連載資金調達スタートアップのヨコガオ

シリーズBで総額38億円を調達。地域建設業を「課題産業」から「成長産業」へ──クラフトバンクの“ヨコガオ”

重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。

FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。

今回は、2025年10月に資金調達を発表したクラフトバンク株式会社について、その「横顔」をまとめる。

SECTION
/

FastGrow編集部が注目するポイント

注目ポイント1

地域建設業を「課題産業」から「成長産業」へ、すでに47都道府県29工種で導入

注目ポイント2

14,000人超の職人が日常利用、4,000億円分の見積書や月間10万件の日報がデジタル蓄積

注目ポイント3

すでに30都道府県に社員・拠点を設置、地銀などと連携して一気にスケールへ

SECTION
/

代表を始めとした、同社のメンバーについて

(1)代表取締役社長/CEO 韓 英志 氏

調達に際してのコメント

建設業は、地域の暮らしと経済を支える基盤産業です。担い手不足や高齢化、資材高騰などの課題が深刻化するなか、私たちは工事会社が正しく評価され、儲かる仕組みをつくり、「未来をつくる成長産業」への転換を目指しています。現場発の工夫を積み重ね、全国30都道府県に在住する仲間とともに事業を育てています。生成AIが実用化フェーズへと進む時代の変化を成長の追い風と捉え、AIへの積極的な投資を進めるとともに、地元に根ざし、共に歩む企業として、地域建設業の未来を築いていきたいと思います。

プロフィール

東京大学大学院(建築学)修了。リクルートに新卒入社し、国内で複数事業を経験後、東南アジア・欧州へ展開を主導し、20+カ国展開の陣頭指揮を執る。2018年に内装工事会社・ユニオンテックの経営参画を経て、当社を創業。


(2)執行役員/COO 田久保 彰太 氏

プロフィール

東京大学文学部卒業。RCFにて復興支援、若手国会議員の政策形成支援、様々な社会課題解決事業に従事。2017年にユニオンテックに新卒入社し、当社を共同創業。


(3)執行役員/CPO 武田 源生 氏

プロフィール

鈴鹿高専専攻科卒業。高専プロコン優勝を経てDeNAに新卒入社。スタートアップCTOを経て、2020年にユニオンテックに参画し、当社を共同創業。


(4)VP/CFO 巻島 隆雄 氏

プロフィール

東京大学法学部卒業。DBJにて法人営業・財務部を経て、INSEADにてMBAを取得。企業ファイナンス部でM&Aファイナンス、サーチファンド・ジャパンの取締役等を歴任。2024年当社に参画。

SECTION
/

調達の概要

プレスリリース
建設DXを推進するクラフトバンク、総額38億円のシリーズBラウンドを完了
調達額
総額38億円
ラウンド
シリーズB
主な使途
全国規模での支援体制強化
AI戦略室の設立
公共政策連携と長期的なR&D投資
投資家からの評価
JICベンチャー・グロース・インベストメンツ / 中屋 玲生 氏
建設業は自動車産業に次ぐ国内第2位の市場規模であり、8割超を中堅・中小事業者が占める構造にあります。インフラの維持更新等、建設需要は今後も底堅い推移が見込まれる一方で、働き手不足はますます深刻化しており、生産性向上は差し迫った課題と言えます。クラフトバンクは中堅・中小事業者に対して、生産性に課題の多い施工外業務に着眼、解決に取り組むことで、業界や地域の産業維持・発展に貢献されており、その社会的インパクトは非常に大きなポテンシャルを有すると考えております。クラフトバンクの事業成長を通じて、建設業界を支える「世界に誇れる職人」がさらに活躍できる世の中が実現できるよう、弊社も伴走していきたいと考えております。
Angel Bridge パートナー 林 正栄 氏
前回に続きリード投資家としてクラフトバンクに出資できたことを心から嬉しく思います。建設業界は巨大な市場でありながらDXが大きく遅れており、深刻な人手不足の中で職人の生産性向上はまさに業界の喫緊の課題です。私たちは、専門工事会社の経営効率化こそが建設業界の生産性向上の本丸であり、その最前線に挑むクラフトバンクの挑戦は社会を支える根幹に直結するものと確信しています。初回投資から約3年、韓さん率いる熱量あふれるチームと伴走してきましたが、このチームであればこの困難な課題を突破し業界を変革できると強く信じています。さらなる飛躍を楽しみにしつつ、Angel Bridgeも全力で支援してまいります。
JPインベストメント プリンシパル 麻田 泰生 氏
建設業界は、歴史的経緯や複雑な法制度のもと、非常に多数の工事会社や職人によって支えられる広範で重層的な産業構造にあります。旺盛な建設需要に対して労働供給が減少する深刻な人手不足に直面する今、この構造的な課題に向き合っていくための最大のカギは、意外にも、職人の技術力以上に職人の貴重な時間を多く奪っている膨大な事務や移動負担の解消だと考えています。クラフトバンクの経営管理SaaS『クラフトバンクオフィス』は、既に業務インフラとして不可欠な支持を得ており、この非効率を解消する効果的なソリューションです。クラフトバンクが牽引するデジタル変革を通じ、持続可能な建設業界への変革に貢献できることを確信しています。
デライト・ベンチャーズ Managing Partner 渡辺 大 氏
クラフトバンクとは2021年からご一緒させていただいています。韓さんの知見と度量、チームの建設業界への熱い思いに惚れ込んできました。そしてそのプロダクトが、建設の生産性改善に力強く貢献している手応えを感じています。すでに存在感を確立しつつも、成長のポテンシャルはむしろこれからが本番です。この業界の人材不足は、日本が他の先進国に先んじて直面しているテーマであり、事業が世界にも広がる可能性を秘めています。クラフトバンクの次のステップに、志を同じくする頼もしい投資家の皆さまとご一緒できることを、心から誇らしく楽しみに感じています。
三菱UFJキャピタル 執行役員 投資第二部長 田口 順一 氏
建設DXを推進するクラフトバンク社に今般弊社から追加出資させて頂きました。 創業期に出資して以降、顧客と丁寧に向き合い順調に成長している点に魅力を感じています。人手不足が深刻な建設業において、業務効率化に実現する当社サービスが広がることが業界課題の改善につながっていくと期待しております。 今回の資金調達により更なる飛躍を遂げるクラフトバンク社をMUFGのネットワークを活用し引き続きご支援して参ります。
第一生命 オルタナティブ投資ユニット長 片岡 正史 氏
弊社は、長期的な資金供給を通じて、イノベーションの力により社会と暮らしを豊かにするスタートアップの成長を支援してまいります。クラフトバンクは、都市部のみならず地方においても、強固な提携関係と現場に根差した営業体制、そして優れたUI/UXを備えたプロダクトを通じて、建設業界のDX化を推進しています。建設業界は、極めて大きな市場規模を有し、今後も持続的な成長が期待される分野です。同社が有する高い成長ポテンシャルと情熱、そして社会課題である建設労働力不足の解決に向けた取り組みは、持続可能な社会への貢献と企業としての成長の両立を実現するものと確信しております。クラフトバンクの挑戦が、より良い社会の構築に寄与することを、心より期待しております。
SECTION
/

主なサービス・プロダクト

FastGrow編集部の注目ポイント

  • 建設業特化型の経営管理SaaSとしての高い定着率
  • 現場起点で蓄積される、多彩で巨大なデータ資産
  • 地域の建設業との共創によるプロダクト進化
SECTION
/

採用関連情報

こちらの記事は2025年10月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。