連載資金調達の週報

体の健康を創る”菌”をコントロールする、KINSが3億円を資金調達──押さえておきたい資金調達ニュース

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowは、さまざまなコンテンツを通して、いま注目すべき次世代の成長企業と出会う機会を提供している。

『資金調達の週報』では、編集部が厳選したスタートアップの資金調達ニュースをまとめてお届け。資金調達の様子を定点観測していれば、次の成長企業が見えてくるはずだ。今週は4社をピックアップした。

2020年10月26日〜2020年11月1日分 過去の週報はこちら

  • TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
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KINS:菌を適切なバランスに保ち、もっと生きやすく

株式会社KINS

資金調達概要

調達額
3億円
調達先
ジャフコ グループ株式会社が運営するファンド

サービス概要

体の菌を最適なバランスに保ち、“体が生きる”ライフスタイルを送るためのサービス『KINS BOX』などを展開する、KINS

同社によれば、人間の体内には常時1,000兆匹もの菌が存在しており、健康な心身を手に入れるためには、それらの菌を最適な状態に保つことが不可欠だという。同社はそうした課題に着目し、ユーザーが自身の体内にある菌のバランスを最適に保つための、多角的なサポートを提供している。

『KINS BOX』は、検査キットと1ヵ月分のサプリメントだけでなく、LINEによるサポート機能までがセットになっている点が特徴だ。LINEによるサポートでは、信頼のおける機関の論文や医学的根拠のある事実を参考に、ユーザーの症状に合ったライフスタイルや食生活の提案を行うという。

同社は2020年10月現在、『KINS BOX』の他にも『ESSENCE』(乳酸菌で作られた食事用エッセンス)や 『BOOSTER』(美肌菌を育てるためのブースター) 、『FACEMASK』(健康的な肌へ導くフェイスマスク)などのサービスを提供している。

今回の資金調達により、より良いユーザー体験を生み出すためのシステム構築やLINEコンシェルジュ増員のための採用、新商品開発や検査機関の創設などに充てていく予定だという。

医療法人の理事長を兼任する代表の下川穣氏は、病気にかかった多くの人が、菌のバランスを最適に保つことで体調を改善させていく姿を目の当たりにし、「未病は“キンケア”で予防できるのではないか?」という仮説を立てた。その仮説を追求すべく同社を設立し、さまざまなサービスの開発・提供を行っているそうだ。

キンケアを当たり前の世界にするために

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Go Visions:子どもの好奇心を絶やさない、教育オンラインパーク

Go Visions 株式会社

資金調達概要

調達額
総額1.1億円
調達先
STRIVE
HIRAC FUND
epiST Ventures
個人投資家および金融機関

サービス概要

小・中学生向け教育オンラインテーマパーク 『SOZOW(ソーゾウ)』の開発を行う、Go Visions

『SOZOW(ソーゾウ)』のサービス提供開始予定は、2021年の1月。同サービスは、既存の教育システムでは得られない体験アクティビティの提供を通じて、子供の「非認知能力」と、ITを活かして「創り出すスキル」の両方を育むためのサービスだという。

具体的には、ユーザーとなる小・中学生は「ゲームプログラミング」「YouTuberになろう」「起業家体験」などさまざまなテーマのアクティビティを、オンライン配信を通して自宅にいながら体験できるそうだ。

今回の資金調達により、『SOZOW』のプロダクト開発や人材採用等を行うという。調達のリリースには、「多くの子供たちの好奇心と未来の可能性を広げるため、さらに事業開発を加速していきたい」という意気込みも語られた。

代表の小助川将氏は、LITALICOにて執行役員を歴任。同社でさまざまな事業に携わるうちに、テーマパーク事業に注力したいという想いが強くなり、Go Visionsを創業したそうだ。また、自身の息子が「小学生ロボット世界大会で日本人初の一位になりたい」という夢を叶えるために奔走する姿に刺激を受けたことも、起業を決断する後押しになったという。

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Onebox:Eメールを中心とした、社内外のコラボレーションツール

Onebox株式会社

資金調達概要

調達額
2,000万円
調達先
アプリコット・ベンチャーズ

サービス概要

複数人でメール対応を行う企業向けのクラウド型メールサービス『yaritori』を展開する、Onebox

『yaritori』は、複数人でのメール対応を効率化するサービス。自動で「未対応」フォルダに分類された問い合わせに対し、チームの誰かが返信作業を始めると他のメンバーは作業できなくなる機能や、メールごとに返信方法などを社内メンバーとチャット相談できる機能などによって、メールの対応状況をチーム内で可視化し、「二重対応」や「対応漏れ」などの課題を解決するという。

2020年7月にβ版の提供を開始し、現在は20社超(トライアルを含む)の企業に利用されているという『yaritori』。既存ユーザーは、1日30件以上の問い合わせメールが届き、複数人でメール対応をするようなECショップ運営会社や通販サイト、カスタマーサポート部署などの割合が多くなっているそうだ。

代表の奥村恒太氏がOneboxを創業した背景には、一人あたりの問い合わせや社内メールへの対応数が増えるにしたがって、チームとしての仕事の質や効率性が低下してしまうという課題を、自らの手で解決したいという想いがあったそうだ。

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Degas:アフリカの人々の生活を劇的に変える

Degas株式会社

資金調達概要

調達額
2.4億円
調達先
Primal Capital
Heart Driven Fund
個人投資家、他数社

サービス概要

アフリカのサハラ砂漠以南地域の小規模農家向けに、農業サプライチェーンの効率化事業『Degas Farmer Network』を展開する、Degas

『Degas Farmer Network』は、サブサハラアフリカの小規模農家が抱える課題である「土地面積に対する生産性の低さ」に対し、小規模農家たちをネットワーク化し、高品質な種子・肥料の提供、農業知識の指導、収穫物の回収〜買取、バイヤー側への販売までを一貫して行う効率的なオペレーションを提供するサービスだという。

2019年3月の事業開始以降『Degas Farmer Network』に所属する農家数は3,000軒を突破。各農家の生産性は、平均2倍以上になったという。

今回の資金調達により、ガーナ国内最大のトウモロコシ農地の運営、『Degas Farmer Network』のさらなる拡大、農家の信用格付アルゴリズムの設計および銀行・保険会社等との提携を通した農家へのファイナンス事業に参入する予定だという。

代表の牧浦土雅氏は、2012年以降、東アフリカはじめ5ヶ国以上に住み、オンライン教育からヘルスケアまで幅広い事業を立ち上げた経験を持つ。また、国連と共同開発した人工衛星解析サービス“Next Space”の代表や、サンドボックス特区創設についてカルロス・ゴーン日産自動車会長(当時)らと共同して、首相・関係閣僚に提言するなど、これまでの活動は多岐にわたる。

こちらの記事は2020年11月04日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小酒井 圭祐

国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。

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