1年半でエンプラ導入2倍超、利用量は10倍へ──未経験人材も活躍する「エスカレーター式・顧客伴走」による成長戦略【Cloudbase×DNX】

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谷口 洋斗

慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程にて研究・単位取得後、株式会社ディー・エヌ・エーでエンジニア職を務めたのち、M&A・VCファンドへのLP出資などの業務に携わる。その後、株式会社10XのCxO直下で経営企画を担当し、経営会議の運営、パートナー小売企業の事業計画作成、プロダクト部門の投資採算管理などを行った。2024年5月にCloudbaseへ入社し、VPoSとして経営企画の傍ら営業、営業組織の組成なども行う。

本地 涼香

不動産テック、コミュニティプラットフォーム領域のSaaS企業で約6年間、CS組織の0→1立ち上げからマネジメント、1→10フェーズの体制構築まで一貫して経験。ハイタッチ型の顧客支援を専門とし、運用フロー設計・仕組み化に強みを持つ。2024年9月にCloudbaseへ入社し、アーリーフェーズにおける支援体制の構築を牽引している。

新田 修平

京都大学経済学部卒業後、野村證券株式会社に入社。投資銀行部門にて、素材エネルギーセクターやテクノロジーセクターのM&Aアドバイザリー業務に従事し、大型の業界再編やクロスボーダー案件、地方企業の事業承継など、多種多様なM&A案件を担当。また、人事部にて新卒採用も担当し、多くの採用イベントの企画・運営や採用面接に従事。2021年にThe University of Chicago Booth School of Business(MBA)をHonors degreeにて卒業。2022年よりDNX Venturesに参画。

2024年度、事業計画を完遂──。

クラウドセキュリティ領域で急成長を遂げるCloudbase。エンタープライズ(ENEOS、出光興産、スズキなど国内大手企業)導入企業数は、2024年4月時点から2025年9月時点で2倍以上に拡大。既存顧客の利用量が導入時から10倍超に成長した事例も複数存在する。

なぜ、ここまで成長できたのか。

その背景には、市場のニーズが顕在化する絶好のタイミングで事業を展開できたこと、そして外資の競合プロダクトでは実現できない“顧客が確実に使いこなせるまで伴走する支援体制”を構築したことがある。この支援を実践しているのが、実はサイバーセキュリティ領域未経験の転職メンバーたちだ。

この組織には、大きく二つの特徴がある。未経験人材が短期間で既存事業の中核を担うキーマンとして活躍を見せる環境。そして特定の人材に依存せず、常に新しいキープレーヤーが台頭する仕組みだ。こうした組織がどのように形成されたのかについては、「MV起点の聖域なき組織改革」で詳しく取り上げているが、本記事では実際に現場で活躍する人材の視点から、その実態に迫る。

ディー・エヌ・エー・10Xを経て同社のVP of Strategyを務める谷口 洋斗氏、CS歴6年で、コミューンなど複数のスタートアップにおいてCS組織の立ち上げやCSマネージャーとして活躍してきた本地 涼香氏、そしてCloudbaseの創業初期から伴走する投資家・DNX VenturesのPrincipal・新田 修平氏。今回はこの3名に、成長の背景と、今この組織に挑戦する価値を語ってもらった。

  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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「5年前でも5年後でも成立しない」。クラウド移行でセキュリティ課題が顕在化した2022年

Cloudbaseの急速な事業成長を支えているのは、市場のタイミングを正確に捉えた事業戦略と、それを確実に実行に移す組織力である。

同社が提供するのは、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなどパブリッククラウドのセキュリティリスクを可視化し、優先順位付けから改善策の提示までを一気通貫で支援するプラットフォーム『Cloudbase』だ。大企業のクラウド移行が加速する中、「セキュリティ診断の結果を見ても、どう改善すればいいかわからない」という日本企業特有の課題に応えている。

提供:Cloudbase株式会社

取材当日、商談を終えたばかりのスーツ姿で現れた谷口氏。VP of Strategyでありながら、現場の営業にも深く関与している。

谷口市場ニーズの顕在化、プロダクト、そして顧客に価値をデリバリーする体制──この3つが揃うタイミングが訪れたことが大きいです。これらが噛み合ったことで、事業が一気に加速しました。

Cloudbase VP of Strategy 谷口 洋斗氏

Cloudbaseがプロダクトをリリースしたのは2022年。大企業のクラウド移行が本格化し、セキュリティ課題が顕在化したまさにこのタイミングを逃さず、プロダクト・セールスをそれぞれしっかり強化できたことが、事業成長のカギとなった。投資家として創業初期から伴走してきたDNX VenturesのPrincipal・新田氏は、「Why Now?」の背景をこう語る。

新田5年前でも、5年後でも成立しませんでした。今だからこそ、Cloudbaseの事業が急成長できたと捉えています。大企業のクラウド移行が進んだこと。AWSの責任共有モデル*への理解が不足している企業が多いこと。そして、インハウスでセキュリティエンジニアがいない企業が大半であること。これらが重なったのが、まさに今だったんです。

*責任共有モデル:クラウド事業者とユーザー企業でセキュリティ責任を分担する考え方。サーバーやネットワーク設備などのインフラ部分のセキュリティはAWSが担保するが、その上で動くアプリケーションやデータの保護は顧客側の責任となる。

DNX Ventures Principal 新田 修平氏

国内パブリッククラウド市場は2024年時点で約4兆円に達し、2029年には約8.8兆円規模にまで成長する見込みだ(IDC Japan調査、2025年2月発表)。企業のクラウド移行が加速する中、セキュリティリスクへの対応が追いついていない──この構造的なギャップこそが、Cloudbaseの事業機会を生み出した。

新田Cloudbaseはわずか2年弱で多くのエンタープライズ企業からの受注を実現しました。私がここで強調したいのは、数ではなく、その質です。

BtoB SaaSの成長は、単純に受注社数や売上が2倍になればよいというものではありません。多額の資金をマーケティングに投下して受注社数を伸ばすというのはよく取られる手法ですが、エンタープライズ向けでは特に、悪手にもなりえます。短期的な数字ばかりを追ってしまうと、その後にチャーン(解約)が増え、再受注への挽回がしにくくなる恐れもあるためです。

Cloudbaseのプロダクトは、月額料金が固定ではなく、利用が多くなればなるほど企業単価も高くなるモデルであることからも、最も重要な指標は、「1年前の同じ顧客が、現在どれだけ利用を拡大しているか」です。

Cloudbaseは、まさにこの指標で顕著な成果を上げている。ミッションクリティカルな領域*への導入を実現し、既存顧客の利用規模が10倍以上に拡大している事例も出始めている。監視対象となるクラウドリソースが増え、利用部署が広がり、結果として企業単価も大幅に伸びているのだ。

*企業の基幹業務に関わる、止まったら事業に致命的な影響が出るシステム・領域

新田日本の大企業は小規模導入から始め、効果があれば拡大する「ランド・アンド・エクスパンド」*を取ります。この拡大をCloudbaseは実現できている。新規獲得と既存顧客の成長を同時に達成している点で、質の高い成長だと思います。

*ランド・アンド・エクスパンド:小規模導入(Land)から始めて、顧客との関係を深めながら利用を拡大(Expand)していく営業戦略。

しかし、市場のタイミングを見極めるだけでは成長は実現しない。

谷口正直、タイミングは巡り合わせの側面もあります。ただし、それを活かせるかどうかは実行力次第。Cloudbaseは市場のニーズを正確に捉え、それに応える体制を素早く構築できた。プロダクトの磨き込みと並行して、営業・サポート・エンジニアが一丸となって顧客に伴走する──この判断力と実行力が、成長の原動力になっていると思います。

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外資には真似できない、「思考負荷をゼロにして目的地まで伴走する」支援体制

では、この「実行力」は具体的にどのように発揮されているのか。

Cloudbaseの強みは、プロダクトを提供するだけでなく、顧客が確実に使いこなせるまで伴走する支援体制にある。

谷口例えるならば、クラウドセキュリティ領域における外資のプロダクトはカスタマイズされた高級マニュアル車です。性能は抜群ですが、乗りこなせる人しか使えない。

一方、Cloudbaseはそれをオートマ車に変え、ETCをつけ、高速道路の車線まで誘導し、目的地まで連れていく──いわば「エスカレーターやエレベーターのように、乗るだけで自動的に運んでくれる体験」を提供しています。プロダクトを提供するだけではなく、顧客が確実に使いこなせる状態まで持っていくことを徹底しています。

この伴走体制を実践するのが、本地氏だ。ある金融機関での取り組みがその実態を物語る。

本地私が担当した金融機関では、クラウドセキュリティの運用ルールが未整備でした。そこで私たちは、まず仮説としての運用ルールを提示し、顧客と一緒に合意形成を進めました。導入の負荷を最小化し、すぐに使える状態まで論点を整理していく。お客様の状況や自走力に合わせて、最小工数で実装できるよう支援しました。

Cloudbase カスタマーコンサルタント 本地 涼香氏

本地氏が重視したのは、顧客の担当者が「考えるべきこと」を最小限にすることだ。運用フローやルールの大枠は全て仮説として提示し、顧客には「これを御社に落とし込んだらどうなりますか?」という最後の1ステップだけを考えてもらう。

先方の担当者にしかできない判断だけを残し、それ以外は全てCloudbase側で準備する──この徹底した「思考負荷の最小化」が、顧客の導入負荷を劇的に下げているのだ。谷口氏が述べたように、まさにエスカレーターやエレベーターに乗るように、顧客は何も考えずに目的地へ到達できる。

本地お客様にとって、クラウドのセキュリティ対策は数十ある業務のうちの一つに過ぎません。だからこそ、最小限の工数で導入できるよう、論点を整理して仮説を提示する。お客様が迷わず導入できる状態をつくることが、私たちの役割だと思っています。

この細部へのこだわりを大切にしている点が、同社の特徴の一つだ。

谷口我々は特別なことをしているわけではありません。ただし、こうした細かい顧客体験の積み重ねが、競合優位性になる。お客様が「ここまでやってくれるんだ」と感じる瞬間をどれだけ増やせるか。それが、顧客の継続利用につながっていくんです。

新田「人手を介してハンズオン支援します」というコンサル的なアプローチは、一見すぐに実行できそうに聞こえますが、実は相当難しい。例えばマッキンゼーやBCGのような一流コンサルティングファームは、人材の入れ替わりが激しいですよね。それでも企業としての強さを保っている。その理由は、ファームに染み付いているノウハウや知見があるからです。これは一朝一夕には絶対に蓄積できません。

Cloudbaseも同様だ。創業初期から「徹底的に顧客に伴走する」というスタンスがあった。今ほど確立されたオペレーションではなかったが、創業者の岩佐氏が顧客にディープダイブして寄り添う姿勢を貫いてきた。これが今の顧客支援の原型になっている。

新田日本企業の顧客がどこでつまずくのか、どこが勘所なのか、プロダクトで対応できるところと人手で対応すべきところ──このノウハウの蓄積は、Cloudbaseがシード期から3年間積み重ねてきたものです。今から優秀なコンサルタントを集めてDAY1から模倣できるかというと、到底不可能です。顧客ごとの課題の勘所や、日本企業特有のつまずきポイントは、現場での試行錯誤を通じてしか獲得できませんからね。

この3年間の蓄積こそが、外資の競合プロダクトやコンサルティングファームでは再現できない、Cloudbaseの競合優位性となっているわけだ。

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入社半年でMVP級の活躍。本地氏が体現する「わからない状態を楽しむ」組織文化

セクション2で語られた、外資の競合プロダクトでは実現できない伴走支援──それを実践しているのが、クラウドセキュリティ未経験ながら短期間でキャッチアップし、現場で価値を発揮する人材たちだ。

彼らに共通するのは、知的好奇心とプロ意識、そして「わからない状態を楽しめる」資質である。谷口氏と本地氏の事例が、それを物語っている。

谷口氏は、もともと経済学の博士課程まで進んだ研究者志望だった。しかし「研究だけでなく、実践で日本を変えたい」と考え、ディー・エヌ・エーでエンジニアに転身。その後、M&A部署を経て、10Xで経営企画を担当し、現在はCloudbaseで営業組織を牽引している。

谷口前職までの組織では、事業においてロジックを何より重視する傾向がありました。データで判断し、効率性を追求する。それはそれで学びが多かったのですが、Cloudbaseは対照的です。社内外のステークホルダーに対して「どうにかして価値貢献できないか」という想い=パッションが何よりの根幹にあります。AIで代替できないのは、汗をかいて顧客と本気で向き合うこと。顧客の困りごとに寄り添い、一緒に解決策を考え抜く。そういう緻密な仕事こそが、Cloudbaseの価値であると思っています。

一方、本地氏は日立グループで営業を経験した後、スタートアップでCSを担当。イタンジ、コミューンを経てCloudbaseに参画した。

なんと彼女は同社に入社する前に、事業推進に向けて取得を推奨される、AWS CP*など複数の資格を取得したというエピソードを持つ。周囲が「え?もう取ったの...?」と驚くほどの学習速度で、入社後もわずか半年で事業価値の向上に大きく貢献している。セクション2で触れた金融機関での運用ルール策定をはじめ、顧客の導入〜運用を支援する仕組みをこの短期間で次々と構築。こうした支援体制の強化が、既存顧客の利用量が導入時から10倍超に成長した実績にも大きく貢献しているのだ。

*「AWS CP」はAWS認定クラウドプラクティショナー(AWS Certified Cloud Practitioner)の略で、AWSの基礎知識を証明する認定資格を指す。クラウドの基本概念、AWSの主要サービス、セキュリティ、料金体系といった幅広い知識が問われる。

本地クラウドセキュリティという業界ドメインの知識はゼロでした。ただし、CS経験者として培ったスキルは、ドメインが変わっても発揮できる。顧客の課題を整理し、仮説を立て、最適な解決策を提示する──このスキルは、どの業界でも通用するのではと思っていました。

むしろ、ドメインの知識がないからこそ見えるものもある。エンジニアは技術に精通しているが、それゆえに非ITプロフェッショナルなユーザーとの間に認識のギャップが生まれることもある。非エンジニアだからこそ、顧客の目線で支援できる部分があるのだ。

本地ただし、知的好奇心を持って徹底的に学び、技術やプロダクトについてお客様以上に深く理解するというプロ意識は必須です。技術的な質問に「わからないので確認します」などと毎回と答えていては信頼を失ってしまいます。お客様の状況や向き合っている課題に寄り添い、共に学び続ける。それが支援担当の役割だと思っています。もちろん、一人で現場に投げ込まれるわけではありません。社内のエンジニアと連携しながら、サポートを全て使って仕事ができる環境があるからこそ、未経験でもキャッチアップできるんです。

では、谷口氏と本地氏に共通する資質とは何か。それは、「わからない状態」を恐れず、むしろ楽しんでいる点だ。

谷口能動的なキャッチアップや課題解決を行い続けるスタンスを示すことが大前提ですが、Cloudbaseの門戸は未経験であっても開いています。当社には、わからないことを素直に聞ける空気がありますし、「知ったかぶり」をする人はいません。みんなが「教えてください」と言い合える。だからこそ、非専門人材でも急速にキャッチアップできるのだと思います。

職種の隔たりもない。エンジニアが営業や顧客支援に積極的に参加する文化が、非専門人材の成長を後押ししている。専門性がなくても、知的好奇心とプロ意識があれば活躍できる──これが、Cloudbaseの組織構造の特徴である。

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キープレイヤーが次々と台頭する組織を生む、代表の「助けてください」姿勢

Cloudbaseには、さらにもうひとつ特徴的な組織の特性がある──「キープレイヤーが次々と新たに台頭し、組織の厚みが増していく」ことだ。

この背景にあるMV(ミッション・バリュー)を軸とした組織づくりについては、「MV起点の聖域なき組織改革」で詳述している。ここでは、投資家として数多くのスタートアップを見てきた新田氏の視点から、その実態を見ていこう。

新田多くの組織では、初期から活躍している人が、2年後も3年後も中心にいる傾向があります。でも、Cloudbaseは違う。最初はこの人がキープレイヤーだったのに、半年後には別の人も台頭して、1年後にはさらに新しい人が加わり、チーム全体が強くなっていく。

初期は、CEOの岩佐さんを中心に事業推進をしていましたが、気づいたら谷口さんが入ってきて、さらに本地さんが加わった。株主である私も、「この人の意見を聞いておかないと」と思う相手がどんどん増えている。全員が未経験からスタートしているのに、会社の中心プレイヤーになっていく。不思議な会社だなと思います。

ここまで読むと、読者は疑問に思うかもしれない。「特定の人材に依存せず、次々と新しいキープレイヤーが生まれる組織」──それは理想的に聞こえるが、現実にそんなことが可能なのだろうか。

その答えは、組織文化と経営者の姿勢にある。

谷口チャレンジを大切にする文化があるからだと思います。期待値を超えた挑戦を組織全体が賞賛する。例えば、エンジニア出身の人が営業をやったり、経営企画だった人がビジネスチームの責任者になったり──職種を越えた挑戦を推奨している。

こうした越境を賞賛する文化があるからこそ、ニューフェイスがどんどん出てきて、組織が活性化しているんだと思います。そしてその背景には、代表である岩佐の姿勢が大きく影響しています。

岩佐代表は、「自分は経営者として完璧ではない」と考えている。自らの得意不得意を客観的に把握し、足りないところを誰かに助けてもらうことに抵抗がない。谷口氏や本地氏、新田氏に対して「助けてください」と素直に言える。この姿勢が、組織の成長上限を取り払っているのだ。

新田起業家の中には、素直な心で他人の力を頼ることが苦手な方もいます。場合によっては、それが組織の成長の上限になることもある。でも岩佐さんは違う。「この人はすごい」と思ったら、すぐに任せてみる。他人を信じて、権限を委譲できる。この才能が、組織の成長上限を取り払っているんだと思います。

谷口直近1ヶ月でも、何度か「これどう思う?」「ここを助けてほしい」と相談されました。経営者が自分の弱みを認めて、素直に助けを求められる。これは、実はものすごく難しいことだと思います。でも岩佐は自然にそれができる。だからこそ、僕らも「この会社を一緒に良くしていこう」という気持ちで関われるんです。

本地私も入社して間もない頃、岩佐から「顧客支援の仕組み、どうしたらいいと思いますか?」と相談されたことがあります。代表が現場の意見を本気で聞いてくれる。しかも、良いアイデアがあれば、すぐに実行に移してくれる。この姿勢が、メンバー全員の当事者意識を高めているんだと思います。

岩佐代表の「完璧ではない」という自己認識と、「助けてください」と言える姿勢──これが、特定の人材に依存しない、持続的に成長する組織を生んでいる。

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「わからない状態を楽しめる」「自走力」「自律心」の3つを併せ持つ人材が活躍できる環境

未経験人材が活躍し、キープレイヤーが常に入れ替わる組織。こうした特性を持つCloudbaseは、実際にメンバーからどう評価されているのか。

投資家の新田氏が2024年に全従業員へインタビューした結果、働きやすさ・働きがいのスコアは10点満点中8.5点。一般的な水準と比べると、高水準だ。

新田どんな組織でも不平や不満は出てきます。でも、Cloudbaseではそれがほぼなく、前向きな意見が多かった。優秀な人が多く刺激的だが、手を差し伸べてくれる環境がある。大企業の役員と議論でき、大きな案件を一人で裁量を持って進められる──いいところしかないですよね(笑)。

しかし、Cloudbaseはまだ完成していない。その“余白”を楽しめるかどうかが、活躍できるかどうかの分かれ目だ。

では、同社ではどのような人材が求められているのか。

谷口わからない状態を楽しめることが、最も重要だと思います。組織の方針がわからない、技術がわからない──日々変化が激しいスタートアップ、かつ専門性が求められるセキュリティ事業だからこそ、様々な「わからない」に直面します。そういった状況でも、他責にせず、自分が必要だと思うことを実行できるか。楽しみながら学び続けられる姿勢が大切です。

本地ある程度の自走力は必須ではないでしょうか。型にはまって回すだけが好きな人には合いません。型を守りつつも、お客様の状況に合わせて自分で考えて調整したり、時には覆すことも必要です。試行錯誤しながら新しい解決策を生み出すことにやりがいを感じる方に向いています。

新田自分を律する力、でしょうか。裁量があるからこそ、謙虚さと責任感が求められる。自分で考え、取るべき施策をしっかり実行していく姿勢が必要です。

3名の言葉に共通するのは、「完成されていない環境で、変化を楽しみ、自ら道を切り拓く力」である。

谷口Cloudbaseはまさにこれから、真価が問われます。立ち上げて1〜2年で急成長するスタートアップは多い。でも、その後成長が鈍化する企業も少なくありません。成長の踊り場をどう乗り越えるか。一緒に勝ち馬をつくる経験──それを共有できる、共有したい人と働きたいですね。

Cloudbaseのエンタープライズ導入企業は2倍以上に拡大し、既存顧客の利用量も10倍超に成長した。しかし、これはまだ通過点に過ぎない。

同社は今後、クラウドセキュリティ領域でさらに事業を拡大していく。これまでAWS、Google Cloud、Microsoft Azureなどパブリッククラウド環境のセキュリティ監視で実績を積み上げてきた同社は、2025年6月にオンプレミス環境(自社サーバーなど)向けの新プロダクト『Cloudbase Sensor』をローンチした。クラウドだけでなく、企業の基幹インフラ全体をカバーする体制を整えつつある。

国内パブリッククラウド市場は2029年には約8.8兆円規模に達する見込みだ。日本企業のクラウド移行が加速する中、「顧客が確実に使いこなせるまで伴走する」支援体制を武器に、Cloudbaseはクラウドセキュリティのスタンダードを確立しようとしている。

この成長を支えるのは、未経験から学び、自走し、組織に新しい色を加えていく人材たちだ。

新田谷口さんや本地さんのように、未経験から入って組織の中心プレイヤーになる──Cloudbaseでは、このサイクルが回り続けています。本当にすごいマネージャーは、自分ができるだけでなく、他人を活躍させることもできる。今から入る方も、キープレイヤーとなり、次の世代を育てる存在になれる。そのサイクルが続く限り、Cloudbaseの成長は止まらないと思います。

「わからない状態を楽しめる人材」が、次のキープレイヤーを育て、組織に新しい色を加えていく。そのサイクルが回り続けることで、Cloudbaseは成長の踊り場を越え、持続的に進化する組織になろうとしている。

こちらの記事は2025年10月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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