理想的な「追客」のステップがあれば、教えてください。また、時間をかけたお客様が商談に至らなそうな場合、すぐ諦めるべきですか?
西山 直樹氏の回答
ご自身のバイブルとなっているような、何度も読み返す書籍はありますか?
セールスフォースの「クラウド誕生」は、定期的に読み返していますね。インサイドセールスだけでなく、各セクションにおける大事な要素が詰まっている書籍です。営業の立ち上げ期に意識すべきことも書かれているのですが、どれだけテクノロジーが発展し様々な手法が生まれても、初期はこちらから電話をかけること以上に効果的な手法はないと断言しており、当時かなり勇気づけられたのを覚えています。
西山 直樹氏の回答
インサイドセールスとセールスの役割が変わる軸として、顧客企業規模があると思います。超エンタープライズ企業向けには、営業とISがタッグを組んで個社深耕を図るなどあると思いますが、みなさんはこのISの対応が変わる規模のラインはどこだと思いますか?(従業員数1000名以上など)またそれはなぜですか?
インサイドセールスはセールス部門とマーケティング部門の調整という対内的な工数がかかるイメージがあります。皆さんはどのように対内的な調整工数をどのようにして削減していますか?
3つポイントがあるのですが、一番大事なのは「部門責任者を同一人物にすること」かと思います。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの3部門の責任者を同じにするのが、もっともスムーズに連携が取れる方法だと思います。
2点目は、共通の目標を持つこと。これは最終的な売上です。もちろん部門ごとに細分化されたKPIはありますが、最後に皆で追っているのは売上であるべきですし、そこに目線がいくような組織にしていくことが大事です。
最後は、インサイドセールス経験者をマーケティングとフィールドセールスに異動させるということです。もともとインサイドセールスは、両チームの中間に位置しているので司令塔として大きな役割を果たせることが多いんです。弊社でもインサイドセールス経験者が異動し、司令塔的に活躍しているケースが目立ちますね。
西山 直樹氏の回答
インサイドセールスのプロ人材を外注で担う場合、外注先とグリップを握っておくべきことは何だと思いますか?成果はもちろんですが、それ以外にもあれば教えて頂きたいです。
ベルフェイスでも多少アウトソースしていますが、特に前職時代はアウトソーサー側の仕事をしていたので、その知見でお答えすると「成果の定義を明確にしておくこと」が一番大事です。定義が曖昧な状態だと、例えばアポ数を追うためにとにかく質の低いコールをかけまくる、といったことが起こり得ます。お客様からすれば、内製だろうが外注だろうが看板は同じなので、成果が出ないだけでなく被害すらも出てしまいかねません。
また、アウトソースはあくまで業務委託先なので、直接の指示が難しいです。それでも、改善を回していけるように仕事ぶりが確認できるような環境づくりや可視化はできるので、その点は早めに対応しておくべきだと思います。
西山 直樹氏の回答
インサイドセールス組織の立ち上げ時、どのような人を採用すべきでしょうか?
経験者採用のハードルが高い為、その他皆様が重要と考える採用条件等あれば見解を教えて頂きたいです。また、今回は外注のプロ人材に手伝って頂きながらの立ち上げを検討しており、ゆくゆくは内製化していくための人材採用を検討しております。
西山 直樹氏の回答
インサイドセールスにおいて、どのように未経験者(新卒や営業未経験など)を育成していますか?OJTといってもどういったことをしているのか、またまず教えるスキルなどあれば、教えていただけると幸いです。
私の場合は、まずそのメンバーが何を目指しているのかを聞くところから始めます。経験を積んでインサイドセールスのマネージャーになりたいのか、それとも早くフィールドに出て商談がしたいのか、人によって目指すものは異なりますし、ゴールが違えば必要なスキルも変わってきます。ですので、まずはヒアリングをした上でロードマップを引いてあげるということをやっていますね。
また、どのように教育しているかというご質問ですが、せっかくなのでリモート環境での最近の弊社事例を2つご紹介します。1つ目は、ハイパフォーマーなメンバーの録画を共有して、自宅でセルフスタディーしてもらうということ。実際のお客様とのコミュニケーションをハイパフォーマーがどうやっているのか。そこを自分なりに分析してもらっています。
2つ目は、Web会議を繋ぎっぱなしにする方法です。こちらは1つ目よりもインタラクティブに学べるように、実際のハイパフォーマーの架電の様子をWeb会議を通して聞いてもらい、終わるたびにその場で一緒に振り返っています。
西山 直樹氏の回答
どんな素養・スキルを持った人が、インサイドセールスに向いているのでしょうか?プレイヤーとマネージャー(リーダー)、それぞれ教えていただきたいです。
まずマネージャーについては、インサイドセールスという仕事に「意義付け」できる能力がもっとも重要です。インサイドセールスは実際の契約まで行うわけではないので、継続的にやりがいを見出し続けるのが難しい。ただ、実際に事業の中でも重要なポジションに位置している仕事なので、しっかりと必要性を説き、メンバー全員と向き合い、キャリアビジョンと照らし合わせたステップを一緒に考えてあげる。これができないとインサイドセールスのマネージャーとしては活躍できないと思います。
また、そのマインドはプレイヤーにも必要です。インサイドセールスが営業活動の中でいかに大事かということを理解していなければなりません。インサイドセールスは営業の「入り口」です。そしてこの入り口で成約に至るまでの80%を占めていると言っても過言ではないと思います。顧客の課題を理解し、ニーズを把握した上で、決裁者を特定する。この状態でアポイントが取れていれば、ほとんど商談化しているようなものです。よく「料理」で例えているのですが、家で料理をおもてなしする状況をイメージしてみてください。この時、一番重要なのは、お招きした方々の苦手なものや好みを事前にヒアリングし、それに合った良質な食材や調味料を準備することです。そこまで準備ができていれば、あとは分量や火加減・お湯加減などを余程間違えない限りは美味しい料理が作れて喜んでもらえます。
またスキル面においては、タスク管理能力は必須です。焼畑農業的にコールしまくればいいわけではないですし、お客様との信頼関係構築が一番の仕事になります。そうなると、必然的に顧客管理、TODO管理はかなりマメに出来る方でないと難しいのではないでしょうか。