連載ベンチャー人事報

【ベンチャー人事報Vol.25】
新マイクロソフト社長の内定、BCG→Vertical SaaS執行役員に──22年12月~23年1月の注目人事情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第25回目となる今回取り上げたのは、山本崇博氏・市川昌志氏・西田庄吾氏・加藤あす香氏・津坂美樹氏・笠井康弘氏・河津拓哉氏の計7名。

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上場後のさらなる事業成長のために
執行役員を2名追加

ノーコードでアプリが作れるプラットフォーム『Yappli(ヤプリ)』を開発・運営するヤプリに、執行役員COO(Chief Operating Officer / 最高執行責任者)として山本崇博氏が、新執行役員として市川昌志が就任した。

ヤプリは、CMをはじめとしたマスマーケティング投資のため損益は赤字だが売上高はYoY37.7%と上場後も力強く成長している企業だ。2020年以降、継続的にテレビCM施策を行っており、マスマーケティング手法を活用した認知獲得・新規顧客の獲得に力を入れている。

山本氏は、2019年まで株式会社アイ・エム・ジェイ(現:アクセンチュア)の執行役員としてマーケティングコンサルティング部門を統括し、その後にヤプリにジョイン。全社戦略の立案から推進、セールスの統括、トップライン構築を管掌していた。

一方の市川氏は、AppleにてBtoBtoC営業を経てオラクルにてBtoC向けMAツール事業の立ち上げを推進した経験を持つ。ヤプリ入社後は、新規獲得が大きく進む中で解約率を1%以下に抑え続ける部分を推進。カスタマーサクセスの全体最適に取り組んできた。

そんな新しい2人がもたらす今後の事業成長に注目だ。

山本 崇博氏
アイ・エム・ジェイ(現:アクセンチュア)→ オグルヴィ・ワン・ジャパン→グリー→アイ・エム・ジェイ→ヤプリ
市川 昌志氏
Apple Japan→ブレインパッド→日本オラクル→ヤプリ
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BCG→Vertical SaaSのキャリア
新しいロールモデル誕生か

電子薬歴・服薬指導ツール『Musubi』をはじめとした薬局向けの経営支援を行うDXサービスを複合的に展開するカケハシが、約76億円の資金調達と同時に西田庄吾氏の新執行役員就任を発表した。すでに『Musubi』のシェアは10%を超え、全国7,000以上の薬局で導入されているという。

西田氏は、ボストン コンサルティング グループで製薬・医療機器メーカーのグローバル組織・ガバナンス構築、生産・サプライチェーン改革を中心に、さまざまな事業・機能・地域の経営課題解決や、官庁や業界団体の政策立案に携わってきた人物だ。

コンサルティングファームからVertical SaaSスタートアップへのキャリアチェンジはFastGrowでも注目してきたテーマだ。「課題発見→整理→根本的な課題を突き止める→解決策を考える」という戦略コンサルティングのプロセスとVertical SaaSの事業拡大アプローチには共通点も見られるためか、年々人材の流れが大きくなっている。実際にコンサルティングファームで見た業界の課題解決を、事業会社の中で、もっといえば自分の手でやっていきたい人が増えてきた。

そんなトレンドがある中で、西田氏は一つのロールモデルとして注目していきたい。

西田 庄吾氏
日産自動車→BCG→カケハシ
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ピクスタで新執行役員就任

写真・イラスト・動画・音楽をオンラインで売買できるデジタル素材のマーケットプレイス『PIXTA』を運営するピクスタで、加藤 あす香氏が執行役員に就任した。『PIXTA』は2023年1月に取り扱い点数が8,000万点を超え、売上は2021年12月期時点で前年同期比+2.4%の増加、営業利益は前年同期比+18%の増加と堅調に成長している事業だ

その事業責任者に就任した加藤氏は、LIFULLで国内外の事業開発に従事した後、シンガポールにて日系企業のASEAN事業展開支援を行ってきた人物だ。その後、ピクスタで海外事業部長やPIXTA事業本部VPoPを経て今回の就任に至った。

加藤 あす香氏
LIFULL→日系企業→ピクスタ
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BCG一筋から一転
新天地はマイクロソフト

日本マイクロソフトは新社長に津坂美樹氏が内定したと発表した。津坂氏とは、1984年にBCG入社後はBCG一筋で働いてきた人物だ。ニューヨークに20年間、東京にも14年在籍したベテランのコンサルタント。専門領域は、消費財・流通・運輸グループ、金融グループ、保険グループ、ハイテク・メディア・通信など多岐にわたる。

日本マイクロソフトが2022年11月に発表したデータによれば、2022年6月は「売上高8,858億円(前の期比13.1%増)、営業利益420億円(同13.3%増)、経常利益383億円(同10.1%増)、最終利益274億円(同11.4%増)と2ケタ増収増益」だった。

BCG一筋だった彼女が加わることでマイクロソフトがさらなる成長を生み出せるのか引き続き見守っていきたい。

津坂 美樹氏
BCG→日本マイクロソフト
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与信プラットフォームの「Crezit」
資金調達から約1年、新経営体制を構築

与信プラットフォームを開発・運営するCrezit Holdingsが新しくCoS(Chief of Staff)とCTOを任命したことを発表した。CoSには笠井 康弘氏が、CTOには河津拓哉氏が就任する。

笠井氏は、新入社員からイオンクレジットサービス株式会社のマレーシア現地法人の立ち上げに参画しCOO、CTO、CEOを歴任。日本に帰任後、イオンフィナンシャルサービス株式会社の取締役に就任してきた人物だ。

一方で河津氏は、ヤフーやNTTデータなどでのインフラ・バックエンド・アーキテクト主体のエンジニアキャリアをもち、大規模FinTech事業の0→1立ち上げや、デジタル通貨流通プラットフォームの基礎設計など、FinTech領域でのプロダクト開発で多くのアウトカム、CTO経験を持つ人物だ。

このようにFinTech領域の事業の経験だけではなくその中でも各フェーズに強みを持つ2人が経営に加わることになった。2人の人事異動は事業加速の意味合いももちろんあるだろうが、2022年3月にプレシリーズAラウンドにて総額1.65億円の調達を発表していることから次のラウンドを視野に入れた組織づくりの側面もあると考えられる。

与信サービスを大手金融機関のみが提供してきた時代からメルカリやLINEといったテクノロジー企業も提供し始め、与信サービスそのものの担い手が変化してきた中でCrezitがどこまで成長できるのか注目していきたい。

笠井 康弘氏
イオンクレジットサービス→イオンフィナンシャルサービス→bitFlyer→NYC→ファミリーテック→Crezit
河津 拓哉氏
NTTアドバンステクノロジー→米子ガス→ヤフー→NTTデータ→ディーカレット→Digital Currency Labs→スタートトゥデイ→WOLVESGALE LLC→ARIGATOBANK→Crezit

こちらの記事は2023年01月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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