これだけは押さえろ!「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」~スタートアップ編──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み
指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。リリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。
そこで、忙しいベンチャー・スタートアップパーソンのために、週次でウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──
土日にまとめて読みたいニュースを、毎週金曜日に更新中。
今週は、この4つのニュースをお届けする。
・音声戦国時代
・VC、春のファンド祭り
・Forbes 30 Under 30 からネクストユニコーンは生まれるか
・なぜUber配車アプリは日本で失敗したのか?
音声戦国時代
世はまさに大音声時代だ。Twitter、Spotify、Facebook、Telegram、Discord、LinkedInなど、名だたる米国IT企業が揃ってClubhouse同様のライブオーディオストリーミングルーム機能実装の準備をしているという。各社がClubhouseに代表される音声ソーシャルメディアの脅威を真剣に受け止めていることの表れだ。
そんななか20日、話題の中心にいるClubhouseが評価額約4,326億円と伝えられるシリーズCの資金調達を行った(調達額は非公表のため不明)。これは19日、Facebookが新しい音声関連機能を正式に発表した翌日の話である。またTwitterがClubhouseの買収検討を行ったという報道も記憶に新しい。
競合ひしめく中、他の追随を許さないClubhouseは、その高い評価額に基づいた交渉のみならず、マネタイズにおいても強気な姿勢を見せている。Clubhouseが投げ銭機能を実装したことは過去の連載でも取り上げた。Clubhouseは従来の投げ銭機能では標準の手数料を徴収せず、将来的なサブスクとイベントチケット代金から収益化を目指すため、あくまで現段階ではユーザーバリューの最大化をはかっている。
音声コンテンツの中で比較的長い歴史を持つポッドキャストについて米国では、長年配信プラットフォームとコンテンツ制作が分断されていたため、マネタイズが難しいとされていた。(詳細についてはSTRIVE根岸奈津美氏がnoteにまとめているためご参照いただきたい)。日本においては早くからこの課題を見越してか、RadiotalkやVoicyなどが一元プラットフォームで様々なタイプのマネタイズ手法を模索している。これは賞賛したい。
近年の音声市場の過熱ぶりはまさにバブルだ。巨大なプレイヤーがしのぎを削る中、最後まで生き残るのは誰か。FastGrowでもこの話題に関して今後も取り上げていく予定だ。
VC、春のファンド祭り
今週はVCファンド関連のニュースが盛りだくさんだ。主な事例を以下に列挙する。
その特徴はまさにファンドの大型化だ。日米のスタートアップ投資額には30倍の差があることに関して、流行りのSPAC上場の話も踏まえ過去の連載でも取り上げた。近年のトレンドとして米国においてファンドの運用額の規模や、個別の起業の資金調達額が年々大型化していることが挙げられる。これに追随する形で日本も徐々に大型のファンドが見受けられるようになっている。
ではこのトレンドにより具体的にどんな変化が起きるのだろうか。それに関しては少し前のものにはなるがこの記事が詳しい。
簡単にまとめると、ファンドの大型化により、IPOまでの期間が長期化しているという。あえて起業家の目線に立つと、エクイティファイナンスを実行するということは返済の必要がない資金を得られる一方、多少無理をしてでもプロダクトや事業の成長スピードを高める必要性が生まれることを意味する。想定するIPOまでの期間が短いと、この点でストレスは大きくなるだろう。
だからIPOまで長い目で事業成長を見守るような大型の投資が増えることは、スタートアップが経営のコントロール権を維持し、より長期的な施策を実行できることにつながるため「起業家に優しい」という見方もできる。もちろん事業やプロダクトの特性によって最善の打ち手は変わるわけだが、選択肢が増えること自体は歓迎すべきことである。日本のイノベーションにどのように寄与するのか、スタートアップの動向は引き続き今後も大注目だ。
Forbes 30 Under 30 からネクストユニコーンは生まれるか
フォーブスは20日、アジア各国で活躍する30歳未満の起業家やリーダー、先駆者たち計300人を選出した「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」リストを発表した。6回目となる今年は、新型コロナウイルスの流行により環境が複雑化した「新しい日常」の中で新たなチャンスを見いだした面々が選ばれたという。
日本からは計31名が選出された。FastGrowでは主にその中からスタートアップ経営者をピックアップして下記に掲載した。
モノカブ 代表取締役 濱田航平
(今更だけど)
— Kohei Hamada (@koheyhamada) April 21, 2021
Forbes Asia Under 30に選出していただきました。
まだ何も成し遂げれていなければ、目標よりだいぶ低いところにいるので全力で駆け上がります!
メンバーも全力で募集してます!!https://t.co/lXhytDcbuo
Appify 代表取締役 福田涼介

参考:Forbes 30 Under 30 Asia(アジアを代表する30歳未満の30人)に、Appify代表でエンジニアの福田涼介が選出
ROXX 代表取締役 中嶋汰朗

VARK CEO 加藤卓也

Craif CEO 小野瀬隆一

プログリット 代表取締役社長 岡田祥吾

参考:『Forbes 30 Under 30 Asia 2021』に株式会社プログリット 代表取締役社長 岡田祥吾が選出されました!
KOSKA 代表取締 CEO 曽根健一朗

参考:Forbes Asia主催『アジアを代表する30歳未満の30人』に、株式会社KOSKA代表取締役CEO曽根健一朗が選出
日本法務システム研究所 代表 堀口圭

参考:松山英樹に続け!日本の26歳弁護士に世界が期待 Forbesが選ぶ “アジアを代表する30歳未満の30人” に日本法務システム研究所代表、堀口圭が選出
Jij CEO 山城悠

Crezit CEO 矢部寿明

Luup 代表取締役兼CEO 岡井大輝
Forbes 30 under 30 ASIA 2021 に選出頂きました。
— 岡井 大輝|『LUUP』電動キックボードシェアアプリ (@DAIKIOKAI) April 20, 2021
何も形に為せていない身分で恐縮ですが、「これでインフラを実現できなかったら死ぬほど恥ずかしいぞ」という枷だと思って内実を後から伴わせていきます。
友達と受賞できたのは嬉しいですね。https://t.co/W71yXc7KbC pic.twitter.com/8iO6V3Gkcd
yutori 代表取締役 片石貴展
昨年の30UNDER30JAPANに引き続き、ASIAでも受賞いただきました
— ゆとりくん (@katap_yutori) April 20, 2021
岡井くんとかりょーけんとか仲良い友達も入ってた今年は本当にアジア攻めます!!!
この賞にレバレッジをかけて商談を成功させまくる目論見です。 pic.twitter.com/T92Fpj1pCT
JMEES 代表取締役 松崎博貴

アーバンエックステクノロジーズ 代表取締役社長 前田紘弥

Gigi 代表取締役 今井了介

Natee 代表取締役 小島領剣

参考:Forbes Asia主催『Forbes 30 Under 30 Asia 2021』に、株式会社Natee代表取締役の小島領剣が選出
アイデミー 代表取締役社長 石川聡彦

LAPRAS 代表取締役 島田寛基
Forbes Under 30 Asia 2021に選出されました。
— Hiroki Shimada, CEO at LAPRAS Inc. (@hshimada_) April 20, 2021
光栄である一方、30以上の人とも対等に戦っていかなければいけないので、これからも粛々とやるべきことをやっていきたいと思います。https://t.co/yl1xqUfgK3 https://t.co/Nhppe2Ssi7
Mellow 代表取締役 森口拓也
https://t.co/Au6umwPzrt
— 森口 拓也|Mellow代表, モビリティスタートアップ (@Mrgtky) April 20, 2021
Forbes 30 Under 30 AsiaにFeatured Honoreeで選んでもらいました。
選ばれることに執着したことのない人生でしたが、こういった機会はMellowメンバー、フードトラックをはじめとした事業者さん、スペース保有者さんのおかげです。感謝。 pic.twitter.com/RFfMyYQhAh
estie 代表取締役CEO 平井瑛
「Forbes 30 Under 30 Asia 2021」のEnterprise Technology部門に選出いただきました!
— 平井 瑛 / estie(エスティ) (@EiHirai) April 20, 2021
これまでのチームの成果に期待していただきとても嬉しいですが、まだまだこれから、業界のより大きくそして深い課題を解決していきますhttps://t.co/Hd7qzr23Pd pic.twitter.com/3qu9sLnwTo
いかがだったか?おそらく聞いたことのある名前が多いのではないか、もしくは「意外と知り合いが選出されていた」という方もいるのではないか。過去にはスティーブ・ジョブズも選ばれている。彼らの起業にまつわるストーリーを紐解くことで、あなたの事業を成長させるヒントも得られるのではないだろうか?
なぜUber配車アプリは日本で失敗したのか?
Uberといえば日本においては「Uber Eats」のことを指すのが一般的であろう。2014年3月にアプリによる配車サービスから始まったUberであるが、なぜ日本においては普及しなかったのか?この議論に関してはこれまでも様々な考察がなされてきた。しかし、ここにきて日本のスタートアップエコシステムの重要な課題を交えた新たな視点から分析が加えられた。
とても良い記事だった。クリプト、ブロックチェーンの人が読んだ方がいい記事。
— 平野淳也 Junya Hirano HashHub (@junbhirano) April 22, 2021
なぜUber配車サービスは日本で失敗したのか? | Coral Capital https://t.co/PGz1RjR0l3
この考察のユニークな点は、その原因をコンプライアンスを順守するという日本特有の価値観だとしていることだ。日本では古くから「法律を破ってはいけない」という文化が諸外国以上に浸透しており、Uberの社会実装に足りなかったのは「テクノロジーのイノベーションではなく、社会の変え方のイノベーション」だったと述べている。
また、結論として今後重要になってくる起業家の重要な資質の1つを「政策起業力」としている。つまり、社会課題の解決のために、全てのリソースを投下し、ステークホルダーの利害関係を調整し、時には法律さえも変えてしまうマインドと行動力が求められているというのだ。
先週のスタートアップ通信でも取り上げたLuupはまさにこの「政策起業力」を持つ企業と言えるだろう。社会課題解決のため、国家による大きな規制との間で落としどころを探り、壮大なビジョンに向けて大きな一歩を踏みだしたのだ。
Uberの日本進出に関わり、成功も失敗も経験したメンバーが経営陣にいるというのも、話題を集める一つのポイントだろう(CEO岡井大輝氏のインタビューはこちら、CBO佐々木裕馬氏のインタビューはこちら)
「日本でのUberの立ち上げ失敗は、私たちスタートアップエコシステムの関係者が社会実装に必要なことを学ぶ上で1つの教訓となっているのではないでしょうか」と締めくくったこの記事。事業家を目指すあなたには間違いなく必読と言えるだろう。
さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。
こちらの記事は2021年04月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。