連載ベンチャー人事報

電通からベンチャーCCO、『食べチョク』に25歳取締役が誕生──21年1〜2月の注目人事情報

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ベンチャー・スタートアップの成長に影響する変数はさまざまあれど、最も重要なものは果たして何か。

それを「人」に見るのがFastGrowだ。月刊で「ベンチャー界隈の注目すべき人事情報」として、転職や異動、その他人事施策を取り上げていく。企業のスケールを推進するのは、起業家や事業家だけではない。対象は幅広く扱う。

第4回目となる今回、取り上げたのは、山下麻亜子、松浦悠介、小野恵央、藤田康男、斎藤泰行、小田紘生、安藤宏樹、勝村泰久の計8氏。

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『食べチョク』の急成長担った松浦・山下両氏が取締役に

こだわり食材のマーケットプレイス『食べチョク』を運営するビビッドガーデン。事業成長が留まるところを知らない同社が2021年2月、取締役2名の新任による経営体制の強化を発表した。

1名はマッキンゼー・アンド・カンパニーから2020年6月にジョインした山下麻亜子氏。前職では消費財や小売業の領域で、全社戦略や新規事業立ち上げ案件を主導したほか、自社内の人材育成採用にも従事。その経験を活かし、ビビッドガーデンでも戦略策定をはじめとしたさまざまな業務を担ってきた。取締役就任にあたって公開したnoteには、「現事業のグロース実現」と「先の展開の設計」をいずれも進められるのが面白く、会社としても勝負所だと力強く綴っている。

もう1名は松浦悠介氏。一橋大学在学中にビビッドガーデンでインターンを経験(なおFastGrowを運営するスローガンでもインターンを経験)し、2018年4月に米IT起業ヴイエムウェア(VMware K.K.)に新卒入社するも、同年に発生した西日本豪雨での惨状を見て一次産業への想いが再燃。同年11月にビビッドガーデンへ正社員として入社した。

松浦氏はビジネスサイド全般を広く担い、2020年の旧拡大の決め手にもなったテレビCM施策を推進した中心人物でもある。未経験業務でも成果を出し続けてきた手腕と想いが評価されての、取締役抜擢だ。山下氏と同様に公開したnoteには「『マーケティング』とは、突き詰めると『経営』になるのかと考えています。今自分が取り組んでいる、生活者の方へのコミュニケーションは、会社経営のことと大きく紐づきます」と力強く綴っている。

山下麻亜子
京都大→マッキンゼー・アンド・カンパニー(2011年4月)→ビビッドガーデン(2020年6月)→同社取締役(2021年2月)
松浦悠介
一橋大学→ヴイエムウェア(2018年4月)→ビビッドガーデン(2018年11月)→同社取締役(2021年2月)
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イングリウッド、執行役員兼CCOに元電通の小野恵央氏

知る人ぞ知る、あの高成長を続ける未上場ベンチャー、イングリウッドが、執行役員兼CCO(Chief Creative Officer)の着任を発表した。武蔵野美術大学と電通でアートやデザインに取り組み、受賞歴も多い、小野恵央氏だ。

小野氏は新卒で電通に入社し、14年間に渡りクリエイティブの第一線で活躍した人物だ。東京ADC賞、JAGDA賞、グッドデザイン賞など多くの受賞歴を誇り、クリエイティブやデザインに対する幅広い知見を有する。

CCO就任と共に発表したコメントでは「イングリウッドの持つノウハウやデータ、事業の推進力に自身のクリエイティブやデザインに対する哲学、能力、熱意を掛け合わせることで、他社には追随出来ないプロダクトやサービスを、次々と創出していくことができるものと確信している」と力強く語っている。

小野恵央
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科→電通→イングリウッド執行役員CCO(2021年2月)
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SmartHRの「新会社の社長」求人に、元エムスリーグループの藤田氏

ShopifyやTwillioのような海外のユニコーンSaaSと同等の初期スピードで急成長を遂げているSmartHR。巷では「Nextユニコーン」と評されることも増えてきている。そんな中、さらなる成長を探るための新規事業を担う人材を求め、同社は「新会社の社長」という求人をオープン。この求人から2月に入社を決めたのが、エムスリーキャリアで10以上のサービスに携わってきた藤田康男氏だ。

藤田氏は新卒で瀬戸内海放送という地元のテレビ局に入社。商店街や中古車販売店への飛び込み営業から始まり、営業のイロハを学んだ。その後は100社以上ものブランドマネージャーを担当し、マーケティングに関する知見を蓄積していった。知人の紹介でCSテレビ局に転職した後、業務を行う中でマーケティングやセールス以外の幅を広げることが重要だと考え、一橋大学のMBAを修了。

「なんでもやっていいです」。面接で言われたこの言葉がきっかけで大学院修了後はエムスリーキャリアにジョイン。在籍していた10年間で事業開発に携わったサービスの数は10以上にものぼる。

藤田氏は自身のnoteで、「SmartHRは非常にスピード感があり、プロフェッショナルたちが互いに背中を合わせられているチーム」であると綴っている。これからSmartHRにどのような新風を巻き起こすか、注目だ。

藤田康男
関西学院大学→瀬戸内海放送→MTV→ソニーピクチャーズエンタテインメント→一橋大学MBA→ExWillパートナーズ→エムスリーキャリア→SmartHR(2021年2月)
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日本MSのマーケティング戦略本部長が、
弁護士ドットコムの執行役員に

2020年、政府が「デジタル改革」の大号令をかけた。新型コロナウイルスの影響もあり、その波はより一層大きくなっている。その中心で、契約プロセスのデジタル化を推し進める電子契約サービス『クラウドサイン』を提供する弁護士ドットコム。国内トップシェアを誇っており、2015年10月のリリース以降、現在では10万社以上の企業に導入されている。

2021年1月、同社の執行役員に日本マイクロソフトでパートナーマーケティング戦略本部長を務めた斎藤泰行氏が新たに就任することが発表された。

なぜ23年間も勤め上げたマイクロソフトをわざわざ辞め、弁護士ドットコムに転職したのか?その理由を自身のnoteで斎藤氏は「クラウドサインという事業に出会ってしまったからに他ならない」と綴っている。『クラウドサイン』こそが「日本の世の中をもっと良くできる、世の中の負を解消できる」と強く確信したから、だと。しかし、運命的にも思えたこの出会いも、実現への道のりは困難を極めた。

斎藤氏が初めて弁護士ドットコム取締役の橘大地氏に会ったのは2020年1月。中国で新型コロナウイルスが発見されたかどうかの時期で、まだ日本は平穏な時期だった。橘氏との面談を終えた斎藤氏は「この人ともっと話をしてみたい、この後の人生でずっと付き合える友人になってもらいたい」という感情を覚えたという。2020年2月、斎藤氏は弁護士ドットコムからオファーレターを受け取った。しかし、新型コロナウイルスと家族の猛反発という2つの壁が立ちはだかった。

リモートワークの影響もあり、マイクロソフトでの仕事は超多忙な時期を迎えていた。また、コロナ禍になり、今後の社会の動向が全く読めない中での転職は家族からの同意をなかなか得られなかった。それでも弁護士ドットコムの経営陣は何カ月にも渡り斎藤氏との面談を重ね、2020年8月に斎藤氏はついにオファーレターを受理することとなる。

マイクロソフトの有給休暇中、なんとクラウドサインの全メンバー(約100名)と1on1を実施したという斎藤氏。1on1を通じて、このプロダクトの強さの源泉はサービスを構成する重要な要素である「社員」にあると確信したと語る。メンバーとどのような新たな価値を創っていってくれるのか、楽しみだ。

斎藤泰行
日本マイクロソフト→米国マイクロソフト本社→日本マイクロソフト パートナーマーケティング戦略本部長→クラウドサイン(2021年11月)
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リフカム、若き26歳の執行役員が誕生

リファラル採用を活性化するクラウドサービス『Refcome』をはじめとするHRTechソリューションを提供するリフカム。同社の執行役員に26歳の小田紘生氏が就任することが発表された。

小田氏は新卒入社したリクルートで営業企画に従事し、社内表彰を受賞するなどの活躍を見せた。一方で、事業づくりにチャレンジしているスタートアップへの関心も高く、さまざまなスタートアップ経営者へ継続的にコンタクトをとっていたという。その中で出会ったのがリフカム代表の清水氏だ。

「この人は今の日本の採用構造を本気で変えようとしている、まだ世の中にない新しい価値を作ろうとしている人だ」。そう感じた小田氏はリクルートを卒業し、リフカムにジョインすることを決意する。

リフカム入社後は、カスタマーサクセスからはじまり、事業企画や事業責任者へと活躍の幅を広げた。入社前から「自分はリフカムで主体者として、世の中に新しい価値を広めていく事業をグロースさせる経験を積みたい」と代表の清水氏に話していたという小田氏。26歳という若さで執行役員に抜擢されるかたちとなった。

小田紘生
神戸大学経営学部→リクルートジョブズ→リフカム→執行役員就任 (2021年1月)
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キャディの急成長を支えた人事責任者
安藤氏がLeaf Ringにジョイン

製造業の受発注プラットフォーム『CADDi』を提供しているキャディ。2017年末の創業以降、急速に成長を続け、レガシー産業をテクノロジーでアップデートし続けている。そんな同社の急成長を牽引した人事責任者の安藤宏樹氏がキャディを退職し、新天地へと旅立つことを明らかにした。

キャディに在籍していた2年弱で2,000件ほどの面談・面接を実施し、50回を超えるイベントを主催し、年間100名もの採用を行ってきた。一方で、家庭では2児の父でもある安藤氏。5年後、10年後を見据えて、自身のワークとプライベートのバランスを自分が一番望む状態にしたい、という想いが今回の転職の決め手だという。また、ボードメンバーでの参画というまたとない機会にチャレンジしたいという気持ちも重なった。

新天地として選んだのは再生エネルギー領域で事業展開を行うLeaf Ring。代表は前職Spee時代の先輩である岡﨑直樹氏だ。安藤氏は社員3人目、執行役員で参画することになるという。

Leaf Ringは「ゼブラ企業」という経営方針を掲げている。「ゼブラ企業」とは、自社の成長を第一の優先順位とするのではなく、より良い社会の形成に寄与することを第一とし、持続可能な範囲での成長を追求している企業の総称だ。アンチ・ユニコーンから生まれたその経営スタイルは年々世界から注目を集めている。安藤氏は今後、「我が子を襲う未来の危機から我が子を救いたい。」という想いを胸に、環境問題への挑戦を続ける。

安藤宏樹
大阪大学工学研究科→Speee→キャディ→Leaf Ring(2021年2月)
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Voicy初の執行役員は、人事兼事業開発?

シリコンバレー発の音声SNS『Clubhouse』が注目を集める中、日本発の音声アプリ企業も気になる動きを見せている。あの緒方憲太郎率いるVoicyが、組織拡大に合わせ、初めて執行役員を設置したと発表した。

2021年2月に執行役員CHROに就任した勝村泰久氏。「ぶっちゃけ人事」の異名(自称)を知るものも少なくないかもしれない。人材大手クイックにて営業部長や新規事業、人事など幅広く要職を経験。ベンチャーが大企業になるまでの一連の経験を引っさげ、満を持して2020年1月、スタートアップに飛び込んだ。

2020年初頭は退職率も低くないカオスな状態にあったというVoicy。それを人事責任者として立て直し、安定した数十名規模の組織を数カ月で構築した手腕が評価された形だ。

「いい意味でCHROとは名乗らず人事領域だけでなくサービスや事業グロース、そして業界の発展や新産業創出まで何でも屋として全力でコミットとしたいと思っています(もちろん軸足は人事です)」と力強いツイートを残している。

勝村氏を追跡取材した記事はこちら

勝村泰久
クイック→Voicy(2020年1月)→Voicy執行役員(2021年2月)

こちらの記事は2021年02月10日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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