることで、組織や社会全体の反応をシミュレーションできる仕組みを目指す。現在は金融・マーケティング領域を中心に大手企業とのPoCを進めており、技術シーズが研究から事業へと移るフェーズにある。
FastGrow的「ここがすごい!」
「東大経済学から工学系研究科、そして起業へ。人間の意思決定を探究してきた代表の研究キャリア」
代表の高柳剛弘氏は、東京大学文科二類から経済学部に進学したのち、大学院では工学系研究科技術経営戦略学専攻へと研究の場を移した。和泉潔教授の研究室で人間・社会のデジタルツインを研究し、博士課程を修了。現在は同大学院の特別研究員を務める。東京大学工学系研究科専攻長賞、人工知能学会全国大会優秀賞、言語処理学会優秀賞を受賞し、Amazon Science Fellowにも選出されるなど、研究実績を積んできた。
そのキャリアを貫くのは、人間がどのように意思決定し、行動するのかという問いだ。AmazonおよびSakana AIでは、研究成果の実社会への応用を目指し、デジタルツインの研究開発に従事。その経験を通じて、人間の意思決定や行動を再現する技術が社会実装の段階に到達したと捉え、株式会社Simulacraを創業した。経済学で人間や市場を捉える視点と、工学でそれをモデル化する技術。その両方を背景に、AIエージェントによる人間行動・社会シミュレーションを、マーケティング・金融・政策領域の意思決定に活かそうとしている。米国では同じデジタルツイン領域から複数のユニコーン企業が生まれ始めており、世界的にも市場が立ち上がりつつあるタイミングだ。
いま若手経営人材が飛び込むべき理由
「研究成果はあるのに、まだ"事業"になっていない技術がここにある」
15年以上の研究蓄積と国際会議での採択実績を持ちながら、Simulacraの技術はまだ「研究」から「事業」へ移る途中のフェーズにある。米国ではすでに同じ領域からユニコーン企業が生まれ始めており、世界的に市場そのものが立ち上がろうとしている。日本発のこの技術を、金融やマーケティングをはじめとするエンタープライズ市場、そしてグローバル市場へどう届けるか。その事業設計を、プロダクト戦略から組織づくりまでゼロから任される裁量が、シード期の今だからこそある。「人と社会のデジタルツイン」という、まだ世界中の誰も答えを出し切っていない市場のルールメイキングに、立場を選ばず挑める瞬間だ。
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こちらの記事は2026年10月09日に公開しており、
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