連載資金調達の週報
押さえておきたい資金調達ニュース──新しい音声体験を届けるメディアや、ネット発のキャラクター会社など
資金調達が活況となり、日々のニュースが溢れている。全てを追いきれない読者のために、FastGrowでは週次で国内外スタートアップの資金調達ニュースを紹介。今週は日本から4社をピックアップした。
2019年2月18日〜2019年2月24日分
- TEXT BY TOMOAKI SHOJI
- EDIT BY KAZUYUKI KOYAMA
Voicy:200以上のチャンネルが無料で聞けるボイスメディアの運営
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 7億円 |
| 調達先 |
|---|
| グローバル・ブレイン |
| D4V |
| TBSイノベーション・パートナーズ |
| 株式会社電通イノベーションパートナーズ |
| 中京テレビ放送株式会社 |
| 株式会社電通イノベーションパートナーズ |
| 株式会社スポーツニッポン新聞社 |
サービス概要
「音声xテクノロジーでワクワクする社会を創る」というビジョンのもと、ボイスメディア「Voicy」の提供や音声配信インフラの開発などの事業を手掛けている。
自社メディアであるVoicyでは、ビジネスの専門家やミュージシャン、インフルエンサーなどによる「声のブログ」をはじめ、ニュースや天気予報のような情報、事業会社のオリジナルチャンネルなど、200チャンネル以上を無料で放送している。
今回の資金調達では、Voicyの利用者数が2018年に30倍以上に伸びたことや、ユーザーコミュニティの深さ、音声コンテンツのマネタイズ戦略などが評価されたとしている。
今後は、エンジニアやUI/UXデザイナーなどの採用強化やVoicyのアプリリニューアル、音声インフラの再構築などを経て、新しい音声の体験と価値を提供していくという。
テラスマイル:農業に特化した経営分析を行うクラウドサービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 非公開 |
| 調達先 |
|---|
| ドーガンベータ |
| 山口キャピタル |
| 三井住友海上キャピタル |
| 宮崎太陽キャピタル |
| マイファーム |
| ちくぎん地域活性化投資事業有限責任組合 |
| 石井歓氏 |
| 松岡恭子氏 |
| 矢野修作氏 |
| 志賀口裕輔氏 |
サービス概要
農業に特化した経営分析を行うクラウドサービス『RightARM』を提供。農業経営のなかで蓄積したデータを見える化し、経営を支援するという。
RightARMは2017年12月に実証実験を開始し、2018年5月に有償サービスの提供を始めた。現在は約100の農業経営者や法人が利用しており、約20万件の出荷量データなどを管理している。本社を置く宮崎県や宮崎経済連とは、営農情報の連携を進めているそうだ。
今回の資金調達により、パートナーセールスやエンジニアの採用をはじめ、AIによる出荷予測や経営分析、シミュレーションを軸としたRightARMのメニュー拡充を行う。
クオン:インターネット発のキャラクター会社
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 4億円 |
| 調達先 |
|---|
| ニッセイ・キャピタル |
| ABCドリームベンチャーズ |
| オー・エル・エム・ベンチャーズ |
| みずほキャピタル |
| SMBCベンチャーキャピタル |
| 三井住友銀行 |
| みずほ銀行 |
サービス概要
「ベタックマ」「うさぎゅーん」といったインターネット発のキャラクターを手掛ける。2015年頃から全世界のチャットアプリと提携し、スタンプを展開。累計ダウンロード数は、2018年12月末現在で26億件、累計送信回数は240億回を超えたという。
有料スタンプの売り上げに加え、人気の出たキャラクターのライセンス展開をグローバルで開始しており、中国とタイには既に子会社を設立した。韓国と台湾、香港でも現地のキャラクターエージェンシーと契約し、グッズ販売やプロモーションコラボなどを行っている。
2018年9~12月時点でのキャラクター事業における海外売上比率は約65%。今後はライセンス営業組織を構築し、国内外でのキャラクターコラボレーションや、スタンプの共同開発などに対応していく。また、VTuberやブロックチェーンなどを活用した新規メディア、テクノロジー向けのキャラクター開発にも注力するとした。
Onepair:企業で活躍するエースと直接つながれる転職サービス
資金調達概要
| 調達額 |
|---|
| 1000万円 |
| 調達先 |
|---|
| NOW |
| Candle代表取締役 金靖征氏 |
| 坂本達夫および複数の個人投資家 |
サービス概要
企業で活躍するエースと10分間のビデオチャットを通して、「働きたい場所」を見つけられる転職サービス「Onepair(ワンペア)」を提供。
ユーザーはサービスに登録すると、興味を持ってもらった企業のエースから直接「話してみたい」というオファーをもらえる。各エースのインタビュー記事も掲載されており、読んで共感をしたら、ユーザーはそのエースに直接アプローチも可能だ。
2018年9月から2か月間限定でサービスのβ版を提供開始しており、今回の資金調達のタイミングで正式版のリリースを発表。アプリは2019年2月現在、iOSのみの対応となっているが、Android版も事前登録の受付を開始している。
今週は計4社の調達状況を紹介した。今後も、FastGrowは週次で調達状況を発信していく。
こちらの記事は2019年02月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
次の記事
連載資金調達の週報
執筆
庄司 智昭
ライター・編集者。東京にこだわらない働き方を支援するシビレと、編集デザインファームのinquireに所属。2015年アイティメディアに入社し、2年間製造業関連のWebメディアで編集記者を務めた。ローカルやテクノロジー関連の取材に関心があります。
編集者。大学卒業後、建築設計事務所、デザインコンサル会社の編集ディレクター / PMを経て、weavingを創業。デザイン領域の情報発信支援・メディア運営・コンサルティング・コンテンツ制作を通し、デザインとビジネスの距離を近づける編集に従事する。デザインビジネスマガジン「designing」編集長。inquire所属。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
おすすめの関連記事
出品代行型フリマアプリで「面倒くさい」「安すぎる」を解決へ。国内No.1の古着売買プラットフォームへ、シリーズAで総額4億円を調達──株式会社digdig
経営支援を「誰もがアクセスできるインフラ」に──ジャパンM&Aインキュベーション、プレシリーズAで3億円を調達
「PMFまでの苦しい時に、資金と希望を与えてくれた」──ジェネシア・ベンチャーズ × KAMEREO、Tensor Energy、Malmeの3対談にみる、“シード期支援のリアル”
- 株式会社ジェネシア・ベンチャーズ Investment Manager
データの収集と整理を効率化し、日本のエンプラ企業のデータ・AI活用を変革する。シリーズAで総額7.5億円を調達──株式会社Quollio Technologies
グローバル製造業の調達機能を高度化へ。データを基軸としたイノベーションに向け、シリーズAで総額4億円を調達──A1A株式会社
1プロジェクト、MAX予算数百億円──10年変わらぬSCM市場の顔ぶれにニューフェイス誕生。シード調達1.3億円のリチェルカが挑む「ERP3.0」
不動産・建築・金融を統合的にDX──総額38億円調達。イタンジ創業者がAIインフラ事業で挑む、複数産業の同時変革構想とは
【独占インタビュー】創業3期目で売上28.2億円。異端の経営でエネルギー業界に挑む「操電」飯野塁の全貌
- 株式会社操電 代表取締役