連載資金調達の週報
デザイン性の高い電動車いすから、面倒な日程調整の自動化サービスまで──押さえておきたい資金調達ニュース【〜9月23日】
資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。
全てを追いきれない読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。
今週は日本から4社をピックアップした。
2018年9月17日〜2018年9月23日分
- TEXT BY MASUMI OSAKI
- EDIT BY TOMOAKI SHOJI
WHILL:デザイン性の高い電動車いす
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 50億 |
| 調達先 |
|---|
| SBIインベストメント |
| 大和証券グループ |
| ウィズ・パートナーズ |
| Mistletoe |
| Endeavor Catalyst |
| 日本材料技研グループ |
| エスネットワークス |
| 三井住友海上キャピタル |
| 産業革新機構 |
| Eight Roads Ventures |
| 日本ベンチャーキャピタル |
| DGインキュベーション |
| みずほキャピタル |
サービス概要
「すべての人の移動を楽しくスマートにする」をミッションに、独自開発のパーソナルモビリティ(電動車いす)を提供。
2014年に発売した初号機の「WHILL Model A」は日本・北米・欧州で販売しており、2015年度のグッドデザイン大賞など多くのアワードを受賞したことでも注目を集めた。2017年には2号機となる「WHILL Model C」を発売。北米モデルである「WHILL Model Ci」とともにこちらもデザイン性や機能面が評価され、さまざまな賞を受賞している。
今回の資金調達を機に、今後同社では個人用のモビリティに加えてMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)事業の展開にも力を入れる方針だ。具体的にはスポーツ施設や商業施設、空港、駅などで、長距離を歩くことが困難な人々がWHILLをシェアして一時利用できるようなサービスの構築を想定しているという。
waaq:日程調整を自動化するサービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 非公開 |
| 調達先 |
|---|
| ウォンテッドリー |
| 高畠靖雄氏 |
| 神先孝裕氏 |
| 佐藤有紀氏 |
| 成田修造氏 |
サービス概要
日程調整を自動化するサービス「waaq Assistant」を開発。
waaq Assistantでは日程調整の依頼をメールでバーチャルアシスタントに送ると、調整相手とのメールを自動で代行してくれる。日程確定や利用者のカレンダーへの登録までをワンストップでサポート。メールでの日程調整には確定までに約15分、平均7通のやりとりを要すという調査もあるが、waaq Assistantはこの手間を10秒程度にカットできるのが特徴だ。
現在はβ版の段階で、人材業界、IT業界、金融業界などで主に使われているという。調達した資金を基にシステムの増強やAIの開発に力を入れるほか、調達先のウォンテッドリーとは今後展開予定のビジネスマッチングの領域での連携についても協議をする計画だ。
Origami:スマホ決済サービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 66.6億円 |
| 調達先 |
|---|
| SBIインベストメント |
| トヨタファイナンス |
| 信金中央金庫 |
| 銀聯国際(Union Pay Internationa) |
| クレディセゾン |
| 日本ユニシス |
| ジェーシービー |
| 大垣共立銀行 |
| 三井住友カード |
| DG Daiwa Ventures |
サービス概要
スマホ決済サービス「Origami Pay」を開発。
近年日本でも“キャッシュレス化”が本格的に注目を集めるようになってきたが、Origamiは2015年から国内でスマホ決済サービスの提供をスタートした。2016年からは「Origami Pay」の提供を始め、ここ数年で全国のコンビニやファストフード、タクシー、百貨店などさまざまな業種・業態の加盟店へ導入を進めているという。
今回は調達ともに複数のアップデートを発表。ゆうちょ銀行を含む銀行やクレジットカード会社との連携拡大、自社サービスにOrigamiの決済機能を搭載できる「提携Pay」の開始、中国・銀聯国際との資本業務提携による国内外でのサービス拡大などが明らかになった。
ヴォーカーズ:社員口コミを軸にした求職者向け情報サービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 22.5億円 |
| 調達先 |
|---|
| リンクアンドモチベーション |
サービス概要
社員クチコミによる就職・転職者向け情報プラットフォーム「Vorkers」を開発。
約245万人が登録するVorkersは、実際に働く社員や元社員の口コミによる企業の評価スコアが約630万件も掲載されているのが特徴。同様のプラットフォームにおいては国内でも最大規模といえ、現在も1日約3000人が新規で登録しているという。
ヴォーカーズでは今回、リンクアンドモチベーションとタッグを組むことで、Vorkersに登録しているユーザー約245万人と、採用をしたい企業を直接マッチングする新サービス「Vorkersリクルーティング」の早期事業化に力を入れていく計画だ。 合わせて口コミの総合評価が低い企業に向けては、リンクアンドモチベーションの「モチベーションクラウド」の導入を推進するなど、さまざまな協業も模索していく方針だ。
今週は計4社の調達状況を紹介した。今後も、FastGrowは週次で調達状況を発信していく。
こちらの記事は2018年09月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
連載資金調達の週報
執筆
大崎 真澄
編集
庄司 智昭
ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
おすすめの関連記事
出品代行型フリマアプリで「面倒くさい」「安すぎる」を解決へ。国内No.1の古着売買プラットフォームへ、シリーズAで総額4億円を調達──株式会社digdig
経営支援を「誰もがアクセスできるインフラ」に──ジャパンM&Aインキュベーション、プレシリーズAで3億円を調達
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager
データの収集と整理を効率化し、日本のエンプラ企業のデータ・AI活用を変革する。シリーズAで総額7.5億円を調達──株式会社Quollio Technologies
グローバル製造業の調達機能を高度化へ。データを基軸としたイノベーションに向け、シリーズAで総額4億円を調達──A1A株式会社
1プロジェクト、MAX予算数百億円──10年変わらぬSCM市場の顔ぶれにニューフェイス誕生。シード調達1.3億円のリチェルカが挑む「ERP3.0」
不動産・建築・金融を統合的にDX──総額38億円調達。イタンジ創業者がAIインフラ事業で挑む、複数産業の同時変革構想とは
【独占インタビュー】創業3期目で売上28.2億円。異端の経営でエネルギー業界に挑む「操電」飯野塁の全貌
- 株式会社操電 代表取締役