産業構造を転換させ、リンゴ輸出額を1.5倍に拡大。他の農産物含めバリューチェーンから一気通貫でコミットしていくため、シリーズCで42億円(累計66億円)を調達──株式会社日本農業
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2024年5月に資金調達を発表した日本農業について、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1
売上50億円、輸出額25億円とパワフルな展開
注目ポイント2
外コン・外銀OBらが農地で汗を流し、M&Aも
注目ポイント3
オイシックス、農林中金など重要なプレイヤーとパートナーシップ
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— 株式会社日本農業 (@nihonagri_inc) May 30, 2024
プレスリリース
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日本農業はこのたび、約42億円の資金調達を実施いたしましたbr>累計調達額は66億円となりました!
生産から販売まで、新たなバリューチェーンの構築に取り組み、“儲かる農業”への転換を加速させてまいります
詳細は下記をご覧ください。https://t.co/Kv2uEa2s13
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)代表取締役CEO 内藤祥平 氏
調達に際してのコメント
これまで国内消費を中心としていた日本の農産業は、人口減少による国内市場の縮小など多くの課題があります。日本農業は海外市場に目を向け、りんごを軸に日本産の農作物の輸出に注力しています。さらに、生産から輸出・販売までを一貫で手がける垂直統合モデルを構築し、新たなバリューチェーンの創出に取り組んでいます。また、ビジネス経験やグローバルな活躍など経験豊かな人材を採用・投入しており、ビジネスとしての農業の確立を目指します。
私たちは、日本の農産業が可能性に満ちた産業だと信じています。今回の資金調達を通じて、強みをより一層生かすため、事業拡大・強化を加速させます。日本の農産業の V 字回復を実現させるために先陣を切り、「日本の農業で、世界を驚かす」ことができるよう、まい進してまいります。
プロフィール
神奈川・横浜市で育ち、慶應義塾大学法学部在学中に米国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校農業経営学部に留学。その後、鹿児島とブラジルの農業法人で修行を経験する。大学卒業後、外資系経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーの日本支社にて農業関連企業の経営戦略の立案・実行などの業務に従事。2016 年 11 月に株式会社日本農業を設立し、代表取締役 CEO に就任。
農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」委員(2023 年 10 月~)。経済誌『Forbes JAPAN』が発表した日本発「世界を変える 30 歳未満」30 人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN 2021」のフード部門や、『Forbes Asia』発表の「Forbes 30 Under30 Asia 2022」の Industry, Manufacturing & Energy 部門に選出された。
(2)取締役COO 河合秋人 氏
プロフィール
慶應義塾大学卒。新卒で株式会社スローガンにて法人営業に携わる。2017年、日本農業入社。
調達の概要
プレスリリース |
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000056805.html |
調達額 |
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42億円(累計66億円) |
ラウンド |
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シリーズC |
主な使途 |
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最新の栽培方法や技術を取り入れた生産性向上に向けた研究開発や規模拡 大 |
海外・日本国内の双方の販路開拓 |
投資家からの評価(抜粋) |
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株式会社日本政策投資銀行 企業金融第 3 部 部長 春日義之氏 「日本政策投資銀行は、2020 年より海外食農ファンドに出資することを通じて、農業課題の解決に向けた先進的なノウハウ獲得に注力してきました。かかる中、日本農業の取り組みは、日本の農業が抱える生産・流通面での課題解決を通じて、我が国の食農産業の競争力強化、持続的発展に寄与するものであると認識しております。これまで当行が培ってきた海外食農分野の知見も生かしながら、日本農業の取り組みを支援してまいります。」 |
オイシックス・ラ・大地株式会社 取締役 執行役員 松本浩平氏 「日本農業は、輸出を増やすという視点から、日本の農業の未来を考えています。日本の農産物・品種の質の高さは世界に誇れるものだと思っています。オイシックス・ラ・大地は日本農業の設立直後から、その着眼点と志に共感し、支援を行ってまいりました。今回の増資によってさらに事業展開が加速するものと期待しています。」 |
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主なサービス・プロダクト
リンゴやさつまいもの生産、梱包、販売など
採用関連情報
こちらの記事は2024年05月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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