河野 純一郎
ANRI
ジェネラルパートナー神奈川県出身。株式会社ジャフコにて、日本国内の未上場ベンチャー企業への投資活動及びファンドレイズ活動に従事。その後、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社に入社し、ITベンチャー企業への投資及び投資先企業の成長支援業務に従事。2019年にANRIに参画。
皆さんに質問です。私は20名強の会社を経営しております。経営して5年目で、ここ3年は毎年2名ほど退職者が出ているのですが、未だに退職というものに慣れないです。従業員の退職は必ずしもネガティブなイベントではないと頭では理解しているものの、寂しいし、自分の力不足も感じますし、動揺もします。これにどう向き合うのが正解か分からず困っています。ご意見を聞かせてくださいませ。
VCは結果が出るまで時間がかかるのでPDCAサイクルが長すぎて学習が効きにくく、また結果が出ても自分の何のおかげで結果が出たのかわからない部分もあると思うのですが、どのように学習して成長を確認していますか?
仰るとおり、成長実感を感じることは難しいと思います。
分かりやすく投資先の上場やそれにより得られるキャピタルゲイン等、目に見える成果は、己の力ではなく、投資先自身の力であり、努力です。常に自分が貢献できているのか、役に立てているのか、疑問に思い続ける日々です。変化の激しいスタートアップ業界なので、成功したやり方も、成功が証明された時点から陳腐化が始まります。なので、常に謙虚に学び続ける姿勢が大事です。投資をしたい起業家に選んでもらえた、投資先に人材を紹介し、採用が決まり喜んでもらえた、話をして元気が出たと言ってもらえた、投資先のサービスを使っている人を街中で見かけた、そういった日常の小さなことを自分の喜びに換え、自分を鼓舞しています。
河野 純一郎氏の回答
VCの皆さんは未来に投資していると思うのですが、どのように「これから伸びるマーケット」を見つけているのでしょうか?非現実的な未来予測の話ではなく、よく言われている「半歩先」のイメージです。事業をつくるにあたっては、この半歩先を見据えることが大事だと思っているので、参考にさせていただきたいです。
様々な「変化」に着目することです。
偉大な事業も、実は日常のささいな課題感、不便さ、不合理から生じているケースが殆どです。日ごろからアンテナ感度を高く持ち、日常に潜む違和感を大事にすること。そして、何故その課題が存在しているのか?何故それが解決されていないのか?を合理的に説明できるように因数分解して考えることでしょうか。
その場合、「課題」と「解決策」の二つに分解できます。「課題」自体が存在しなかった場合と、「課題」は存在していたが、「解決策」が無かった場合とが考えられます。 いずれにせよ、新たな「課題」や「解決策」が生まれるのには、それらの「前提条件」、例えば、技術、規制、法律、利用デバイス、行動様式、価値観、世代交代、等々の「変化」が存在します。「Change」と「Chance」は一文字違い。変化あるところにチャンスあり、なので、「変化」に敏感になることが重要かと思います。
河野 純一郎氏の回答
ぶっちゃけVCをやっている中で、自分も起業したい!と思うことはないのでしょうか?
どういった人物像(バッグラウンド・マインドセット・スキルセット等)の人がVCで働くのに向いているのでしょうか?
ここ10年でVCが増えたと実感しています。他のVCとどうやって差別化しているのでしょうか?(みなさんのVCの強み・弱みは何ですか?)
起業家にとって選択肢ができ、起業家に選ばれるためにVC間で適切な競争が起きる理想的な環境だと思っています。とはいえ、選ばれるためには、選ばれる必然性を持つことが重要です。各VC、ファンドの規模化、資金提供機能以外の付随機能の具備と強化、特定分野に特化することでの知見の深堀等、試行錯誤を繰り返しています。
我々は、今回のファンドで規模化を志向し、リスクマネーの供給力(ファンドサイズ、自らの与信による他投資家からの調達力)を強化しました。しかし、最終的にはどこまでいってもファンドで選ばれ、個で選ばれるしかないと思っています。 なので、我々ANRIは、「ファンドとしての思想」、「その思想の元に集まる優秀かつ熱意ある強い個」、「個の結束力によって生み出されるファンドとしての組織力」、これらを研磨していきたいと思っています。
河野 純一郎氏の回答
Twitterで「TAM」の議論を多く見ますが、結局事業立ち上げ時には何を考え、どのくらい先まで計算しておく必要があるのでしょうか?
投資家への相談はどのタイミングがベストなのでしょうか?
いくつかの業界に興味・仮説があるのですが、具体的なビジネスモデルまでは、まだあまりきちんとした納得できる仮説が立っていません。このような状況でも、投資家へ相談しても構わないのでしょうか。もちろん、事前のデスクトップリサーチ・最低限の想定ユーザー向けのインタビューは実施予定です。