連載資金調達の週報
押さえておきたい資金調達ニュース──日本発のワークシェアサービスや、テクノロジーで法律を自由にする企業など【2019年1月7日〜2019年1月13日】
資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。全てを追いきれない読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。今週は日本から4社をピックアップした。
2019年1月7日〜2019年1月13日分
- TEXT BY TOMOAKI SHOJI
タイミー:面接なしですぐに働けるワークシェアサービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 3億円 |
| 調達先 |
|---|
| サイバーエージェント |
| エン・ジャパン |
| オリエントコーポレーション |
| セブン銀行 |
| 西武しんきんキャピタル |
| 非公開の上場会社 |
| 個人投資家2名 |
サービス概要
「この時間だけ働きたい」と「この時間だけ働いてほしい」をマッチングするワークシェアプリ「タイミー」を提供。面接や面倒な応募は必要なく、掲示されている条件をクリアすれば、スマートフォンアプリを通して、好きな時間に好きな場所で働くことができる。
2018年8月のリリース以降、飲食店のキッチンスタッフやオフィスワーク、イベントスタッフ、モニター調査などで利用されており、累計導入点数は400店舗を突破。働き手が利用するアプリも、広告費をかけずに3.5万ダウンロードを超えたという。
今回の資金調達により、人手に困る店舗や企業への認知拡大、新規顧客獲得に向けたマーケティングに注力していく。なお今回の資金調達は、サイバーエージェントが2014年に凍結していた「藤田ファンド」の再開後、最初の出資であることも話題となった。
BPM:メンテナンスを効率化する施工管理プラットフォーム
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 非公開 |
| 調達先 |
|---|
| Spiral Ventures Japan LLP |
| FFGベンチャービジネスパートナーズ |
サービス概要
建物メンテナンスの効率化を目的とした施工管理プラットフォーム「Qosmos」を提供。工務店やビルメンテナンス会社向けのサービスで、職人の手配から完了まで工事の管理を効率化するという。
たとえば、これまで電話やFAXで行っていた職人の手配業務や従事者管理をWeb上で一元化し、煩雑な調整業務をなくす。「工程管理」「見積作成」「作業報告」など紙やExcelで行っていた作業も、Qosmos上で可能になる。
今回の資金調達により、Qosmosの開発を強化に加え、建物メンテナンスや不動産管理などの現場を支援するさまざまなサービスを提供していく予定だという。
Legal Technology:テクノロジーで法律を自由に
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 数千万円 |
| 調達先 |
|---|
| ヴォーカーズ(Vorkers)代表取締役社長 増井慎二郎氏 |
| Momentum代表取締役CEO 高頭博志氏を含む個人投資家 |
サービス概要
法律専門書を自由に検索閲覧できるオンラインリサーチツール「Legal Library」を開発。
これまで法律に関する情報を取得するには、法律専門書出版社による紙の書籍を参照するか、インターネット上にある情報を利用することがほとんどだったという。
しかし、専門書は信頼できるが検索性に乏しく、インターネット情報は検索性は高いが、必ずしも信頼できる情報にたどりつけるとは限らなかった。Legal Libraryは、この課題を解決する。オンラインでデータベース化された法律専門書を自由に検索し、その中身を閲覧できる。法令検索サービスへの遷移や、出版社を横断して検索できるなどオンラインツールならではのメリットも持つ。
すでに老舗の法律専門書出版社である有斐閣と弘文堂が実証実験に参加することが決定。2019年春ごろにはβ版、夏ころには正式版をリリースすることを目指す。
Marketing-Robotics:営業職の価値の再発見と仕組みの再構築
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 5.4億円 |
| 調達先 |
|---|
| ディップなど複数社 |
| 地域エリア代理店制度導入に際した加盟金 |
サービス概要
マーケティングオートメーションツール「KAIGAN」を提供。
見込み顧客管理や休眠顧客の掘り起こし、失注顧客の追客を自動化、今まで属人的でブラックボックス化していた営業手法をテクノロジーで仕組み化する。
2018年4月のリリース後、堅調に導入企業を増え、全国に認定パートナーを30社以上配置。今回の資金調達と同時に、地域に根差した企業を中心に、新たに8社が加盟した。
今後は、KAIGAN内に蓄積されているビッグデータを人工知能で解析し、適切な見込み顧客を導き出す新機能の開発を加速させる。MAコンサルタントの採用や育成体制の強化、プロモーションも強化していく方針だ。なお、株主になるディップとは事業連携も行い、KAIGANの販売体制構築に加えて、営業に限らず人事や採用面の業務を自動化するシステムの共同開発を進めるという。
今週は計4社の調達状況を紹介した。今後も、FastGrowは週次で調達状況を発信していく。
こちらの記事は2019年01月16日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
連載資金調達の週報
執筆
庄司 智昭
ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
おすすめの関連記事
出品代行型フリマアプリで「面倒くさい」「安すぎる」を解決へ。国内No.1の古着売買プラットフォームへ、シリーズAで総額4億円を調達──株式会社digdig
経営支援を「誰もがアクセスできるインフラ」に──ジャパンM&Aインキュベーション、プレシリーズAで3億円を調達
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager
データの収集と整理を効率化し、日本のエンプラ企業のデータ・AI活用を変革する。シリーズAで総額7.5億円を調達──株式会社Quollio Technologies
グローバル製造業の調達機能を高度化へ。データを基軸としたイノベーションに向け、シリーズAで総額4億円を調達──A1A株式会社
1プロジェクト、MAX予算数百億円──10年変わらぬSCM市場の顔ぶれにニューフェイス誕生。シード調達1.3億円のリチェルカが挑む「ERP3.0」
不動産・建築・金融を統合的にDX──総額38億円調達。イタンジ創業者がAIインフラ事業で挑む、複数産業の同時変革構想とは
【独占インタビュー】創業3期目で売上28.2億円。異端の経営でエネルギー業界に挑む「操電」飯野塁の全貌
- 株式会社操電 代表取締役