連載資金調達の週報

ベトナムで優秀なAIエンジニアを抱えるシナモンが13億調達──押さえておきたい資金調達ニュース

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資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。

全てを追いきれない読者のために、 FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。

今週も日本から4社をピックアップした。

2020年4月20日〜2020年4月26日分 過去の週報はこちら

  • TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
  • EDIT BY KAZUYUKI KOYAMA
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シナモン:単純作業を全てAIで代替する

株式会社シナモン

資金調達概要

調達額
総額約13億円
調達先
主な資金調達先
D4V1号投資事業有限責任組合
ペガサス・テック・ベンチャーズの運用するファンド
株式会社ギークピクチュアズ
夏野剛 氏(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授)
など
融資元一覧
株式会社三井住友銀行
株式会社日本政策金融公庫
株式会社商工組合中央金庫

サービス概要

AIを用いた文書自動読み取りOCR「Flax Scanner(フラックス・スキャナー)」、高精度な音声認識エンジン「Rossa Voice(ロッサ・ボイス)」を展開する、シナモン

Flax Scannerでは、PDF、Wordファイル、印字・手書きなどの紙文書など様々な文書をAIが自動で読み取りし、文章解析をおこなう。現在は、金融・保険業界や、製造業、物流業をはじめとした、多数の大手企業へ提供している。

Rossa Voiceでは、AIによる音声文字起こしに加え、自然言語処理技術を組み合わせた、情報抽出、要約、分析等々などの解析を含めて提供。更に社内システムとの連携まで一気通貫で提供することで、業務の生産性をあげるサポートをしている。

同社の特徴はその開発体制にある。創業初期からベトナムで開発体制を構築。AI研究所を置き、そこでベトナム国内の優秀なエンジニアを次々を抱える。その技術力が、現在のプロダクト開発を支える同社のコアコンピタンスの一つになっている。

今回のラウンドはシリーズCで、海外の投資家からも評価を得ている。今回の資金調達により、人材採用、各種AIプロダクトの強化、海外拠点を含めた組織体制強化、AI領域における研究をおこなう予定だという。

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ダブルフロンティア:面倒な買い物を代行するサービス

ダブルフロンティア株式会社

資金調達概要

調達額
非公開
調達先
東芝テック株式会社

サービス概要

スーパーマーケット、ドラッグストアなど地域の小売店へのお買い物代行サービス「ツイディ(twidy)」を展開する、ダブルフロンティア

新型コロナウイルス対策として、人どうしの密接場面を減らすため 、玄関に置かれている荷物を取るだけのサービス「ピンポン置き配」も4月21日(火)より開始した。できるだけ外出を控えたいと考えているユーザーにとって、非常にニーズがあるサービスではないだろうか。

今回のシリーズAラウンドでの資金調達により、組織体制を整える予定だという。

また、今後拡大が見込まれる生鮮食品などのECサービス拡大にむけ、今回の調達先である東芝テックと協業検討をすすめるという。

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Fun Group:安心安全な旅行をサポート

株式会社Fun Group

資金調達概要

調達額
総額約12.6億円
調達先
JBCホールディングス株式会社
他金融機関

サービス概要

海外旅行の現地観光ツアー予約サイト「タビナカ」や現地観光ツアーに特化したエンターテインメント事業「Fun」を展開する、Fun Group(旧・タビナカ)。

現在バンコク・バリ・セブ・ハワイ・ラスベガス・台北の6都市にて、地域のツアー会社と連携しながら、日本と同等の品質を保ったバスや車などの移動手段を供給することで、安心安全な観光体験を旅行者に提供。

利用者の国籍数は70を突破、M&Aを含む拡大戦略によりグループ会社は6社に拡大、事業規模は前年度比200%超で成長。

2014年に創業し、当初はタビナカを主軸に事業を伸ばしてきた同社は、2017年よりFunの展開を開始。海外のツアー会社との連携やM&Aを経て、ツアーのマッチングだけでなく担い手として観光体験作りに挑んでいる。2019年11月には社名をFunGroupに変更に変更。今回、世界的に観光事業が厳しい状況にある中でも、資金調達をクローズさせた。

今回の調達により、新型コロナウイルスの感染拡大により不況の煽りを受けている国内外のツアー会社の支援、およびM&Aやグローバルアライアンスによる「観光業者連合」の形成にも注力。新しい観光体験を提供するためのハードウェアを含む新規プロダクトの開発や人材採用等に活用する予定だという。

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NoSchool:オンラインで完結する家庭教師サービス

株式会社NoSchool

資金調達概要

調達額
非公開
調達先
Samurai Incubate Fund 6号投資事業有限責任組合
F Ventures Fund 2号投資事業有限責任組合
柳澤安慶氏(ファンコミュニケーションズ代表)

サービス概要

小・中・高校生のための、オンライン指導に特化した1対1のオンライン家庭教師「NoSchool」を展開する、NoSchool。ビデオ通話で、海外・日本全国どこからでもオンラインで家庭教師指導が受けられる。

1科目・1分野から受講が可能なため、苦手科目の克服やテスト前や受験対策など、幅広い用途で利用可能。また、先生に依頼する前に「お試し質問」として生徒が勉強の質問できるため、ユーザーと家庭教師の相性を確かめたうえでサービスを利用できる。

新型コロナウイルス拡大によって、今後大きく変革するであろうオンライン教育を開拓するパイオニアとして活躍することが期待されるだろう。

今回の資金調達により、サービス改善とオンライン家庭教師の普及活動をおこなう予定だという。また、オンライン指導に特化したビデオ通話システムの開発も検討するそうだ。

こちらの記事は2020年04月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小酒井 圭祐

国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。

編集者。大学卒業後、建築設計事務所、デザインコンサル会社の編集ディレクター / PMを経て、weavingを創業。デザイン領域の情報発信支援・メディア運営・コンサルティング・コンテンツ制作を通し、デザインとビジネスの距離を近づける編集に従事する。デザインビジネスマガジン「designing」編集長。inquire所属。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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