連載0→1創世記

世界のイノベーションを加速させる、
多彩なキャリアのプロフェッショナル集団アスタミューゼ

インタビュイー
嶋﨑 真太郎
  • アスタミューゼ株式会社 事業開発部部長 

2017年にアスタミューゼ株式会社へ入社。『新規事業コンサルティングサービス』『専門人材採用コンサルティング』『知的財産プラットフォームサービス』の統括責任者に。好きな球団は阪神タイガース。将来の夢は屋久島に住むこと。

並河 祐貴
  • アスタミューゼ株式会社 開発・インフラ部部長 

TIS、SonicGarden、サイバーエージェントを経て、2015年にアスタミューゼ株式会社へ入社。これまで小~大規模の様々なWebサービスのバックエンドを支える業務に携わっている。主な著作に「Chef実践入門」「クラウドAmazon EC2/S3のすべて」「Redmine -もっと手軽にプロジェクト管理!」

酒井 康博
  • アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部リーダー 

大学院で高分子物性、高分子構造に関する基礎研究を行い、その後東京大学の特任助教、助教として計9年間勤務。高分子材料の基礎・応用・実用化研究、および学部生・大学院生の卒業論文・修士論文指導を中心に教育活動に携わる。研究活動においては高分子を中心として、応用物理学、応用化学、材料工学、バイオテクノロジー。任期満了後、アスタミューゼ株式会社に入社。技術情報分析や新技術の用途展開先探索に関するコンサルティング業務などに従事。

コンサルティング事業、人材・キャリア支援事業等を手がけるアスタミューゼ株式会社(代表取締役:永井歩)では、“オープンイノベーション”ではなく“イノベーションの創出”そのものを重視している。

アパレルから元劇団員までさまざまな経歴を持つ社員が集う企業だが、メンバーに共通しているのは、「知の流通」「知の活用」「知の民主化」という抽象的なミッションへの考え方だ。

  • TEXT BY MISA HARADA
  • PHOTO BY YUKI IKEDA
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多彩なバックグラウンドのメンバーが集う場

さて、目の前にはバラバラな服装の男性が3人。しっかりとスーツを着込む人、カジュアルにスーツを着る人、ほとんど普段着と変わらない服装の人。なるほどこれが幅広い分野から集結し柔軟な発想で取り組むイノベーションのあり方か、と妙に納得させられる。

社員の経歴も様々である。薬学、分子生物学、応用物理、金融工学などの専門家から大手IT企業出身、アパレル、元パチンコ店店長、元劇団員までそろっている。

科学技術の情報に特化した企業というイメージが先行するアスタミューゼだが、決して堅いイメージはなく、メンバーの多様性にまず驚かされた。

嶋﨑いろいろなキャリアの社員がいますが、全員何らかの分野のスペシャリストであることに間違いはありません。たとえば研究・技術データ分析を担うテクノロジーインテリジェンス部には薬学、分子生物学、応用物理など研究領域に応じた専門家がノウハウを活かしてますし、10年演劇をやって来た人材採用コンサルタントは、電話での声のトーンが抜群によくコミュニケーション力に長けている。その人が持っている本質的なポテンシャルが、プロの領域に達しているかを重視して採用しています。

アスタミューゼ株式会社 事業開発部部長 嶋﨑 真太郎

そう語る嶋﨑自身も、社会人としてのキャリアを消防士からスタートさせた経歴の持ち主だ。大学を中退し消防士として働いた後、「努力したぶんだけ評価につながる」ことに魅力を感じリクルートの企画営業へと転身した。

全国トップ11の営業に選ばれ「セールスマンとしてのノウハウを色々な業界で試したい」と異業種へ転身、複数のベンチャー企業で役員を務めるなど、事業企画、営業企画、人事・採用企画の経験を経て、7社目に辿り着いたのがアスタミューゼとなる。

また、開発・インフラ部門を率いる並河は、大企業からベンチャーまで、エンジニア1本で渡り歩いてきた男だ。4社目となるアスタミューゼには、役員と会話する中で「阿吽の呼吸で仕事ができるんじゃないか」と感じたことが入社の決め手だった。

2人が転職を経験している一方、世界80ヶ国から収集した技術や研究に関するデータ分析を行うテクノロジーインテリジェンス部の酒井は、アスタミューゼが初めて就職した民間企業だ。

大学院で研究を続けるも、助教としての任期満了を迎え転職活動をしていた。酒井のような研究者の経歴をもつ多くの人は他の研究機関やメーカーの研究職を希望するのだが、研究室の教授が立ち上げたスタートアップの仕事を手伝っていた酒井にとって、スタートアップは1つの魅力的な選択肢だった。

しかし、スタートアップ・ベンチャーの中に、自分の研究で培った技術的知見が活かせる場所などあるのか──。そう考えていたところで出会ったのがアスタミューゼだ。酒井は「何か1つを極める研究だけでなく、自身の視野を広げたかった」と入社理由を説明する。

酒井大学院でずっと同じ分野の研究をしているのが窮屈に感じていたんです。アスタミューゼの面接を受けたとき、商社など大学にいたら出会わないような相手と連携して仕事を進めていると聞いて、それは面白そうだなと。社内にはいろんなバックグラウンドのメンバーがいますし、働いてみて世界が格段に広がりました。

アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部リーダー 酒井 康博

嶋﨑や並河と同じく、同社にジョインする人々の多くは、アスタミューゼの「何をしているのか、一言で説明できない会社」という点が魅力だと話す。

「知の流通」「知の活用」「知の民主化」という壮大なビジョンを掲げる同社だからこそ、やるべきことはひとつじゃない。そこに不安ではなく、自由さ見出すタイプであることが、多彩な前歴を持つメンバーたちの共通項だ。

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どんなビジネスも結局“人”に回帰する

アスタミューゼは世界中から膨大な研究・論文データを収集し、10年後・20年後の未来を創る集団だ。そのデータを駆使して、イノベーションを支援している。

もちろん、「イノベーションを生み出す姿勢」は、メンバー自身にも浸透済みだ。異なるバックグラウンドとスキルを持ったメンバー同士が自然と連携し合う環境である。

その姿勢も社内だけに留まらない。企業向けのイノベーション支援事業では、アスタミューゼがもつデータ分析・成長領域の定義と組み合わせることで、より効果的にイノベーション創出が可能だと判断した突出した強みを持つ外部の企業とも意欲的に提携。

例えば、戦略立案や組織作りは欧州最大のコンサルティングファームローランド・ベルガー社と、PRやマーケティング、生活者視点に基づいたアイデア・企画出しは博報堂と連携するといった具合だ。

このように、働く上で社内外の異質なメンバーと接点を持つ機会が多いのがアスタミューゼの働き方。エンジニアリングのプロフェッショナルと、セールスのプロフェッショナルたちが同じフロア、すぐ隣で仕事をしているのだ。そんな環境で嶋﨑は、「どんなビジネスも結局“人”に戻ってくる」と悟った。

嶋﨑アスタミューゼにいると、事業もサービスも技術もプログラミングも研究も、すべて人が生み出しているんだなと感じるんです。世界中のデータや技術を知るようになって、そのことに気づかされました。『AIをやりたいけど、AIの技術者はどこにいるんだ』とか、『この技術を生み出した研究者たちは数年後にこの技術も生み出している』とか、みんな結局人の話に行き着く。技術や未来を語っていると、結局“人”の話題に回帰するのは面白い発見です。

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膨大なデータを自力で収集

研究や技術の情報など、世界最大級のイノベーションデータベースを保有するアスタミューゼ。メンバー全員が世界中のあらゆるデータへの嗅覚を日々研ぎ澄ましている。

「クラウドファンディングというものが世に出てきたけれど、世界のマーケットシェアはどのくらいなんだろう」という素朴な疑問が社内で起きたことがあった。こんなとき普通の企業であれば、せいぜい拡大統計で話を済ませるだろう。しかし、アスタミューゼではそうはいかない。自分たちで世界中のデータを集めてしまうのだ。

データ収集の作業は泥臭く、並河は「結構大変です」と苦笑いする。しかし、20数か国2,000サイト、200万データが集まってくると、世界全体のマーケットシェアにおける日本の割合、成功事例や失敗事例の共通項など、点では見えなかった情報が手に入る。

「世界中のクラウドファンディングの情報をこれだけ持っているのは、たぶん世界でも我々だけ」とメンバーも自負している。

世界中から集めた無数の情報をデータにどう意味を見出し、価値を与え、活用するかは、アスタミューゼのエンジニアの腕の見せ所でもあり、やりがいでもある。

並河苦労はしますが、数千万・数億件という膨大なデータを上手く活用する方法を考えていくのは、エンジニアとしては非常に面白い作業。単なるデータがはっきり価値になっていくのが見えるのが面白い。酒井のような元ドクターのスーパーアナリスト集団と連携しあい、エンジニア側からまた新しいモノが生み出せないか毎日試行錯誤しています。

アスタミューゼ株式会社 開発・インフラ部部長 並河 祐貴

企業向けの新規事業創出・技術活用コンサルティングを提供し始めた当初は、自社技術を活用したいメーカーの研究開発部門からの依頼が多かった。しかし最近では、テクノロジーとは一見関係なさそうな旅行会社からも相談が来る。

その中で、「じゃあこのデータもあった方が良い」と、クライアントのための必要なデータを収集しているアスタミューゼであるから、抱えるデータの幅は、日々広がり続けている。

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本当に社会的意義があることなら、収益は自然とついてくる

そのように収集されたデータの一部は、Webプラットフォーム「astamuse」を通じ無料公開されている。“一部”とはいっても、約1,100万件の技術情報や、約38万を超える分野情報など相当の量でなる。

セールス畑に身を置き、売上に敏感な嶋﨑は入社当初、「課金サービスにすればいいのに」とこの貴重なデータを無償配布することにもどかしさを感じたこともあったと語る。

嶋﨑でも、そこで儲けるのはアスタミューゼとしては大義じゃないんですよ。まず“知の流通、活用、民主化”というビジョンの達成を目指す。そうしたらきっと後からお金もついてくる。そういう流れを忘れずビジョンを実現しないといけません。社会的価値や意義を第一に考える会社なので、自分たちの利益は二の次になる傾向があるかもしれません(笑)会社ですから、最終的には儲かるようにしますが「儲けたい」は目的ではないんです。

目先の売上に囚われないのは、代表取締役社長である永井の影響も大きい。メンバーたちは永井のことを、「2年くらい先の話を普通にするから、たまに会話がかみ合わない(笑)」「脳内での優先順位判断やリスクの取り方が、普通の経営者とはちょっと違うかも」と思い思いに語る。

世界の知的労働によって生まれる膨大な無形資産を活性化することが人々の幸せ、社会の発展に繋がる──。「知の流通」「知の活用」「知の民主化」というビジョンには、そのような想いが込められている。

各分野の専門家・プロフェッショナルが集まり、遥か未来を引き寄せながら、今を紡ぎ続ける会社だからこそ、経験が浅い20代にとって、これから拡大する急成長分野に携われるというまたとない成長のチャンスも豊富にあるだろう。

取材に同席した広報・PR部門リーダーの波多野は、若者についてこう述べていた。

波多野イノベーションって、宇宙とか医療とか中には1年2年ではなく長い年月かけて”それまでの常識が覆る大きな変化”のことも指します。それって誰が適任かを考えると、僕は純粋に『若い人」だと思うんです。うちのメンバーは30~40代が多いけど、いま10代20代の子はうちのメンバーより単純計算で”変化した後の新しい世界”を10年以上多く生きて沢山目にする、未来の目撃者。その変化を生み出す挑戦を早くやりたいと思う人がいたら、アスタミューゼに興味を持ってほしいですね。

こちらの記事は2017年12月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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池田 有輝

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