連載ベンチャー人事報

【ベンチャー人事報Vol.26】ベテランが続々とスタートアップに──23年1月~2月の注目人事情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」として見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第26回目となる今回取り上げたのは、吉野真紀夫氏・飯塚純也氏・小野澤香澄氏・坂水健一郎氏・​​今井良樹氏・高橋寛行氏・大竹雅登氏の計7名。

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スノーピーク元執行役員が
次はペット業界に

キャンプ用品メーカーのスノーピーク執行役員だった吉野真紀夫氏が、保護犬猫マッチングサイト『OMUSUBI』やペットフードのD2Cサービス『PETOKOTO FOODS』などを運営するPETOKOTOに執行役員ブランドコミュニケーション本部長としてジョインした。

同社は2022年11月にシリーズAの資金調達を終えたばかりで、従業員数も24名(2023年2月10日時点)と、アーリーフェーズの会社だ。そんなスタートアップに挑戦した吉野氏はどんな人物だろうか。

吉野氏は、ユニクロで知られるファーストリテイリングや下町の鞄メーカーを経験したのち、まだ今ほどは知られていなかったスノーピークに入社。約20年の勤務の中で、組織規模約50人から約700人までの拡大期の事業推進を担い、上場も経験した。

そんな彼はジョインした理由を、FastGrowの取材に対してこのように話した。

吉野20年前のスノーピークのようなブランドに携わりたいと思ったんですよね。さらに、趣味は愛犬と一緒に行くアウトドアアクティビティやキャンプなので、自分のこれまでの経験を自分の大好きな領域で活かせたらと思っていました。

さまざまなブランドで得た事業づくり・組織づくり両面の経験を「自分の大好きなこと」で挑戦していくという熱い意気込みを持つ吉野氏の活躍に期待したい。

吉野 真紀夫氏
ファーストリテイリング→スノーピーク→PETOKOTO
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LINEのAI担当執行役員が
AIスタートアップに

元LINE AIカンパニーCROの飯塚純也氏が「テキストP.A.I.」と呼ばれるパーソナル人工知能を活用した事業を展開するオルツに、BEO(Business Executive Officer)としてジョインした。

オルツはAIの対話エンジンの開発から生まれた音声認識テクノロジーを活用した「AI GIJIROKU」などのSaaSプロダクトを開発・提供しており、2022年6月にシリーズDラウンドで35億円の資金調達を実施し、累計調達額は62億円にのぼる。

そんなオルツにジョインした飯塚氏は約2,500億円の売上規模を持つソフトウェアベンダー「Genesys」や「LINE」のAI事業など、20年以上AIビジネスに携わってきた人物だ。

Genesysでは、大規模なコンタクトセンターの設計・構築を経験し、業種業態を問わずおよそ300社の顧客サービスの戦略およびシステムコンサルティング、導入を支援し、成長をサポート。LINEでは、AI事業のCRO(Chief Revenue Officer)として「LINE CLOVA」を含むAIソリューション/製品のセールス・マーケティングと、新規事業開発の戦略策定から施策実行までを管掌してきた。

そんなAIのプロフェッショナルである飯塚氏が、これまでの会社規模よりも圧倒的に小さいオルツというスタートアップにどんな新しい変化をもたらすのか注目だ。

飯塚 純也氏
Genesys→Salesforce→LINE→オルツ
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3位と4位のマッチングアプリが経営統合
Tinderを急成長させた小野澤氏がCEOに

2023年3月よりマッチングアプリの『with』と『Omiai』が合わさり「エニトグループ」として再出発する。それにあわせて代表取締役グループCEOには小野澤香澄氏が、グループCTO(Chief Technology Officer)には坂水健一郎氏が、執行役員には今井良樹氏が就任する。

小野氏は、リクルートで婚活マーケットにおける新規事業立ち上げ、ポケモンでECサイトの立ち上げ、Match Groupで『Tinder』の日本・台湾立ち上げとグロースを担当するなど、業界への造詣が深い人物だ。

坂水氏は、マイクロソフトでのソフトウェア開発シニアマネジャー、LINE、楽天の技術部門長と執行役員を経験した。2017年からはウォルト・ディズニー・ジャパンのExecutive Directorとして定額制動画配信サービスの立ち上げやアプリの開発などを統括してきた人物。今井氏もSUUMOを管轄する「すまいカンパニー」の執行役員CMOを経てリノべるにジョイン。リノベるにてメディア運営及びプロダクト開発を担当してきた人物だ。

Applivの調査によると、『with』と『Omiai』の会員数はそれぞれ累計約700万人・約800万人と、マッチングアプリというカテゴリで見ると3位と4位に位置する。今回の経営統合によって1位『Pairs』、2位『タップル』にどこまで追いつけるのか注目だ。

小野澤 香澄氏
リクルート→グリー→POKEMON→Match Group→with→エニトグループ
坂水 健一郎氏
マイクロソフト→LINE→楽天→ウォルト・ディズニー・ジャパン→ベルトラ→エニトグループ
今井 良樹氏
リクルート→リノべる→エニトグループ
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3度のIPOを経験した人事の次なる挑戦

コロプラ・メルカリ・ヤプリと、これまで3社のIPO前後での経験・実績とバリュー経営における実践値が豊富な高橋寛行氏がヘルスケア・ウェルネス領域の店舗に対して会員管理・予約・決済システムを提供するhacomono」でCHROになった。

髙橋氏は、就任にあたってnoteでサステナブルな経営を目指すと語っている。

髙橋常に「私たちは何を成すことを目的に集まっている組織なのか」「普遍的にこの会社が大切にしている価値観は何か」を意識し、全社員が高い理解度で浸透されている状態をつくる、これがバリュー経営の本質的な意義と価値である

組織としての意思決定の質とスピードの追求、過度な同調性の抑止、社員個人もプロとしてより画一的ではなくメリハリのある人事評価体制に。その先に、個々人がプロとして自立したコーポレートガバナンスと性善説が高いバランスで両立した組織を目指し、事業推進を加速させるための土台づくりを行っていきたいと思っています。

hacomonoは、直近1年ほどで社員数は約60名から約180名と組織が3倍になっており、事業拡大に伴う組織の歪みも生まれがちなフェーズに入っている。今後の組織バランスをどう保っていくのか、彼の手腕に注目したい。

高橋 寛行氏
インテリジェンス(現:パーソルキャリア)→ミクシィ→コロプラ→メルカリ→ヤプリ→hacomono
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delyのCTOが “再び” 交代

レシピ動画プラットフォーム『クラシル』を運営するdelyのCTOが井上崇嗣氏から大竹雅登氏に交代した。もともとdelyのCTOは大竹氏であったが、そこから井上氏になり再度大竹氏に戻った形だ。井上氏は新規事業の女性向けライフスタイルのプラットフォーム『TRILL』のCTOになる。

delyも複数事業体制になりCTOの役割が変わってきたのだろう。その背景にある課題について、大竹氏は、複数事業を展開する中で、技術負債の蓄積・技術チャレンジの方向性が作れていない・国内外含めてのエンジニア採用など事業横断の意思決定が増えてきたと話している

そこで、大竹氏は新設された全社横断の開発本部技術的負債を計画的に返済するためのロードマップの作成から、新しい技術スタックの導入意思決定、開発者体験の向上、外国籍エンジニアを含むグローバル採用、開発組織の英語化対応まで、様々なプロジェクトを推進することになるようだ。

大竹 雅登氏
delyを学生時代に共同創業

こちらの記事は2023年02月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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