グローバル製造業の調達機能を高度化へ。データを基軸としたイノベーションに向け、シリーズAで総額4億円を調達──A1A株式会社
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年8月に資金調達を発表したA1A(エーワンエー)について、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
自動車産業のOEMや部品製造Tier1クラスの中核企業に多数導入。ターゲット企業の約7割がすでにリード化
注目ポイント2
「見積査定」から「調達データPF」へピボット。約2年間の徹底したユーザーリサーチと開発を経た新プロダクトがVCからも高評価
注目ポイント3
グローバルでの市場規模はすでに1兆円超、2029年には2兆円到達へ。年率10.9%成長の巨大TAMに挑む
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)代表取締役 松原 脩平 氏
調達に際してのコメント
A1Aは製造業調達部門向けのSaaSを提供するスタートアップです。その中でも特に自動車産業、かつ、自動車OEMやTier1部品メーカーをメインのターゲットとして設定しています。
私達のようなEnterprise×Verticalのスタートアップに求められることは、
- 業界課題、経営課題、部署の課題、担当者課題の深い理解
- 課題を解決し成果に直結するソリューションの提供
- 業界を牽引するリーダーシップ
の3点です。
2018年に創業し、何度も失敗をしてきました。しかし、ずっと製造業調達部門の課題解決だけを志し、ここまで事業を進めてきました。「最高のものづくりには、最高のバイヤーが必要である」という思いで、多くの企業様にご協力いただき、また、多くの調達部門の皆様に応援していただきながら、課題の理解と、ソリューションの開発を進めてきて、やっと、本当に自信を持って価値を届けられると信じられる状態に到達しました。
ここからは、とにかく、業界に貢献すべくサービスをより拡張し、より広く届けていくフェーズです。製造業の調達機能は日本の製造業復権に向けての最後のフロンティアであると、私は考えます。そして、日本の自動車産業でデファクトスタンダードになることは、グローバルでのスタンダードになることに直結します。
日本の国力の根幹になる産業を、余地のある「調達」という観点からエンパワーメントすること、そして、グローバルスタンダードになるグローバルB2BSaaSを構築することに興味関心をお持ちの方、是非ご連絡をお待ちしています。
久しぶりの投稿です。
— Matsubara Shuhei (@matsushi0706) August 5, 2024
豊田通商株式会社との資本業務提携、豊田通商含む3社からの資金調達、そして新サービス『UPCYCLE』のリリースを発表しました。
ずっとステルスでやってきましたが、何をやっていて、何を考えていて、どうなりたいのか、ブログにまとめてみたので是非!https://t.co/Uhhpl7o2eu
プロフィール
慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社キーエンスに入社。営業として主に中部地方の自動車関連メーカーを担当。その後、投資会社に移り、ベンチャーキャピタル業務に従事。設立間もないスタートアップの投資育成を手がける。2018年、A1A株式会社を創業し、現在に至る。
(2)共同創業者・CTO 佐々木 延也 氏
プロフィール
慶應義塾大学卒業後、株式会社カカクコムにて食べログ予約システムの開発およびAndroidアプリの開発に従事。株式会社SpeeeではSREとして開発基盤構築を行う。その後、A1A株式会社を共同創業。
note
(3)COO 西島 誉典 氏
プロフィール
株式会社キーエンスに入社後、営業として静岡・山梨の大手製造業を担当した後、資材管理部にて購買を担当。その後、株式会社セールスフォース・ドットコムに入社。製造業領域の営業を経て、A1A株式会社に入社。
note
調達の概要
プレスリリース |
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A1A株式会社、豊田通商との資本業務提携を含む4億円の資金調達を実施。自動車業界の調達コスト最適化を実現する『 UPCYCLE 』の提供を開始。 |
調達額 |
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4億円(累計10億円) |
ラウンド |
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シリーズA |
主な使途 |
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サービス・プロダクトの機能強化 |
採用強化 |
投資家からの評価(抜粋) |
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豊田通商株式会社 サプライチェーン本部 COO 金澤 勇一 氏 地政学リスク、原材料などの価格高騰、SDGsへの関心の高まりなど、製造業の調達部が担う役割は近年非常に複雑、且つ重要なものとなりました。今回の出資を通して豊田通商では、A1A社に対して、製造業の調達コストを最適化する支援だけでなく、調達活動に関わる様々なデータの利活用を起点に、調達業務の高度化をサポートすることを期待しています。豊田通商の知見・ネットワークと掛け合わせることで、日本のみならずグローバルにおける製造業の更なる成長に寄与していきます。 |
ALL STAR SAAS FUND マネージングパートナー 前田 ヒロ 氏 ワークフローの効率化に加えて、購買・調達部門における適正価格の判断を支援するデータ基盤を提供しているA1Aの「UPCYCLE」。この「ワークフロー」と「データ」という二つの価値を提供することは、業界インフラを支える上で極めて重要であり、Vertical SaaSにとって非常に貴重な要素です。 シード期から支援をさせていただいているA1Aは、お客様のニーズを深く理解したプロダクトを築き、確実に進化を続けています。そして今後、業界にとってますます不可欠な存在へと成長していくと確信しています。 購買データを基点に、A1Aは今後グローバル規模で製造業界に大きな変革をもたらす可能性を持っています。その実現に向けて、私たちも引き続き支援を続けてまいりたいと思います。 |
関連ポスト
支援先A1Aが豊田通商様との資本業務を発表しました!
— 前田ヒロ ALL STAR SAAS FUND (@djtokyo) August 5, 2024
ALL STARからも追加出資させていただきました!
A1A株式会社、豊田通商との資本業務提携を含む4億円の資金調達を実施。自動車業界の調達コスト最適化を実現する『 UPCYCLE 』の提供を開始。 https://t.co/lI3Rd1sZPL @PRTIMES_JPより
\ リリースのお知らせ /
— 長瀬産業株式会社【公式】 (@nagasegroup) August 6, 2024
2023年から開始した #CVC 活用!
この度、購買・調達部門における見積明細情報のデータ化サービスを提供する #A1A 社と業務提携しました
主なサービス・プロダクト
『UPCYCLE』
ユーザーが見積書をシステム上にアップロードするだけで、見積書に記載された見積明細情報が活用できるようにデータ化・加工され、UPCYCLE上での比較・分析によってデータに基づくコストダウン余地の発掘が可能となる。
調達・購買担当者は、見積業務に平均約40〜60%の工数を使い、そのうち半分の時間は比較表作成のための転記・入力作業、及び、見積査定のためのデータ整理に時間を使っており、本来やるべき付加価値の大きい比較・分析作業に時間を割くことができていないのが実情。
UPCYCLEの活用により、調達・購買担当者が単純作業ではなく、データに基づくコストダウン検討に多くの時間を割くことで、組織として調達コスト最適化の実現に取り組むことができる。
FastGrow編集部の注目ポイント
- 書式・粒度の異なる見積書(非構造データ)を独自のフォーマット(構造化データ)に落とし込むテクノロジーとオペレーションエクセレンス(※特許取得済み)
- 「入力する」作業をせずとも「データ化が完了する」ユーザー体験
- 見積書以外の調達関連データについても、「非構造データを構造化データに変換し、構造化データの活用を支援する」プロセスを再現性高く提供できる
採用関連情報
こちらの記事は2024年08月09日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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