連載スタートアップ通信──5分で注目ニュースをまとめ読み

スタートアップへの逆風、顕在化か。新規上場社数が減──5分で今週の注目ニュースをまとめ読み

指数関数的な成長を志向するスタートアップ。当然、その流れは早い。各社からリリースされるニュースを追っていくだけでも一苦労だ。そこで、忙しいベンチャー・スタートアップに関わる人のために、一週間のウォッチしておくべきニュースだけをまとめた記事を配信していく。題して、週刊スタートアップ通信──。

土日にまとめて読みたい話題を、毎週金曜日に更新中。

今週は国内外問わず、数多くのスタートアップに関するニュースが世間を賑わせた1週間となった。その中から4本のニュース・話題をピックアップ。

・2022年1-3月期の上場企業社数は低水準?その理由は

・直接投資が旺盛な三菱地所、なぜ今CVCを?

・実務により近い学びを。Progateがプロ育成新サービス

・盛り上がる名古屋スタートアップを一挙紹介!

について見ていく。

  • TEXT BY HIKARU HAMADA
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2022年1-3月期の上場企業社数は低水準?その理由は

日本経済新聞は2022年1-3月期の新規株式公開(IPO)が15社と、8年ぶりの低水準だと報じた。同記事によると、新型コロナウイルス感染症拡大や、世界情勢、その他もろもろの外部要因を受けて先行きを懸念する企業が上場延期しているという。

日本取引所グループによれば、1-3月期に上場した企業は、メンタルヘルステクノロジーズCaSyなど15社のみ。状況を鑑みた結果とはいえ、この期間だけで住信SBIネット銀行のみならず、スタートアップのZEALSRepertoire Genesisなど6社が新規上場を取りやめていた。

また最近では、Warranteeコインチェックなど、国内での上場ではなく海外市場、米ナスダックでの上場を目指すスタートアップも目立ち始めた。この動きが加速すれば、国内市場を飛ばしてはじめから海外市場へチャレンジしてしまう企業ばかりになってしまうかもしれない。

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直接投資が旺盛な三菱地所、なぜ今CVCを?

三菱地所は、社会課題の解決や産業構造の転換など中長期的な社会インパクトの創出に挑むスタートアップへの投資を目的としたファンド「BRICKS FUND TOKYO by Mitsubishi Estate」を開始すると発表した。投資規模は5年間で100億円を想定。国内外のアーリーステージを中心に、同ファンドが定める3つの投資テーマと12の注目領域のミドル・レイターステージにも幅広く投資していく。

推進するのは橋本雄太氏。京浜急行電鉄(京急)で『京急アクセラレータープログラム』やオープンイノベーション拠点『AND ON SHINAGAWA』を立ち上げるなど、大企業とスタートアップの協業や連携を推進してきた経験豊富な人物だ。2021年から三菱地所の新事業創造部にその活躍の場を移していた。

同ファンドが掲げる3つのテーマは、「新たなライフスタイル」、「既存産業のパラダイムシフト」、そして「サステナビリティ」。その中に12の注目領域があり、SaaSやフィンテック、Web3など聴き慣れた言葉が並ぶ。

同社は今まで、不動産とシナジーが考えられるテック企業をメインに直接投資してきた。しかし今後は、VCのプライムパートナーズと共同運営し、必ずしも目先のシナジーは意識しないという。昨今、企業から多くのCVCが立ち上がっている。今後の三菱地所も含めたCVCの動きに注目したい。

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実務により近い学びを。Progateがプロ育成新サービス

プログラミング学習サービスの大本命となるのだろうか。

Progateは実践に近い学びを得ることができる学習サービス「Progate Path」のクローズドβテスターの募集を開始すると発表した

どのくらい実践に近いのだろうか。

Progateによれば、演習内容に沿ってユーザー自身が環境構築を行い、実務と同じようにローカル環境でコーティングを行うことができるという。また、ローカル環境でありながらコード判定をすることができ、いつでもユーザーがコードが正しいのかどうか確認することができる。 その他、演習内容では実務で直面する課題を用意。エンジニアになるための必要な経験を確実に積めるよう開発した。

エンジニア不足はすでに大きな社会課題だと、同社は認識している。これまで以上に各企業がIT人材を必要とする中で、こうしたサービスもまだまだ増えていくだろう。動向が気になる市場だ。

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盛り上がる名古屋スタートアップを一挙紹介!

今、名古屋のスタートアップが盛り上がっている。先日公開した記事でも書いたように、愛知・名古屋を代表する大企業、トヨタ自動車などから起業家が出ているだけではなく、名古屋大学からも多くの起業家が誕生。名古屋大学発ベンチャーの称号を持つ、オプティマインド代表取締役社長の松下健氏や、Acompany代表取締役CEOの高橋亮祐氏らは、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2021」にも選出されるなど、全国的に見ても活躍が目立っている。

その中で今回は、同記事で紹介された「J-Startup」や「J-Startup CENTRAL」に選定された企業以外も紹介したい。

そのほか、FastGrowが注目する愛知県周辺のスタートアップやベンチャー企業

株式会社RTプロジェクト  建築現場の情報共有アプリ『GENCHO』を展開
GOOD AID株式会社  より柔軟な医療ができるための調剤薬局や訪問介護を展開。(FastGrowのピッチイベント登壇時のレポート記事はこちら
株式会社クラッソーネ  解体工事一括見積サービスで持続可能な社会の実現を目指す。
ジークス株式会社  子育て医療に"安心"と"正確な情報"を届けるメディカルプラットフォームサービス「あんよ」を展開。
株式会社SkyDrive  空飛ぶクルマの開発や製造、販売。(FastGrowのピッチイベント登壇時のレポート記事はこちら
スタジオアンビルト株式会社  デザイン領域のスタートアップとして、建築系オンライン・ワークプレイスを展開する
株式会社TOWING  高効率かつ持続可能な次世代畑による循環型栽培システム『宙農(そらのう)』などを展開。(FastGrowのピッチイベント登壇時のレポート記事はこちら
株式会社パワーウェーブ  自動車やドローンのワイヤレス給電システムを開発。
株式会社ファースト・オートメーション  工場自動化を円滑に実現するロボット導入SaaS『ROGEAR』を展開。
株式会社ミライ菜園  農作物の病害虫をAIが診断するアプリ『SCIBAI(サイバイ)』を提供。
株式会社OnePile  名古屋で長期インターンの機会を増やすためのサービスを展開。

まずは資金調達の文脈で見ていく。 循環型農業と宇宙農業の実現を目指すTOWINGは、2021年12月にプレシリーズAで1億4,000万円の資金調達を実施。また、子育て医療アプリを手がけるジークスは、3月にシードラウンドでEast Ventures、日本政策金融公庫、名古屋銀行から4,300万円の調達を果たした。

その他、SkyDriveがスズキと連携して機体の量産化を進めるなど、実用に向けた動きを加速させる。解体工事プラットフォームを運営するクラッソーネは、ニッチにも思える領域ながら20近くの地方自治体と連携し、空き家問題の解決を推進している。

愛知・名古屋のスタートアップは、名古屋だけにとどまらず活躍している。今後の動向も気にしたいところだ。

さて、今週のスタートアップニュースはいかがでしたでしょうか?今後も毎週更新していきますので、ぜひFastGrowをチェックしてみてください。

こちらの記事は2022年04月01日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

濱田 ひかる

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