連載ベンチャー人事報

【ベンチャー人事報Vol.27】この春、動いた猛者たちは何処へ?──23年3月~4月の注目人事情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」として見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第26回目となる今回取り上げたのは、伊豫 健夫氏・畠山 遼氏・河井 龍太郎氏・吉崎 剛史氏・松原 正和氏・山口 隆志氏の計6名。

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手嶋氏も注目する猫×IoTのRABO、経営体制を強化

猫の首輪型ウェアラブルデバイス『Catlog』を提供するRABOで、プロダクトマネジャーだった伊豫 健夫氏が2023年4月に執行役員CPO(Chief Product Officer)に就任した。

「猫の首輪」という言葉だけを聞くと「メーカー」のようなイメージを抱くかもしれない。しかし、RABOのすごさはそこではない。一言で特徴を言い表すならば「猫の行動データだけではなくAIによる解析もできる」点だ。人のように意思疎通が取れない「猫」にプロダクト開発をしており、首輪を通じたデータの取得、アプリへの連携、さらには機械学習を連動させてデータドリブンで猫の情報を集めて、猫の飼い主に情報を提供している。

そんな『Catlog』というプロダクトについてXTech Venturesの手嶋浩己氏はこう表現している

『Catlog』は、ハードウェアとアプリ、さらには機械学習の連動が必要な、非常に難易度の高いプロダクトです。難易度が高い分、開発の手間や費用もかかりますし、色々な箇所で創意工夫が必要だったと思います。Webサイト一つで検証ができるタイプのものではありません。

そんな手嶋氏も注目する『Catlog』のプロダクト責任者として伊豫健夫氏は就任する。彼はRABOの代表取締役である伊豫 愉芸子氏のパートナーだ。そして、パナソニック、野村総合研究所を経て、リクルートで中長期戦略策定および次世代メディア開発等、大小問わず多数のプロジェクトを牽引したのち80人規模のメルカリに参画。執行役員、US版メルカリのプロダクトマネジメント、国内版メルカリのプロダクト責任者、メルペイCPOも歴任した人物だ。まさにメガベンチャーの「プロダクト開発」に深く関わってきた人物と言える。

そんな健夫氏がメガベンチャーで得た経験をどう活かすのか、また代表取締役の愉芸子氏のパートナーとしてRABOにどんな影響を与えていくのか今後も注目したい。

伊豫 健夫氏
パナソニック→野村総合研究所→リクルート→メルカリ→メルペイ→RABO
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CSのCxOとは何者か?
「顧客体験」を「課題解決スペシャリスト集団」と定義する

「CS」と聞くと何を思い浮かべるだろうか。「Customer Success」「Customer Satisfaction」「Customer Support」の略称として使われることが多く、捉え方は十人十色ある言葉だ。そんな「CS」を起点にCxOのポジションをおいたスタートアップが生まれた。それがBtoBで予実管理SaaSを提供する「DIGGLE」であり、畠山 遼氏が「CCSO(Chief Customer Success Officer)」として就任した。

一般的にはCOOやCPOがCS分野もまとめて管掌することも多い。しかし、CCSOという役職をおいた点にDIGGLEのこだわりがある。DIGGLEが提供する予実管理SaaSというプロダクトは、その性質上個別最適化が他のSaaSプロダクトに比べて多く求められCSの難易度が高い。だからこそ、今回のように「CS」に特化したCxOを設置することでCSを起点にした他者との差別化を測りたい狙いがあると考えられる。

実際、就任した畠山氏は総合商社の財務部・自動車部でM&A、海外子会社管理等の業務、海外買収子会社のPMI、子会社管理などの経験もありまさに経営管理のスペシャリティを持っている人物だ。

今後はDIGGLEが「CS」としてどう成長するのかにより注目していきたい。

畠山 遼氏
総合商社→大手外食企業→DIGGLE
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マッキンゼー→商社→HR Techスタートアップへ

HR SaaSとして『HERP Hire』『HERP Nurture』などを提供しているHERPに河井 龍太郎氏が新しい取締役として就任した。HERPといえば社員主導型の採用方式として「スクラム採用」を広めており、すでにHR業界でもよく認知されている。

今回、そんなスタートアップの取締役に就任する河井氏は新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製造業などでの経営コンサルティング業務を経験し、2018年8月より総合商社の事業部で経営企画を担当。その後、スタートアップへのその挑戦の場を大きく変化させた。

2020年8月にHERPへ参画し、基幹事業であるデジタル人材採用を加速する採用管理システム『HERP Hire』やタレントプールシステム『HERP Nurture』の事業責任者およびプロダクトオーナーを務めている。

戦略コンサルタントとして会社の上層部へと提案する立場も、確かに刺激的だ。ときに大胆な提案をしその仕事の規模の大きさは言うまでもない。一方で事業会社の中で現場と一緒に戦略や戦術を作り上げていくおもしろさもある。ぜひ河合氏のキャリアパスをみながら自分がどちらをやりたいのかを考えるきっかけにしてほしい。

河井 龍太郎氏
マッキンゼー→総合商社→HERP
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プロダクトよし、戦略よし。
そして遂に「人材」も

「ロジレスはプロダクトも、戦略も完璧。あとは優秀な人材を一人でも多く採用できるかだ」──。

2022年秋、ALL STAR SAAS FUNDの前田氏と、Coral CapitalのJames氏はこのように語った

そして2023年春、ついにその「人材」たちが集い始めた。EC物流における生産性向上を通じて社会変革を目指すロジレス。今回はその中から3名の強力なニューフェイスを紹介する。

一人目の吉崎 剛史氏は、先日「THE MODELに忠実なCSは、もう古い?急成長企業の独自進化を今、知る」でも紹介したばかり。アクセンチュアやGoogle、そしてfreee執行役員を経てのジョインと、頼もしい経験を引っ提げてロジレスの顧客提供価値をCSの面から後押しする。問題解決、DXのプロが描く顧客(倉庫事業者)のサクセスに注目だ。

二人目は、ヤフーを経て、IoTスタートアップにて経営陣として手腕を発揮していた松原氏。同氏がジョインするまで、ロジレスの技術面はCTOの田中氏がほぼ一人で担っていたという綱渡り状態だった。そこに開発組織の運営経験を持つ松原氏が参画し、急ピッチで開発組織を立ち上げる。ここからが「本格始動」のフェーズと言えるだろう。

そして最後は山口氏。彼もまたヤフーやリクルートといった大組織において活躍し、PdMとしてプロダクトづくりをリードしてきた。その後スタートアップで執行役員VPoP(VP of Product)を担い、ロジレスへ参画。「顧客の一次情報」を何より重要視し、課題解決のための資産として蓄積してきたロジレス。これから山口氏が担う業務ミッションは、こうした数多き課題の優先順位を定め、開発組織と連携しながらプロダクトのあるべき姿を追求していくことであろう。

「なぜこうも猛者たちが集まるのか?」。読者の脳裏にはこんな疑問が浮かんでいるのではないだろうか。その答えは一重に、CEOの足立氏やCTOの田中氏を筆頭に、ロジレスから滲み出る「顧客ファースト」なスタンスやカルチャーがあるからこそではないかと、FastGrowは推察する。(その理由はコチラの記事が詳しい)

気になるものは、ぜひその目で確かめてみるべし。

吉崎 剛史氏
アクセンチュア→人材会社→投資会社→Google→freee→ロジレス
松原 正和氏
システム開発会社→ヤフー→スタートアップ(ライナフ)→ロジレス
山口 隆志氏
リクルート→ヤフー→アンドパッド→ロジレス

こちらの記事は2023年04月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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