連載資金調達の週報

“事業の成長を左右する”商品価格の最適化
プライシングスタジオが1億円を資金調達──押さえておきたい資金調達ニュース

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowは、さまざまなコンテンツを通して、いま注目すべき次世代の成長企業と出会う機会を提供している。

『資金調達の週報』では、編集部が厳選したスタートアップの資金調達ニュースをまとめてお届け。資金調達の様子を定点観測していれば、次の成長企業が見えてくるはずだ。今週は4社をピックアップした。

2021年1月11日〜2021年1月17日分 過去の週報はこちら

  • TEXT BY KEISUKE KOSAKAI
  • EDIT BY YUI TSUJINO
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プライシングスタジオ
自動で最適なプライシングに導く

資金調達概要

調達額
1億円
調達先
STRIVE
East Ventures
サイバーエージェント・キャピタル

サービス概要

顧客が持つ商品の最適なプライシング(価格設定)を支援するSaaS『Pricing Sprint』など、企業のプライシング戦略をサポートする、プライシングスタジオ(旧:Best path Partners)

『Pricing Sprint』は、顧客が持つ商品「利用者数」や「売上」等の数値が、商品の価格変更前後でどのように変化するかを事前にシミュレーションできる。

また、顧客のサービス利用者の「年代」「性別」「動機」「どのような属性の利用者が離脱するのか」などの詳細な情報も把握可能。

その結果顧客は、シミュレーションに基づいた緻密な事業計画を策定でき、重要な意思決定をサポートが可能となる。

今回の資金調達により、ビジネス・開発人材の採用を加速する予定だという。

「平均的な企業の収益構造を分析すると、商品の販売価格を1%向上させると、営業利益は11%向上することがわかります。これはごくわずかな値上げで、大幅な営業利益が向上することを意味しています。」こう語るのは、代表 高橋嘉尋氏だ。

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SODA
スニーカーの流通を安全に増やすマーケットプレイス

資金調達概要

調達額
累計約25億円 (シリーズA 約3億円、シリーズB 約22億円)
調達先
SoftBank Ventures Asia
basepartners
株式会社コロプラネクスト
株式会社THE GUILD
相原 嘉夫 (IVA株式会社代表取締役、FAKE BUSTERS運営)
他1社および個人投資家

サービス概要

国内No.1スニーカーフリマ『スニーカーダンク』を展開する、SODA

『スニーカーダンク』は、月間250万人以上が利用するスニーカーフリマサイト。サイトにはフリマ機能だけではなく、人気スニーカーの新作紹介・スニーカーを中心としたコーディネート写真など、毎月数万件以上の“スニーカー好きに刺さる”情報を掲載している。

また、スニーカーフリマ市場では偽造品が紛れていることが多く、 『スニーカーダンク』では 鑑定を二重でおこない、犯罪を防いでいることも特徴だ。

今回の資金調達により、プロダクト開発・マーケティング・ロジスティクス・カスタマーサポートの人材採用・設備投資、グローバル展開を見据えた投資をおこなう予定だという。

代表 内山 雄太氏は、 広告代理店・フリーランスを経て、メンズフリマの立ち上げに参画。その後、THE GUILDに入社。携帯キャリアやTV局などの大手クライアント案件を担当。2018年7月、SODAを創業。

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Thinkings
企業の全HRプロセスの一元管理・自動化

資金調達概要

調達額
9.5億円
調達先
インキュベイトファンド
XTech Ventures
i-nest capital
みずほキャピタル

サービス概要

新卒採用、中途採用を統合して管理できる採用管理システム『SONAR ATS』、事業によって企業のHRサービス購買プロセスの最適化を目指す『SONAR Marketplace』(現在開発中)を展開する、Thinkings

『SONAR ATS』では、他社HRサービス(就活サービスやイベントなど)から取得できる「自社への応募者データ」を一元管理し、応募者へのLINE連絡や状況の分析ができる。現在、ソフトバンクやニトリ、NTTデータなど約800社に利用されている。

『SONAR Marketplace』は、HRサービスの活用ノウハウや『SONAR ATS』と連携しているHRサービスを掲載している。採用担当者は、掲載サービスについて、当社へ購入や導入に関する相談が可能になっている。将来的に、各HRサービスの単体購入・企業の採用課題に合わせて最適なHRサービスを販売できるよう、現在開発中であり、同時に『SONAR ATS』と連携するHRサービスの拡大をおこなう予定だという。

今回の資金調達により、『SONAR ATS』のサービス強化、『SONAR Marketplace』実現に向けた機能開発、人材採用等に充てる予定だという。

「今後の採用・就職のプロセスは、採用 "する側" と "される側" といった関係性ではなくなるでしょう。より対等な立場でともに時間を過ごすことで、企業と個人の想いやスキルがシンクロする部分を、お互いに発見していくプロセスへと進んでいくと思います」そう語るのは、代表 吉田崇氏だ。『SONAR ATS』は企業と個人がお互いを理解し合うプロセスをより良い体験にできるようサービス開始された。

Thinkingsが「SONAR ATS」で目指すこと

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HarvestX
ロボットによる完全自動栽培で農業の人手不足解決を目指す

資金調達概要

調達額
総額5000万円
調達先
「ANRI 4号投資事業有限責任組合」(ANRI)
オープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合(東大IPC
河合聡一郎
曾川景介
田中邦裕

サービス概要

植物工場における果菜の完全自動栽培を目指した授粉・収穫ロボット『XV1』の研究開発をおこなう、HarvestX

現在植物工場で育成される果物は、ミツバチを媒介とした虫媒受粉に依存しており、「受粉収穫の不安定さ」「飼育管理のコスト」が課題となっている。

そこで『XV-1』は、ミツバチに代わる手段として、授粉・収穫技術を用いた果物(現在はイチゴのみ)の完全自動栽培を目指している。

『XV-1』は自社開発した画像処理アルゴリズムを用いて、花と果実の認識を行う。さらに、専用アタッチメント(特許出願中)で授粉・収穫をおこなう仕組みで開発されている。

代表 市川友貴氏は千葉工業大学の研究室にて「農業系のデータロガーやセンサー開発を手伝っていた際にイチゴ農家の話を聞き、農業の課題解決につながるテーマにしたいと考えた」のが同サービスを開始したきっかけだったという。

こちらの記事は2021年01月20日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小酒井 圭祐

国内スタートアップの資金調達ニュースをまとめていきます。トレンドの変遷を追っていくことに興味があります。趣味は筋トレとプログラミング。

編集

辻野 結衣

1997年生まれ、東京都在住。関西大学政策創造学部卒業し、2020年4月からinquireに所属。関心はビジネス全般、生きづらさ、サステナビレイティ、政治哲学など。

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